住宅型有料老人ホームについて検討されている方で、費用はどのくらいかかるのか、どんな特徴があるのかなど、疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。
今回は住宅型有料老人ホームについて、以下の項目を中心に解説していきます。
- 住宅型有料老人ホームとは
- 住宅型有料老人ホームの費用について
- 入居金は必ず支払うのか
後半には、生活保護を受けている方の入居についても触れています。
ぜひ最後までお読みください。
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住宅型有料老人ホームとは
高齢化が進み、介護や世話をしてくれる人が必要、おうちで一人暮らしなので万が一のことが起きると心配…。
そのような方々にとって、住宅型老人ホームをはじめとする高齢者専用の住宅施設では、生活支援や見守り、万が一のときの対応や健康管理など、高齢者が安心できるようなサービスが充実しています。
ここではその中の一つ、住宅型有料老人ホームについて紹介していきます。
住宅型有料老人ホームとは
住宅型有料老人ホームは、有料老人ホームの中でも介護サービスを提供していない居住施設です。
基本的には、自立している高齢者をはじめ軽度の介護度の方が、食事や掃除などの日常生活の支援を受けることで自立した生活を送るために入居する場合が多いようです。
住宅型有料老人ホームの目的
自立している高齢者をはじめ軽度の要介護者の方まで、生活支援と健康管理を行うことで充実した生活をサポートする目的があります。
また、介護が必要な方は自由に外部の介護サービスを契約できるため、サービスを受けながら居住できます。
しかし、住宅型有料老人ホームの入居対象は基本的に自立〜軽度の要介護者とされています。
そのため、要介護度が施設基準に合わなくなった場合は入居できない、もしくは退去を求められることもあります。
住宅型有料老人ホームの特徴
住宅型有料老人ホームには大きく3つの特徴があります。
- バリアフリー設計になっている
- 外部の介護サービスと自由に契約できる
- 住宅型有料老人ホームが増えてきているので、予算や希望に合わせて選べる
バリアフリー設計になっている
高齢者が生活する居住空間であるため、バリアフリー設計になっています。
軽度の要支援・要介護者をはじめ自立している方に対しても、バリアフリー設計により負担が少なく、自立した生活のサポートをしてくれます。
外部の介護サービスと自由に契約できる
介護サービスは基本的にはついていないので、その分費用を抑えられます。
必要になれば外部の介護サービスと自由に契約できるので、必要な分だけ利用することも可能です。
施設によっては介護事業所やデイサービスを併設しているので、介護付き有料老人ホームと同程度の介護を受けられます。
介護サービスを受ける場合は、介護保険の上限額を超えないよう注意が必要です。
予算や希望に合わせて選べる
住宅型有料老人ホームは急速に増えてきています。
施設によって提供できるサービスが異なるので、希望に合った施設を探せます。
住宅型有料老人ホームの入居条件は?
自立した高齢者だけでなく、基本的には外部の介護サービスを利用することで要介護者の方も入居可能です。
しかし、施設によって基準は様々です。
下記に、よくあるチェック項目を記載します。
- 60歳以上もしくは65歳以上(60歳に満たない場合でも入居できる施設も有り)
- 介護度合い
- 認知症の有無
- 伝染病の有無
- 身元引受人の有無
- 支払可能か
介護事業、介護施設、医療機関と連携のある施設では、介護度が高くても入居できることがあります。
住宅型有料老人ホームで利用できるサービスは?
大きく3つのサービスがあります。
それぞれのサービスについて解説していきます。
食事や洗濯などの生活支援サービス
食事、洗濯、掃除などの家事や、見守り、緊急対応、健康管理などのサービスを行ってくれます。
家事の負担が軽減することで、充実した老後の生活を送ることにつながります。
万が一のことが起きたときにも対応してもらえるので安心して過ごせます。
また、施設内には看護職員、栄養士、ケアマネジャー、生活相談員などの職員がいますので、安心できる体制で健康管理を行ってくれます。
しかし、施設によってサービス内容は異なりますので注意が必要です。
福祉用具を介護保険でレンタルできる
必要なときに福祉用具をレンタルできます。
車いすや杖、センサーマットなどを購入する必要が無く、必要なときに使えるのは便利です。
こちらも介護保険は適用していますが、上限額を超えないよう注意が必要です。
レクリエーションやイベントが充実
介護を必要としない方が多いため、様々なレクリエーションが行われています。
茶道や華道などの習い事、ゲーム、カラオケ、日帰り旅行など、ときには家族を招いたりと様々な催しごとが行われています。
設備も充実しており、図書室、園芸、カラオケ、アトリエ、麻雀卓などの趣味設備や、機能訓練室、トレーニングジム、プールなどの健康設備、他にもゲストルームなどこちらも様々です。
施設によってバリエーションが異なりますので確認しておきましょう。
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住宅型有料老人ホームの費用
住宅型有料老人ホームとは別に、介護付き有料老人ホームという介護サービスがついた有料老人ホームがあります。
介護付き有料老人ホームは介護サービスが月額費用に含まれています。
介護サービスを安心して利用できるため、介護が必要な方に向いています。
住宅型有料老人ホームは介護サービスを行っていないこともあり、介護付き有料老人ホームと比べて費用を抑えられます。
住宅型有料老人ホームの費用は?
住宅型有料老人ホームは、介護サービスを必要な分だけ利用することで介護費用を抑えられるのも特徴の一つです。
住宅型有料老人ホームにかかる費用は大きく分けて、入居一時金と月額費用の2つあります。
それぞれについて解説していきます。
入居一時金
毎月かかる月額費用を一括で前払いすることで、毎月の月額費用を抑えられます。
入居一時金は施設により支払う金額は変わってきます。
入居一時金不要の施設もあれば数千万円必要な施設もありますが、数十万~数百万円の施設が多く見られるようです。
月額費用
月額費用には、家賃、食費、水道光熱費、施設維持管理費、事務管理費などが含まれています。
相場は12万~30万円程度といわれています。
介護付き有料老人ホームは介護費用がかかり、相場は15万~40万円程度といわれています。
また、住宅型有料老人ホームは介護費用がかからない分、月額費用を抑えられます。
介護付き有料老人ホームは介護費用が月額費用に含まれているため、介護サービスを安心して利用したい方に向いています。
費用の内訳
ある施設での月額費用19万6500円の内訳を一例として紹介します。
介護サービスや医療費、日用品は別途費用となります。
家賃
施設の立地や居室タイプ、質により価格が変わります。
月額19万6500円のうち8万円が家賃です。
水道光熱費・管理費
管理費には施設維持費と運営費などが含まれています。
月額19万6500円のうち7万1500円が水道光熱費・管理費です。
食材費
多くの施設が食事した分を請求しており、食事をとらなかった分は値引きされます。
月額19万6500円のうち4万5000円くらいが食材費です。
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入居一時金は必ず払う?
有料老人ホームへの入居を考えている場合、入居金はいくら必要なのでしょうか?
実は有料老人ホームは急速に増えていることもあり、金額設定は施設によって様々で、希望に合った施設を探しやすくなっています。
入居一時金とは?
毎月かかる月額費用を一括で前払いすることで、毎月の月額費用を抑えられます。
入居一時金は施設により支払う金額が変わり、数百万円~数千万円必要な施設もあります。
ただし、特別養護老人ホームと一部の有料老人ホームでは一時金不要の施設もあります。
入居一時金が返還される償却制度
入居一時金は、一定の期間施設を利用することを見越して前払いする費用です。
償却制度により、入居一時金はすぐに全額使用されるわけではなく、一定の期間にわたって月額費用に充当されます。
このことを償却といい、このときの一定の期間を償却期間といいます。
そのため、償却期間内に退去することになれば、タイミングや初期償却の有無によって返還金額が変わってきます。
初期償却とは、契約時点で入居一時金の一部が償却されることです。
初期償却に基準はなく施設により0%~30%と様々なので、事前の確認が必要となります。
償却期間と償却率とは?
償却期間は償却制度を適用させる一定の期間をいい、償却率とは入居一時金を占める償却額の割合をいいます。
償却期間と償却率により退去時の返還金額は変わるので、入居前に確認しておきましょう。
- 例:入居一時金を500万円、初期償却率20%、償却期間を10年間とした場合
初期償却費 = 入居一時金(500万円) × 初期償却率(20%) = 100万円
年間償却費 = {入居一時金(500万円) - 初期償却費(100万円)} ÷ 償却期間(10年) = 40万円/年
年間償却率 = 年間償却費(40万円/年) ÷ 入居一時金(500万円) = 8% - 償却期間 丸々5年残して退去する場合の返還金額
入居一時金(500万円)-初期償却費(100万円) - 年間償却費(40万円) × 5年 = 200万円
入居費用の支払い方法
入居一時金を含む月額費用の支払い方法には3種類あります。
それぞれにメリット・デメリットがあるので紹介していきます。
全額前払い方式
入居期間を想定して、その期間の家賃相当分を入居金として入居時に全額支払う方式です。
メリットは、家賃相当分を払わずに済むため、毎月の費用負担が大きく軽減されることです。
デメリットは、入居金が高い施設になるほど、入居時のハードルが高くなることです。
一部前払い方式
入居金の一部を入居一時金として支払い、残りを月額費用に加算して支払う方式です。
メリットは、入居金の一部として自分に合った金額を支払うことで入居できることです。
デメリットは、入居金の残りを毎月の支払いで負担しなければいけないことです。
月払い方式
入居時に入居金を支払うことはなく、月額費用に加算して支払う方式です。
メリットは、入居金の前払いが一切ないので、入居時のハードルが低くなることです。
デメリットは、毎月の支払の負担が大きくなることです。
住宅型有料老人ホームのメリット・デメリットは?
住宅型有料老人ホームには生活を充実させるためのメリットがたくさんありますが、
介護サービスを必要とする方には向いていないデメリットもあります。
ここでは住宅型有料老人ホームのメリット・デメリットを紹介していきます。
住宅型有料老人ホームのメリット
次に、住宅型有料老人ホームのメリットについて解説します。
手厚い介護サービスが不要なら費用を抑えられる
介護付き有料老人ホームと違い、外部の介護サービスとの契約になります。
月額費用に介護費はかからないため、介護サービスは利用した分のみの請求になります。
生活支援サービスにより家事の負担が軽減する
自立している高齢者であっても、食事や洗濯、掃除などの家事、見守りや緊急対応などのサービスを行ってくれます。
家事の負担が軽減し、万が一のことが起きても安心できるため、充実した生活を送ることができます。
レクリエーションやイベントが豊富である
介護を必要としない方が多いため、様々なレクリエーションが行われています。
茶道や華道などの習い事、ゲーム、カラオケ、日帰り旅行、ときには家族も招くなど、様々なイベントがあります。
設備が充実している
図書室、園芸、カラオケ、アトリエ、麻雀卓などの趣味設備や、機能訓練室、トレーニングジム、プールなどの健康設備、他にもゲストルームなど、施設によりますが様々な設備が揃っています。
希望に合った施設を探しやすい
住宅型有料老人ホームは急速に増えてきており、費用やサービス内容、設備などは施設によって様々な特徴があります。そのため、希望に合った施設を探しやすくなっています。
住宅型有料老人ホームのデメリット
先程、住宅型有料老人ホームのメリットについて解説しましたが、続いてデメリットについての解説をします。
施設基準に合わない場合に退去させられることがある
住宅型有料老人ホームは自立している高齢者から要支援者と、比較的健康な方の入居が多いようです。
そのため、入居中に要介護者になった場合や急病で長期入院になった場合、認知症が発症した場合など、施設基準によっては退去させられることがあります。
また、月額費用の滞納、施設内トラブルの原因とされる場合もその一つです。
介護サービスを多く利用すると負担が大きくなる
住宅型有料老人ホームの魅力として、外部の介護サービスを自由に契約できる点が挙げられます。
しかし、介護付き有料老人ホームと違って月額費用に含まれていないため、介護サービスの利用が多くなると介護保険の上限額を超えることもあります。
介護サービスの利用が多い場合は、介護費用が月額費用に含まれている介護付き有料老人ホームの方が向いている可能性もあります。
もし費用に困ったら
高齢になればなるほど、月々の介護サービス費が高くなる可能性があります。
そこで、少しでも介護にかかる費用を抑えるための補助金制度を紹介します。
これらを利用することで、介護保険の上限額を超えた場合払い戻しを受けられる場合があります。
高額介護サービス費
介護サービスを利用して1ヶ月に支払った負担額の合計が上限を超えた場合、上限を超えた分を高額介護サービス費として払い戻される制度です。
高額介護サービス費の対象者
介護保険の給付対象者である、「要支援1〜2」「要介護1〜5」と自治体から認定された方です。
高額介護サービス費の利用条件
介護保険適用の介護サービスが対象ですが、バリアフリーにするための住宅改修費、ポータブルトイレや入浴補助具などの特定福祉用具購入費は対象外です。
高額介護サービス費の支給対象となった方に送られてくる支給申請書を持って、自治体に申請する必要があります。
申請は支給対象となったサービスの翌月1日から2年以内となっているので、忘れずに申請しましょう。
高額医療・高額介護合算療養費制度
医療保険と介護保険にかかる1年間 (毎年8月1日〜翌年7月31日) の自己負担の合算額が著しく高額であった場合、一部が払い戻される制度です。
高額医療・高額介護合算療養費制度の利用条件
医療保険を利用する世帯に介護保険の受給者がいる場合には、世帯単位で医療保険と介護保険にかかる1年間 (毎年8月1日〜翌年7月31日) の自己負担の合算額が限度額を超えた場合、高額医療・高額介護合算療養費制度が適用され払い戻しを受けられます。
サービス付き高齢者向け住宅との違い
住宅型有料老人ホームと似た特徴を持つ、サービス付き高齢者向け住宅という高齢者向けのバリアフリー住宅も増えてきています。
ここでは住宅型有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅の違いを紹介します。
サービス付き高齢者向け住宅とは
介護や看護、医療などの資格を有した職員が常駐し、安否確認や生活相談サービスの提供が義務付けられた、バリアフリーの工夫がされている賃貸住宅です。
略して「サ高住 (さこうじゅう) 」と呼ばれています。
施設にもよりますが、入居できるのは自立している高齢者や要支援者など、比較的健康な高齢者になります。
自由度が高いことが特徴で、これまでの生活とほとんど変わらない生活を送れます。
サービス付き高齢者向け住宅の目的
職員が常駐することで安否確認と健康管理を行い、入居者が外出や外泊を自由にできることで、安心して自由な生活を送ってもらう目的があります。
利用できるサービスの違い
住宅型有料老人ホームは家事や洗濯などの生活支援サービスがついていますが、サービス付き高齢者向け住宅では生活支援サービスは施設の任意になっています。
また、住宅型有料老人ホームは契約形態が終身利用権なのに対して、サービス付き高齢者向け住宅では賃貸形式になります。
サービス付き高齢者向け住宅は、住宅型有料老人ホームほどレクリエーションは活発ではありませんが、同居が可能だったり外出や外泊がしやすかったりと、自由度が高いのも特徴です。
サービス付き高齢者向け住宅の対象者
施設基準を満たした60歳以上の高齢者、または60歳未満の要介護者といった比較的健康である方が入居しやすいです。
施設によっては配偶者や要介護者の親族との同居も認められる場合があります。
ほとんどの施設で身元引受人・連帯保証人が必要になります。
費用の違い
入居金、月額費用を含む総額費用を月額換算した場合
- 介護付き有料老人ホーム 平均27.7万円
- サービス付き高齢者向け住宅 平均13.6万円
- 住宅型有料老人ホーム 平均12.3万円
介護サービスを行う介護付き有料老人ホームの費用は他の施設類型より15万円ほど高く、住宅型有料老人ホームが一番安いことが分かります。
出典:高齢者向け住まいにおける運営実態の多様化に関する実態調査研究
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生活保護の方でも入居できる?
生活保護制度とは、資産や能力を活用しても生活に困窮する方に対し、最低限度の生活を保障するために生活保護費として国が支給する制度です。
生活を営む上で必要な費用に対して、扶助として支給されます。
生活保護の扶助の種類
- 生活扶助:日常生活に必要な費用 ( 食費・被服費・光熱費など )
- 住宅扶助:アパートなどの家賃
- 教育扶助:義務教育を受けるために必要な学用品費
- 医療扶助:医療サービスの費用 ( 本人負担なし )
- 介護扶助:介護サービスの費用 ( 本人負担なし )
- 出産扶助:出産費用
- 生業扶助:修了に必要な技能の習得などに係る費用
- 葬祭扶助:葬祭費用
生活保護を受けている方でも、扶助と年金で月額費用を賄えるのであれば入居できます。
また、介護サービスも介護扶助により自己負担なく利用できます。
しかし、住宅型有料老人ホームは民間企業の運営のため、公的施設の特別養護老人ホームより高額になります。
そのため、生活保護を受けている方を受け入れていない施設もあれば、費用を抑えた居室タイプであれば入居できる施設もあります。
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住宅型有料老人ホームの費用のまとめ
ここまで住宅型有料老人ホームに関する情報や費用についてお伝えしてきました。
- 住宅型有料老人ホームとは、基本的には軽度の要介護者までが利用できる
- 住宅型有料老人ホームの費用は比較的安価だが、施設によって様々な価格帯がある
- 入居一時金は、支払いが必要な施設と支払いが不要な施設がある
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
核家族化が進み、独居老人が増えてきた昨今、将来のことを考えると有料老人ホームという選択肢も視野に入れなくてはなりません。また、介護のことを考えると家族の負担にならないようにと入居を決める方もいるでしょう。有料老人ホームにはどのよ[…]