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健達ねっと>介護お役立ち記事>介護保険>成年後見人への報酬はいくらになる?探し方や選任手続きの仕方も紹介

成年後見人への報酬はいくらになる?探し方や選任手続きの仕方も紹介

認知症が進行し、通帳を頻繁になくしてしまう、自分で施設の契約ができない、ということになると困りますよね。
判断能力が衰えてきた方のために、「成年後見制度」があります。

成年後見制度を利用した場合、どれくらいの費用がかかるか、知っていますか?

この記事では、以下の点を中心に紹介していきます。

  • 成年後見人とは
  • 成年後見人の報酬
  • 成年後見人が行ってくれること
  • 成年後見人を探す方法

成年後見人の探し方や報酬について理解するためにも、参考にしていただけますと幸いです。
ぜひ、最後までお読みください。

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成年後見人とは

認知症や障がいなどのために自分で判断するのが難しい方を法律的に守る仕組みとして、「成年後見制度」があります。
成年後見人とは、成年後見制度を利用する方をサポートする人です。

成年後見制度の内容や、どのような人が成年後見人になるかについて、ご説明します。

成年後見制度の目的

成年後見制度とは、認知症や知的障がい、精神疾患などの影響により判断能力が不十分な人が利用できる制度です。
生活していくうえで不利益を被らないよう、後見人等が契約の締結や財産の管理を代わりに行うことで本人を保護するためにあります。

従来の制度は、判断能力が不十分な方の財産管理などを制限するものでした。
しかし、戸籍に制度を利用していることが記載され、差別や偏見につながることが問題視されていました。

2000年の介護保険制度創設に伴い、介護を受けるためには「契約」が必要になりました。
認知症や知的障がいがある場合、自分で契約し介護サービスを利用できないことがあります。

そのような方が必要な支援を受けられず不利益を被らないよう守るため、旧制度を見直し、成年後見制度の運用が開始されました。

成年後見人になる人は?

成年後見人になる人は、本人の生活状況や申し立てに至った経緯などをふまえて、家庭裁判所が選任します。
候補者を指名することもできますが、最終的には裁判所の判断に委ねられるため、希望が通らないこともあります。

成年後見人には、親族のほか、弁護士や司法書士、社会福祉士といった専門職が選任されます。
また、社会福祉協議会などの、成年後見制度利用を支援する法人も後見人になることが可能です。

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成年後見人への報酬はいくら必要?

成年後見人として業務すると、後見人は被後見人に報酬を請求できます。
報酬は、年に1度、家庭裁判所に申し立てすることで決定します。

報酬額は、財産や支援の内容により異なりますが、おおよその目安をご紹介します。

報酬付与申立書とは

報酬付与申立書は成年後見人が報酬を得るために必要な提出書類です。
成年後見人は報酬付与申立てを必ず家庭裁判所に行うことが必要です。

報酬付与の申立てをするときには、後見等事務の報告が必要になります。
報酬は成年後見人が行った事務に対する対価に当たるためです。

報酬付与の申立てには以下のものが必要です。

申立書収入印紙 800円
郵便切手 84円成年後見人等の事務報告書
財産目録、年間収支状況報告書財産に関する資料の写し

報酬は家庭裁判所の審判で認められた額を本人の財産から直接受け取ることができます。

成年後見人の基礎報酬

通常の業務を実施した場合の報酬は、被後見人が持っている財産額、業務の内容、地域の物価などを総合的に判断して決められます。

目安となる額は、以下の通りです。

  • 1000万円未満:月額2万円
  • 1000万円~5000万円:月額3万円~4万円程度
  • 5000万円~:月額5万円~6万円程度

一般的に、在宅で生活する方よりも、施設に入所している方は報酬額が低くなる傾向にあります。
これは、施設で生活する方の方が、成年後見人の業務量が少ないためです。

 

中には、年金額が少なく上記の金額の報酬を支払うと生活が成り立たないという方もいます。
そのような方のために、各自治体では成年後見人への報酬を助成する制度を設け、経済的な理由で制度利用をあきらめずに済むようにしています。

成年後見人の付加報酬

通常の業務以外に、特別に困難な状況がある、または特別な行為を実施した場合、付加報酬を算定される場合があります。
特別に困難な状況にあたる場合、報酬額は、基本報酬の50%の範囲内で、相当額の報酬を付加するものとされています。

例えば、以下のような状況が該当します。

  • 親権者同士の意見の対立を調整するために尽力した
  • 身上監護が非常に困難なケースであった
  • 前任の成年後見人に不正があり、後任の成年後見人が対応した

特別な行為を実施した場合は、事務内容や利益額に応じて相当額を付加します。

例えば、以下のような行為が該当します。

  • 不動産の売却手続きを実施した
  • 施設入所の契約を実施した
  • 訴訟や遺産分割調停に対応し、被後見人の財産が増えた

親族が成年後見人となる場合

親族が成年後見人になった場合も、報酬を受けとることは可能です。
報酬を受け取る場合は、専門職が成年後見人になった場合と同様に、裁判所に申立てをすることで金額が決まります。
相場は、おおよそ2万円~6万円で、第三者が成年後見人になる場合と変わりません。

しかし、親や親戚の資産を減らさないように、報酬を受け取らないケースも多くあります。

報酬が払えない場合

成年後見人の報酬が払えない場合の助成制度として成年後見制度利用支援事業があります。
成年後見制度利用支援事業は、後見制度の利用が困難な方に対して自治体が行う事業です。
事業の内容は以下の通りです。

  • 市区町村長が制度の利用が困難な方に代わって申立てを行う
  • 自治体が制度の利用負担が困難な方に代わって制度利用の費用の助成を行う

市区町村長による後見開始審判の申立てから後見等開始までの流れは以下の通りです。

  • 訪問介護員や介護支援専門員などからの情報で対象者を発見
  • 地域包括支援センターや相談支援事業所などと成年後見等申立ての支援策を検討
  • 本人の心身や日常生活の状況、資産状況などを調査する
  • 親族(申立権者)の有無、申立て意思の確認
  • 診断書の作成依頼、申立て類型の検討
  • 市区町村長申立ての要否を検討し決定する
  • 申立て書類の作成
  • 家庭裁判所へ申立て
  • 審理・審判の確定
  • 後見等の開始

手続きにかかる期間は、約4~6ヵ月となります。

成年後見人等に対する報酬の助成金額は自治体により異なります。
しかし厚生労働省が示した参考月額上限を採用している自治体が多くなっています。
以下に成年後見人等に対する報酬助成の参考単価(月額・上限)を示します。

  • 施設入居者の報酬助成額 :1万8千円
  • 在宅者の報酬助成額 :2万8千円
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生活保護受給者の成年後見制度の利用

生活保護受給者も成年後見制度を利用することができます。
次の成年後見人の仕事内容で触れますが、成年後見制度には身上監護が含まれています。
財産の多い少ないで利用制限があるのは制度の趣旨に反します。

従って、成年後見制度の利用に金銭的な条件はありません。
成年後見制度の利用制限が出ないように市区町村において金銭の助成制度があります。

細かい条件は各自治体で異なりますが、東京都板橋区の場合の対象者は以下の通りです。

  • 生活保護法による保護を受けている方
  • 中国残留邦人等支援法による支援給付を受けている方
  • 世帯全体が非課税の方
  • その他区長が特に認める方

生活保護受給者が成年後見制度の助成対象であることを明確にしています。

成年後見人の報酬が払えない場合の助成制度として成年後見制度利用支援事業があります。
自治体で確認の上、成年後見制度利用支援事業の後見人報酬の助成を利用しましょう。

成年後見人の仕事内容

成年後見人の仕事は、大きく「財産管理」と「身上監護」に分けられます。
それぞれの内容についてご紹介します。

財産管理

成年後見人がつくと、被後見人は資産全般を成年後見人に預けることになります。
成年後見人は、財産目録を作成し、持っている財産について整理をした上で、以下のような事務を実施します。

  • 現金や預貯金、不動産の管理
  • 収支の管理
  • 有価証券などの金融資産の管理
  • 納税や確定申告といった税務に関する処理

日用品や食品などの普段の買い物は、被後見人が自由にできます。
自分で買い物に出かけられる方であれば、家賃や光熱費などの必要経費の支払いは成年後見人が行い、自分でお小遣いをもって生活することもあります。

不動産や金融資産の管理に関しては、成年後見人であっても自由に行える訳ではありません。
生活上必要な場合に資産を売却するなど、あくまでも、被後見人が生活するために必要な行為に限定されます。

身上監護

医療、介護サービスの利用や施設入所などの、生活していく上で必要な手続きや、費用の支払いを実施します。

成年後見人の仕事は、契約や手続きなどの事務的な事や関係者との調整に限られ、実際の世話や介護などは含まれません。
また、入院や入所の際の身元引受人になることや、家族として手術の同意もできません。

身元引受人になってくれる親族がいない場合は、民間の家族代行サービスなどを頼ることになります。
成年後見人は、契約を代行することで被後見人の生活を守ります。

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成年後見人の探し方

成年後見人は、申し立ての内容を元に、家庭裁判所が決定します。

親族や、あらかじめ相談していた弁護士などを指名することもできますが、最終的な決定は家庭裁判所が行います。
指名できる方が身近にいない場合は、裁判所が適任の方を指名しますので、必ず探しておく必要はありません

申し立ての方法がわからない、制度の利用を迷っているなどの成年後見制度に関する相談は、以下のような機関が受け付けています。

家庭裁判所

成年後見制度を利用するための申し立ては、本人の住所地を管轄する家庭裁判所で行います。
必要書類を配布し、制度の内容や申し立て手続きの説明も行います。

本人や家族が、自分で書類を作成して申し立てする場合は、家庭裁判所に手続きの内容を確認するとよいでしょう。

役所

成年後見人を付けたい場合、本人または四親等以内の親族が申立てをします。
しかし、身寄りがなく、申立てをする親族がいない方も増えています。

そのような場合は、市区町村長の権限で申立てができます。
役所は、市区町村長申立の受付窓口になります。

ただし、一般の方が突然相談しても、受付してもらえない場合も少なくありません。
一度、地域包括支援センターなどに相談に行き、専門職の協力を得ることをお勧めします。

また、弁護士や司法書士を招き、定期的に無料法律相談を開催している自治体もあります。
専門職に相談したいけれど費用が心配、という場合や、成年後見制度に強い弁護士がわからない場合は、まず法律相談を利用してみましょう。

社会福祉協議会

社会福祉協議会は、都道府県、市区町村ごとに組織されている民間団体です。
市民活動やボランティア、共同募金へ協力するなど、地域住民が安心して暮らせるよう、福祉の増進に取り組んでいます。

事業内容の一つとして、権利擁護に関する取り組みがあります。
判断能力が低下した方の金銭管理を支援する「日常生活自立支援事業」をしています。
担当者は成年後見制度についてよく熟知しているため、制度の利用に関して、相談に乗ってくれます。

最近では、「成年後見センター」や「権利擁護センター」などの名称で、成年後見制度の利用促進や、申し立て支援する協議会が増えています。
センターがある場合は、制度の説明や申立支援します。
成年後見制度とかかわりのある各種団体とのつながりもあるため、専門職の後見人を希望する場合も、相談にのってくれます。

また、社会福祉協議会が成年後見人になってくれる場合もあります。
これを、法人後見といいます。

地域包括支援センター

地域包括支援センターは、高齢者の総合的な相談窓口です。
主な業務内容は、「総合相談」「介護予防事業」「権利擁護事業」です。

権利擁護事業の一環として、成年後見制度の利用促進も行っており、成年後見制度に関する相談も可能です。
成年後見人を付けたい方が高齢者の場合は、地域包括支援センターに相談するのがよいでしょう。

地域包括支援センター自体は、申立てや後見人になることはできません。
しかし、介護の事や成年後見制度の事を幅広く相談できる機関です。

制度の利用を迷っている方も相談しやすいことが特徴です。
他の支援方法も考慮した上で、本人に合った支援方法を提案してくれます。

申立することが決まれば、司法書士などの専門職や医療機関との調整を手伝い、成年後見人が見つかるよう手助けしてくれます。

成年後見を専門とするNPO法人

成年後見制度に関する支援を専門的に行うNPO法人もあります。
業務内容は、制度の利用に関する相談受付や、法人後見の受任などです。

社会福祉士や司法書士などの専門職が所属し、成年後見制度に特化した活動を実施しています。
その為、成年後見人の立場から見たアドバイスを得られるメリットがあります。

NPO法人は全国各地にあり、法人がある地域に特化して活動している場合がほとんどです。
例えば関東圏では、早稲田成年後見サポートセンター、NPO法人成年後見センター しぐなるあいずなどの法人が活動しています。

薬の使い方

成年後見人の選任方法

成年後見人をつけることが決まったら、どのように手続きを進めるのかについて、ご紹介します。

必要な書類

成年後見制度利用申立てに関する書類は、家庭裁判所または、家庭裁判所のホームページで入手できます。
必要な書類は以下の通りです。

  • 後見・保佐・補助開始等申立書
  • 代理行為目録【保佐・補助の場合】
  • 同意行為目録【補助の場合】
  • 申立事情説明書
  • 親族の意見書・親族の意見書について
  • 後見人等候補者事情説明書
  • 財産目録
  • 相続財産目録
  • 収支予定表
  • 本人情報シート
  • 診断書
  • 戸籍謄本
  • 住民票または戸籍附票
  • 成年後見等が登記されていないことの証明書
  • 介護保険証や障がい者手帳などの、健康状態に関する資料

必要な書類は多数あり、本人や家族が用意するのは難しい場合も少なくありません。
その場合は、弁護士や司法書士に作成を依頼することも可能です。

選任手続きの流れ

申立てをすると、いくつかの流れを経て、家庭裁判所の審判により成年後見人が選任されます。

家庭裁判所に申し立て

必要な書類がそろったら、家庭裁判所に申し立てします。
申し立ては、本人または四親等以内の親族、市区町村長が実施できます。

家庭裁判所は各地にありますが、受付できるのは、本人が住民票を置いている地域を管轄する家庭裁判所です。
家庭裁判所に持参できない場合は、郵送することも可能です。

審理

提出された書類を確かめ、本人・申立人・後見人候補者との面談などを通して、本人に成年後見人がつくことが適当なのか、誰を後見人にするかなどを検討します。

審判

審理の内容をもとに、後見を開始すること、後見人選任の審判を実施します。
必要に応じて、成年後見監督人が選任される場合もあります。
また、審判の内容が記載された「審判書」が被後見人本人に郵送されます。

審判確定

被後見人が審判書を受け取ってから2週間の間に誰も不服申し立てをしなかった場合、審判が確定します。
審判確定後、法務局に成年被後見人であることが登記され、成年後見人の業務が開始されます。

成年後見人の年間人数

成年後見人の利用者数や、どんな後見人がついているのか、利用状況についてご紹介します。

成年後見人の利用者数

平成29年度は、すべての類型を合わせて21万人が利用していました。
そのうち、約78%の方が成年後見相当の類型で利用しています。
成年後見制度の利用者数は、年間1万人前後のペースで増加を続けており、今後も増え続けるものと予想されています。

制度利用者の年齢別割合

利用者の割合は、年齢が高くなるほど大きくなる傾向にあります。
65歳以上の高齢者は、男性では全体の70%、女性では86.3%と大半を占めています。

制度利用者との関係性割合

成年後見人になる人は、専門職や法人などの第三者が73.8%と多数を占めています。
専門職の場合は、弁護士、司法書士が選任されるケースが多くあります。

親族が成年後見人になるケースは26.2%で、その多くは本人の子が選任されています。
また、成年後見制度を申立する人は、本人の子が全体の27.2%、次いで市区町村長が19.8%、本人が14.2%と続いています。

独居や身寄りのない高齢者が増え、申立人や成年後見人など、第三者に依頼するケースは増えており、今後も増加していくと考えられています。

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成年後見人の報酬まとめ

今回は、成年後見人についてご紹介しました。
成年後見人の報酬や探し方について、以下にまとめます。

  • 成年後見人とは、認知症などで判断能力が低下した人を法律の面からサポートする人
  • 報酬は、被後見人の財産額や支援の内容により決められる
  • 成年後見人は、財産管理と身上監護をする
  • 成年後見人は、家庭裁判所に申し立てしてつけることが可能で、相談に応じてくれる機関もある

これらの情報が、少しでもみなさまのお役に立つことができれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

監修者 メディカル・ケア・サービス

  • 認知症高齢者対応のグループホーム運営
  • 自立支援ケア
  • 学研グループと融合したメディア
  • 出版事業
  • 社名: メディカル・ケア・サービス株式会社
  • 設立: 1999年11月24日
  • 代表取締役社長: 山本 教雄
  • 本社: 〒330-6029埼玉県さいたま市中央区新都心11-2ランド·アクシス·タワー29F
  • グループホーム展開
  • 介護付有料老人ホーム展開
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