介護度は、要支援と要介護があり、全部で7段階に分かれています。
中でも、要介護4と5は状態が重く、自治体の制度を上手く活用する必要があります。
実際のところ、要介護4と要介護5では、どのような点で違いがあるのでしょうか?
本記事では要介護4と要介護5の違いについて、以下の点を中心にご紹介します。
- 要介護4と要介護5の違い
- 受けられるサービスの違い
- 利用できる施設の違い
- 給付金限度額の違い
要介護4と要介護5の違いを理解するためにも、参考にしていただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
介護について詳しく知りたい方は下記の記事を参考にしてください。
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要介護4と5の違いとは?
※画像はイメージです
要介護4も要介護5も、要介護区分の中では自力でできることが少ない状態に該当します。
つまり、どちらも重度の介護を必要とする状態です。
では、要介護4と要介護5の違いは、どのような点があるのでしょうか?
具体的な状態を元に違いをご紹介します。
要介護4
要介護4とは、重度の介護を要する状態とされています。
自力で立つ・歩くなど基本的な動作が難しく、座った状態を自力で維持できません。
加えて、全般的な理解力の低下がみられ、周囲の方との意思疎通が難しくなることもあります。
要介護4の具体的な状態をまとめると、以下の通りです。
- トイレや入浴、着替えなど日常生活のほとんどに介助が必要
- 身のまわりのことや家事が自分ひとりでは難しい
- 自力で立ち上がったり歩いたりすることが難しい
- 立ち姿勢を保ったり、片足で立ったりすることが自力では難しい
- 両足で立っていることが自力では難しい
- 全般的な理解の低下が見られ、意思疎通が難しい
しかしながら、要介護4では介助や見守りがあれば自分でできることがあることも特徴です。
基準
介護度を正確に判定するために「要介護認定等基準時間」が1つの指標となっています。
要介護認定等基準時間とは、要介護者の介護をするために必要な介護時間を表しているものです。
要介護4では、「要介護認定等基準時間90分以上110分未満」または「これに相当する状態」と定められています。
要介護4について詳しく知りたい方は下記の記事を参考にしてください。
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要介護5
要介護5とは、最重度の介護を要する状態です。
要介護区分の中で最も症状が重く、最も介護が必要な状態とされています。
要介護5は、立ち上がって歩くことが困難で、ほとんど寝たきりのこともあります。
また、筋力の低下も見られ、食べ物や飲み物をスムーズに飲み込めないこともあります。
理解力の低下も著しく、徘徊リスクにも注意が必要な状態です。
要介護5の具体的な状態をまとめると、以下の通りです。
- 食事やトイレ、服の着替えなど生活全般に介助が必要
- 身だしなみや掃除などの家事がほとんどできない
- 立ち上がったり歩いたりすることがほとんどできない
- 立ち姿勢を保ったり、片足で立ったりができない
- 全般的な理解の低下がみられることがある
このことから、要介護5になるとあらゆることに全面的な介助が必要となります。
基準
要介護5では、「要介護認定等基準時間110分以上」または「これに相当する状態」と定められています。
要介護5について詳しく知りたい方は下記の記事を参考にしてください。
介護の必要度を表す要介護。要介護1~5に加え、要支援1、要支援2の7段階に分けられています。中でも要介護5はもっとも症状が重度な状態であるため、手厚いケアを必要とします。では、要介護5の具体的な状態とは、どのようなものなので[…]
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要介護4と5で受けられるサービスの違い
※画像はイメージです
要介護4と5で受けられる介護保険サービスに違いはありません。
どちらもすべての介護保険サービスを利用できます。
しかし、要介護4では利用できるサービスの種類に制限があります。
それに対し、要介護5では利用できるサービスに制限が無くなります。
そこで、要介護4と5で受けられるサービスを詳しくご紹介します。
要介護4
要介護4と認定された方は、すべての介護保険サービスを利用することが可能です。
また、介護保険サービスには自宅で受けるサービスと施設で受けるサービスがあります。
利用する本人に合ったサービスを選べます。
利用できる介護保険サービスは以下の通りです。
【訪問サービス】
・訪問介護
・訪問入浴介護
・訪問看護
・訪問リハビリテーション
・夜間対応型訪問介護
・居宅療養管理指導
・定期巡回・随時対応型訪問介護看護
【通所サービス】
・通所介護(デイサービス)
・通所リハビリテーション(デイケア)
・認知症対応型通所介護(認知症デイサービス)
・地域密着型通所介護
・療養通所介護
【短期入所サービス】
・短期入所生活介護(ショートステイ)
・短期入所療養介護(医療型ショートステイ)
【訪問・通所・短期入所を組み合わせたサービス】
・小規模多機能型居宅介護
・看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)
【施設入居サービス】
・特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)
・介護老人保健施設(老健)
・介護療養型医療施設
・特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム、軽費老人ホームなど)
・介護医療院
【小規模施設入居サービス】
・認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
・地域密着型特定施設入所者生活介護
【福祉用具】
・福祉用具貸与・特定福祉用具販売
要介護5
要介護5の方は、すべての介護保険サービスが利用できます。
また、利用できる介護保険サービスの種類に制限もありません。
したがって、ご本人が希望されればご自宅での介護も可能です。
利用できる介護保険サービスは以下の通りです。
【訪問サービス】
・訪問介護
・訪問入浴介護
・訪問看護
・訪問リハビリテーション
・夜間対応型訪問介護
・居宅療養管理指導
・定期巡回・随時対応型訪問介護看護
【通所サービス】
・通所介護(デイサービス)
・通所リハビリテーション(デイケア)
・認知症対応型通所介護(認知症デイサービス)
・地域密着型通所介護
・療養通所介護
【短期入所サービス】
・短期入所生活介護(ショートステイ)
・短期入所療養介護(医療型ショートステイ)
【訪問・通所・短期入所を組み合わせたサービス】
・小規模多機能型居宅介護
・看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)
【施設入居サービス】
・特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)
・介護老人保健施設(老健)
・介護療養型医療施設
・特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム、軽費老人ホームなど)
・介護医療院
【小規模施設入居サービス】
・認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
・地域密着型特定施設入所者生活介護
福祉用具
・福祉用具貸与
・特定福祉用具販売
要介護4と5で利用できる施設の違い
※画像はイメージです
要介護4と5では利用できる施設に違いはありません。
しかし、実際に利用する施設の種類には、違いがあります。
では、要介護4と5の人で、なぜ利用する施設に違いがあるのでしょうか?
介護度4と5の利用している施設の種類の違いについてご紹介します。
介護施設について詳しく知りたい方は下記の記事を参考にしてください。
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要介護4
要介護4では受けられる介護保険サービスに制限がないため、すべての施設が利用できます。
しかし、要介護4に認定された方の利用割合が最も多いのは、特別養護老人ホームです。
特別養護老人ホーム(特養)は、費用を抑え、質の良いサービスを受けられる入居施設です。
ただ特養は人気があり、入居待ちになってしまうことも多いようです。
次に、要介護4の方の利用割合が多い施設は、介護療養型医療施設です。
要介護4の方の多くは医療依存度が高い傾向にあります。
そのため、医療を身近で受けられる施設の利用割合が高くなります。
しかし、介護療養型医療施設は2017年の法改正により廃止となりました。
現在は介護医療院などへの転換が進められています。
要介護5
要介護5の認定を受けた方は、すべての施設を利用できます。
要介護5は、在宅での介護負担が大きくなってきます。
そのため、他の介護度と比べ、施設入居を検討する方も多くなります。
要介護5の方の利用が、最も利用する割合が多い施設は介護療養型医療施設です。
要介護5では、ほとんどの方が医療的なケアを必要とします。
そのため、すぐに医療的処置を提供できる介護療養型医療施設が選ばれます。
しかし、介護療養型医療施設は2017年の法改正で廃止が決まっています。
今後は、介護老人保健施設や介護医療院への移行が進んでいくこととなります。
介護保険サービスを利用している方、またはこれから利用しようと思っている方々は、「日常生活自立度」という言葉を聞いたことがありますか?日常生活自立度は要介護認定を受ける際、参考にされる評価尺度であり、関係する書類でよく記載されています。[…]
要介護4と5の給付金限度額の違い
※画像はイメージです
給付金限度額とは、月々利用できる介護サービス費用の上限額を指します。
給付金限度額は、介護度と収入に応じて負担割合が決まります。
利用者は、1割〜3割の負担で介護保険サービスを利用できることになります。
そこで、要介護4と5の給付金限度額の違いをご紹介します。
介護費用について詳しく知りたい方は下記の記事を参考にしてください。
介護施設への入所は、それなりの費用がかかります。満足のいくサービスを受けるためにも、介護施設ごとの特徴やサービス、費用を比較したうえで、入所先を決めましょう。本記事では、介護施設の費用やサービスについて以下の点を中心に解説します[…]
要介護4
要介護4で1カ月に支給される給付金の上限額は30万9,380円です。
このうち利用者の自己負担額は1〜3割となります。
また、給付金限度額を超えたサービスは利用者が全額を負担することになります。
しかし、低所得の方や、月々の医療費が高額になる方は、介護保険から超過分が保障される制度もあります。
要介護5
要介護5で1カ月に支給される給付金の上限額は36万650円です。
要介護の中で最も高い額となります。
この限度額のうち、利用者の自己負担額は1割〜3割とされています。
また、給付金限度額を超えたサービスは利用者が全額負担することになります。
しかし、低所得の方や、高度医療を必要とし、月々の医療費が高額になる方は、超過分が保障される制度もあります。
介護度別認定者数の推移
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近年の日本は、少子高齢化が問題視されています。
近年、要介護の認定を受けた人の数はどのように推移しているのでしょうか。
厚生労働省の調査によると、要介護・要支援認定者数は平成27年4月で608万人です。
平成13年4月からの15年間で約2.79倍になっています。
今後、高齢化が進むにつれ、要介護・要支援認定者数は増えていくと予想されています。
また、特に要介護4の認定者数は年々増える傾向にあります。
今後の介護ヘルパー不足も問題にあげられています。
出典:厚生労働省老人保健課【要介護認定の仕組みと手順】
要介護4と5の違いのまとめ
今回は、要介護4と要介護5の違いについてご紹介しました。
要介護4と5の違いについての要点を以下にまとめます。
- 要介護4と5では、要介護認定等基準時間の違いが判定の基準となる
- 受けられる介護サービス・利用できる介護施設に違いはない
- 要介護4は特養の利用者が多く、要介護5は介護療養型医療施の利用者が多い
- 給付金限度額の上限は、最大約6万円違う
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。