介護施設への入居を考える方の中には、高齢で糖尿病を患っている方やその家族の方がいます。
糖尿病を患っていても介護施設に入居し、治療できるでしょうか。
本記事では、介護施設での糖尿病の治療について以下の点を中心にご紹介します。
- 介護施設での糖尿病の治療の可否について
- 糖尿病の方の介護施設の選び方について
- 糖尿病の予防方法について
介護施設での糖尿病治療について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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糖尿病の人は介護施設で治療を受けられる?
糖尿病の人でも、介護施設で治療を受けることは可能です。
介護施設で受けられる糖尿病治療は、インスリン注射治療になります。
インスリン注射は、血糖値をコントロールし、糖尿病による合併症を防ぐ治療です。
インスリン注射は、糖尿病患者に対して行われる医療行為にあたります。
そのため、介護職員が行うのは、禁止されています。
しかし、インスリン注射は、医師もしくは看護師、医師の指導を受けた患者自身、家族による接種は認められています。
そのため介護施設に入居することで、家族の援助が受けられない場合でも、高齢の糖尿病の方がインスリン治療を継続できるのです。
また、医師の指示を受けた介護施設のスタッフが、薬を本人の代わりに薬局へ取りに行くことも、薬剤師が届けることも行われています。
かかりつけ医の処方薬も、外出することなく介護施設で受け取れるので安心です。
糖尿病と認知症の関係について知りたい方は下記の記事を参考にしてください。
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糖尿病の人の介護施設の選び方
糖尿病の方が、介護施設を選ぶときの大事なポイントがあります。
糖尿病の方が介護施設を選ぶとき踏まえるべき大事なポイントについて、3つご紹介します。
- 看護職員の常駐の有無
- 対応の可能な勤務時間
- 生活面のサポート
看護師は常勤しているか
自分でインスリン注射ができない方が介護施設を選ぶ場合は、24時間看護職員が配置されている介護施設を選ぶのが基本です。
介護施設によって医師や看護職員の配置や勤務体制は異なります。
入居を検討する際は、必要な治療に適しているか施設側によく確認しましょう。
介護施設の種別に応じた医師や看護職員の配置は以下のようになります。
介護施設の種類 | 看護職員の勤務体制 |
特別養護老人ホーム(特養) | 看護職員配置 夜間はオンコール対応 |
介護老人保健施設(老健) | 看護職員配置(夜勤あり) 医師(日中常駐) |
住宅型有料老人ホーム | 法的人員基準なし |
介護付き有料老人ホーム | 看護職員配置 (24時間体制は施設により異なる) |
サービス付き高齢者向け住宅 | 法的人員基準なし |
介護施設の種別に応じた看護職員の配置基準が決められています。
実際は配置基準を上回るところもありますが、実情を入居時に確認することも必要でしょう。
勤務時間は治療に対応可能か
インスリン注射は症状により回数や時間が決められています。
看護職員の勤務体制が、インスリン注射の治療に適合しているか確認するとよいでしょう。
- 1日2~3回のインスリン注射が必要な方は、看護職員が日中勤務しているか、もしくは24時間体制で勤務しているか
- 1日4回注射の方は、看護職員が24時間常駐しているか
特別養護老人ホームでは、看護職員の夜間対応はオンコールになります。
介護老人保健施設の場合は、日中は医師と看護職員の2人体制、夜間は看護職員が夜勤体制をとります。
自分の糖尿病の症状と介護施設の看護職員の勤務形態があっているかの確認が大切です。
食事など生活面でもサポートしてくれるか
継続的なインスリン注射治療のほかに、食事療法、運動療法等による生活面のサポートが充実しているかどうかも大事なポイントです。
糖質制限食やカロリー制限食の対応ができているか、適切な運動療法を取り入れられているかも確認する必要があります。
糖尿病患者はうつ病になりやすいとも言われています。
インスリン注射治療のストレスは、糖尿病患者の方にとって決して少なくありません。
体の不調や心の不調を見逃さない、施設スタッフの日常的な見守り対応も大事なポイントになります。
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糖尿病の予防方法は?
糖尿病は生活習慣病が主な原因で発症する病気です。
従って、糖尿病予防の最も大切なことは、食生活と運動の生活習慣の見直しです。
予防に適した食事と運動についてご紹介します。
食事について
糖尿病予防のための、食事の見直しポイントを以下にご紹介します。
- 糖質を現状より控える(例えば、目標低減率を決め、ご飯の量を今より減らす、炭水化物を重ねて食べないなど)
- 血糖値の上昇を穏やかにする食物繊維(野菜や海藻など)の積極的摂取
- お菓子類は低糖質のものにする(ナッツ類など)
- 飲み物は無糖飲料にする(緑茶、麦茶、水など)
- 無塩のトマトジュース、コーヒーも効果あり
運動について
糖尿病を改善させる運動には、以下の2種類の運動を併用させるのが効果的とされています。
- 有酸素運動(週3~5回、各20~60分、週合計150分以上の実施)
ウォーキング(速歩)・ジョギング・水泳・自転車などのできるだけ大きな筋を使用する全身運動
- レジスタンス運動(週2~3回)
腹筋、ダンベル、腕立て伏せ、スクワットなどのおもりや抵抗負荷に対して行う運動
運動実施のタイミングは、食事の1〜2時間後が推奨されます。
糖尿病とアルツハイマー病について知りたい方は下記の記事を参考にしてください。
介護と糖尿病の関係性
日本では、高齢糖尿病患者数の著しい増加がみられます。
加えて、全体の糖尿病患者数に対する高齢者糖尿病患者数の比率も著しい増加となっています。
増加の原因は、高齢化の急速な進行によるものです。
高齢糖尿病患者の増加は、自己管理能力の低下した糖尿病患者の増加に繋がっています。
介護施設は、家族の支援も受けられない高齢糖尿病患者の受け入れ先となります。
介護施設における、高齢糖尿病患者の治療について以下のような課題が議論されています。
- 看護職員の不足を要因とする受け入れ可能な介護施設の不足
- インスリン注射のための看護職員の配置と勤務形態
- 訪問看護利用制限の緩和
- 介護職員によるインスリン注射の許容や関与
- 介護施設でのインスリン療法の再検討
今後さらに、自己管理能力の低下した高齢糖尿病患者が増えていくことは確実です。
介護施設が、高齢糖尿病患者を受け入れる体制をより整える必要性が高まっていくでしょう。
体制を整えるための、検討課題は以下のようなものがあります。
- 介護施設の看護職員体制の整備(看護職員配置基準の見直し、看護体制加算、訪問看護職員の増員)
- 介護職員のインスリン注射、血糖値測定への関与許容
介護施設での糖尿病治療まとめ
ここまで、介護施設での糖尿病の治療や施設の選び方の情報を中心にお伝えしました。
要点を以下にまとめます。
- 介護施設に入居し、生活しながら糖尿病の治療を継続することは可能
- 介護施設の選定にあたっては、施設の看護職員の配置や勤務形態、治療が入居者の糖尿病の病状に適した施設か確認すること
- 最も大事な糖尿病予防は、食事と運動の生活習慣の見直し
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。