介護施設への入所を検討している方の中には、病気や嚥下機能の低下により、口からの食事が難しく「中心静脈栄養」を受けている方もいらっしゃいます。
専門的な医療ケアが必要となるため、「施設に入所できるのだろうか?」「どのような施設を選べば安心なのか?」と不安に感じるご家族も多いでしょう。
本記事では、中心静脈栄養の基礎知識やメリット・デメリットをはじめ、対応可能な介護施設の種類、入居条件、施設選びの注意点について詳しく解説します。
ご家族に最適な施設探しの参考としてお役立てください。
関連記事:介護施設の種類と選び方!それぞれの特徴や入居基準まとめ
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中心静脈栄養(TPN・IVH)とは?
中心静脈栄養とは、心臓に近い太い静脈(中心静脈)にカテーテルという細い管を留置し、そこから24時間体制(または間欠的)で高カロリーの栄養剤や水分、薬剤を点滴する医療処置です。
「TPN」や「IVH」とも呼ばれます。
主に、胃腸の機能が低下している方や、誤嚥(ごえん)のリスクが高く経口摂取(口から食べること)や胃ろうなどの経腸栄養が困難な方に選択されます。

中心静脈栄養の5つのメリット
- 高カロリー輸液を安全に投与できる: 太い血管で血液量が多いため、濃度の高い栄養剤を入れても血管炎を起こすリスクが低く、十分な栄養を補給できること
- 毎回の針刺しの苦痛がない: 一度カテーテルを留置すれば、毎回の点滴で腕に針を刺す痛みから解放されること(CVポートの場合は穿刺が必要ですが痛みは少なめです)
- 長期間の使用が可能: 感染や事故抜去(自分で抜いてしまうこと)に気をつければ、数ヶ月から数年単位で長期間使用できること
- 在宅での実施が可能: 家族が管理方法を学べば、退院して自宅で過ごすことも可能であること
- 入浴や外出ができる: 挿入部を防水フィルムで保護するなどの適切な処置をすれば、入浴や外出も可能であること
中心静脈栄養のデメリット・リスク
- カテーテル留置のための処置・手術が必要: 最初の挿入時に外科的な処置を伴うこと
- 感染症・合併症のリスク: カテーテル挿入部からの細菌感染や、血栓症などの合併症リスクが常に伴うため、厳密な衛生管理が必要であること
- 消化管機能の低下: 胃や腸を使わないため、機能が低下しやすくなること。可能であれば、経口摂取や胃ろうへの移行が推奨されます。
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カテーテルの主な3つの種類
中心静脈栄養に用いられるカテーテルには、主に以下の3種類があります。
- CVカテーテル(体外式カテーテル): 首や鎖骨下、太ももの付け根から挿入し、管の一部が体外に出ている最も一般的なタイプ
- PICC(末梢挿入型中心静脈カテーテル): 腕(上腕)の静脈から挿入して中心静脈まで進めるタイプ。CVカテーテルよりも感染リスクが低いとされていること
- CVポート(皮下埋め込み型カテーテル): 胸の皮膚の下に「ポート」と呼ばれる小さな円盤状の器具を埋め込み、そこに専用の針を刺して点滴を行うタイプ。外から管が見えず、お風呂にも入りやすいため感染リスクが最も低いタイプ
中心静脈栄養の方が入居できる介護施設とは?
中心静脈栄養は、輸液バッグの交換やカテーテルの厳密な管理が必要なため、「看護師でなければ行えない医療行為」に該当します(研修を受けた介護職員でも実施できません)。
そのため、入居できる介護施設は「看護師が24時間常駐している、または夜間でも迅速な医療対応が可能な施設」に限られます。
主な受け入れ可能な施設
- 介護医療院: 長期療養を目的とした公的施設で、医師・看護師が手厚く配置されており、中心静脈栄養にも対応可能であること
- 介護老人保健施設(老健): 医師や看護師が常駐し医療ケアが充実していますが、本来は在宅復帰を目的とするため、長期間の入所は難しい場合があること
- 介護付き有料老人ホーム(一部): 「24時間看護師常駐」を掲げている民間施設であれば、中心静脈栄養の方の受け入れが可能であること
- 特別養護老人ホーム(特養): 看護師の夜間配置義務がないため、原則として受け入れは困難ですが、配置体制によっては可能な場合もあるため個別確認が必要であること
関連記事:介護施設の人員配置基準とは?施設ごとの要件や職員の割合を解説
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施設への入居条件と選ぶ際の注意点
施設側が「中心静脈栄養対応可」としていても、必ずしも全員が受け入れられるわけではありません。以下の条件や注意点を確認しましょう。
1. CVポート造設が条件となるケースが多い
体外に管が出ている「CVカテーテル」は感染や自己抜去のリスクが高いため、安全性の高い「CVポート」を造設していること(または変更すること)を入居条件とする施設が多くあります。
2. 認知症による「自己抜去」のリスク
認知症などにより、自分でカテーテルを引き抜いてしまう(自己抜去)恐れがある方は、重大な事故につながるため入居を断られる可能性が高くなります。
3. 看護師の24時間体制と熟練度の確認
感染症や血栓などのトラブルに24時間対応できるよう、必ず「夜間も看護師が常駐しているか」を確認してください。
また、施設の看護師や提携医が中心静脈栄養の管理に慣れているかも重要なポイントです。
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まとめ:中心静脈栄養の方の施設探し
本記事では、中心静脈栄養の方の介護施設への入居について解説しました。要点は以下の通りです。
- 中心静脈栄養(IVH/TPN)は、太い静脈から高カロリーの栄養を点滴する医療処置であること
- 点滴の管理は看護師しか行えないため、受け入れ先は「24時間看護師が常駐する施設」などに限られること
- 安全性の観点から「CVポート」の造設が条件となる施設が多いこと
- 認知症による自己抜去のリスクがある場合は入居が困難になりやすいこと
中心静脈栄養の方の施設探しは、一般的な介護施設探しよりも選択肢が絞られます。
医療ソーシャルワーカーやケアマネジャーと相談し、医療体制が万全な施設を慎重に選びましょう。


