高齢化が進む日本では、「要介護認定」に関する理解の重要性が増しています。
要介護度に対する理解は、認定後の生活への不安を減らしてくれます。
要介護2と認定された場合には、一人暮らしは可能なのでしょうか?
本記事では、「要介護2で一人暮らしは可能か」について以下の点を中心にご紹介します。
- 要介護2でも一人暮らしは可能か
- 要介護2で利用できる居宅介護サービス
- 要介護2の方向けの施設
要介護2で一人暮らしは可能かということについて理解するためにも、ご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
介護保険サービスを利用している方、またはこれから利用しようと思っている方々は、「日常生活自立度」という言葉を聞いたことがありますか?日常生活自立度は要介護認定を受ける際、参考にされる評価尺度であり、関係する書類でよく記載されています。[…]
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要介護認定における要介護2とは
要介護認定では、介護の必要性に応じて「要支援1〜2」や「要介護1〜5」の7段階で判定されます。
要介護2は、要介護認定において要介護1の次に軽い判定です。
日常生活のなかで一部介護を必要としますが、ご自身でできることもあります。
排泄や入浴などの日常的な介護を必要とし、転倒の危険性が高まるケースが多いとされています。
要介護1・要介護3との違い
要介護1は、基本的な日常生活動作のサポートはあまり必要としません。
要介護3は、着替えなど日常的な動作が困難となり、全般に介助が必要となります。
要介護度・要支援度の判定方法
「要介護認定等基準時間」は、日常的な介助や歩行などの介護にかかる時間の度合いを要介護認定の基準にしたものです。
この「要介護認定等基準時間」によって、要介護度や要支援度が判定されます。
要介護2の場合では、要介護認定等基準時間が50分以上70分未満とされています。
要介護2の状態について詳しく知りたい方はこちらの記事も合わせてお読みください。
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要介護2でも一人暮らしは可能か
「要介護2と認定された場合、一人暮らしを続けられないのだろうか」という疑問を抱く方は多いのではないでしょうか。
要介護2と認定された場合でも一人暮らしで生活することは可能です。
しかし、要介護度はご本人の身体的な状況のみで判断されるわけではないため、認定されたすべての方が「一人暮らしが可能である」とはいえません。
また、一人暮らしが可能でも、要介護状態ということを忘れてはいけません。
訪問型やセンサー型などの「見守りサービス」を利用して、生活することがおすすめです。
一人暮らしをしたいけど、「生活が心配」と不安に思う方は少なくないでしょう。
要介護2の場合、一人暮らしで生活される方ばかりではありません。
要介護2と認定された方全体の11.1%は、施設サービスを利用しています。
一人暮らし以外の生活を選択している方もいらっしゃいます。
出典:内閣府【平成28年版高齢社会白書(全体版)】
高齢化が進み、要介護者の増加や介護期間の長期化などがみられるようになりました。また、老老介護という言葉もあるように介護する家族も高齢化しています。そういった現状を踏まえ、介護の負担を減らすために作られた制度が介護保険です。[…]
要介護2で利用できる居宅介護サービス
要介護2で利用できる居宅介護サービスには、いくつかの種類があります。
居宅介護サービスとは、どのようなサービスなのでしょうか。
訪問サービス
訪問サービスでは、介護職員や看護師などが自宅を訪問し、生活支援やケアを受けられます。
訪問サービスには、以下の種類があります。
- 訪問介護
- 訪問看護
- 訪問リハビリテーション
など
通所サービス
通所サービスは、病院や介護施設で日帰りで受けられるサービスです。
通所サービスでは、施設へ送迎してくれる施設が多いとされています。
以下に、通所サービスの内容をご紹介します。
- 通所介護(デイサービス)
- 通所リハビリテーション(デイケア)
など
短期入所サービス
短期入所サービスでは、介護施設などに一時的に入所します。
そして食事や入浴などの支援やリハビリテーションを受けられます。
短期入所サービスの利用期間は、数日から最大30日までとされています。
短期入所生活介護(ショートステイ)などが、短期入所サービスに当てはまります。
訪問・通所・短期入所を組み合わせたサービス
訪問や通所、短期入所を組み合わせた複合的な「小規模多機能型居宅介護」というサービスも存在します。
利用者は、生活上のニーズに合ったサービスを利用できます。
「看護小規模多機能型居宅介護」では、看護師による医療的なケアを受けられます。
要介護2の方向けの公的施設
要介護2と認定され、一人暮らしが困難になった場合にはどのような公的施設を利用できるのでしょうか。
以下に、要介護2の方向けの公的施設についてご紹介します。
ケアハウス
ケアハウスとは、軽費老人ホームの一種であり、費用が安価となっています。
しかし、ご自身で身辺動作を行ってもらう必要があります。
介護医療院
介護医療院では、医療的なケアが必要な方が対象です。
介護医療院は、新しい分類の施設なので数は少ないです。
さらに、入居までの待機期間が長いとされています。
介護老人保健施設(老健)
介護老人保健施設は、自宅復帰のためのリハビリテーションを受ける目的で利用できます。
3〜6か月程度の入所制限があり、自宅へ復帰できる状態と判断された場合に、施設からの退所を促されます。
要介護2の方向けの民間施設
ここまで、要介護2の方向けの居宅サービスや公的施設について、ご紹介してきました。
次に、一人暮らしが困難になった場合に利用できる民間施設について解説します。
介護付き有料老人ホーム
介護付き有料老人ホームは、民間施設の中で最も介護が手厚いとされています。
介護付き有料老人ホームは、「特定施設入居者生活介護」に指定されています。
介護職員による24時間体制で介護を受けられます。
介護付き有料老人ホームの介護サービスにかかる費用は、要介護度に応じた料金となっています。
グループホーム
グループホームとは、認知症と診断されている方が共同で生活するための施設です。
グループホームは、「共同生活の場」という意味合いが強いです。
従って、介護や医療的なケアが不十分となる可能性があります。
住宅型有料老人ホーム
住宅型有料老人ホームには、介護サービスが含まれていない場合がほとんどです。
介護が必要な場合には、外部の介護サービスとの契約が必要となります。
住宅型有料老人ホームの懸念点は、介護の必要性が高まると同時に利用料金が高額になってしまうことです。
サービス付き高齢者向け住宅
サービス付き高齢者向け住宅とは、バリアフリー対応の賃貸住宅です。
居住者はさまざまな生活支援サービスを受けられます。
サービス付き高齢者向け住宅において介護が必要な場合は、外部のサービスを利用します。
要介護2の介護保険の利用限度額
要介護2の区分支給限度基準額は「1万9,705単位」とされています。
1単位あたり10円で計算すると、「19万7,050円」となります。
お住まいの地域や利用するサービスによって、実際の金額が変動します。
これらの数値は、あくまでも参考としてください。
出典:厚生労働省【2019年度介護報酬改定について】
要介護2で利用できる福祉用具・レンタル用具
要介護2で利用できる福祉用具には、どのようなものがあるのでしょうか。
以下に、具体的な福祉用具についてまとめました。
【要介護1までで貸与が可能なもの】
- 手すり
- スロープ
- 歩行器や歩行補助杖
- 自動排泄処理装置 など
【要介護2から貸与が可能なもの】
- 車椅子(付属品も含む)
- 床ずれ防止用具
- 認知症老人徘徊感知器
- 移動用リフト など
要介護度が1つ違うだけでも、利用できる福祉用具に大きな違いがあるといえます。
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要介護2は障害者控除が利用できる?
障害者控除を利用したい場合は、市町村長などの障害者認定を受ける必要があります。
要介護認定では障害者控除の対象にならないので注意が必要です。
市町村長などの障害者認定については、お住まいの市区町村の窓口にお聞きください。
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要介護2という介護認定は妥当か
介護認定には、一定の基準が存在しています。
要介護2という判定に対して、再評価が必要な場合も存在するといえるでしょう。
要介護度の高さと病気の重症度が一致しない場合が、これに当てはまります。
身体の状況が良好で認知症を発症した場合、徘徊などの行動に介護を要する時間が増えることがあります。
一方、寝たきりの方に認知症が発症した場合、徘徊などの行動は発生しにくいといえます。
つまり、身体の状況が良好な場合と比較して、寝たきりの場合には介護の総量は大きく増えることはありません。
介護認定に関しては、介護サービスの量に直結します。
再評価が必要な場合は、介護認定のやり直しについても再考すると良いでしょう。
出典:厚生労働省【要介護認定はどのように行われるか】
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要介護2の一人暮らしまとめ
「要介護2で一人暮らしは可能か」の内容を中心にご紹介しました。
- 要介護2でも介護サービスを利用すれば、一人暮らしは可能である
- 居宅介護サービスには、訪問サービスや通所サービスなどがある
- 要介護2の方向けの施設には、ケアハウスや住宅型有料老人ホームなどがある
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。