介護保険の給付制度には3つの種類があります。
「介護給付」「予防給付」「市町村特別給付」です。
介護給付や予防給付のことはなんとなくわかっても、「市町村特別給付」は聞き馴染みがないという方も多いのではないでしょうか?
本記事では市町村特別給付について以下の点を中心にお伝えします。
- 市町村特別給付の制度の内容は
- 市町村特別給付を利用したいときは
- 市町村特別給付の対象者は
- 市町村特別給付の注意点は
市町村特別給付について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
スポンサーリンク
市町村特別給付とは
市町村特別給付とは要介護者や要支援者を対象に、市町村が行っている給付制度のことです。
介護保険法で定められた介護給付や予防給付以外のサービスを、市町村ごとに独自で行っているのが特徴です。
市町村によってサービス内容は異なりますが、サービス例としては「配食サービス」や「紙おむつの支給」などがあります。
市町村特別給付を利用するには、お住まいの市町村への申請が必要となります。
申請すると、サービスに支払った9割(介護負担割合証に記載してある割合)の支給が受けられます。
ただし上限があるので、事前に市町村へ確認をしましょう。
市町村特別給付の仕組み
市町村特別給付は、国全体では見切れないそれぞれの市町村の現状に合わせた支援を目的としています。
そのため介護給付や予防給付のように、国や都道府県、市町村からの公費負担はありません。
財源となっているのは、市町村の第一被保険者の保険料です。
また介護保険法で定められた介護給付や予防給付とは別のサービスを、市町村独自で提供していることから「横出しサービス」とも呼ばれています。
市町村特別給付の主な内容
ここでは、全国にある市町村特別給付のサービスをいくつかご紹介します。
- 配食サービス
- 紙おむつの支給
- 通所入浴サービス
- 寝具乾燥サービス
- ケーブルカーの利用
- 移送サービス
- 認知症訪問支援サービス
市町村特別給付のサービス内容は、自治体によって異なります。
お住まいの市町村特別給付のサービス内容を確認したい場合は、市町村に問い合わせすることをおすすめします。
出典:厚生労働省【「在宅サービス充実のための施策」事例紹介】
スポンサーリンク
市町村特別給付を利用するには
市町村特別給付の申請に必要なものは、自治体やサービス事業によって異なります。
申請時に必要となる代表的なものを、以下にまとめました。
申請に必要なもの
- サービスの利用に関わる申請書
- 介護保険被保険者証
- 申請者の本人確認書類
- 印鑑(朱肉を使用するもの)
上記の他にも「地域支援事業・在宅福祉サービス調査票」や「医師の診断書」など、特別な書類が必要になる場合もあります。
出典:福岡市【おむつサービス】
申請前に必ず確認をしましょう。
また申請書は窓口でももらえますが、市町村のホームページからダウンロードできるものもあります。
スムーズな申請を行うために、ホームページを利用するのもおすすめです。
申請の流れ
申請は市町村の窓口や郵送にて行います。
必要書類を用意し、申請を行いましょう。
申請ができるのは本人または家族、成年後見人、ケアマネージャーなどです。
給付の有効期限
市町村特別給付には有効期限があります。
自治体によって異なりますが、多くの場合毎月ごとの申請が必要となります。
毎月サービスを利用する場合は忘れずに申請しましょう。
近年、サルコペニアという疾患の認識が広まりつつあります。サルコペニアは老化現象の1種で、進行すると歩行困難や寝たきりに発展します。老化自体は避けられないものの、サルコペニアの予防で健康寿命を延ばすことは可能です。それではサル[…]
市町村特別給付の対象者
市町村特別給付は、要介護者なら全ての方が受けられるといったものではありません。
ここでは、例として東京都青梅市の対象者の条件をまとめました。
対象者の条件
- 青梅市御岳山に住所を有し、住宅で生活している者であること
- 要支援1もしくは要支援2、または要介護1から5までのいずれかの認定を受けている者であるもの
- 市が行う介護保険の被保険者であること
- 介護保険料の滞納がないこと
出典:青梅市【市町村特別給付】
対象者の具体例
つまり青梅市御岳山の市町村特別給付の対象者は、自宅で暮らす要支援1〜2、要介護1〜5の高齢者となります。
上記の青梅市の例では「自宅で暮らす要支援1〜2、要介護1〜5の高齢者」と幅広く設定がされています。
しかし自治体やサービスによっては、支給対象者が限定されている場合も多いです。
以下の4つは、それぞれ別の市町村の「紙おむつの支給」に対しての対象条件です。
- 要介護3〜5の方
- 要介護4〜5の方
- 生活保護を受給していない方
- 市民税非課税世帯・生活保護世帯の方
このように全く同じサービスでも、自治体によって対象条件が大きく変わります。
間違いのないよう、必ずお住まいの市町村に確認して申請を行いましょう。
市町村特別給付の注意点
市町村特別給付には1つ注意点があります。
それは、それぞれのサービスに限度額が設けられていることです。
いくら使っても9割給付されるといったものではありません。
また自治体や介護度によっても限度額は異なります。
しっかり確認してから利用しましょう。
1人当たりのサービス費用額
厚生労働省のデータによると、介護保険受給者の1人当たりのサービス費用額は年々増加しています。
自分または家族に該当する制度を、知っているか知らないかで家計の負担は大きく変わります。
例えば毎月おむつを購入している場合、申請をせずに購入するとその費用は全額自己負担となります。
しかし市町村特別給付を利用することで、家計の負担を軽減させることができます。
毎月必ず出る出費の一部が給付されるのであれば、市町村特別給付を利用しない手はありません。
お住まいの市町村に問い合わせをし、該当する市町村特別給付がある場合は忘れずに申請しましょう。
市町村特別給付まとめ
ここまで市町村特別給付についてお伝えしてきました。
市町村特別給付の要点をまとめると以下の通りです。
- 市町村特別給付の制度の内容は、要介護者や要支援者を対象に市町村が独自に行っている給付制度
- 市町村特別給付を利用したいときは必要書類を確認・用意し、市町村へ申請をする
- 市町村特別給付の対象者は、市町村が定める条件に合った要支援者や要介護者
- 市町村特別給付の注意点は、それぞれのサービスに限度額が設けられていること
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。