高齢化が進む中、介護を必要とする人は増加を続けています。
家族に介護の心配が出てきたら、介護保険によるサービスを利用して、不安なく生活を送りたいですよね。
介護サービスを利用する際、「介護度」の判定を受ける必要があることを知っていますか?
本記事では、介護度について以下の点を中心にご紹介します。
- 介護度とはどのようなものなのか
- 各介護度にはどのような人が該当するのか
- 介護度の判定を受ける方法
介護度について理解するためにも、ご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
介護保険サービスを利用している方、またはこれから利用しようと思っている方々は、「日常生活自立度」という言葉を聞いたことがありますか?日常生活自立度は要介護認定を受ける際、参考にされる評価尺度であり、関係する書類でよく記載されています。[…]
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介護度とは
介護度とは、本人にどの程度の量の介護が必要かを判定し、区分けしたものです。
お住まいの自治体から介護認定を受けることにより決定します。
介護度の目的
介護度は、正式には要介護認定・要支援認定と言います。
介護保険によるサービスは、好きなだけ利用できるわけではありません。
本人の状態に応じた支給限度額や内容が定められています。
介護が必要な状態であることや支給限度額を、客観的な指標を用いて判断することを目的としています。
例えば、老人保健施設や特別養護老人ホームなどの入所施設を利用する場合には、一定以上の介護度が必要です。
介護度の区分
介護度は、
- 要支援1、2
- 要介護1〜5
の7区分に分けられています。
本人の身体や認知機能の状態を考慮し、介護の必要度合に応じて分類されます。
介護度には有効期限が設けられており、1〜4年ごとに更新する必要があります。
また、本人の状態の変化があった場合もその都度見直しできます。
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介護度の内容
介護度は要支援1〜2 要介護1〜5があることをお伝えしました。
各段階にはどのような状態の人が該当するのか、おおよその基準が設けられています。
それぞれの介護度がどのような状態か、ご説明します。
要支援区分
基本的には1人で生活できるが、部分的な介助が必要な状態の方が該当する区分です。
要支援区分は、要支援1、要支援2に分けられます。
利用できるサービスは
- 要介護状態になることを予防する「介護予防サービス」
- 市区町村が主体になって実施する「総合事業」
などのサービスを利用できます。
要支援1
要支援1とは
- 食事
- 排せつ
- 入浴
などの基本的な身の回りのことは1人でできる。
しかし
- 買い物や金銭管理
- 内服の管理
- 掃除などの少し複雑な動作(手段的日常生活動作)
などの一部は見守りや介助が必要な状態です。
要支援2
要支援1の状態に加えて、
- 下肢筋力の低下が進み歩行状態が不安定
- 歩行時には杖や歩行器が必要な状態
の方が対象です。
食事や排せつなどに、一部手助けが必要な方も該当する場合があります。
要介護区分
運動機能の低下だけでなく、思考力や理解力の低下も見られます。
日常生活を送るためには何らかの支援が必要な状態の方が該当する区分です。
要介護区分は、要介護1〜要介護5の5段階に分けられます。
日常生活を送るために必要な介護を提供する、「介護サービス」を利用できます。
要介護1
手段的日常生活動作のなかでどれか1つ、毎日手助けや見守りが必要な状態です。
日常生活動作においても、歩行や立位保持に不安定さがあり、一部介助が必要な方が該当します。
認知機能の低下も見られ、難しいことや新しいことに対して、混乱や、理解力の低下もあります。
要介護2
身の回りのこと全般に、毎日手助けや見守りが必要な人が対象です。
自力での立ち上がりや歩行が困難で、要介護1の方以上に手助けが必要になります。
入浴や排せつなどの基本的な動作にも、介護が必要になってきます。
日常生活動作が出来ていても、認知症の症状が見られる。
また、生活していく上でトラブルがある人も対象になります。
要介護3
1人での立ち上がりや歩行が困難で、移動時に杖や歩行器、車いすが常に必要な人が対象です。
身の回りのことで、毎日、全面的な介助が必要な状態です。
排せつや入浴に加え、着替えなども介護が必要になります。
全体的な理解力の低下が見られます。
認知機能の低下が生活動作に影響し、問題行動も出始めている状態です。
要介護4
移動には車いすが必要で、常時介護が必要な方が対象です。
生活全般の介護が必要ではあるものの、会話し、意思疎通ができる状態の方が対象です。
認知機能の低下が進み、全体的な理解力の低下が見られ、問題行動が頻繁な方が該当します。
要介護5
ほとんど寝たきりの状態で、自分で食事をとったり、意思疎通できず全面的な介護が必要な状態の方が対象です。
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介護度の申請方法
介護度を決定するには、「要介護認定」を受ける必要があります。
申請の方法や、介護度が決まるまでの流れをご紹介します。
申請方法
要介護認定の申請は、介護を受ける人が居住している市区町村の役所で申請します。
申請の際は、以下の書類が必要です。
準備したうえで相談に行きましょう。
- 要介護認定・要支援認定申請書
- 介護保険被保険者証(65歳以上の方)
- 健康保険の被保険者証(65歳未満の方)
- 身分証明証
- マイナンバーを確認できるもの
- 印鑑
- 主治医の情報が確認できるもの(診察券など)
居住地の地域包括支援センターや居宅介護支援事業所が申請を代行することもできます。電話や自宅への訪問により申請することもできるため、窓口に行くことが難しい方は、相談することをお勧めします。
申請の流れ
介護認定の申請から、認定を受けるまでの流れは以下の通りです。
- 自治体の窓口等で介護認定申請を行う
- 認定調査員(ケアマネージャー等)による認定調査の実施
- 主治医意見書の作成、提出
- コンピューターによる1次判定
- 専門家等による2次判定
- 介護度の通知
介護認定の申請から通知まで30日程度かかります。
地域によってはおおよそ1か月〜2か月程度の時間を要します。
介護サービスの利用を急いでいる場合は配慮が必要です。
ケアマネージャーや地域包括支援センターに相談しましょう。
審査方法
審査は、
- 主治医が作成する「主治医意見書」の記載内容
- 介護認定調査員が訪問し行う「認定調査」
の結果をもとに行います。
訪問調査では、以下の項目を基準にして調査を行います。
身体機能 | 身体の動きや視力・聴力に関すること |
生活機能 | 移動や身の回りのことができるか |
認知機能 | 意思の伝達や短期記憶障がい、徘徊などの認知症に関すること |
精神・行動障害 | 酷いもの忘れや被害妄想、昼夜逆転などの問題行動に関すること |
社会生活への適応 | 薬の管理、買いもの、調理、金銭管理などの活動に関すること |
聞き取りの他、身体機能に関する項目では、実際に動作をしてもらい確認します。
質問された内容以外にも、普段の生活の中で困っていることや気がかりなことがあれば伝えましょう。
また、かかりつけの医師にあらかじめ気になることや困っていることを伝えておくと、主治医意見書作成の際に配慮してもらえる場合があります。
介護度申請の再申請は可能?
介護度申請の再審査を希望する場合があるかと思います。
例えば
- 通知された介護度に納得がいかない場合
- 介護認定の有効期間内に身体状況が変化
など再審査を受けることが可能です。
再審査が必要な場合、変更申請は原則本人、親族が行います。
地域包括支援センターや介護施設などの代行申請も可能です。
介護度審査で気を付けること
介護度には、認定調査(介護度審査)で伝えた情報が大きく影響します。
介護度審査を受ける際に気を付けるポイントについてもご説明します。
普段の介護内容についてメモなどをとり確認しておく
認定調査を受ける際に、普段とは違う状況からいつもよりも頑張ってしまう高齢者は少なくありません。
認知症の方の場合、普段の様子と違ったことを伝える場合なども考えられます。
正確な介護度をつけるためにも、普段の生活の様子を正しく伝えることが大切です。
普段から細かな変化や困っていることなどメモにとっておくとよいです。
日により変化がある場合など細かな情報を伝えると調査員にも伝わりやすいです。
なるべく介護者の同席が望ましい
高齢者本人からだけでは正確な情報が伝わりづらい場合があります。
認定調査の際は、できれば家族も同席し、普段の様子や介護状況を説明しましょう。
本人の前では話しづらい内容に関しては、本人に席を外してもらったり、調査員にメモを渡したりする方法も有効です。
ありのままの状況を伝える
介護認定を受ける際には、実際とは違う情報など不正確な情報を伝えないように注意が必要です。
間違った情報で、本人以外の生活にも影響が出る可能性があります。
例えば必要以上に介護サービスを利用することは、本人に残っている能力を奪うことにもつながります。
自身や家族の為にも、ありのままの状況を伝えることが大切です。
介護度申請者の現状
介護度申請を行い、認定を受けている高齢者は年々増加しています。
介護度の内訳は、軽度の方が多い傾向にあります。
しかし、どの区分も年々増加しており、今後も増加し続けると予測されています。
介護対象にならないための対策状況
介護度の申請方法についてご紹介してきました。
できるなら介護サービスを利用せず、いつまでも元気に過ごしたいですよね。
健康でいるためには、適度な運動と、バランスの取れた食生活が大切です。
運動や食生活の改善は、身体的な病気の予防だけでなく、認知症予防にも効果的だと言われています。
食生活については、若い世代の方が改善に意欲的な方が多いです。
従って、年齢を重ねると改善意欲が薄れてしまう傾向があります。
運動に関しては、運動習慣がある人の割合は、男性で33%、女性で25%です。
定年退職し、自分の時間が増えると運動を始める方は増えます。
しかし、健康な身体を一朝一夕で作ることは大変です。
若い頃の生活の影響が、高齢になって生活習慣病などのかたちで出てくることも少なくありません。
若いうちから、適度な運動を続けることや、バランスの取れた食生活を心がけたいですね。
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介護度まとめ
今回は、介護度について紹介してきました。
介護度についての要点を以下にまとめます。
- 介護度とは介護の必要度合いを表す区分。
- 介護度は7区分に分類されている。
- 介護度が必要な場合には、自治体の窓口で申請する。
これらの情報が少しでも皆様のお役に立ちますと幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。