老人ホームに入居する際は、自宅で使っていた家具や普段使っている日用品を持ち込むことができます。
しかし自宅で使っていたものをすべて持っていくことはできませんよね。
それでは、持っていく家具や日用品はどういった基準で選べば良いのでしょうか?
今回、実際に老人ホームに入居したご家族の経験談にも触れながら、老人ホームに持ち込む家具や日用品についてご紹介します。
- 老人ホームに持ち込むべき家具・日用品
- 老人ホームに持ち込んだけどいらなかった家具・日用品
- 入居時は引越し業者に頼むべき?
後半には、従来型の老人ホームとは違う「個室と共有空間を兼ね備えたユニット型老人ホーム」についても触れています。
ぜひ最後までご覧いただき、老人ホームへ入居する際の参考にしてください。
スポンサーリンク
老人ホームに持ち込むべき家具・日用品
老人ホームに持ち込むべき家具・日用品を以下の2つに分け、リストにまとめました。
- 必ず用意したい家具・日用品
- あると便利な家具・日用品
施設によって必要なもの・不必要なものは異なります。
不必要なものへの手間や出費はなるべく抑えたいですよね。
入居する老人ホームに事前に確認をしてから用意すると安心です。
必ず用意したいもの
- 保険証等(介護保険証・障害者手帳など)
- 診察券
- 歯ブラシ
- 歯磨き粉
- 入れ歯用ケア用品
- ひげ剃り用品
- 洗顔料
- くし
- 爪切り
- シャンプー
- ボディソープ
- トイレットペーパー
- ボックスティッシュ
- 眼鏡(老眼鏡)
- おむつ用品
- 衣類
- 中履き(室内履き)
- タオル類
- 衣類ケース
- シーツ類
あると便利なもの
- 娯楽用品(趣味用品)
- 本・雑誌
- カレンダー
- 化粧水・クリームなどの保湿ケア用品
- 上着
- ストール・膝掛け
- 体温調節用品(レッグウォーマー等)
- テレビ
- 置き時計
- 加湿器
- 食事用エプロン
- 食器、箸など
- ストロー蓋付きのコップ
食器類を持ち込む場合は、落とすリスクを配慮しプラスティック素材にすると安心です。
老人ホームには様々な入居条件や、介護のレベルに応じた適切な施設が決められています。介護が必要だと感じたときに、老人ホームの利用を検討する方は多いと思います。老人ホームは、どのような入居条件や選び方があるのでしょうか。本記事で[…]
スポンサーリンク
老人ホームに持ち込み禁止なもの
老人ホームには持ち込みが禁止されているものもあります。
施設によっても異なるため、詳しくは入居を予定している施設に確認を取るようにしてください。
- 刃物類
- 火気器具
- 車や自転車(施設による)
日本では少子高齢化が社会問題となっており、高齢者の割合が年々増加しています。そんな中、認知症の高齢者を専門にケアする施設も増えてきました。その施設の一つが「グループホーム」です。今回の記事では、「家族が認知症になって自宅で介護を続[…]
持ち込んだけどいらなかったもの
ここでは、実際に老人ホームに入居した家族の「持ち込んだけどいらなかったもの」をご紹介します。
趣味や嗜好、身体の状態などで大きく個人差が出る内容です。
以下の意見を参考にしつつ、利用者本人と相談しながら決めると良いでしょう。
いらなかったもの | 理由 |
テレビ・ラジオ | 「耳が遠くて聞き取れない」と結局使わなかった。 |
携帯電話 | 緊急用に購入したが電源が入っていないことが多く、使用することがほとんどなかった。緊急時は施設のスタッフから伝わるので不要と判断。 |
大量のおしゃれ着・上着 | 頻繁に使わないため最低限で良かった。 |
単行本・小説 | 読書が好きだったため何十冊も持っていったが、徐々に小さい活字を読む根気がなくなり不要に。 |
タンス・机などの家具 | 退去時に大変なので最低限で良かった。 |
入居時は引っ越し業者に頼むべき?
自家用車で家具や家電を持って行ける場合は、特に引越し業者は必要ありません。
ただし「引越しを手伝える家族が近くにいない」「重い荷物がある」など、自力で持っていくことが困難な場合もあります。
そういった場合は無理をせず、引越し業者を頼る方が良いでしょう。
ここからは引越し業者に頼むメリットとデメリットをご紹介します。
引越し業者に頼むメリットは不用品回収サービスを利用できることです。
老人ホームの居室は、住んでいた部屋より小さくなることがほとんどでしょう。
そのため持ち込める家具や家電は限られてきます。
そして、大きい家具など準備の途中で不用品も出てくるでしょう。
その際、引越しと同時に回収してもらえるサービスがあるのは助かります。
また家具・家電の破損や運び入れる時に起こる老人ホーム施設の破損など、運搬時のリスクが減るのも大きなメリットです。
万全の体制で荷物を運んでもらえるのは、引越し業者ならではの安心といえます。
しかし引越し業者は、たくさんあって選ぶのが難しそうですよね。
選ぶ際のポイントは、高齢者向けのプランを用意している引越し業者を選ぶことです。
そういった高齢者向けのプランを活用することで、高齢者にとって大変な引越し作業もスムーズに行うことができます。
高齢者向けプランの内容の例は以下の通りです。
- 必要か不必要かの選別のお手伝い
- 荷物の整理・荷造り・荷解き
- 入居後の荷物の整理
- 退去時の片付けや掃除
- 収納やレイアウトの相談
- 入居スケジュールの調整など
引越し業者によってサービス内容はさまざまです。
自分に合ったプランを提供している引越し業者を選ぶと良いでしょう。
ここまで引越し業者に頼むメリットをお伝えしてきました。
しかし、もちろんデメリットもあります。
それは引越し業者の中には悪質な業者もいるということです。
契約後に高額な請求をしたり、大切なものまで回収したりといった被害報告もあります。
1名でも良いので家族が立ち会えると安心です。
立ち会いが難しい場合は、信用できそうな引越し業者を一緒に探すなどのサポートができると良いでしょう。
では、引越し業者を利用する際の相場はいくらくらいなのでしょうか?
引越し業者の相場は、繁忙期(3月〜4月)であるか通常期(5月〜2月)であるかによって大きく異なります。
地域や引越し業者によっても大きく変わるため、はっきりとした値段をお伝えできません。
気になるプランを提供している引越し業者を見つけたら、直接問い合わせてみると良いでしょう。
また、インターネットにて複数社の見積もりが一括でできるサービスもあります。
そういったサービスを利用し、比較するのもおすすめです。
個室と共用空間を兼ね備えたユニットケア
老人ホームには、個室と共有空間を兼ね備えたユニット型施設が存在します。
従来型の、4人部屋や大人数で食事をする老人ホームのイメージとは異なり、1人1人の生活リズムを尊重したケアを可能としています。
ユニットケアとは
ユニットケアとは、自宅に住んでいた時と同じような生活環境を保ちながら行っていくケアのことです。
自宅では必然的に近所との関わりや地域との関わりをもって生活をします。
自然と、自分だけの空間(自宅)と他者との空間(近所・地域)が混ざった状態で生活しているのです。
その自然な形に少しでも近づけようと提案されたのが、ユニットケアという介護方法です。
自分だけの空間(居室)と、誰でも自由に使える空間(リビングスペース)を併せもった作りになっています。
ユニットケアは10人程度を1ユニットとし、少人数で過ごします。
個々の生活リズムを尊重しながら、顔馴染みの方たちと家庭的な雰囲気で過ごせるのがユニットケアの特徴です。
ユニット型施設は整備が進んでいる
現在ユニット型施設は積極的な整備が進められています。
都道府県は、令和7年度までに地域密着型介護老人福祉施設と介護保険施設の入所定員の合計数のうち、50%以上をユニット型施設にすることを目標として努めています。
ユニット型施設の利用にかかる費用
ユニット型施設(完全個室)の利用にかかる費用は介護度によって変わります。
介護度別の月額利用料を30日計算で以下の表にまとめました。
介護サービス費は1割負担、所得段階は第4段階で計算しています。
また負担限度額は所得段階によって異なります。
あくまでも目安としてください。
要介護1 | 要介護2 | 要介護3 | 要介護4 | 要介護5 | |
居住費 | 6万180円 (2,006円/日) | ||||
食費 | 4万3,350円 (1,445円/日) | ||||
介護(施設)サービス費 | 1万9,140円 (638円/日) | 2万1,150円 (705円/日) | 2万3,340円 (778円/日) | 2万5,380円 (846円/日) | 2万7,390円 (913円/日) |
合計 | 12万2,670円 | 12万4,680円 | 12万6,870円 | 12万8,910円 | 13万0,920円 |
出典:厚生労働省『サービスにかかる利用料』
出典:厚生労働省 社保審-介護給付費分科会『介護老人福祉施設 (特別養護老人ホーム)』
ユニット型施設には興味があるけれど、毎月こんな金額を支払えないという方もいると思います。
そういった方は特定入居者介護サービス費(補足給付)の対象かどうか調べることをおすすめします。
特定入居者介護サービス費とは、介護保険施設に入居している方で、所得・資産が一定以下の場合に適用される制度のことをいいます。
負担限度額を超えた居住費や食費の負担額が介護保険から支給されます。
特定入居者介護サービス費の対象者である場合は、上記の表で示した合計金額よりも毎月の負担額が下がります。
以下の表を参考にしていただき、該当する場合は市区町村へ申請の手続きをすることをおすすめします。
設定区分 | 対象者 | ||
預貯金額(夫婦の場合) | |||
給付対象 | 第1段階 | 生活保護を受給している方等 | 要件なし |
世帯全員が市町村民税非課税で、老齢福祉年金受給者 | 1,000万円(2,000万円) | ||
第2段階 | 世帯全員が市町村民税非課税で、本人の公的年金収入額(※)+その他の合計所得金額が80万円以下 | 650万円(1,650万円) | |
第3段階① | 世帯全員が市町村民税非課税で、本人の公的年金収入額(※)+その他の合計所得金額が80万円~120万円以下 | 550万円(1,550万円) | |
第3段階② | 世帯全員が市町村民税非課税で、本人の公的年金収入額(※)+その他の合計所得金額が120万円超 | 500万円(1,500万円) | |
第4段階 | 市区町村民税課税世帯 |
※非課税年金を含みます。
出典:厚生労働省『サービスにかかる利用料』
特定入居者介護サービス費に該当すると、ユニット型施設の利用にかかる費用は大きく変わってきます。
制度を上手に活用し、環境面でも金銭面でも無理のない穏やかな生活を送りましょう。
老人ホームの持ち込み家具や日用品まとめ
ここまで、老人ホームへの持ち込み家具や日用品を中心にお伝えしてきました。
- 老人ホームに持ち込むべき家具・日用品は、衣類ケースや生活必需品など
- 老人ホームに持ち込んだけどいらなかったものは、ラジオや携帯電話など
- 入居時に引越し業者に頼むべきかどうかは、手伝ってくれる家族の有無や荷物の量で判断
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
老人ホームで、利用者がどのような生活を送っているのか気になりませんか?ご自身やご家族が入居する老人ホームを選ぶ際に、実際に利用されている方がどのように過ごされているのか、事前に把握しておきたいですよね。そこで今回は、老人ホームで[…]