ホーム

認知症を学ぶ

down compression

介護を学ぶ

down compression

専門家から学ぶ

down compression

書籍から学ぶ

down compression

健康を学ぶ

down compression
健達ねっと>介護お役立ち記事>在宅介護>口腔リハビリテーションとは?リハビリが必要な方とやり方を解説

口腔リハビリテーションとは?リハビリが必要な方とやり方を解説

口腔リハビリテーションは、口腔機能の維持や改善を目的としたリハビリです。
口腔リハビリテーションをすることで、誤嚥性肺炎の予防にもつながります。

では、口腔リハビリテーションとはどのようなリハビリなのでしょうか?
また、口腔リハビリテーションを必要とするのはどのような方なのでしょうか?

本記事では、口腔リハビリテーションについて以下の点を中心にご紹介します。

  • 口腔リハビリテーションの役割
  • 口腔リハビリテーションが必要な方とは
  • 口腔リハビリテーションのやり方とは

口腔リハビリテーションについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

口腔リハビリテーションとは

口腔リハビリテーションの目的について、詳しく解説します。
あわせて口腔リハビリテーションの効果についても説明しますので、ぜひご参考ください。

口腔リハビリテーションの目的

口腔リハビリテーションの目的は、免疫力の向上や要介護状態の悪化防止です。
口腔機能の維持や改善を目指し、食べること・会話する楽しみを回復・維持させます。

以下の効果を期待して、口腔機能の維持や改善を図ることもあります。

  • 栄養低下や食に対する意欲低下防止
  • コミュニケーションの困難など日常生活での障害を軽減

口腔リハビリテーションの効果

口腔リハビリテーションの効果は、口腔内を清潔に保つことです。
また、唾液腺を歯ブラシで刺激することで、唾液の分泌を促します。

口腔リハビリテーションをすることで、誤嚥性肺炎の予防にもつながります。
高齢者では、食べ物が誤って気管に入ったり、睡眠中に唾液を誤嚥してしまったりすることがあります。
結果、誤嚥性肺炎を起こすリスクが高くなるのです。
普段から歯磨きやうがいをすることで嚥下反射を促進し、誤嚥の予防につながります。

さらに、口腔体操・嚥下体操をすることで、舌や頬の筋肉を鍛え、飲み込む力を維持できます。

スポンサーリンク

口腔リハビリテーションが必要な方

口腔リハビリテーションを必要とする方は、以下の通りです。

  • 摂食嚥下障害
  • 言語障害
  • 閉塞性睡眠時無呼吸症候群
  • お口の異常習癖

それぞれ具体的にご紹介いたします。

摂食嚥下障害

摂食嚥下は、食べ物が口腔・咽頭・食道を通り胃に到着するまでの過程のことです。
摂食嚥下障害とは、一連の過程のどこかに障害があることをいいます。

摂食嚥下障害には、誤嚥も含まれます。
誤嚥とは食べ物、飲み物の一部または全部が声門以下の気道に入ることです。
食べ物や飲み物以外にも鼻汁や唾液などの分泌物が気道に入り、誤嚥することもあります。

また、胃液などの胃の内容物が食道から咽頭に逆流し、気道に入ることを逆流性の誤嚥といいます。
誤嚥で引き起こされる肺炎が誤嚥性肺炎です。

言語障害

言語障害は以下の2つに分けられます。

  • 構音障害
  • 失語症

構音障害とは、発声発語器官のどこかに異常があるため、正しい発音ができなくなることです。
発声発語器官とは、唇・顎・舌・鼻から喉・気管・気管支から肺までの声を出すための器官のことです。

構音障害の症状には、以下のものがあります。

  • 声が出ない
  • 声は出るがはっきりと発音できない
  • 舌がもつれる、など

通常構音障害は、字を書くことでコミュニケーションがとれます。

失語症とは、大脳にある言語領域に異常が起きたことで言葉が使えなくなることです。
失語症の症状には、以下のものがあります。

  • 言葉が出ない
  • 言い間違いが多い
  • 意味不明なことを話す
  • 話しかけられた内容が理解できない
  • 文字が読めない、書けない
  • 文字は読めても内容が理解できない

話すこと・聞くこと・読み書きの障害が失語症の症状です。

閉塞性睡眠時無呼吸症候群

閉塞性睡眠時無呼吸症候群とは、空気の通り道である上気道に睡眠中に問題が起こることです。
上気道が睡眠中に狭くなったり、完全に閉じてしまったりします。

上気道に問題が起こると酸欠になり、睡眠が分断されてしまいます。
睡眠が分断されると睡眠の質が低下し、さまざまな合併症を引き起こす可能性があります。

お口の異常習癖

お口の異常習癖とは、指しゃぶりや舌癖などのことです。
指しゃぶりや舌癖があると、歯並びや咀嚼・発音・嚥下に悪影響を及ぼす恐れがあります。

症状としては以下のようなものがあります。

  • 指しゃぶりがやめられない
  • いつもお口が開いている、または、お口の周りの動きが悪い
  • いつもお口から舌が出ている
  • 食事中、クチャクチャ音がして食べこぼす
  • 会話中に舌が出る
  • 笑顔が苦手、口角が上がらない
おすすめ記事

自宅での自立した生活を援助することを居宅介護支援と言います。少子高齢化が進む日本で、居宅介護支援は重要な役割を担っています。居宅介護支援事業所とはどのような役割を持つのでしょうか?また、どのようなサービスを提供するのでしょうか?[…]

口腔リハビリテーションのやり方

口腔リハビリテーションの方法には、以下のものがあります。

  • 口と舌の体操
  • 唾液腺マッサージ
  • 発音訓練

それぞれ具体的にご紹介いたします。

口と舌の体操

上手にものを噛むためには、ほおや舌の動きが大切です。
口腔周辺の動きがよくないと、歯があってもうまく噛めません。
そのため、口の中で長くもぐもぐしてしまうのです。

口と舌の体操をすることで、口の動きをしなやかにできます。
具体的には以下の運動が効果的です。

  • 舌を出したり、引っ込めたりする運動
  • ほおを膨らませたり、へこませたりする運動
  • 舌先を左右の口角につける、舌先を唇の上と下につける運動
  • 口の中にスプーンを入れて、ほおの筋肉でスプーンを内側から外側に押し返す運動

また食事前には、首を前後左右に倒すストレッチで緊張をとると舌や喉の動きがなめらかになります。

誤嚥を予防するためには、呼吸のコントロールが大切です。
誤嚥しそうになったときも、むせて吐き出せれば問題ありません。

むせることは、反射的に食べ物を出そうとする防御反応です。
そのため、正しくむせるには、腹に息をため込み、思い切り吐き出す必要があります。
呼吸のコントロールでは、深呼吸とせきの練習が有効です。

深呼吸とせきの練習方法は

  • 1 深呼吸をして、息をとめる
  • 2 「エッヘン」とせきをして、息を吐き出す
  • 3 1、2を何度か繰り返します。

深呼吸とせきの練習をするだけでも、誤嚥を防止するせき込みの練習になります。

唾液腺マッサージ

口の中には、耳下腺・顎下腺・舌下腺といわれる唾液の出やすい箇所があります。
唾液の分泌を促進させるために、唾液腺を刺激することを唾液腺マッサージと呼びます。

唾液腺マッサージの方法は以下の通りです。

【耳下腺マッサージ】

  • 指数本を耳たぶのやや前方、上の奥歯のあたりのほおに当てる
  • 10回ほど円を描くようにマッサージする

【顎下腺マッサージ】

顎下腺は、あごの骨の内側のやわらかい部分です。

  • 1 あごラインの内側のくぼみの部分3〜4か所に指を当てる
  • 2 耳の下からあごの下まで順番に、1か所を5回ほど押す

【舌下腺マッサージ】

舌下腺があるのは、あごの先のとがった部分の内側です。
あごの真下から舌を押し上げるように、10回ほど上向きにゆっくり押し当てます。

マッサージするときは、力を入れ過ぎずに指で軽く圧迫するイメージで行います。
また、お口を閉じて、舌で唇の裏側を円を描くように押し回すことも効果的です。

発音訓練

発音訓練をすることで、口腔構音機能の維持や向上を目指します。

発音訓練は、文章を文節ごとに区切り、口を大きく動かしながらゆっくりと音読します。
たとえば、「犬も/歩けば/棒に/当たる」のことわざを文節ごとにゆっくりと音読しましょう。

短文の発音訓練により、以下の症状に対して聞き取りやすい発話ができるようになります。

  • ろれつが回らない
  • 話す速度が乱れる、など

回数や時間は気にせずに、疲れを感じたら無理をせずに終了しましょう。

口腔リハビリテーション科での検査内容

口腔リハビリテーション科での検査内容には、以下のものがあります。

  • 内視鏡下嚥下機能検査
  • 嚥下造影検査
  • 口腔機能低下症検査

それぞれ具体的にご紹介いたします。

内視鏡下嚥下機能検査

内視鏡下嚥下機能検査とは、鼻腔ファイバースコープという内視鏡を喉に入れる方法です。
内視鏡下嚥下機能検査では、以下のことを確認します。

  • 食べ物の嚥下の様子
  • 唾液や喀痰の状態
  • 食べ物を飲み込んだ後の咽頭内の食べ物の残留、など

また、気管への流入や嚥下に影響を与える声帯の動きなども確かめます。

内視鏡下嚥下機能検査の結果をもとに嚥下訓練計画をし、嚥下機能の回復を目指します。

嚥下造影検査

嚥下造影検査とは、飲み込む過程や状態を正確に評価する検査です。
嚥下障害が疑われる患者に行い、喉の形や飲み込み方に問題がないかを調べます。

嚥下造影検査により、確実に飲み込める姿勢、患者に適した食べ物の形態を検討します。

検査の方法は以下の通りです。

  • 病院が提供するヨード造影剤が含まれた模擬食品を指示に従って飲食する
  • 模擬食品が通過する様子をレントゲンで確認する

また、嚥下障害がある方では、健常者と比較すると肺炎になるリスクが高くなります。
そのため、誤嚥を予防する方法を見つけることが大切です。

口腔機能低下症検査

口腔機能低下症検査は、7つの項目について検査する方法です。
3つ以上の項目が基準値以下の場合に、口腔機能低下症と診断します。

検査項目は以下の通りです。

【口腔不潔】舌苔の付着を検査します。
【口腔乾燥】唾液量を測り、口腔内の乾燥状態を測定します。
【咬合力】機能している歯の本数を調べます。
【舌口唇運動機能】「パ」「タ」「カ」を発音し、舌と口唇の運動機能を測定します。
【舌圧】舌圧測定器を使用して、舌の筋力を調べます。
【咀嚼機能】グミやゼリーを噛み、溶けだしたグルコースの値を測定して、どのくらい噛めているか調べます。
【嚥下機能】飲み込みの機能を調べて、問診表へ記入します。

検査結果をもとに、管理計画書を作成し改善方法を検討します。

健達ねっとECサイト

指定介護老人福祉施設では入居者の口腔衛生管理の義務がある

指定介護老人福祉施設では、入居者に対して口腔衛生管理の義務があります。
入居者の口腔の健康維持を図り、入居者の状態に応じた口腔衛生の管理を計画的にしなければなりません。

口腔衛生管理は、以下のように行います。

  • 歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が、口腔衛生の管理に関する指導・助言する
  • 施設の介護職員は、指示に従い口腔衛生の管理に努める

また、入居者の口腔衛生の管理体制に関する計画を作成し、必要に応じて定期的に計画を見直します。

出典:厚生労働省【令和3年度介護報酬改定について(14P参照)】

薬の使い方

口腔リハビリテーションのまとめ

ここまで、口腔リハビリテーションについてお伝えしてきました。
口腔リハビリテーションについての要点をまとめると以下の通りです。

  • 口腔リハビリテーションの役割は、免疫力の向上や要介護状態の悪化防止など
  • 口腔リハビリテーションが必要な方は、摂食嚥下障害・言語障害などの方
  • 口腔リハビリテーションのやり方は、口と舌の体操・唾液腺マッサージ・発音訓練

これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。

監修者 メディカル・ケア・サービス

  • 認知症高齢者対応のグループホーム運営
  • 自立支援ケア
  • 学研グループと融合したメディア
  • 出版事業
  • 社名: メディカル・ケア・サービス株式会社
  • 設立: 1999年11月24日
  • 代表取締役社長: 山本 教雄
  • 本社: 〒330-6029埼玉県さいたま市中央区新都心11-2ランド·アクシス·タワー29F
  • グループホーム展開
  • 介護付有料老人ホーム展開
  • 小規模多機能型居宅介護
  • その他介護事業所運営
  • 食事管理
  • 栄養提供
  • 福祉用具販売
  • 障がい者雇用

スポンサーリンク