在宅介護を行ううえで欠かすことのできない介護保険による居宅サービス。
種類が多く利用に迷ってしまうこともある居宅サービスですが、どのような種類や違いがあるのでしょうか?
今回、介護保険で利用できる居宅サービスについて以下の点を中心にご紹介します。
- 在宅で医療処置が必要な場合に推奨される居宅サービス
- 小規模多機能型居宅介護の特徴
- 介護保険による住宅改修費で保険適用となる金額の上限
介護保険で利用できる居宅サービスの理解や実際の利用・相談を行う際の参考にしてください。
是非最後までご覧ください。
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介護保険で利用できる居宅サービスとは?
介護保険で利用できる居宅サービスの種類はとても多く、実際にどのサービスを利用すべきなのか迷ってしまうことも少なくありません。
事前に居宅サービスについて知っておくことで、必要なサービスをイメージしながら利用相談を進めていくことができます。
また、介護保険によるサービスは単位によって計算されます。
単位から料金を計算する場合、地域やサービスの種類によって1単位10~11.4円と違いがあるため、詳細な確認をするには直接その事業所への確認が必要です。
自宅で受けられるサービス
自宅で受けられるサービスは訪問系サービスとも呼ばれます。
以下、自宅で受けられる居宅サービスについて説明します。
訪問介護
訪問介護(ヘルパー)は、介護保険による居宅サービスにおいて代表的なサービスの一つです。
要支援から要介護まで多くの方が利用されています。
訪問介護ではヘルパーと呼ばれる介護スタッフが自宅へ訪問し、入浴介助や排泄介助といった身体介護のほか、掃除、炊事、洗濯などの生活援助を行います。
要支援認定の方の場合は、直接的な身体介護よりも、生活援助を目的として訪問介護を利用されることが多いです。
逆に要介護認定の方は、日常生活でできないことも増えていくため、生活援助のほか身体介護を必要とされる方も多くなります。
訪問介護の利用料金(単位)は、要支援か要介護の違いや利用時間、身体介護か生活援助かによっても異なります。
訪問介護サービスについてより詳しく知りたい方は、以下の記事も合わせてご覧ください。
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訪問入浴介護
訪問入浴介護は、身体状況から自宅の浴槽では入浴できない場合や、デイサービスなどに通うことができない方に有効な入浴サービスです。
介護スタッフや看護スタッフが専用の浴槽を自宅に持ち込みます。
体温や血圧測定などの健康状態をチェックしたうえで、自宅に居ながら安全に入浴ができます。
利用料金(単位)は、看護師1名と介護士1名で介助を受けた場合、要支援1~2の場合で1回852点、要介護1~5の場合で1,260点です。
対応スタッフの編成で金額が変動します。
訪問入浴介護についてより詳しく知りたい方は、以下の記事も合わせてご覧ください。
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訪問看護
訪問看護は、看護師が医療的な処置を必要とする方の自宅へ訪問し、病状にあわせたケアを行う居宅サービスです。
健康状態の観察をはじめ、床ずれ(褥瘡)の処置なども行います。
そのほか点滴、胃ろう、インスリン、在宅酸素、痰の吸引などを行われている方のケアも行います。
訪問看護サービスを利用するためには、主治医による訪問看護指示書が必要です。
利用を希望される場合には、一度主治医に相談しておくと利用に向けた準備がスムーズになります。
利用料金(単位)は、指定訪問看護ステーションが行う場合と、病院や診療所が行う場合や利用時間によって異なります。
たとえば、指定訪問看護ステーションの場合、30分未満の利用で要支援の方は450点、要介護の方は470点です。
病院や診療所の場合は、同条件で要支援の方は381点、要介護の方は398点になります。
訪問看護についてより詳しく知りたい方は、以下の記事も合わせてご覧ください。
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訪問リハビリテーション
訪問リハビリテーションは、必要なリハビリ内容に合わせ、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が自宅に訪問しリハビリを実施してもらえる居宅サービスです。
身体状況などから通所リハビリに通えない方や、自宅での動作を想定したリハビリを受けたい場合に有効となります。
また、リハビリによる身体機能の維持・向上をはかる目的のほか、家族への介護指導も行います。
訪問リハビリテーションでは、訪問看護同様に主治医の指示書が必要です。
利用料金(単位)は20分未満で307点です。
訪問リハビリテーションについてより詳しく知りたい方は、以下の記事も合わせてご覧ください。
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居宅療養管理指導
居宅療養管理指導は、自宅にいながら医療的な指導や管理、助言を受けられる居宅サービスです。
居宅療養管理指導の場合、対応してくれる専門職の幅が広く、医師、歯科医師、薬剤師、管理栄養士、歯科衛生士が担当します。
注意点としてはあくまでも指導や助言がメインとなり、実際の治療を受けることはできません。
利用料金(単位)は、指導を行う職種や条件によってかなり異なります。
居宅療養管理指導についてより詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。
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施設に通って受けられるサービス
介護保険による居宅サービスでは、施設に通ってサービスが受けられる通所系サービスもあります。
利点としては、十分な設備や複数のスタッフの対応のもとサービスを受けられる点です。
以下、施設に通って受けられるサービスについて説明します。
通所介護
通所介護は別名デイサービスとも呼ばれるサービスです。
自宅から施設や事業所に通い、食事、入浴、排泄などの介護を受けられます。
利用できる時間は、朝から夕方までの利用や、午前中のみの短時間利用など事業所によって異なります。
また、施設スタッフによる送迎が基本になるため、施設の送迎範囲内であれば家族の送り迎えは必要ありません。
通所介護は被介護者への介護を目的としていますが、特に自宅で入浴ができない方の場合の利用が多いです。
一方で、家族の介護負担軽減にも有効なサービスです。
定期的に利用することで、家族が自分の時間を設けたり休養することができます。
利用料金(単位)は要介護認定と利用時間や事業所の規模により異なります。
たとえば通常規模の事業所で要介護1の方が、8~9時間サービス利用した場合、1回666点となります。
同条件で要介護5の方が利用した場合は1,162点です。
通所介護についてより詳しく知りたい方は、以下の記事も合わせてご覧ください。
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通所リハビリテーション
通所リハビリテーションは、通所介護の要素にリハビリを加えた居宅サービスです。
リハビリを行うための設備が整った場所で、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士から身体状況にあわせた専門的リハビリを受けられるのが利点です。
短時間利用ではリハビリが中心ですが、朝から夕方まで利用する場合には入浴介護も受けられます。
こちらの利用料金(単位)も通所介護同様に条件により違います。
通常規模の事業所で要介護1の方が、8~9時間サービスを利用した場合、1回757点です。
同条件で要介護5の方が利用した場合は1,369点です。
施設に泊まって受けられるサービス
居宅サービスの中には施設に宿泊して介護を受けられるものもあります。
主に家族が何らかの事情で介護ができない場合や、介護者の介護負担軽減を目的での利用が可能です。
以下、施設に泊まって受けられるサービスについて説明します。
短期入所生活介護
短期入所生活介護は別名ショートステイとも呼ばれるサービスです。
特別養護老人ホームなどの介護施設に、数日から数週間宿泊して介護を受けられます。
家族の自由な時間を設け、介護負担を軽減する目的での利用が可能です。
ただし、要介護認定の度合いによっては利用日数に制限があったり、枠が開いていなければ利用ができません。
利用料金(単位)は、単独で短期入所生活介護を提供している事業所か、介護施設に併設しているかで異なります。
また、施設種類や個室か多床室かによっても変わります。
短期入所療養介護
短期入所療養介護もショートステイと呼ばれる居宅サービスになりますが、こちらは介護のほか医療管理やリハビリを受けられます。
利用施設は医師のいる介護老人保健施設や介護療養型医療施設、介護医療院になります。
こちらの利用料金(単位)も短期入所生活介護同様に条件次第で異なります。
短期入所生活介護や短期入所療養介護についてより詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。
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特定施設入居者生活介護
自宅での生活が困難な方が、介護保険上の特定施設としての基準を満たした施設へ入所し、生活全般の介護を受けられるサービスです。
特定施設入居者生活介護の種類には、有料老人ホーム、軽費老人ホーム(ケアハウス)、養護老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅があります。
入所定員が29人未満の場合には地域密着型特定施設入居者介護となるため、施設の住所と同じ市区町村に住んでいなければ対象になりません。
特定施設入所者生活介護の場合には、施設ごとに利用料金が異なります。
その他のサービス
介護保険では身体的介護のほか、福祉用具貸与や特定福祉用具販売といった、福祉用具を利用する際にも保険が適用されます。
以下、福祉用具利用に関連するサービスについて説明します。
福祉用具貸与
福祉用具貸与はその名の通り、福祉用具のレンタルになります。
都道府県または市区町村の指定を受けた事業者によって提供されるサービスです。
レンタルできる福祉用具はさまざまで、たとえば車いす、歩行器、歩行補助杖、特殊寝台、特殊寝台付属品(マットレスなど)、床ずれ防止用具、手すり、スロープなどがあります。
車いすだけでも多くの種類があるため、料金はレンタルする福祉用具とその種類で異なります。
例をあげると、車いすのレンタル料金は1割負担の場合で月額500~1,000円程度です。
ベッドは月額1,000~2,000円、手すり類は月額300~1,000円程度になります。
特定福祉用具販売
特定福祉用具販売はレンタルではなく、実際に福祉用具購入の際に保険が適用されるサービスです。
在宅で使用する福祉用具のうち、排泄や入浴シーンで使用するものは、衛生管理上レンタル品としての取り扱いが困難なため購入となります。
たとえば、ポータブルトイレや入浴用いすや浴槽手すりなどが特定福祉用具販売の対象になります。
原則1品目1回の購入となり、同じ年度内(4月から翌3月)で1人10万円以内が利用限度です。
特定福祉用具販売の品目としては以下があります。
- 腰掛便座
- 自動排泄処理装置の交換可能部品
- 入浴補助用具
- 簡易浴槽
- 移動用リフトの釣り具の部分
料金は福祉用具ごとに異なるため、販売業者への確認が必要です。
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居宅サービスを受けるメリット・デメリット
介護保険による居宅サービスの利用は、被介護者にとっても介護者にとっても大きなメリットがあります。
しかし、そこに生じるのはメリットだけではありません。
介護保険による居宅サービスを上手に利用していくためには、そのメリット・デメリットを十分に理解したうえで利用する必要があります。
メリット
居宅サービスを利用するメリットは、料金負担1~3割で、家族では対応しきれない療養管理や介護を専門家に行ってもらえる点です。
金銭的負担が少ないため、要介護認定ごとの限度額内であれば多くのサービスを組み合わせて利用することができます。
たとえ家族に介護経験がなかったり、知識がなかったりしても居宅サービスを導入することで在宅生活が可能になります。
デメリット
デメリットは介護保険の利用申請をし、要介護認定を受けなければ保険適用とならない点です。
高齢者の場合、病気や怪我が原因で突然介護が必要になってしまうこともあります。
しかし、急遽準備をしようとしても申請から認定結果が出るまでに1カ月前後は必要となります。
介護保険サービスは、申請日から有効になりますが、その場合にはおおよその認定結果を予測して利用計画をたてなければなりません。
万が一、予想していた認定と違う認定結果が出た場合、支給限度額を超えてサービス利用してしまう可能性もあります。
その場合、超過分は全額自己負担となります。
自宅での自立した生活を援助することを居宅介護支援と言います。少子高齢化が進む日本で、居宅介護支援は重要な役割を担っています。居宅介護支援事業所とはどのような役割を持つのでしょうか?また、どのようなサービスを提供するのでしょうか?[…]
利用できるサービスは他にもある?
介護保険で利用できるのは居宅サービスだけではありません。
以下、施設サービス、地域密着サービスそれぞれの特徴と、居宅サービスとの違いについて説明します。
施設サービス
施設サービスは介護施設への入所サービスです。
特別養護老人ホームや介護老人保健施設への入所があたります。
在宅での介護が困難な場合、施設への入所を申し込むことで入所が可能になります。
ただし、いずれの施設も空きがなければ入ることができず、入所まで在宅介護を継続しながら待機しなければならないケースも少なくありません。
施設サービスについてより詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。
介護保険による施設サービスは、在宅介護が困難になった方の助けとなります。ただ、種類も多く、申し込み先に迷ってしまう方もおられると思います。介護保険による施設サービスには、どのような種類、特徴があるのでしょうか?今回は、介[…]
地域密着型サービス
地域密着サービスとは、自宅と事業所が同じ市区町村にある場合に利用できるサービスです。
高齢者が住み慣れた地域での生活を継続していけることを目的としたサービスです。
地域密着型サービスには、夜間対応型訪問介護、小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)などがあります。
地域密着型サービスについてより詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。
高齢化が進む日本。高齢化に伴い介護を必要としている方も増加し、介護の対策も多様化しています。介護はプロや施設に任せたいと思う一方で、「なるべく自身の住む地域での介護を希望する」「居宅サービスを利用していたが、施設サービスや地域密[…]
居宅サービスとの違い
特に通常の居宅サービスと違う点として、小規模多機能型居宅介護があげられます。
通常の居宅サービスでは、訪問介護や通所介護はそれぞれ違う事業所が提供するサービスを組み合わせることになります。
しかし、小規模多機能型居宅介護では、通い、訪問、泊りといった介護サービスを同一事業所内で全て提供することが可能です。
一つの事業所で体調の変化や身体状況についての情報共有が可能で、馴染みのスタッフからのケアを受けられます。
支給限度額が越えてしまったら?
介護保険による要介護認定では、それぞれの認定ごとにサービス支給限度額が設定されています。
仮に利用したいサービスを組み合わせた結果、支給限度額を超過してしまうと、超過分を全額自己負担しなければなりません。
ただし、介護保険サービス利用を計画する際には、基本的にケアマネジャーを通して介護サービス利用計画(ケアプラン)を作成することになります。
ケアマネジャーに相談しながら利用計画をたてることで、支給限度額を超過しないよう必要なサービスを利用できます。
以下、サービス利用料金に関する助成制度などについて説明します。
高額療養費制度
高額療養費制度は医療費に関する制度です。
月にかかった医療費が高額だった場合、所得に応じて決められた自己負担限度額を超えて支払った分があとで払い戻される制度です。
申請窓口は各医療保険の保険者になります。
高額介護サービス費
高額介護サービス費は、月にかかった介護保険サービスが高額になった場合、所得によって定められた自己負担限度額を超えて支払った分が払い戻される仕組みです。
先に説明した高額療養費制度の介護保険版のようなイメージになります。
高額医療・高額介護合算療養費制度
毎年8月から翌年の7月までにかかった1年間の医療保険と介護保険の自己負担分が、所得によって定められた自己負担限度額を超えている場合に、超過分が払い戻される制度です。
介護保険住宅改修費
自宅での生活をするうえで住環境の整備が必要な場合、上限20万円までの範囲で保険適用を受けながら住宅改修が可能です。
たとえば、手すりの設置や玄関スロープの設置、洋式便器への取り替え、引き戸などの扉の取り替えができます。
介護保険と居宅サービスのまとめ
ここまで介護保険で利用できる居宅サービスや、その種類・特徴などを中心にお伝えしてきました。
この記事のポイントをおさらいすると以下の通りです。
- 在宅で医療処置が必要な場合に推奨される居宅サービスは、訪問看護
- 小規模多機能型居宅介護の特徴は、通い、訪問、泊りのサービスが同一の事業所によって提供されること
- 介護保険による住宅改修費で保険適用となる金額の上限は、20万円
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。