認知症の方の介護は困難を極めます。
しかし、認知症発症後、まずは在宅介護を、と考えている方が多いのではないでしょうか。
本記事では訪問介護・訪問看護に関して以下の点を中心に解説していきます。
- 訪問介護と訪問看護の利用条件
- 訪問介護と訪問看護のサービス内容
- サポート体制
ご家族のサポート体制も参考に、ぜひ最後までお読みください。
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訪問介護・訪問看護とは
ほとんどの高齢者の方は、住み慣れた自宅で可能な限り過ごしたいと願っています。
認知症の方であってもそれは同じです。
しかし、さまざまな事情から、将来的に施設を利用することになることもあるでしょう。
ただ、認知症を発症したからといっても、すぐに施設に入所できるわけではありません。
まずは在宅で介護するという態勢が第一選択肢になってきます。
在宅で介護できるサービスの中に、訪問型サービスがあります。
この訪問型サービスには、主に以下の4つが利用可能です。
- 訪問介護
- 訪問看護
- 訪問入浴
- 訪問リハビリ
混同しそうになりますが、訪問介護と訪問看護の違いは以下のとおりです。
訪問介護 | ホームヘルパーさんが食事、掃除、洗濯、おむつ交換などの生活を支援 |
訪問看護 | 看護師さんが自宅を訪問して医療行為 |
訪問介護や訪問看護といったサービスを利用するために最初に行うことは、要介護認定の申請です。
お住まいの市町村窓口にて手続きを行い、介護認定審査を経て、要介護度が決定します。
この手続きには、30日程度、時間を要しますので、ご注意ください。
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訪問介護・訪問看護の利用条件
訪問介護・訪問看護についての利用条件は、年齢によって判定方法が異なります。
65歳以上であれば、介護が必要となった原因は問われず、要支援1~2、要介護1~5を満たす方が利用可能です。
40~64歳の方は、厚生労働省の指定する16種類の特定疾患が原因で、要支援・要介護となった方に限定されます。
しかし、認知症は、この16種類の特定疾患のうちの「初老期における認知症」に含まれます。
つまり、認知症による訪問介護・訪問看護を利用するには、要介護認定を受けていれば良いということになるのです。
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訪問介護・訪問看護で受けられるサービス
一般的に訪問介護は、入浴や食事、排せつなどの介助をイメージされる方が多いのではないでしょうか。
これらは身体介護サービスと呼ばれています。
もうひとつのサービスは、生活援助サービスです。
認知症を発症すると、日常作業に時間がかかったり、家事がスムーズにこなせなくなったりと生活に支障が生じます。
生活援助サービスは、認知症の方の掃除・洗濯・食事の準備などの日常生活を支援するためのものです。
訪問介護には、医療行為は含まれていないため、医療行為に関しては訪問看護に位置づけられます。
訪問看護は、医師の訪問看護指示書のもと、看護師や専門医療従事者のケアを受けることができます。
訪問看護の中には、認知症に特化したサービスが存在します。
認知症ケアとして、認知症介護の相談、事故防止ケア、コミュニケーションサポートなどを行ってくれます。
訪問介護・訪問看護の訪問回数について
生活援助中心型の訪問介護においては、厚生労働大臣が定める訪問介護の回数(一月あたり)について以下のように定められています。
要介護1 | 27回 |
要介護2 | 34回 |
要介護3 | 43回 |
要介護4 | 38回 |
要介護5 | 31回 |
尚、基準以上の回数を行う場合、届出が必要です。
訪問看護については、利用する公的保険によって訪問回数や滞在時間が異なります。
訪問介護・訪問看護で保険利用|支給限度額について
医療保険を利用する場合、支給限度額に制限はありません。
平均的な利用回数は週に1~3回、利用時間は30~60分程度ですが、厚生労働大臣の定める疾病や重度の方の場合にはその限りではありません。
連続訪問看護日数についても、医師から特別訪問看護指示書が交付された場合、最大14~28日間利用することが可能です。
介護保険を利用する場合、支給限度額に制限があります。
支給限度額を超えた部分については、1割の自己負担から全額自己負担へとなってしまうのです。
支給限度額を超えることなく、介護保険適用内の訪問介護・訪問看護を併用するためには、利用バランスを考える必要があるでしょう。
一般的には、週に1~2回程度であるとされています。
認知症の方の在宅介護が大変だと感じたら?
認知症の方の在宅介護によるご家族の方の負担は計り知れません。
介護するご家族が精神的にも肉体的にも追い込まれることのないよう、休息、息抜きが必要です。
以下のサービスをうまく活用し、リフレッシュを図ってください。
デイサービス
デイサービスとは、利用者の方が施設へ日帰りで通うサービスです。
住み慣れた自宅で生活を送りながら、専門スタッフのサービスを提供してもらうことが可能となります。
食事、入浴などの生活支援、リハビリなどのサービスなどがあります。
また認知症の方に特化した、認知症対応型通所介護(認知症対応型デイサービス)というサービスもあり、専門的な機能訓練を受けることが可能です。
ショートステイ
ショートステイとは、一時的に短期間、施設に宿泊できるサービスです。
1日単位で利用が可能であるため、介護する方の負担を軽減する目的で、ぜひ活用してください。
連続して最大30日まで利用可能となります。
利用日数の合計は、要介護認定の有効期間である介護認定期間の半数を超えない範囲に収めましょう。
規則正しい生活、食事や運動、入浴、レクリエーションといったサービスが提供されます。
また、施設によっては、リハビリや医師の診察を受けることも可能です。
認知症患者の訪問看護を拒否される場合もある
介護サービスは、すべての方が受けられるべきものです。
しかし残念ながら認知症患者の場合、受け入れを拒否、あるいは途中で断られる場合があります。
報告によると、認知症の症状が原因で介護保険サービスを断られた経験のある人は9.3%。
断られた事業所では、通所介護・通所リハビリが59.7%、ショートステイでは38%でした。
これは、認知症特有の症状によるものです。
とくに、他の利用者に迷惑になるという理由が挙げられます。
たとえば以下のようなものがあります。
- 認知症の方は、集団での行動ができない
- 突然大声を上げたり、予測不能な行動に出て、まわりを驚かせたり不快にさせたりする。
- 失語症でコミュニケーションが取れず、暴力的になる
しかし、認知症の方の訪問看護では、ワンツーマンの対応になります。
他の利用者への影響がほとんどないため、断られた経験のある人は3.1%にとどまっています。
訪問看護を拒否される理由としては以下のようなものがあります。
- 物を盗まれるなどの被害妄想が激しい
- 作話で困らせる
- 介護に抵抗する
- 物を壊すなどの暴力行為
- 昼夜の逆転
認知症の方は、ケアマネージャーなどと相談し、その人に合った介護サービスを模索することになります。
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認知症の方への訪問介護・訪問看護まとめ
今回は、認知症の方への訪問介護・訪問看護についてご紹介しました。
認知症の方への訪問介護・訪問看護についての要点を以下にまとめます。
- 訪問介護は生活の支援、訪問看護は医療行為
- 介護保険適用内の訪問介護・訪問看護を併用するためには、利用バランスを考える必要がある
- 在宅介護から少し離れたいと感じたときには、デイサービスやショートステイといった選択肢がある
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。