超高齢社会となった昨今の日本。
認知症などで重度の要介護状態の方もいらっしゃれば、要支援という比較的軽度の症状の方も増えています。
そのような軽度の症状の方のために、介護予防に役立つサービスがあることをご存知でしょうか?
今回は、介護予防サービスについて以下の点を中心にご紹介します。
- 介護予防サービスとは
- 自宅で受けられる介護予防サービスとは
- 施設で受けられる介護予防サービスとは
介護の負担を軽減するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
サービスの種類が多く利用の際に迷ってしまうこともある介護サービス。専門知識がなければ正しく利用ができないこともある介護サービスですが、どのような種類や特徴があるのでしょうか?今回、介護サービスについてご紹介した上で、その内容やサ[…]
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介護予防サービスとは?
日本では、高齢化や認知症への関心が高まっています。
自分や家族が介護状態になったときのことを不安に感じている方も多いかもしれません。
そのような方のために、重症化する前に利用できる介護予防サービスがあることをご存知でしょうか?
ここではどのようなサービスなのかを詳しく解説していきます。
介護予防サービスの目的
介護予防サービスとは、生活機能の改善を目的としたサービスです。
高齢者の状態が悪化することや、要介護状態に陥るのを防ぐことを目指します。
地域独特の制度なので、内容や金額は地域によって異なります。
サービスの利用料は、要支援1の方は要支援2の方よりも安いです。
介護予防の支給額は地域によって異なりますので、事前に調べておくことをおすすめします。
介護予防サービスの対象者
介護予防サービスの対象は、要支援の認定を受けた方です。
要支援1
基本的には1人で生活できる状態ですが、日常の複雑な動作には部分的な介助を必要とします。
適切な介護や支援を受ければ、要介護状態への予防が見込まれます。
要支援2
基本的には一人で生活できる状態ですが、要支援1と比較して、日常の複雑な動作に介助を必要とする場面が多くなります。
要支援1と同様に、適切な介護や支援を受ければ、要介護状態への予防が見込まれます。
予防給付と総合事業の違い
支援が必要とされている方が利用できるサービスに、予防給付と総合事業というものがあります。
それぞれ対象者やサービス内容が異なりますので、以下で解説していきます。
◎予防給付
現金ではなく、現物(サービス)が支給されます。
対象者は要支援1と2の方です。
また、在宅と地域密着型のサービスがあり、介護予防のための訪問介護やリハビリ、グループホームなどの利用も可能です。
◎総合事業
総合事業とは、大きく分けて介護予防・生活支援サービス事業と一般介護予防事業があります。
前者は要支援者の「訪問介護と通所介護」と、新たに実施される介護予防や生活支援を必要とする高齢者のための「訪問型と通所型」のサービスです。
後者は市区町村が住民の互助や民間サービスと連携し、高齢者の生活機能の改善や生きがい作りを重視した事業です。
介護予防・生活支援サービス事業の対象者は、要支援1、2の方と、生活機能が低下したかのチェックリストに該当した方の2通りです。
一方、一般介護予防事業の場合はその地域に住む65歳以上のすべての高齢者で、要介護者も含まれます。
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自宅で受ける介護予防サービスとは?
介護予防サービスには、自宅で受けられるものがあります。
さまざまな場面のサービスがあるのですが、金額も含め解説していきます。
介護予防訪問入浴介護
要支援1、2の方が受けられる、訪問型の簡易型浴槽の入浴介護サービスです。
基本的にはスタッフ2人で介護を行い、入浴介護だけではなく身体状態も確認してもらえます。
介護を行う前にケアマネジャーとプランを立て、どのような入浴にするかを事前に計画しておきます。
料金は、全身入浴1回につき1割負担で852円です。
スタッフの人数や部分浴、地域によって、値段は異なります。
介護予防訪問看護
訪問看護ステーションや病院・診療所から保健師、看護師、准看護師が、自宅へ訪問して行う看護サービスです。
体調チェックやリハビリなどをしてもらえます。
介護予防訪問看護ステーションのサービスを20分利用した場合は301円、病院または診療所のサービスを20分利用した場合は254円です。
料金は、利用時間帯や事業所によって異なります。
介護予防訪問介護
介護福祉士や訪問介護員が自宅へ訪問し、身体介助や家事の手伝いなどを行います。
料金は週1回程度の利用で1ヵ月あたり1,220円ほどです。
介護予防訪問リハビリテーション
理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などが自宅へ訪問し、要介護状態になることを防ぐためのサービスです。
現在の生活機能を維持するため、マッサージを受けたり料理を手伝ってもらったり、コミュニケーションのリハビリを受けたりします。
料金は一割負担で1回(20分)292円です。
料金は、利用時間帯や事業所によって異なります。
介護予防居宅管理指導
通院が難しい要支援1、2の方の自宅へ、医師、歯科医師、薬剤師、歯科衛生士、管理栄養士、看護師、保健師ができる限り在宅での療養上の管理及び指導をしてくれるサービスです。
1回1割負担だとすれば、医師が単一建物居住者1人の所へ訪問する場合は509円、管理栄養士が単一建物居住者10人以上の所へ訪問する場合は444円です。
料金は管理指導者や居住している人数によって異なります。
それぞれ月の利用回数の限度があるので注意しましょう。
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施設に通う介護予防サービスとは?
介護予防サービスには、施設に通って受けられるものがあります。
自宅でのサービスと異なる点や利用料金を解説していきます。
介護予防通所介護
要支援1、2の方が要介護状態になることを防ぐ、または今よりも状態を悪化させないなど、介護予防を目的としている通所系サービスです。
デイサービスのことを指しています。
一割負担であれば、要支援1での共通サービスは1回2,053円、要支援2での共通サービスは1回3,999円です。
料金は要支援度やサービス内容、地域によって異なります。
介護予防通所リハビリテーション
介護予防通所介護と同じく、介護予防を目的とした通所系サービスです。
一割負担であれば、要支援1での共通サービスは1回1,721円、要支援2での共通サービスは1回3,634円です。
料金は要支援度やサービス内容によって異なります。
施設に泊まる介護予防サービスとは?
介護予防サービスには、施設に泊まって受けられるものがあります。
外泊となると料金はいくらくらいかかかるのでしょうか?
介護予防短期入所生活介護
高齢者介護福祉施設などに短期間入所して受けるサービスです。
心身機能の維持や家族の時間確保などを目的としています。
1割負担であれば、要支援1での共通サービスは1回446円、要支援2での共通サービスは1回555円です。
料金は要支援1、2やサービス内容によって異なります。
介護予防短期入所療養介護
介護予防短期入所生活介護と同じく、高齢者介護福祉施設などに短期間入所して受けるサービスです。
療養生活の質の向上、家族の時間確保などを目的としています。
1割負担であれば、要支援1での共通サービスは1回577円~658円、要支援2での共通サービスは1回721円~817円です。
料金は要支援度やサービス内容によって異なります。
介護予防特定施設入居者生活介護
要支援1、2の方が「有料老人ホーム」や「サービス付き高齢者向け住宅」など介護予防を目的として、日常生活の支援や機能訓練を受けるサービスです。
上記の2つとは異なり、長期間の入所にも対応しています。
1割負担であれば、料金は要支援1での共通サービスは1回182円、要支援2での共通サービスは1回311円です。
施設によって料金は異なりますので、事前に調べておきましょう。
地域密着型の介護予防サービスとは?
介護予防サービスには、地域密着型のものがあります。
原則その地域の住民だけ利用できるという点が、地域密着型サービスの特徴です。
その地域に根付いたものには、どのようなサービスがあるのでしょうか?
介護予防小規模多機能型居宅介護
要支援1、2の方を対象とした、訪問や通所、外泊などを組み合わせたサービスです。
生活の介助やリハビリ、身体チェック、症状悪化の防止などを目的としています。
料金は要支援度やサービス内容によって異なります。
一割負担であれば、要支援1での共通サービスは1回3,098~3,438円、要支援2での共通サービスは1回6,260~6,948円です。
市区町村によって料金は異なりますので、事前に調べておきましょう。
介護予防認知症対応型通所介護
認知症の方を対象に、日帰りで専門的なケアを受けられるサービスです。
デイサービスセンターやグループホームの施設に通い、日常生活支援や機能訓練、口腔機能向上などを目的としています。
一割負担の料金は、要支援1で1回859円、要支援2で1回959円です。
施設や所要時間によって料金は異なりますので、事前に調べておきましょう。
介護予防認知症対応型共同生活介護
認知症の方を対象に、施設で共同生活を送りながら専任スタッフによる介護を受けられるサービスです。
要支援2以上の方が対象で、要支援1の方はサービスを受けることができません。
少人数制の環境で日常生活支援や機能訓練などを目的としています。
料金は、要支援2で「共同生活居住が1つの場合」760円、「共同生活居住が2つ以上の場合」748円です。
市区町村や施設、所要時間によって料金は異なりますので、事前に調べておきましょう。
地域支援型の介護予防サービスとは?
介護予防サービスには、平成18年4月に新たに創設された介護保険の介護予防事業があります。
地域密着型サービスとは異なり、各市町村が実施しているサービスです。
要支援・要介護認定で、非該当つまり自立と認定された方も利用できます。
介護予防特定高齢者施策
要支援や要介護になる可能性の高い高齢者を対象とした施策です。
地方にはその対象者を洗い出す担当、通所型担当、訪問型担当がおり、市町村へ相談することでサービスを受けることを申請できます。
介護予防一般高齢者施策
その地域の65歳以上全てを対象とした施策です。
介護予防のための情報提供やボランティア活動など、介護予防を目的とした活動です。
その他の介護予防サービスは何がある?
ここまで介護予防に役立つサービスについて記載してきました。
その他、以下のように物に対するサービスもあります。
介護予防福祉用具貸与
手すりやスロープなど、要介護者や要支援者などが日常生活の便宜を図るための用具や、機能訓練のための用具を貸し出すサービスです。
用具の使用によって自立した生活を促すことが目的です。
介護予防福祉用具購入費
要介護者や要支援者などが日常生活の便宜を図るための用具や、機能訓練のための用具を購入するための費用を補助するサービスです。
以下のように、衛生面などから一度誰かが使ったら使いまわさないものが対象です。
- 腰掛便座
- 特殊自動排泄処理装置の交換可能部品
- 入浴補助用具
- 簡易浴槽
- 移動用リフトのつり具部分
原則一年間で10万円の補助が出ます。
介護予防住宅改修費
住み慣れた自宅でも安全に暮らし続けられるように、住宅内の住宅改修への支援を、介護保険によって受けることができるサービスです。
手すりやスロープの設置、バリアフリーなどの改修が対象で、改修費補助の上限は20万円です。
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総合事業にも介護予防サービスがある?
冒頭で記載した「総合事業」にも予防サービスがあります。
その詳細はどのようなサービスなのでしょうか?
総合事業のうち「一般介護予防事業」には、市区町村の支援により実施される以下のサービスがあります。
- 体力作り教室、介護予防をテーマとした各種講演会
- 栄養改善・口腔機能向上・認知症予防などについて学ぶ介護予防教室
- 高齢者が気軽に集えるサロンの開設
- 生きがい作りを目的としたサークル活動
- 介護予防ボランティア養成講座
要支援や要介護の認定は受けずとも、完全に自立した生活は困難な方に日々のちょっとした困りごとを解決したいという目的で発足しました。
地域に根付いたサービスなので、ぜひ検討してみてください。
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介護負担を減らす制度は他にも?
ここまで介護予防に関するサービスについて記載してきました。
介護が社会問題にもなっている昨今、介護負担を減らす制度はさまざまあります。
高額介護予防サービス費
さまざまな介護保険制度がありますが、多くのサービスを利用するうちに費用も積み上がってしまいます。
高額介護サービス費の制度を使うと、1カ月のサービス利用料が一定の自己負担額を超えている場合、高額介護サービス費制度による払い戻しで負担を軽減できる可能性があります。
高額医療・高額介護合算療養費制度
介護費と医療費の合算が自己負担限度額を超えた場合に超過分の料金が戻ってくる制度です。
介護費と医療費の支払いが高額となってしまった場合、検討してみてください。
高額療養費制度
医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が1か月(1日から末日まで)で上限額を超えた場合、その超えた額を支給する制度です。
上限額は、年齢や所得に応じて定められているので注意が必要です。
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介護予防サービスと介護サービスの違い
介護サービスも介護予防サービスはどちらも介護保険制度で利用できるサービスです。
異なる点は対象者、サービスの目的です。
ここまでご紹介したように、介護予防サービスの対象者は要支援1、2の方です。
一方、介護サービスの対象者は要介護1~5の方です。
要支援に比べて運動機能が低下しており、重度になると寝たきりや歩行難などになります。
また、介護予防サービスの目的は、現在の身体機能を改善させることです。
ヘルパーさんに自宅に訪問していただき調理や掃除などを手伝ってもらうサービスを受け、デイサービスに通ってリハビリをするという例があります。
介護サービスの場合、介護を提供するサービスで、より重度の症状になることを防ぐことを目的としています。
介護予防サービスのまとめ
ここまで介護予防サービスについてお伝えしました。
要点を以下にまとめます。
- 介護予防サービスは、生活機能の改善を目的としたサービス
- 自宅で受けられるサービスとは、介護予防訪問入浴介護、介護予防訪問看護、介護予防訪問介護など
- 施設で受けられるサービスとは、介護予防通所介護、介護予防通所リハビリテーションなど
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。