内閣府によると、2019年の時点で日本の高齢者数(65歳以上の方)が3,588万人であり、日本は全人口の28.4%以上となり、65歳以上の人口が21.0%以上を占めている社会を示す「超高齢社会」をはるかに超えた状態となります。
高齢化が進むと同時に、介護をする側もされる側の数も増えています。
介護のための時間や体力のために、仕事を退職・休職しようと考えている方もいらっしゃるかもしれません。
介護で仕事を休む場合、介護休業給付金を利用できる可能性があります。
本記事では、介護休業給付金について以下の点を中心にご紹介します。
- 介護休業給付金とは
- 介護休業給付金の申請の流れ
- 介護休業給付金の申請可能額
介護休業給付金の知識を付けて、介護の対策をするためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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介護者を支援する給付金:介護休業給付金
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在職中の方で、ご家族の介護をする必要があるという方は多くいらっしゃるはずです。
介護のための時間や体力を確保したい一方で、仕事を辞めることが難しい方も多いのではないでしょうか?
実は、そんな方々のさまざまな介護を支援する給付金制度は多く存在しています。
今回はその中の介護休業給付金について解説していきます。
介護休業給付金とは、家族の介護のために仕事を休んで介護に従事する場合に、給与の67%を受給できる制度です。
退職することなく、家族の介護のサポートに役立ち、休業期間が終われば職場復帰することを前提としています。
介護休業とは、2週間以上にわたって常時介護(歩行、排泄、食事などの日常生活に必要な行為に対する介護)を必要とする家族を介護するために取得する休みのことを指します。
休業が可能な期間は最長で93日です。
介護休業と似た言葉に「介護休暇」がありますが、介護休業がまとまった休みを事前に計画してから休むのに対し、介護休暇は突発的に一日から数日間を休む制度です。
介護休業給付金は、申請して受給するのに様々な条件を満たす必要がありますが、介護をしながらも仕事を続けたいという方は検討してみてください。
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介護休業給付金の支給対象者は?
労働日数などの支給条件とは別に、被保険者と被介護者の方との関係性も重要になります。
介護休業給付金の支給対象となる被保険者(介護者)からみた関係性は以下のとおりです。
配偶者(事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む) | 父母(養父母を含む) |
配偶者の父母(養父母を含む) | 子(養子を含む) |
祖父母 | 兄弟姉妹・孫 |
被介護者(1名)対し、家族内で複数の被保険者が同時に介護休業を取得できます。
その際は、それぞれの被保険者が支給要件を満たせば給付金を受け取ることも可能です。
出典:厚生労働省【介護休業給付 Q&A】
被介護者と別居している場合でも、上記のような関係性であれば問題ありません。
ただし、叔父や叔母、いとこなどは支給対象外です。
令和4年4月1日より、介護休業の規定が変更(緩和)されています。
労働者に関する要件(入社1年未満の労働者)が廃止されました。
対象となる家族に関してはこれまでと変更はなく、上記のとおりです。
出典:厚生労働省【介護休業とは】
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介護休業給付金を受給するには?
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上記で介護休業給付金について説明しました。
介護休業給付金は誰でも申請できるかというと、そうではありません。
その方の労働日数などの条件が関わってきます。
ここでは介護休業給付金を受給するための条件について解説していきます。
介護休業前の労働日数
介護休業開始日前2年間に11日以上就業した月が12カ月以上という条件があります。
そのため、入社して間もない方や、休みがちで勤務日数が不足している方は休業給付が受けられない場合があります。
介護休業中の労働日数
介護休業中に仕事をした日数が、月に10日以下という条件があります。
そのため、11日間以上働いた月からの介護休業開始はできません。
介護休業中の給与
介護休業中の月々の賃金が、休業前の賃金の80%未満でなければならないという条件があります。
休業中も休業前と同じくらい、または80%以上の賃金を受け取っているという場合は受給できません。
例えば、「有休を取得し休業前と同じ給与がもらえる」、「会社から休業手当が出る」、「月に何日か仕事をして、会社から賃金を受け取れる」といった場合、給付が受けられないケースもあります。
介護休業中の賃金がどうなるか、勤務先に確認しておきましょう。
働く期限が決まっている場合
介護休業給付金はあくまで職場復帰を前提とした制度になります。
よって、介護休業前に退職が決まっている場合などには利用できません。
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介護休業給付金申請のために
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介護休業給付金を申請するための条件について記載しました。
ここからは申請に必要な書類などについて解説していきます。
申請をするためには大きく分けて、受給資格確認のために必要なもの、支給申請に必要なものがあります。
受給資格確認に必要なもの
介護休業給付金の受給資格確認には、以下2点が必要になります。
①雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書
休業を開始した月の賃金の証明書です。
休業を開始した日の翌日から起算して10日以内にハローワークに提出しましょう。
よって、給付金の申請は休業後にできるということです。
②賃金台帳、出勤簿又はタイムカード
①に記載した賃金の額及び賃金の支払い状況を証明することができる書類です。
先述したように、介護休業給付金を受け取るには労働時間も関係してきます。
「介護休業中に仕事をした日数が、月に10日以下である」という条件を満たしていることを確認するために必要です。
支給申請に必要なもの
介護休業給付金の支給申請には、以下5点が必要になります。
①介護休業給付金支給申請書(マイナンバー(個人番号)を記載あり)
介護休業終了日(介護休業期間が3カ月以上にわたるときは介護休業開始日から3カ月を経過した日)の翌日から2カ月を経過する日の属する月の末日までに、事業主が所轄公共職業安定所へ提出する必要があります。
②被保険者が事業主に提出した介護休業申出書
介護休業が必要な従業員が、人事部などを経由して事業主に提出します。
③住民票記載事項証明書等
介護対象家族の方の氏名、申請者本人との続柄、性別、生年月日等が確認できる書類として提出します。
④出勤簿、タイムカード等
介護休業の開始日・終了日、介護休業期間中の休業日数の実績が確認できる書類として提出します。
⑤賃金台帳等
①の申請書に記載した支給対象期間中に支払われた賃金の額、および賃金の支払い状況、休業日数及び就労日数を確認できる書類として提出します。
上記の他、対象介護休業期間中に対象家族が死亡した場合には、必要に応じて戸籍抄本、死亡診断書、医師の診断書などを添付する場合がありますので注意してください。
介護休業給付金申請の流れって?
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介護休業給付金の申請条件を満たし、必要な準備も整えたら、いざ申請という流れになります。
ここからは具体的な申請の流れについて詳しく記載していきます。
これから介護休業給付金を申請しようと考えている方は、ぜひご覧ください。
介護休業前
介護休業前の流れについて解説します。
大きく分けると、会社に申請し、その会社(事業主)から市区町村へ申請を行うという流れです。
介護休業の申請を会社に行う
まずは会社(事業主)に書面で介護休業をする旨を伝えます。
原則として、介護休業開始日の2週間前までに伝えなければいけません。
最終出社日や復帰予定日なども、この段階で相談しておきましょう。
事業主が市区町村に申請を行う
介護休業は基本的には会社(事業主)が手続きをする義務があります。
希望がない限り、申請者が動く必要はありません。
ただし、会社によっては独自のルールを設けている場合もありますので、あらかじめ確認しておくことが重要です。
介護休業後
介護休業後の流れについて解説します。
事業主がハローワークに申請し、介護休業給付金が実際に振り込まれるまでの流れを見ていきましょう。
事業主がハローワークに申請を行う
介護休業給付金を申請するのは、介護休業期間の終了後です。
具体的には、期間が終了してから2カ月後の末日までに、ハローワークへの申請が必要になります。
勤務先でそろえるべき書類もありますので、基本的には事業主がハローワークに申請します。
ただし、希望によっては個人での申し込みも可能です。
個人で申請する場合は、別の方法や必要書類があるので注意が必要です。
介護休業給付金が振り込まれる
支給が決定してから1週間程度で振り込みになります。
申し込んだ側としては気になるところですが、厚生労働省によると「振り込みに関する電話での問い合わせには回答できない」とのことです。
あまりに振り込みが遅れている場合は、ハローワークの窓口で直接確認をしましょう。
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介護休業給付金ではいくら支給されるの?
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実際に介護休業給付金が振り込まれるとなっても、気になるのはその金額。
ここからは、介護休業給付金としていくら支給されるかについて記載していきます。
休業中の賃金によって異なりますので、注意してください。
休業中に賃金が発生した場合
介護休業給付の給付額は、賃金(日額)×支給日数(休業日の日数)×67%で計算します。
ただし、これは会社からの給与が13%未満の場合のみです。
以下の2パターンでは、介護休業給付金の計算方法が異なってきます。
・会社からの給与が13%~80%の場合は、80%までの差額を支給
例えば50万円が給与の場合、50%の25万円の賃金が休業中に発生すると、40万円(80%)との差額の15万円が介護休業給付金の額となります。
・会社からの給与が80%以上の場合は、介護休業給付金の支給は無し
休業中に賃金が発生しなかった場合
上記と同様に、介護休業給付の給付額は、賃金(日額)×支給日数(休業日の日数)×67%で計算します。
会社からの給与がゼロまたは13%未満の場合は、67%分すべての給付が受け取れます。
介護休業給付金を利用する上での注意点
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給付金を利用するにあたってはさまざまな注意点があります。
介護休業給付金が申請できない、支給されないパターンを事前に知っておくことも大切です。
以下にそれぞれに分けて説明していきます。
産休・育休中に併用することは出来ない
介護休業給付は、他の給付と同時に開始することはできません。
また、介護休業中に「別の家族に対する介護休業」や「産前・産後休業」、「育児休業」といった給付がある休業が開始される場合、新しい休業の開始日の前日までで当初の介護休業が終了となります。
その日以降の分は介護休業給付金の支給対象となりません。
介護休業後に退職する場合は対象外
介護休業給付は、あくまで終了後の職場復帰を前提とした給付金です。
よって、介護休業前からすでに退職が決まっているのであれば、支給対象となりません。
介護休業中に給付金は支給されない
この給付金は休業を終えてから申請するものなので、介護休業中の受給はできません。
2週間以上休業しなくても給付金は受給できる
給付条件には、「2週間以上にわたり常時介護を必要とする状態にある」とあります。
しかし、必ずしも2週間以上介護のために休業をしないと給付を受けられないという意味ではありません。
例えば、休業に入ったものの、速やかに介護施設へ入居できたため、実際の介護休業日数は10日で済んだという場合、10日分の介護休業給付を受けられます。
要介護度が変更しても給付は原則一回
介護休業給付を利用できるのは同じ介護対象者に対して原則一回だけです。
同じ介護対象者で過去に給付金をもらっていた場合は受給できません。
ただし、3回までの分割使用が可能です。
「93日を使い切っていない」、「3分割してない」という場合には、介護休業給付をもらうことができます。
例えば祖母の介護で過去に20日間介護休業した場合は、残りの73日分を申請することができます。
複数の家族で給付金受給が出来る場合も
例えば、介護状態の祖母がいる家族の場合、まず、母が介護休業を3か月とり、その次に父が3か月、そして子が3か月という場合は全員が給付を受け取れます。
もしくは同時に3人が介護休業給付を取得して介護するということも可能です。
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介護休業給付金以外に役立つ制度
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介護は誰にとっても身近な問題となっています。
介護休業給付金以外にも、さまざまな役立つ制度がありますので紹介していきます。
介護を現実的に考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
介護保険
介護が必要な方に費用を給付する保険制度です。
40歳以上になると介護保険料を納めることを義務付けられています。
高齢者になり、様々な介護サービスを受ける際に割安な金額で済ませることができます。
高額療養費制度
高額療養費制度とは、その月の一日から月末までにかかった医療費の自己負担額が高額になった場合、一定の金額(自己負担限度額)を超えた分が、あとで払い戻される制度です。
高額介護サービス費
高額介護サービス費とは、一ヵ月に支払った医療費・介護サービス費の利用者負担の合計が負担限度額を超えた場合、超えた分が払い戻される制度です。
一般的な所得の方の負担限度額は月額4万4,400円です。
高額医療・高額介護合算療養費制度
医療保険と介護保険における一年間(毎年8月1日から翌年7月31日まで)の医療保険と介護保険の自己負担の合算額が著しく高額であった場合に、自己負担額を軽減する制度のことです。
申請をすることによって負担額の一部が払い戻されます。
介護保険住宅改修費
介護のために住宅改修する際にかかった費用を一部負担してくれる仕組みです。
要介護認定を受けている被保険者が自宅の住宅改修を行う場合に、その工事費用(20万円まで)の7~9割が支給されます。
高齢化が進み、要介護者の増加や介護期間の長期化などがみられるようになりました。また、老老介護という言葉もあるように介護する家族も高齢化しています。そういった現状を踏まえ、介護の負担を減らすために作られた制度が介護保険です。[…]
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介護と給付金のまとめ
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ここまで介護休業給付金についてお伝えしました。
要点を以下にまとめます。
- 介護休業給付金とは、家族の介護のために仕事を休んで介護に従事する場合に、給与の67%を受給できる制度
- 介護休業給付金は、利用者から会社、会社から市区町村の流れで申請する
- 介護休業給付金の申請可能額は、「賃金(日額)×支給日数(休業日の日数)×67%」
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。