日本では高齢化が進んでいます。
高齢化と共に問題となる介護に対し、「介護関連の仕事に興味があり、一から学びたい」「家族や周りの人が要介護状態になり、介護の質を高めるために勉強したい」と考えている方も多いかもしれません。
今まで介護の勉強をしたことがなく資格や知識を増やしたいと考えている方は、「介護職員初任者研修」を勉強してみてはいかがでしょうか?
今回は、介護職員初任者研修について以下の点を中心にご紹介します。
- 介護職員初任者研修とは
- 介護職員初任者研修にかかる費用
- 介護職員初任者研修を取得するメリット
介護職員初任者研修の知識を付けて、介護の対策をするためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
介護とは人の命に係わる仕事です。いろいろな専門性が求められるため、国家資格から民間の資格までさまざまな資格があります。具体的にはどのような資格があるのでしょうか?本記事では、介護の資格について以下の点を中心にご紹介します[…]
スポンサーリンク
介護職員初任者研修とは?
そもそも介護職員初任者研修とはどのような資格でしょうか?
介護に関する資格の勉強や取得は難しいと考えている方もいらっしゃるかもしれません。
ここでは、介護職員初任者研修の概要について説明していきます。
介護職員初任者研修は介護に関わる資格の中でも初心者向けで、最初に取得することがおすすめされています。
一か月ほどの勉強で介護に関する基礎的な知識が身につき、難易度も高くないからです。
さらに、「身体介護」ができるようになることもポイントです。
身体介護とは、身体に触れて食事・入浴・排せつなどの日常生活をサポートすることです。
しかし、仕事として身体介護を行うためには何かしら介護に関する資格を持っていることが条件となります。
介護資格は難易度の高い国家資格もあれば、介護職員初任者研修のように初心者でも獲得しやすいものもあります。
介護を学ぶのはこれからという方は、まずは介護職員初任者研修がおすすめです。
出典:厚生労働省「介護職員・介護支援専門員」
介護職員初任者研修の目的は?
介護についてこれから学ぶ人や介護の知識を身に付けておきたいという人にとっても、受講のハードルは低いです。
これから日本は高齢化や介護の問題がどんどん深刻になっていくと考えられています。
そのような状況で、お金や時間をかけずに介護の資格を勉強し取得できることで、介護従事者の増員や定着を目指すという目的もあります。
介護職員初任者研修のカリキュラムは?
介護職員初任者研修の資格を取得するには、試験合格に加えて、スクールの課す10項目、130時間のカリキュラムを修了している必要があります。
そのカリキュラムは以下の通りです。
- 職務の理解(6時間)
- 介護における尊厳の保持・自立支援(9時間)
- 介護の基本(6時間)
- 介護・福祉サービスの理解と医療の連携(9時間)
- 介護におけるコミュニケーション技術(6時間)
- 老化の理解(6時間)
- 認知症の理解(6時間)
- 障がいの理解(3時間)
- こころとからだのしくみと生活支援技術(75時間)
- 講義の振り返り(4時間)
カリキュラムの受講資格は特にないので、「介護の基本的な知識を付けたい」という方は、このカリキュラムを受講する価値があるはずです。
受験資格は必要?
介護職員初任者研修に受験資格は不要です。
ただし、スクールが開催しているカリキュラムを受講し、全課程を修了していることが求められます。
修了試験がある?
修了試験に合格し、介護職員初任者研修の資格取得という流れになります。
修了試験の内容はカリキュラムで勉強した内容がそのまま出題されることが多いです。
スクールによってテスト内容が若干異なりますが、基本的には所轄官庁で評価の基準が定められているため大きな差異はありません。
毎回のカリキュラムをしっかり受講・勉強することが、介護職員初任者研修の修了試験合格の鍵になるといえるでしょう。
スポンサーリンク
介護職員初任者研修にかかる費用とは?
上記で介護職員初任者研修の難易度は低めであることを解説しました。
ここでは介護職員初任者研修の費用面について解説してきます。
介護職員初任者研修にかかる費用については、主催が自治体か民間ということで変わってきます。
特に自治体(地域)によっての費用には差があり、東京の都心部になると費用は高くなっていきます。
全体的に見ると、平均4万~11万円ほどの金額になります。
また、通信か通学かによってもかかる費用は変わってきます。
通信講座は自宅で学習できるという点がメリットで、金額はだいたい5万~12万円ほどとなっています。
一方で通学は、全てのカリキュラムをスクールに通いながら受講するため、通信に比べると費用は少し高いです。
通学はだいたい5万~14万円ほどとなっています。
ただし、全てのカリキュラムを通信で終えることはできません。
介護職員初任者研修のカリキュラムの130時間のうち、通信での学習は40.5時間が上限とされているため注意してください。
介護職員初任者研修の費用を抑える制度
介護職員初任者研修にかかる費用をご紹介しました。
ここでは、少しでも費用を抑えたいという方に向けて、費用負担を緩和できる制度をご紹介します。
求職者支援制度
ハローワークの「求職者支援制度」は費用を抑えるための一つの方法です。
求職者支援制度を利用する場合は、雇用保険に加入していないなどの条件もあるため、事前に確認しておきましょう。
求職者支援制度を使うと介護職員初任者研修のテキスト代のみの1~3万円の出費で済んだり、求職を斡旋してもらえたりする場合もあります。
その他には、スクールによって指定先の職場で働くことで費用を負担してくれることもあるので、一度検討してみてください。
一般教育訓練給付金制度
介護職員初任者研修に関する給付金の一つとして「一般教育訓練給付金制度」があります。
「教育訓練給付金制度」とは、安定した雇用や再就職を目的として国が行っている給付のことです。
条件を満たしたら、目的に沿った給付金を受け取ることができます。
ただし、雇用保険の制度であるため、対象者は雇用保険の被保険者となります。
その他、受講開始日に被保険者期間が3年以上ある方が対象です。
教育訓練給付金は、受講修了後に管轄のハローワークに教育訓練給付金支給申請書および必要な添付書類を提出し、受理されたら給付金が支給されます。
教育訓練給付制度では、受講費用などの20%に相当する金額を受給することができます。
しかし支給額の上限は10万円で、4千円未満の場合は支給されないので注意してください。
介護職員初任者研修資格取得支援事業
介護従事者の増員や定着のために、費用の全額や一部を支援する制度です。
都道府県や市町村により支給額や対象となる要件に違いがあります。
自治体によっても内容や金額が異なるので、調べておくことが大切です。
介護職員初任者研修とは介護をする上で基礎となるようなことを学ぶ研修です。これから介護職につく方にとって重要度の高い研修ですが、費用はどのくらいかかるのでしょうか?本記事では、介護職員初任者研修の費用について以下の点を中心にご紹介[…]
介護職員初任者研修後の進路先は?
介護職員初任者研修の概要や費用について説明しました。
介護職員初任者研修の取得者のその後は、どのような進路先があるのでしょうか?
ここでは介護職員初任者研修後の進路先について解説していきます。
介護職員初任者研修後の進路には、主に各事業所、病院や医院、訪問介護などが挙げられます。
特に代表的な3つについて、以下で解説します。
デイサービス
デイサービスは、要支援・要介護の認定を受けた高齢者が施設に通いながら受けるサービスです。
利用者の方の送迎、食事や排泄、入浴などの介護サービスを提供するだけでなく、レクリエーションやイベントの企画・実施なども行います。
訪問介護
訪問介護は、要支援・要介護の認定を受けた高齢者の自宅に訪問して、家事などの生活のサポートや、食事、排泄、入浴介助などの身体介護を行います。
訪問介護は、一対一で介護サービスを提供するため、介護職員初任者研修などの有資格者が行う必要があります。
特別養護老人ホーム
特別養護老人ホームは、原則要介護度3以上の認定を受けた高齢者が介護サービスを受けながら生活する施設です。
起床や食事、排泄、入浴、就寝の介助、体位変換など24時間体制で入所者の生活全般を支援することが主な仕事です。
進路や就職先についてはハローワークや求人サイトなどで探すことができるので、ぜひご自身の資格が活かすことができる場所を探してみてください。
介護職員初任者研修は無料で受けられる?
介護職員初任者研修を無料としている場所もあります。
そのような事例を2つ確認してみましょう。
1つ目は大手の介護事業会社が、自前で研修事業も持ち、外部向けの介護職員初任者研修を開催している場合です。
自分たちが運営している介護事業会社への就職などの条件つきで、無料としています。
2つ目は人材派遣会社が提携するスクールで介護職員初任者研修を受講する場合です。
この場合も、その派遣会社が紹介する介護の事業所で就業を継続することが条件になります。
初任者研修を無料とするのは、介護事業所側の採用施策の一環として理解することもできるでしょう。
介護職員初任者研修におすすめの受講方法
無料の介護職員初任者研修の受講方法を紹介してきました。
介護の仕事をしたい、という方にとっては無料で受講できる大きなメリットです。
人材派遣会社と提携したスクールで受講する場合、派遣会社とつながりのある多数の選択肢から、勤務先を選ぶことができるメリットがあります。
就職希望者の考えや性格に合った勤務先を紹介してもらえるメリットも考えられます。
介護職員初任者研修は国が定めたガイドラインに沿って行われるので、学ぶ内容はスクールによって大きく差が出るものではありません。
ただ、予習復習ができる動画の有無などサービス面での細かな違いはあります。
従って立地、スケジュール、実績、評判などの視点も加えて、自分の考えや都合に合ったところを見つけ出す努力が必要になります。
介護職員初任者研修は、介護関連の就職・転職活動が有利になる資格です。ただし履歴書に記載するときは、書き方に注意が必要です。本記事では介護職員初任者研修の履歴書の書き方について、以下の点を中心にご紹介します。 介護職員初[…]
介護職員初任者研修を取得するメリットは?
ここまで介護職員初任者研修の概要や費用、進路先について記載してきました。
それでは、実際に介護職員初任者研修を取得するとどのようなメリットがあるのでしょうか?
介護職員初任者研修は介護初心者向けの資格といえど、資格保有者は信頼度がアップします。
就職や転職の際に、採用されやすくなることに加え、資格手当を受け取れる可能性もあります。
また、自分自身も介護の知識が付いているという自信から仕事に誇りを持てます。
介護の理念、基礎的な医療知識も身に付いているため、いざ現場でけがや病気などのトラブルが起こった際も落ち着いて対応できるかもしれません。
介護が必要な人口が増えていく昨今、介護資格保有者は、どんどん必要とされる場が増えていくはずです。
スポンサーリンク
更に力をつけたい場合は?
初心者向けの資格である介護職員初任者研修を取得したあと、さらに力を付けていきたいという場合は、介護福祉士実務者研修の取得を目指すことがおすすめです。
介護福祉士実務者研修とは、介護職員初任者研修の上位にあたる資格です。
この介護福祉士実務者研修を取得することで、訪問介護事業所に必ず設置されるサービス提供責任者になる資格も手に入れることができます。
介護の仕事でステップアップしていきたいという方は、ぜひ取得することをおすすめします。
サービス提供責任者になると、さらなる給与アップや正社員雇用、求人先の拡大などが見込めます。
金銭面に加えて、仕事の充実を求める方は介護福祉士実務者研修の取得も目指してみてはいかがでしょうか?
介護の資格を取得する上で、どのような資格があるのか気になると思います。初任者研修以外にも介護の資格があり、介護福祉士実務者研修や介護福祉士についても知りたいところです。本記事では、介護福祉士実務者研修を中心に以下の点をご紹介[…]
スポンサーリンク
介護職員初任者研修のまとめ
ここまで介護職員初任者研修についてお伝えしました。
要点を以下にまとめます。
- 介護職員初任者研修は、介護に関わる資格の中でも初心者向けで最初に取得することがおすすめされている
- 介護職員初任者研修にかかる費用とは、通学か通信か、エリアはどこかなど、様々な条件で異なる
- 介護職員初任者研修を取得すると採用率や給与のアップ、ステップアップにつながることがある
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。