高齢化が進む日本。
高齢化に伴い、さまざまな介護施設が増え、そこで働かれている方も多いでしょう。
その他、介護関連の仕事は重労働なこともありますが、それとは別に人間関係での悩みを抱えることも多いかもしれません。
今回は、介護関連の仕事での人間関係について以下の点を中心にご紹介します。
- 介護業界で人間関係が複雑になりやすい理由
- 介護における人間関係をより良くする方法
- 介護業界で人間関係が辛いと感じたときの対策
介護関連の仕事での人間関係を把握しておくためにも、ご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
これから介護業界で働くことを考えている方は、ぜひこちらも合わせてご参考ください。
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介護業界の人間関係が悪いのはなぜ?
この記事を読んでいる方の中で、「実際に介護業界で働いていて、人間関係について困っている」、「これから介護業界に就きたいが、人間関係が心配だ」という方がいらっしゃるかもしれません。
介護業界は、さまざまな理由で人間関係が複雑になりやすいと考えられています。
その理由には一体何があるのでしょうか?
また、介護業界や介護そのものが抱えている問題についても解説していますので、興味のある方はこちらもご参考ください。
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人間関係に関わる要素として、人的な問題や仕事の問題、職場環境の問題など、細かく分類することができます。
それぞれ以下で解説していきます。
人と関わる仕事である
理由の一つに、人と関わる仕事である、という点があります。
介護では、職場の人や施設の利用者、ご家族の方など、さまざまな人と関わります。
普段から関わっている人に限らず、たまに顔を合わせる人もおり、それぞれに合わせた付き合い方が必要になってきます。
もともと人と関わる仕事といえど、特に介護業界は人間関係の範囲が広いため、複雑化する可能性が高いです。
幅広い年代層のスタッフが従事している
介護業界は、30~40代の方が働いている割合が多いですが、10代後半~70代の方もおり、年齢層は分散されています。
それぞれの年齢層では価値観や考え方が異なり、それらを全てまとめることはなかなか難しいので、人間関係にも影響している可能性があります。
仕事に対する責任が重い
介護は人の身体や命を預かる仕事です。
そもそもの仕事に対する責任が重いという点も、人間関係が複雑化する要素の一つになる可能性があります。
介護の現場でのミスは、人命や大きな事故に繋がるため、ベテランから新人への指導が厳しくなることも多いでしょう。
業務過多と人手不足である
人間関係が複雑になりやすいことに加え、介護は重労働で低所得な場合が多く、離職率も高いというイメージがあります。
常に人手不足な業界であるため、職場に残っている人に仕事量が集中することが考えられます。
ストレスなどから人間関係を良好にする余裕が無いかもしれません。
介護に対する価値観が異なる
相手にするのが人である以上、基本的に関わり方に正解はありません。
例えば、「歩けるけれど転倒する可能性が高い利用者」がいた場合、「自力で歩くように促す」か「転倒するのは危ないので車いすを使う」かというように、意見が分かれることがあります。
働く人がベテランか新人、または以前の職場の環境が異なるなど、さまざまな理由で介護に対する価値観や考えが違うと、対立や孤立に繋がる可能性もあります。
職種が異なる
介護業界といっても、介護士もいれば看護師、施設の運営業側の人もいます。
利用者のプランを決定するとき、誰の意見で決めるかなど、意見が衝突することもしばしばあります。
それぞれの仕事の基本的な価値観や背景を全て把握することは大変でしょう。
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介護における人間関係を改善するには?
上記で介護業界の人間関係が複雑になりやすい要因を挙げました。
介護業界にいる限り、複雑になりやすい人間関係の中で過ごすことは仕方ないのでしょうか?
自分でもできる人間関係の改善手段はあるので、以下で記載していきます。
価値観の違いを理解する
先述したように、介護の業界は人を相手にする仕事なので、正解は介護を受ける対象者によって正解は異なります。
人によって価値観は異なるため、まずはそれぞれの価値観を知り、受け入れてみるといいかもしれません。
同調できるポイントを探してみましょう。
中立の立場を取る
職員による派閥が生まれる状況は、介護業界にも時には存在します。
どこかの派閥に無理に所属せず、中立的な立場を取ることは、人間関係を良くするために有効な手段です。
それぞれの派閥の同調ポイントに加えて、しっかり自分の意見も持っておくことが大事です。
普段から「自分は中立的な立場である」と示しておきましょう。
周囲との信頼関係を大事にする
日頃の態度や言葉遣いなどに気を付け、周囲の人たちとの信頼関係を築くようにしておきましょう。
いきなり人間関係を良好にすることが難しい場合は、相手のジェスチャーや言葉遣いなどを似せることを心がけ、安心感や親近感を抱いてもらうようにしましょう。
仕事以外に休みが取れる場所を用意する
同じ職場で同じ人間関係ばかりを築いていると、閉鎖的になって余計に疲れてしまいます。
そのため、職場以外の逃げ場を作ることがおすすめです。
例えば、介護業界に関係のない友人と会う時間や、趣味を満喫する時間など、自分をリラックスさせられる場所です。
陰口などには参加しない
陰口に参加することで、自分が意図しないうちに派閥に参加しているというパターンもあります。
そのため、陰口には極力参加しないことが大切です。
もしも陰口や悪口を振られたときは、「そうなんですね~」と軽く流してみてはいかがでしょうか?
日頃から、悪口には疎い自分を開示しておくことも有効かもしれません。
適度に自己開示をする
自分のささいな情報を開示しておくことで、相手にとっては親近感を抱き、仲良くなれるポイントになるかもしれません。
しかし、あまり多くの情報を開示すると面倒なことになったり、のろけや自慢に捉えられることもあるため、ほどほどの会話にすることが大切です。
自身の会話を振り返る
個人の価値観によって同僚と意見が異なることなどで、人間関係を複雑にする要素がたくさんあります。
しかし、自分の会話を振り返ることも大切です。
「自分も価値観を押し付けることを言っていないか」「失礼な態度を取っていないか」など、自分で反省して人間関係を改善できる場合もたくさんあるからです。
そういう人だと割り切る
一方的にうわさ話や悪口を持ちかけられると、うんざりしてしまいますよね。
価値観を曲げない人との仕事も疲れてしまうこともありますが、「この人はそういう人なんだ」と割り切ってしまうと楽になるかもしれません。
自分が疲れる人間関係にどっぷりと浸かる必要はないということを念頭に置いておきましょう。
それでも介護現場の人間関係が辛いと感じたら
さまざまな業界でも当てはまるはずですが、特に介護業界は人間関係が複雑になりやすい要素があります。
自分で人間関係を改善しようと思っても、なかなか上手くいかず辛く感じることも多いでしょう。
ここでは介護業界で人間関係が辛いと感じた時の対応について紹介していきます。
退職し他業界に転職する
思い切って全く違う業界に転職することもひとつの手です。
全く異なる業界への転職は心細いかもしれませんが、介護業界で培った体力や人間関係の乗り切り方など、アピールできるポイントはたくさんあります。
また、若い方が再スタートとして捉えられやすく、転職のハードルは高くないかもしれません。
別の介護施設に異動する
介護施設と一言で表しても、老人ホームでも10種類以上あり、自分に合った職場が別にあるかもしれません。
例えば特別養護老人ホームは複数の職員がいるためチームプレイがしやすいなど、自分にとっての得意分野を見つけてみましょう。
各施設のメリット、デメリットを事前に調べることが大切になります。
経験が活かせる業界は?
完全に介護と決別しなくとも、介護に間接的に関わる仕事があります。
介護事務、介護タクシー、保育士など、今までの経験を上手く活かせる業界を探してみてはいかがでしょうか?
人間関係は介護士が離職する主な原因
介護労働者の離職率は令和2年度現在、14.9%となっており、年々離職率は減少しております。
離職者の中でも勤続年数が短い労働者が多く、離職した理由として「職場の人間関係に不満があった」が23.9%であり、男女共に最も多い理由となっております。
介護職場で人間関係が悪いことや不満があることは少なくありません。
介護労働者の調査から、職場での人間関係等の悩みや不安、不満等を抱えている介護労働者は約6割もいることがわかっております。
部下からの指導が厳しいことや上司と合わない、同僚と意思疎通が取れないなどさまざまな悩みを抱えている方が多く見られます。
職場によっては相談窓口が設けられていることもあります。
抱え込まずに早めに相談しましょう。
苦手な人との関わり方には一工夫を!
職場環境を改善したり、自分でできる限りのことをしても、どうしても苦手な人というのはいるかもしれません。
そのような苦手な人との関わり方について、工夫できることはあります。
まず、自分とは異なる意見に真っ向から反対するのではなく、一度冷静になって引いてみると、意外と衝突しなくても済むかもしれません。
その他にも、自分の仕事で認められるように努力する、誰にでも優しく接することを心がけるなど、自分の意識や行動次第で人間関係が良くなる場合もあります。
自分ではどうしようもないときは距離を置くと同時に、自分を磨くことで改善できる場合は努力してみると、苦手な人との付き合い方も変わるかもしれません。
利用者と人間関係を築くには?
介護施設の利用者と人間関係を築くために、介護職としてひたむきで、明るくコミュニケーションがとれる人が必要とされております。
利用者は自分と向き合ってくれる人を求めており、一般的な会話だけでなく、楽しみを与えてくれる介護職員は貴重な存在となると考えられます。
利用者アンケートで介護施設を利用することで嬉しかったと感じたことについて尋ねた質問では、「介護職員や知り合いとの日常会話」と答えた方が最も多く見られました。
利用者は介護職員からの特別な声かけや配慮ではなく、日常生活の中で交わされる普段の会話が最も嬉しく感じているのです。
利用者に孤独を感じさせない人間関係を築くことが大切なのです。
介護と人間関係のまとめ
ここまで介護関連の仕事での人間関係についてお伝えしました。
要点を以下にまとめます。
- 介護業界での仕事は、人と関わる仕事なうえ、年齢層がバラバラという要素がある
- 介護における人間関係をより良くするには、苦手な人とは極力付き合わない、職場以外の逃げ場を作るなどが有効
- 介護業界で人間関係が辛いと感じたら、別業界への転職や、別施設への移動などの手段がある
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。