13超高齢社会となった現在、介護の現場では人手不足が深刻な問題となっています。
そのような中で、介護福祉士は介護のプロとして、今後もさらに需要が見込まれると考えられます。
介護福祉士について興味があり、試験の内容や、目指す方法が知りたい、という方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そこで本記事では、介護福祉士試験について以下の内容を中心に解説していきます。
- 介護福祉士試験の内容
- 介護福祉士を目指す方法
- 試験対策で意識すべき点
- 介護福祉士試験で注意すべき点
介護福祉士試験について知ることで、ぜひ資格取得の参考にしていただけたら幸いです。
ぜひ最後までご覧ください。
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介護福祉士とは?
介護福祉士は介護の資格の中でも、社会福祉及び介護福祉法に基づいて定められた国家資格です。
そのため、現場においても介護のプロとして、リーダー的な役割を担います。
介護福祉士の仕事は主に、被介護者の方への身体介護や生活援助、家族の方へのアドバイス、現場のスタッフへの指導などが挙げられます。
また、介護の現場以外でも、介護福祉士養成講座の講師のように、資格を活かせる仕事があります。
介護福祉士の資格を持っていることで、待遇面で優遇されることも多く、仕事の幅も広がります。
キャリアアップを目指したい方にとっても、ぜひ取得しておきたい資格といえます。
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介護福祉士試験の内容は?
介護福祉士の資格を取得するためには、介護福祉士国家試験に合格しなければなりません。
介護福祉士国家試験の内容について、詳しく解説します。
筆記試験
筆記試験は、五肢択一のマークシート形式で、1問1点の125点満点です。
午前と午後に分けて行われ、試験時間はそれぞれ110分ずつです。
出題範囲は、以下の11科目です。
- 人間の尊厳と自立、介護の基本
- 人間関係とコミュニケーション、コミュニケーション技術
- 社会の理解
- 生活支援技術
- 介護過程
- 発達と老化の理解
- 認知症の理解
- 障害の理解
- こころとからだのしくみ
- 医療的ケア
- 総合問題
実技試験
実技試験は、実際の介護現場で想定される出来事において、適切に対応できるのかを判断する試験です。
提示された課題に対し、5分以内で対応を行います。
合格基準
筆記試験の合格基準は60%程度とされ、さらに、上記の試験範囲の11科目群全てにおいて、得点があることが条件です。
実技試験の合格基準は課題の総得点の60%程度とされます。
受験料
2021年から受験料が改定され、1万8,380円となっています。
どこで申し込む?
社会福祉振興・試験センターで受験の申し込みをします。
初めて申し込む方は、郵送またはインターネットで「受験の手引き」を取り寄せ、期日までに受験に必要な書類を郵送します。
2回目からの申し込みの方は、社会福祉振興・試験センターのWEBサイトからインターネットによる受験申し込みが可能です。
次回の試験日程
介護福祉士国家試験は例年1月に筆記試験、3月上旬に実技試験が行われています。
令和5年度の第35回介護福祉士国家試験の実施日程は、以下の通りです。
- 筆記試験:令和5年1月29日(日)
- 実技試験:令和5年3月5日(日)
実技試験免除の場合も?
2016年の試験制度の改定により、一定の条件を満たせば実技試験を免除されることになりました。
現在では大半の受験者の方が免除される傾向にあります。
免除の対象かどうかは、介護福祉士を目指すための各ルートにより異なります。
養成講座ルート、実務経験ルート、2009年度以降入学の福祉系高校ルートでは実技試験が免除になります。
2009年度以降入学以外の福祉系高校ルート、経済連携協定ルートの場合は、介護技術講習、介護過程、介護過程Ⅲ、実務者研修(EPA介護福祉士候補者のみ可)のいずれかを履修することで免除になります。
社会福祉振興・試験センターのサイトに免除になる条件が記載されているので、受験される方は早めに確認しておくと安心です。
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介護福祉士を目指す方法はいくつもある?
介護福祉士を目指す方法は1つではなく、介護業界などでの勤務歴がない、未経験の方でも目指すことは可能です。
介護福祉士を目指すための各ルートの特徴を解説します。
実務経験ルート
介護施設などの介護現場で働きながら、介護福祉士を目指します。
実務経験は3年以上が必須であり、さらに、実務者研修を修了すると、国家試験の受験資格が得られます。
実務経験ルートには、以下のようなメリットがあります。
- 実技試験が免除される
- 実際の介護現場での実践経験を積める
- 他のルートより費用が抑えられる
しかし、未経験から目指す場合は、最低でも3年はかかりますし、働きながら実務者研修のための講座に通わなければなりません。
実際に介護現場で働いており、キャリアアップのために介護福祉士を目指すという方に適したルートです。
養成施設ルート
養成施設ルートは、高等学校卒業後、福祉関連の大学や短大を卒業していれば最短で一年、そうでなくても2年で介護福祉士の受験資格を得ることができ、実技試験も免除されます。
他のルートと比べても最短で受験資格を得たい方におすすめです。
また、令和8年度末までに養成施設を卒業する方は、卒業後の5年間であれば、介護福祉士国家試験を受験、もしくは合格しなくても、介護福祉士になることができます。
5年間の間に国家試験に合格するか、5年以上介護等の業務に従事することで、卒業後の5年を過ぎても、介護福祉士の資格を維持することができます。
しかし、令和9年度からは国家試験に合格しなければ介護福祉士にはなれません。
養成施設ルートでは、介護福祉士養成施設と認められる大学や専門学校などに通う必要があります。
そのため、高等学校卒業、または高卒認定試験に合格しておく必要があり、養成施設の学費もかかってきます。
福祉系高校ルート
福祉系高校ルートでは、福祉系の高校や福祉系特例高等学校を卒業し、国家試験を受けます。
福祉系高校の2009年度以降の入学者の方は、卒業後すぐに国家試験を受験でき、実技試験が免除されます。
2009年度以前の入学者の方は、国家試験で実技試験が必要になります。
しかし、介護技術講習、介護過程、介護過程Ⅲのいずれかを履修することで実技試験が免除されます。
また、福祉系特例高等学校を卒業した方は、実務経験を9ヶ月以上積んだ上で、国家試験の受験資格が得られます。
実技試験が必要ですが、介護技術講習、介護過程、介護過程Ⅲのいずれかを履修することで実技試験が免除されます。
中学卒業後、福祉系高校を卒業すれば国家試験を受験できるので、若くして介護福祉士になることが可能です。
経済連携協定ルート
経済連携協定ルートとは、インドネシア、フィリピン、ベトナムのEPA介護福祉候補者が日本で就労や研修をしながら、介護福祉士を目指すルートです。
まず、国ごとのEPA介護福祉候補者要件をクリアしなければなりません。
さらに、来日前の日本語研修、来日後の日本語研修、日本語能力検定試験の合格、3年以上の実務経験などを経て、国家試験の受験資格を得ることができます。
実技試験を受けなければなりませんが、介護技術講習、介護過程、介護過程Ⅲ、実務者研修のいずれかを履修すれば、実技試験が免除になります。
国家試験の勉強に加え、日本語の勉強も必要となるので、介護福祉士の資格取得までには大きな苦労が考えられます。
以上のように、介護福祉士になるためには、さまざまなルートがあるので、それぞれの実情に合わせたルートを選ぶことができます。
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介護福祉士国家試験の合格率
過去5年における介護福祉士国家試験の合格率は約70%前後で大きく変動はありません。
受験者数は9万人台から8万人台と徐々に減っている傾向にあります。
合格者数は毎年6万人程度となっています。
詳細は以下の表の通りです。
受験回 | 受験者数(人) | 合格者数(人) | 合格率(%) |
第34回 | 8万3082 | 6万99 | 72.3 |
第33回 | 8万4483 | 5万9975 | 71.0 |
第32回 | 8万4032 | 5万8745 | 69.9 |
第31回 | 9万4610 | 6万9736 | 73.7 |
第30回 | 9万2654 | 6万5574 | 70.8 |
試験対策で意識しておく点は?
介護福祉士国家試験の合格率は、近年では70%前後となっており、他の国家試験に比べて高い水準にあります。
しかし、年によっては難易度が上がることもあり、油断はできません。
もし、不合格の場合は翌年まで試験が無く、キャリアや待遇にも関わってくる問題なので、しっかりと対策をすることが大切です。
勉強時間を確保する
介護福祉士の出題範囲は11科目と広く、幅広い知識が必要です。
そのため、しっかりと時間を確保し、試験勉強をすることが合格へは欠かせません。
試験勉強は、試験日の3ヶ月から半年前くらいからはじめ、一日1時間から2時間ほど行う方が多いようです。
試験概要と試験日が分かれば、すぐに計画を立てて、勉強時間を確保しましょう。
過去問対策を行う
試験で高得点を取るために、過去問対策をきちんと行うことが重要です。
間違えた問題は、解説をしっかり読み、理解し、繰り返し解く、ということを徹底することで、知識が定着します。
さらに過去問を何年分か解くことで、よく出る問題の傾向も掴むことができます。
また、実際の試験を想定し、時間をはかって解くこともポイントです。
模擬試験にも挑戦する
模擬試験に挑戦しておくと、試験当日の緊張感に慣れる練習になります。
模擬試験では、過去の問題の傾向などから、出題されそうな問題を予想し出題されます。
そのため、自分の実力を把握することにも役に立ちます。
模擬試験は、自宅で受けられるものもあるので、自分に適したものを選んで挑戦できます。
実技試験は家族や友人を相手に練習する
実技試験が必要な方は、練習が大切です。
過去問をもとに、実際の試験を想定して行うと、本番でも慌てることなく実技に集中できます。
さらに、可能であれば家族や友人に練習相手になってもらうとより効果的です。
本番では、試験官の目の前で実技を行わなくてはならないので、緊張を和らげるためにもしっかりと練習しておくことが大切です。
どのような勉強法が良いのかは、人によって異なります。
独学が難しい場合は、スクールや通信講座を利用する方法もあります。
また、介護の知識があるか無いかでも勉強量も変わってくるので、自分に合う勉強法で合格を目指すことが大切です。
介護福祉士試験の注意点は?
介護福祉試験では、試験勉強をすることはもちろん大切ですが、そのほかにも注意すべき点があります。
証明書の発行は早めに申請する
介護福祉士試験の申し込みには、実務経験証明書や卒業証明書など、各自に応じた証明書が必要になります。
発行に時間がかかることもあるので、試験を受けると決めたら早めに申請しておくと安心です。
試験会場選びは慎重に
介護福祉試験の会場は、全ての都道府県に設置されるわけではありません。
令和3年度の場合、筆記試験は35会場、実技試験は東京、大阪の2会場となっています。
自分の住む都道府県が試験地になっていない場合もあるので、前日入りの可能性も含めて会場を選ぶ必要があります。
また、試験場所は毎年同じとは限らないので、昨年が家の近くだからといって、今年もそうなるとは限りません。
希望した試験地が定員オーバーの場合、別の所に振り分けられる可能性もあるので、早めの出願が大切です。
試験会場までの移動手段を確認する
試験当日の移動は、車を避けた方が良いです。
車は、突然の事故や渋滞、駐車場の確保など、時間が読めないため危険です。
もちろん、電車などの公共交通機関でも事故などの遅延もありますが、大幅な遅れは滅多にありません。
電車で会場までアクセスできるのであれば、多少不便でも電車での移動が安心です。
地方にお住まいの方など、電車で会場まで行けない場合は、前日入りを視野に入れましょう。
勉強のコツを掴む
介護保険制度など年によって変わることもあるので、テキストは最新のものを使うことがポイントです。
介護現場で実務を行なっている方は、実際に行なっている対応などをイメージして問題を解くと、正解を導きやすいことも多く、仕事時間が試験勉強になります。
また、試験対策アプリなどもあるので、時間がない方でも隙間時間を効果的に利用できます。
介護福祉試験を万全の状態で受けるためにも、早めの準備が大切です。
勉強の計画はもちろん、申し込みの準備なども早めに行いましょう。
介護福祉士試験の受験準備と受験後
介護福祉士試験の受験準備と受験後について以下の項目に分けて説明します。
- 介護福祉士試験の受験を決めてからまずすべきこと
- 介護福祉士試験の合格発表について
- 介護福祉士試験に合格した後について
それぞれの内容についてご紹介します。
介護福祉士試験の受験を決めてまずすべきこととは?
介護福祉士試験の受験を決めたら、まず受験申込書の受付期間を確認のうえ、以下のことをする必要があります。
- 受験申込み手続き
- 必要書類をそろえる
以下に受験申込み手続きと必要書類について説明します。
受験申込み手続き
受験申込み手続きの方法は以下のようになります。
試験の申し込み先 | 社会福祉振興・試験センター |
申込方法(初めての方) | ・「受験の手引き」の取り寄せ(郵送またはインターネット) ・ 受験に必要な書類を社会福祉振興・試験センターへ郵送 |
申込方法(2回目以上の申込の方) | インターネットによる受験申込みが可能 |
必要書類
受験申込みに必要な書類は受験資格区分によって変わります。
必要書類は送られてきた「受験の手引」に基づき確認が必要です。
受験資格区分2の方の参考例を以下に示します。
【全員が必要なもの】
- 受験申込書
- 受験手数料払込受領証貼付用紙
- 受験用写真等確認票
- 実務者研修修了証明書または実務者研修修了見込証明書
- 実務経験(見込)証明書
【一部の方が必要なもの】
- 従事日数内訳(見込)証明書(複数の事業所に同期間所属の場合)
- 証明書提出済申出書(過去の試験で受験票受け取った場合)
- その他、結婚などで受検申込書と変更が出た場合の書類(戸籍抄本など)
介護福祉士試験の合格発表は?
介護福祉士試験の合否は、例年3月下旬(筆記試験の約2ヵ月後)に発表されます。
筆記試験のみを受験の場合の合否は以下の方法で発表されます。
- 社会福祉振興・試験センターからの郵送通知(受験申込書記載の住所宛て)
- 社会福祉振興・試験センターのホームページに掲載
「受験資格見込み」で受験した場合、合格ラインに達していれば以下の流れになります。
- 「実務者研修修了証明書」をセンターへ提出(受付期限あり)
- 社会福祉振興・試験センターが証明書を確認後、あらためて合格通知発送
尚、実技試験も受験する場合は以下のようになります。
- 筆記試験の合否発表 :例年2月中
- 実技試験 :例年3月上旬
- 最終合否発表 :例年3月下旬
介護福祉士試験に合格した後、どうする?
介護福祉士試験に合格後、社会福祉振興・試験センターで資格登録をする必要があります。
資格登録の手順を以下にまとめます。
- 社会福祉振興・試験センターから合格証書と手続き書類の受け取り
- 登録申請書に記入(同封の「登録の手引き」にしたがって)
- 戸籍の証明書の準備及び以下の支払い
- 収入印紙(9,000円)を登録申請書の所定欄に貼り付け
- 登録手数料(3,320円)を同封の払込票で払い込み
- 該当者は証明書を用意(卒業証明書、実務経験証明書、研修修了証明書など)
- 社会福祉振興・試験センターへ資格登録書類を提出(簡易書留)
- 社会福祉振興・試験センターから登録証が郵送される(介護福祉士として登録後)
- 「介護福祉士」として介護業務に従事が可能
手続きに必要な書類や手数料などをあらためて以下にまとめます。
- 登録申請書
- 収入印紙(9,000円)
- 登録手数料(3,320円)
- 支払いを証明する書類(振替払込受付証明書など)
- 戸籍を証明する書類(以下1.~3.のうちいずれか1通)
- 1. 戸籍抄本の原本
- 2. 戸籍の個人事項証明書の原本
- 3. 本籍が記載された住民票の原本
- 介護福祉士養成施設などの卒業(修了)証明書の原本(該当者)
- 受験資格をみたしたことを証明する書類(該当合格者)
- 実務経験証明書(実務経験3年に達した場合の事業所発行のもの)
- 実務者研修修了証明書(研修実施者が発行したもの)
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介護福祉士試験のまとめ
ここまで、介護福祉試験について形態や受験資格などを中心に書いてきました。
記事のポイントをおさらいすると、以下の通りです。
- 介護福祉士試験は、毎年一回行われ、筆記試験と実技試験がある
- 介護福祉士を目指す方法には、実務経験ルート、養成施設ルート、福祉系高校ルート、経済連携協定ルートがある
- 試験対策で意識すべき点は勉強時間の確保、過去問対策、模擬試験の受験、実技試験対策などである
- 介護福祉士試験では、申し込み時の証明書の発行、会場選び、移動手段などにも注意が必要
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。