サービスの種類が多く利用の際に迷ってしまうこともある介護サービス。
専門知識がなければ正しく利用ができないこともある介護サービスですが、どのような種類や特徴があるのでしょうか?
今回、介護サービスについてご紹介した上で、その内容やサービスごとの違いについてもご紹介します。
- 介護サービスとは
- 介護サービスの種類
- 介護サービスを利用するうえでの注意点
介護サービスを利用する際に、参考にしていただけると幸いです。
是非最後までご覧ください。
また、現在介護をしていて悩みを抱えている、という方はこちらの記事も合わせてご覧ください。
超高齢社会の日本では、ご自宅で介護が必要な方も増えています。しかし家族にとって、在宅介護の負担はとても大きいです。介護の負担や悩みを解消できていないという方も多いのではないでしょうか?本記事では、介護の相談先や悩みを中心[…]
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介護サービスとは?
介護サービスとはその名の通り介護に関するサービスを意味しますが、その内容は身体介護から生活援助までさまざまです。
また、介護サービスの仕組みとして、介護保険サービスと介護保険外サービスがあります。
介護保険サービス
介護保険サービスは、介護保険制度によって利用できるサービスです。
所得に応じ、自己負担1~3割でサービスの利用が可能です。
対象者は40~64歳のうち特定疾病に該当する方か、65歳以上の方になります。
制度利用のための申請を行うことで要支援1~2、要介護1~5といった認定を受け、認定ごとに決められた支給限度額の範囲内でサービスを利用することができます。
介護保険外サービス
介護保険外サービスは、介護保険制度とは無関係の介護サービスです。
そのため、保険適用はありません。
ほとんどの方は介護保険サービスを利用しますが、年齢的な問題や、介護保険サービスで補えない場合に利用されることがあります。
内容については後述しますが、介護保険サービスより柔軟に対応してもらえるメリットがある分、費用が高くなる傾向にあります。
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自宅に訪問する訪問サービスとは?
自宅への訪問によって提供される介護サービスを、訪問系サービスといいます。
介護サービスでは最も基本的なサービスとなります。
訪問介護サービスについて、こちらでより詳しく解説していますので、合わせてご参考ください。
介護保険における居宅サービスの中でも代表的な訪問介護。条件によっては、訪問介護が利用できない場合もあります。一体、どのような条件や特徴があるのでしょうか?今回は、訪問介護について以下の点を中心にご紹介します。 […]
居宅介護支援
居宅介護支援とは、日常生活に介護を要する方が在宅生活を継続できるように、生活状況と課題を把握し介護サービス利用計画から利用調整までを行う支援となります。
支援を行うのはケアマネジャー(介護支援専門員)です。
介護が必要となる要因は身体状況をはじめ、病気、家族関係、経済問題とさまざまです。
専門的視点から問題を把握する必要性があるため、居宅介護支援が必要となります。
訪問介護
訪問介護は、介護スタッフが自宅へ訪問し、生活援助を行う介護サービスです。
援助の内容は、食事、入浴、排せつ、更衣などの身体介護のほか、炊事、掃除などまで多岐に渡ります。
要支援から要介護の方まで幅広く利用されていますが、独居生活をされている方の定期的な安否確認にもつながるサービスです。
訪問入浴
訪問入浴は、自宅の浴槽で入浴することができない方が、自宅で入浴介護を受けられるサービスです。
看護スタッフまたは介護スタッフが、専用の浴槽を自宅に持参します。
健康状態を把握しながら入浴介護を受けられ、家族が入浴介護を行えない場合や、後述する通所介護に通えない場合に有効なサービスです。
訪問看護
訪問看護は医師の指示のもと訪問看護師が自宅へ訪問し、健康状態のチェックや医療処置などを行う介護サービスです。
日常的に血圧測定や血糖測定が必要な方や、胃ろうの管理や褥瘡(じょくそう)の処置、インスリン管理などが必要な方の場合に有効なサービスです。
利用には医師の作成した指示書が必要になります。
訪問リハビリテーション
訪問リハビリテーションは、施設に通ってリハビリができない方や、在宅生活を想定したリハビリを希望される方に適したサービスです。
リハビリ内容にあわせて理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が自宅に訪問しリハビリを行います。
こちらも医師による指示書が必要となります。
居宅療養管理指導
居宅療養管理指導は、医師、薬剤師、リハビリスタッフ、管理栄養士などが自宅へ訪問し、専門的な助言や指導を行うサービスです。
あくまでも助言や指導を目的とした介護サービスなので、治療や処置を行うものではありません。
夜間対応型訪問介護
夜間対応型訪問介護は、夜間に必要な介護を行う目的でつくられたサービスです。
夜間帯に定期的な訪問を行い、必要な身体介護や安否確認を行う定期巡回と、緊急時などに駆けつけて対応する随時対応の2つの機能を兼ね備えています。
ただし、要支援1、2の方は利用できないため、注意が必要です。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護
定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、24時間365日の在宅介護を支援すべく作られた介護サービスです。
通常の訪問看護に加え、介護スタッフが定期的に巡回し、利用者宅を訪問する定期巡回サービスがあります。
また、24時間対応で連絡を取ることができ、訪問の必要性を判断したうえで随時訪問して介護を行います。
高齢化が進み、要介護者の増加や介護期間の長期化などがみられるようになりました。また、老老介護という言葉もあるように介護する家族も高齢化しています。そういった現状を踏まえ、介護の負担を減らすために作られた制度が介護保険です。[…]
自宅から通う通所サービスとは?
介護保険サービスの中には通いを中心としたサービスとして、通所系サービスがあります。
通所介護
通所介護(デイサービス)は介護保険サービスの中でも代表的なサービスの一つです。
食事、入浴、排泄などの日常生活全般の介護を施設に通いながら受けることができます。
利用時間は事業所ごとに違いますが、朝から夕方までが一般的で、入浴を目的に利用される方も少なくありません。
ほとんどの事業所が範囲内であれば送迎も行っているので、家族が送迎できない場合でも安心です。
通所リハビリテーション
通所リハビリテーション(デイケア)は、通所先でリハビリを受けることができるサービスです。
日常生活動作の維持・向上を目的に、習慣的にリハビリを行うことができます。
多くの事業所では通所介護の要素も兼ねていますが、リハビリだけを目的とした短時間利用を行っている事業所もあります。
地域密着型通所介護
地域密着型通所介護は、サービス利用ができる定員数を19人以下に制限した通所介護です。
提供サービスは通所介護同様、日常生活全般の介護を提供します。
利用者数が少ないため、より手厚いサービスが提供できます。
ただし、条件としてお住まいの場所と事業所の所在地が同じ市町村でなければいけません。
療養通所介護
療養通所介護は、前述の地域密着型通所介護に含まれる介護保険サービスです。
看護師による医療処置やケアを要する方を対象としています。
認知症対応型通所介護
認知症対応型通所介護も、地域密着型通所介護に含まれる介護保険サービスです。
その名の通り認知症の方に対するケアを目的としながら、日常生活全般の介護や認知機能低下予防に対する支援を行います。
今触れた通所サービスについて、さらに詳しく解説している記事もございますので、より詳しく知りたいという方はぜひご覧ください。
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一時的に宿泊できる短期入所サービスとは?
介護保険サービスには、一時的に施設へ宿泊できる短期入所サービスもあります。
短期入所生活介護
短期入所生活介護(ショートステイ)は、特別養護老人ホームなどの介護施設に宿泊し、日常生活全般の介護を受けることのできるサービスです。
介護者が何らかの事情で介護を行えない場合や、介護者自身の負担軽減を目的として利用できます。
宿泊期間は要介護認定によって違いますが、一般的には数日から数週間を目安に利用します。
短期入所療養介護
短期入所療養介護は、介護老人保健施設などの医師や看護師の配置のある施設へ宿泊し、全般的な介護に加え医療処置や看護ケアを受けられるサービスです。
褥瘡処置、胃ろう管理、痰の吸引などが必要な場合は、短期入所療養介護が対象となります。
訪問・通い・泊まりを組み合わせて利用するサービスとは?
居宅サービスでは、それぞれ異なる事業所から提供されるサービスを利用することになります。
事業所ごとに専門分野に特化したサービスを提供できる反面、情報共有にタイムラグが起きること、サービスごとにスタッフが変わってしまうといったデメリットがあります。
そうした居宅サービスの課題を解消できるサービスが小規模多機能型居宅介護です。
小規模多機能型居宅介護
小規模多機能型居宅介護は、訪問、通い、泊りといった主要サービスを同一事業所から受けることができるサービスです。
全てのサービスを同一事業所が提供することで、身体状況の変化や体調の変化を共有しやすいといった利点があります。
利用者や家族としても相談窓口が統一され、スタッフとの関係性も気づきやすく安心です。
ただし、費用は要介護度に応じた月額制となるため、あまりサービスを利用しない方は居宅サービスより費用が高くなる場合があります。
看護小規模多機能型居宅介護
看護小規模多機能型居宅介護は、小規模多機能型居宅介護に訪問看護が加わったサービスになります。
365日24時間の訪問看護の提供が可能です。
訪問、通い、泊りのほか、医療ケアが必要になる場合は、看護小規模多機能型居宅介護が対象となります。
施設で生活する際のサービスとは?
介護保険は在宅介護だけではなく、施設入所の際にも利用することができます。
以下、施設入所サービスについて説明します。
介護老人福祉施設
介護老人福祉施設は特別養護老人ホームとも呼ばれる施設です。
在宅での介護が困難な方を対象に、日常生活における食事、排泄、入浴、更衣などの介護を行います。
入所要件として要介護3以上の認定が必要です。
所得に応じて費用が異なりますが、入所費用は比較的安価です。
また、長期的な入所が可能なため人気も高く、空きがでるまで年単位での入所待機が必要になる場合もあります。
介護老人保健施設
介護老人保健施設は、日常生活全般の介護に加え医療処置やリハビリの提供もある施設です。
施設内には医師、看護師、介護士、リハビリスタッフ(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)が配置されています。
入所条件として要介護1以上の認定が必要です。
また、長期的な入所はできず、3~6カ月程度の入所が目安になる点には注意が必要です。
リハビリを経て自宅介護を行うか、ほかに入所できる施設を探さなくてはなりません。
介護療養型医療施設
介護療養型医療施設は、2023年度末で廃止が決まっている施設サービスです。
介護療養病床とも呼ばれますが、病院内の病棟の一つとして運営されていることもあります。
医師、看護師による療養管理を目的とした施設サービスになります。
特定施設入居者生活介護
特定施設入居者生活介護は、高齢者が入所した特定施設内で困難なく生活を送れるように、日常生活全般における介護を提供するサービスです。
特定施設には、介護付き有料老人ホーム、軽費老人ホーム、養護老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅があります。
また、特定施設とは介護サービス費用が介護保険の適用になる施設のことです。
介護医療院
介護医療院は、廃止が決まっている介護療養型医療施設に代わる施設として創設されました。
介護医療院には2つのタイプがあり、Ⅰ型とⅡ型の2つに分かれます。
Ⅰ型は介助量が多く療養管理が必要な方を対象としています。
一方、Ⅱ型は介護老人保健施設相当の機能をもち、Ⅰ型よりも容態が比較的安定した方が対象です。
リハビリを通して在宅復帰支援などを行います。
認知症対応型共同生活介護
認知症対応型共同生活介護は、通称グループホームとも呼ばれる施設です。
要支援2以上で認知症の診断のある方が対象です。
最大9名を1ユニットとして、より家庭的な環境の中、日常生活全般の介護を行います。
大規模な施設とは違いスタッフや入居者の人数が少なく、環境の変化に弱い認知症の方でも安心して生活することができる施設です。
地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
地域密着型介護老人福祉施設は、小規模特養などとも呼ばれています。
受けられる介護の内容は介護老人福祉施設と違いはありませんが、地域密着サービスの位置づけとなっており入所定員は29名以下です。
こちらも要介護3以上の認定が必要となります。
また、居住地と施設の所在地が同じ市町村でないと利用できません。
地域密着型特定施設入居者生活介護
地域密着型特定施設入居者生活介護は、先に述べた特定施設入居者生活介護の地域密着型サービス版になります。
こちらも地域密着型介護老人福祉施設と同様に、入所定員が29名以下となっており、居住地と施設の所在地が同じ市町村でないと利用できません。
生活環境を整備するサービスとは
介護保険サービスには直接的な介護のほか、住宅環境や生活環境を整備するサービスもあります。
福祉用具貸与
福祉用具貸与はその名の通り、福祉用具をレンタルできるサービスです。
保険適用となるので、所得に応じて1~3割負担で福祉用具のレンタルができます。
車いす、歩行用杖、特殊寝台(介護用ベッド)、特殊寝台付属品、手すりなどが対象となります。
特定福祉用具購入
特定福祉用具購入は、衛生管理上レンタルの対象とするのが困難な福祉用具について、保険を適用して購入できるサービスです。
たとえば、ポータブルトイレやシャワーチェアなど、排泄や入浴時に使用する福祉用具などが該当します。
住宅改修
住宅改修は、自宅での生活を継続していくために必要となる改修工事に、保険が適用されるサービスです。
手すりの設置や段差の解消などを行うことができます。
一人につき20万円まで保険適用となります。
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保険外サービスにはこんなサービスも?
介護が必要となっても、受けたいサービスが介護保険の適用にならない場合もあります。
そういった場合には保険外サービスを利用することで、問題を解決できることもあります。
家事代行サービス
介護保険サービスの訪問介護が提供するサービスにも家事援助は含まれていますが、要介護度によっては利用できる回数や時間が制限されてしまいます。
万が一、介護認定の度合いが低く満足に家事援助を受けられないことがあれば、介護保険外の家事代行サービスを利用することも方法の一つです。
費用は高くなりますが、回数や利用時間の自由度が高く、サービスの不足分を補うことができます。
訪問理美容サービス
訪問理美容サービスは理美容室に通うことができない方を対象に、ご自宅や施設内で理美容サービスを受けられるサービスです。
介護保険の適用はありませんが、自治体によっては費用の助成なども行っていることがあります。
洗濯代行サービス
洗濯代行を行う民間サービスは多くありますが、自治体によっては見守りサービスを兼ねた洗濯代行サービスを行っている場所もあります。
介護保険サービスの訪問介護でも洗濯は行ってもらえますが、要介護度の関係で利用計画に組み込めない場合には有効です。
配食サービス
配食サービスは、食事をつくることができない方を対象に、お弁当を配達するサービスです。
定時の安否確認にもつながるため、独居世帯の方には人気のサービスです。
事業者によっては糖尿病食や心臓病食など、病気に合わせた食事の提供が可能な場合もあります。
移送・送迎サービス
現在、多くのタクシー会社や個人タクシー業者などが、福祉車両を用いた移送・送迎サービスを行っています。
主に介護タクシーと呼ばれ、車いすごとの搬送やストレッチャーによる搬送が必要な方でも安心して移送・送迎してもらえるサービスです。
事業者によっては看護師が同乗し、医療管理が必要な方にも対応しているところもあります。
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介護サービスを利用する上での注意点
介護保険の要介護認定は、介護量の低い方から非該当(自立)、要支援1~2、要介護1~5となっています。
それぞれの認定にはサービス利用支給限度額が決められており、好きなだけサービスを利用できるわけではありません。
支給限度額内であれば所得に応じた1~3割の自己負担でサービス利用ができます。
ただし、支給限度額を超過した場合には、超過分を全額自己負担する必要があるので注意が必要です。
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要支援でも介護サービスは受けられる
要支援認定は、生活における一部分の援助を必要とする比較的自立度が高い位置づけの認定です。
受けられるサービスは介護予防サービスとも呼ばれ、要介護状態になることを防ぐ意味合いでサービスが提供されます。
そのため、サービス利用支給限度額も要介護認定の場合と比べ低い設定になっていますが、サービスが利用できないわけではありません。
要支援認定でも、家事援助を目的として訪問介護サービスを利用したり、身体機能の低下を防ぐため通所リハビリを利用したりすることができます。
ただし、要介護度によって利用できないサービスもあるため注意が必要です。
たとえば、介護老人保健施設への入所は要介護1以上、介護老人福祉施設への入所は要介護3以上が必要です。
福祉用具貸与についても、車いすや特殊寝台など特別な理由がなければ、要支援認定では利用することができないものもあります。
介護サービスのまとめ
ここまで介護サービスの特徴や、その内容・サービスごとの違いなどを中心にお伝えしてきました。
要点を以下にまとめます。
- 介護サービスの内容は身体介護から生活援助までさまざま
- 介護サービスには、訪問、通所、短期入所、長期入所といったさまざまな種類がある
- 介護サービスにはサービス利用支給限度額が決められており、好きなだけ利用できるわけではない
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。