高齢者の多くが利用している介護保険サービス。
介護保険サービスについて調べると、介護認定という言葉が良く目につくと思います。
介護認定とはどういうものなのでしょうか?
本記事では、介護認定についてや介護認定の種類を以下の点を中心にご紹介します。
- 要支援、要介護の区分
- 介護認定の申請に必要なもの
- 介護認定を受けるコツ
介護認定について理解し、正確に利用するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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介護認定とは?
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介護認定とは、介護保険サービスを利用する際に必要な認定調査のことです。
要介護認定とも言われます。
介護保険サービスには、要支援1・2、要介護1・2・3・4・5の7種類の区分があります。
区分ごとに利用できるサービスの種類や時間が変わってきます。
その為にご利用者様の現在の状態を確認し、どの位介護サービスが必要かを算出します。
そして算出することを介護認定と言います。
この介護認定を申請しないと介護保険サービスを利用することはできません。
介護認定には一次判定と二次判定があり、正確な結果を出せるような仕組みになっています。
介護認定の申請に必要な書類や申請方法については、後程詳しくご説明させていただきます。
また、ご家族の介護の際に申請できる介護休業給付金制度を利用する際にも介護認定が重要になります。
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要支援の区分とは?
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介護保険サービスには区分が存在します。
その中で、まず要支援についてご説明いたします。
要支援とは、介護予防サービスとも呼ばれます。
日常生活の基本的なことは自分で行えるが、多少の支援が必要な状態を指します。
この要支援には2種類の区分が存在します。
区分ごとに詳しく見ていきましょう。
要支援1
要支援1とは、自立した状態に最も近い区分です。
要介護認定等基準時間が25分以上32分未満か、これに相当すると認められた状態。
ほぼご自身で日常生活を送ることができる為、日常の一部のみ見守りや支援が必要な状態です。
心身状態の例
- 基本的な日常生活や食事や排泄も自分で行える状態
- 部屋や浴槽などの掃除の一部に見守りや支援が必要
- 立ち上がるなどの動作に支えが必要な場合がある
要支援2
要支援2とは、要支援1に比べ自分でできることが減ってきた状態です。
要介護認定等基準時間が32分以上50分未満か、これに相当すると認められた状態。
自分でできることが減ってきているので、日常の一部に介護や介助が必要な状態です。
しかし、病気などにより心身不安定の場合や認知症の場合は要介護区分になる場合があります。
心身状態の例
- 食事や排泄は自分で行える状態
- 身の回りのことや身だしなみについて、見守りや手助けが必要
- 歩く際の動作に支えが必要な場合がある
高齢化が進み、要介護者の増加や介護期間の長期化などがみられるようになりました。また、老老介護という言葉もあるように介護する家族も高齢化しています。そういった現状を踏まえ、介護の負担を減らすために作られた制度が介護保険です。[…]
要介護の区分とは?
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要支援の他に介護保険サービスの大きな区分として、要介護があります。
要介護とは、日常生活全般においてご自分で行うことが難しい状態を指します。
この要介護には5種類の区分が存在します。
区分ごとに詳しく見ていきましょう。
要介護1
病気などにより心身不安定な状態や認知症の影響で要支援の利用が難しい状態です。
要介護認定等基準時間が32分以上50分未満か、これに相当すると認められた状態。
例えば、食事・排泄・入浴の介護や掃除や買い物などの生活支援が必要な状態です。
心身状態の例
- 起き上がることや立ち上がることが自分では難しく、支えが必要な状態
- 電話の使い方やお薬の管理などの手段的日常動作能力の低下が見られる
- 混乱や理解低下が見られ、認知機能が低下している状態
要介護2
要介護2とは、要介護1に比べ多くの日常生活の場面で介助が必要になる状態です。
要介護認定等基準時間が50分以上70分未満か、これに相当すると認められた状態。
例えば、見守りがあれば着替えは自力で行うことができるが、排泄や入浴に介助が必要な状態です。
心身状態の例
- 起き上がることや立ち上がることが自分では困難な状態
- 排泄や食事などの日常生活において部分的な介助が必要になる
要介護3
要介護3は、生活面で全面的な介助が必要な状態です。
要介護認定等基準時間が70分以上90分未満か、これに相当すると認められた状態。
例えば、排泄や入浴・身の回りのこと全てに介助が必要な状態で、認知症の症状がある場合があります。
心身状態の例
- 起き上がりや立ち上がりに加え歩行も自分では困難な状態。
- 日常生活でも全面的な介助が必要になり、排泄や食事などが自分では困難な状態。
要介護4
要介護4とは、介護無く日常生活を送ることは困難な状態です。
要介護認定等基準時間が90分以上110分未満か、これに相当すると認められた状態。
食事なども介護が無ければ行うことが困難で、認知機能の面でも理解力の低下が見られる場合があります。
例えば、日常生活では全面的な介護が必要になり、認知症による暴言や暴力などの症状が見られます。
心身状態の例
- 食事や排泄など日常生活において必要なことが介護なしでは行えない状態
- 歩行も困難になり、車いすを利用する場合が多い
- 記憶力の低下が見られ、問題行動をとる場合もある
要介護5
要介護5とは、寝たきりの状態が多く介護なしで生活を送ることが難しい状態です。
要介護認定等基準時間が110分以上又は、これに相当すると認められた状態。
例えば、寝たきりの状態なので、食事やおむつの交換などの身体的な介護が増えていきます。
心身状態の例
- 寝たきりの状態が多い
- 生活する上全てにおいて介護が必要になる状態
- 理解力や判断力が低下し、意思疎通も困難な場合がある
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介護認定を受けるには?
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介護保険サービスを利用するには、介護認定を受ける必要があると説明しました。
介護認定と聞くと、とてもややこしく難しい印象をもつかと思います。
しかし、申請に必要なものを確認し申請の手順を理解しておけば、問題なく行えることでしょう。
申請に必要なものや申請手順について詳しくご説明します。
申請に必要なもの
介護認定の申請には印鑑と以下の書類が必要です。
介護保険要介護・要支援認定申請書
市区町村の窓口にて入手できます。
お仕事などで忙しく窓口へ行くことが困難な場合は、Webサイトからも入手することができます。
介護保険被保険者証
ご利用者様が65歳以上の場合は介護保険被保険者証を準備しましょう。
ご利用者様が40歳~64歳の場合は、健康保険被保険者証を用意しましょう。
主治医の意見書
主治医の氏名や病院名などの必要事項を提出すれば、市区町村が意見書の依頼をしてくれます。
もし、主治医がいない場合は市区町村が指定する医師に診察を受け、必要事項を提出すれば問題ありません。
申請手順
申請をし、認定を受けるまでの流れは以下の通りです。
市区町村に申請する
申請に必要なものを揃えたら、ご利用者様のお住いの市区町村の窓口に申請をしましょう。
また、申請時に被保険者証を提出すると認定結果が出るまで市区町村に預けることになります。
その際、被保険者証の代わりになる介護保険資格者証を必ず受け取りましょう。
一次判定
一次判定はコンピューターにある情報をもとに、ご利用者様の状況と照らし合わせ算出されます。
その際、正確に利用者様の状況を把握すべく訪問調査が行われます。
訪問調査員やケアマネージャーと日程を合わせ、ご本人とご家族から現状の聞き取りをします。
現状どの程度困っていて、どの位の介護が必要か確認をします。
この訪問調査も情報として照らし合わせ、介護区分が算出されます。
二次判定
一次判定の結果をもとに、主治医の意見書の情報を合わせ介護認定審査会が開催されます。
算出された区分がご利用者様の現在の状況に正確に合っているかなどを話し合います。
話し合いの結果、最終的な区分が確定し、介護保険サービスを利用出来るようになります。
審査結果
審査結果は、申請日の30日以内に認定結果と介護保険被保険者証が郵送されてきます。
認定結果が現状と合っていないと感じた際は、不服申し立てを行うことができます。
結果が出た翌日から3カ月以内に介護保険審査会へ不服申し立てを行いましょう。
介護認定を受けると?
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介護認定を受けるとようやく介護保険サービスを利用することができます。
介護認定後の流れについて各項目ごとにご紹介します。
ケアマネジャーと共にケアプランの作成
担当のケアマネージャーと共に、サービスを利用するにあたりプランを建てる必要があります。
このプランをケアプランと言います。
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介護認定の結果要支援となった場合
ケアプランの作成を行うのは、地域包括支援センターです。
地域包括支援センターとは、各市町村が主体となった高齢者を支える総合相談窓口です。
この地域包括支援センターがプラン作成し、プランにそったサービスを提供できる介護事業所と契約を行います。
その後、介護予防サービスを利用できるようになります。
介護認定の結果要介護となった場合
ケアプランを行うのは、ケアマネージャーの在籍している委託介護支援事業者です。
施設の利用を検討されている場合は、施設のケアマネージャーへプラン作成をお願いします。
ご利用者様もご家族も納得できるよう、意見や希望も正確に伝える必要があります。
認定結果に不満があるなら
先ほども少し触れましたが、認定結果に不満がある場合は不服申し立てをすることができます。
訪問調査で、何らかの理由が生じご利用者様の現在の状況が上手く伝わらない事があります。
そうすると、実際必要な区分と算出された区分にズレが生じます。
その場合は、認定結果の出た翌日から3カ月以内であれば不服申し立てができます。
各都道府県の介護保険審査会へ申し立てを行い、再審査をしていただきます。
この再審査には数カ月ほど時間がかかる場合もあります。
ですので、訪問調査の際は現状をはっきりと伝える事を心がけましょう。
介護認定にはコツがある?
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介護認定を受ける際は、訪問調査をし、ご本人やご家族に聞き取り調査を行います。
この際に現状が上手く伝わらず、必要とする介護区分が算出されない場合があります。
また、認定結果に不満があれば不服申し立てを行うことができますが認定結果に数カ月かかってしまいます。
このようなことが無いように、どのような点に気を付けて対応すれば良いでしょうか?
①訪問調査にはなるべく家族が同席する。
訪問調査の際は、ご本人だけではなくご家族も同席することをお勧めします。
ご本人だけだと現状を客観的に伝える事ができず、間違った認定を受けてしまう事があります。
また、調査員に対し困っている事を伝えられず、隠してしまう方もいらっしゃいます。
この様なことを防ぐためにもご家族は同席しましょう。
②訪問調査員の訪問時間を気を付ける。
調査員が訪問する際は事前に日時の打ち合わせを行います。
その際は、夕方以降に訪問していただくと良いでしょう。
ご高齢のご利用者様の場合、比較的午前中は元気に行動されます。
午前中に訪問調査が入ると、元気な姿を見て介護認定を算出してしまいます。
夕方以降に訪問することで普段の困っている姿を目にすることができます。
③困っていることや心配なことは正直に伝える。
聞き取り調査だけでは、ご本人やご家族が本当に困っていることは分かりません。
ですので、困っていることや心配なことがある場合は事前にメモし伝えると良いでしょう。
また、言葉では伝えづらいことは動画を撮っておくのも一つのポイントです。
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介護認定後に利用できるサービスは?
介護認定後、介護保険サービスの利用が可能になります。
ただ、介護区分によって利用できるサービスは異なります。
ここでは簡単に、介護認定後に利用できるサービスをタイプ別にご紹介します。
要支援で利用できるサービス
まずは、介護の度合いが軽度とされる要支援認定で利用可能なサービスです。
訪問型
- 介護予防訪問入浴介護
- 介護予防訪問リハビリ
- 介護予防居宅療養管理指導
通所型
介護予防通所リハビリ(デイケア)
宿泊型
- 介護予防短期入所生活介護(ショートステイ)
- 介護予防短期入所療養介護(医療型ショートステイ)
その他サービス
通常の介護予防サービスに加えて、福祉用具もレンタル可能です。
要支援の方の場合、立ち上がる際の補助や、転倒防止の介助が可能な用具を選ぶことができます。
レンタル可能な用具は主に以下のとおりです。
- 歩行器
- 歩行補助杖
- 手すり(工事なし)
- 自動排泄処理装置(排便機能なし)…排尿などを自動感知し吸引・洗浄などを行う)
用具によっては工事しないものや、機能制限があるものが含まれています。
利用する際は事前確認が必要です。
要介護で利用できるサービス
続いて、要支援よりも介護度が高い要介護認定で利用可能なサービスは以下のとおりです。
訪問型
- 訪問介護(ホームヘルプ)
- 訪問入浴
- 訪問介護
- 訪問リハビリ
- 夜間対応型訪問介護
- 定期巡回・順次対応型訪問介護・看護
通所型
- 通所介護(デイサービス)
- 通所リハビリ(デイケア)
- 地域密着型通所介護
- 療養通所介護
- 認知症対応型通所介護
宿泊型
- 小規模多機能居宅介護
- 介護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)
- 短期入所生活介護(ショートステイ)
- 短期入所療養介護
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区分毎の支給限度額は?
1か月あたりの区分支給限度額を、サービス利用費用(10割額)も合わせてご紹介します。
実際の支給限度額は、金額ではなく「単位」です。
サービスの種類によって1単位あたりの単価が異なります。
要支援1
5032単位(5万320円~5万7364円)
要支援2
1万531単位(10万5310円~12万53円)
要介護1
1万6765単位(16万7650円~19万1121円)
要介護2
1万9705単位(19万7050円~22万4637円)
要介護3
2万7048単位(27万480円~30万8347円)
要介護4
3万938単位(30万9380円~35万2693円)
要介護5
3万6217単位(36万2170円~41万2873円)
支給限度額の対象サービス
支給限度額に含まれるサービスは以下のとおりです。
- 訪問介護
- 訪問入浴介護
- 訪問看護
- 訪問リハビリテーション
- 通所介護
- 通所リハビリテーション
- 福祉用具貸与
- 短期入所生活介護
- 短期入所療養介護
- 特定施設入所者生活介護(短期利用のみ)
- 定期巡回・随時対応サービス
- 夜間対応型訪問介護
- 認知症対応型通所介護
- 小規模多機能型居宅介護
- 認知症対応型共同生活介護(短期利用のみ)
- 地域密着型特定施設入所者生活介護
- 看護小規模多機能型居宅介護
支給限度額の対象外サービス
支給限度額に含まれないサービスは以下のとおりです。
- 居宅療養管理指導
- 特定施設入所者生活介護(外部サービス・短期利用を除く)
- 認知症対応型共同生活介護(短期利用除く)
- 地域密着型特定施設入所者生活介護(短期利用除く)
- 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
- 介護老人福祉施設
- 介護老人保健施設
- 介護療養型医療施設
- 介護医療院
以上のサービスを利用する場合、食費・居住費・日用品費などは別途必要です。
また、区分支給限度額を超えたサービス利用も全額自己負担になります。
利用する際は注意しましょう。
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介護認定のまとめ
今回は、介護認定と介護認定の流れについてご紹介しました。
要点を以下にまとめます。
- 介護認定とは、介護保険サービスを受けるのに必要な認定調査
- 要支援の区分とは、要支援1・2があり比較的自分で行えることが多い状態
- 要介護の区分とは、要介護1・2・3・4・5があり、一部または全面的に介護が必要な状態
- 介護認定を受ける際は、訪問調査の訪問時間に注意し、ご家族はなるべく同席しましょう
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。