40歳以上の方に支払いの義務が課せられる介護保険は、介護が必要となったときに役立つ制度です。
特に、介護サービスを利用する方は介護保険の「被保険者証(介護保険証)」をよく使いますが、実はある条件をクリアしていないと交付してもらえない場合があるので注意が必要です。
そこで、この記事では介護保険証について以下の項目を中心に解説していきます。
- 介護保険の介護保険証の交付条件や利用例
- 介護保険証を利用する際の注意点
- 介護保険証を紛失したときに行う手続き
原則1割負担の介護保険の負担額がどんな時に2割・3割になるのか、についても触れているのでぜひ最後までご覧ください。
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介護保険の介護保険証とは
※画像はイメージです
介護保険の介護保険証は、介護保険に加入している被保険者が交付してもらえる保険証のようなものです。
医療保険が交付する健康保険証とよく似ていますが、発行元が違います。
介護保険が交付する介護保険証は、条件を満たしていないと交付してもらえない場合があるので気を付ける必要があります。
ここからは、注意すべき点について解説しいていきます。
交付条件
交付条件では、どのような条件を満たす必要があるのでしょうか。
具体的な条件を知らない方が多いと思いますので、まずは交付条件について紹介していきます。
65歳以上の方(第1号被保険者証)
まずは、65歳以上の方の場合についてです。
65歳以上の方の場合は、特別な手続きを行わなくても誕生日を迎える月に市町村から自動的に交付されます。
まだ若いと感じ、介護保険証をすぐに利用する機会がないという方も多いと思います。
しかし、重要なものなので大切に保管するようにしましょう。
40歳以上65歳未満の方(第2号保険者証)
次は、40歳以上65歳未満の方の場合についてです。
介護保険に加入する年齢は40歳ですので被保険者にあたりますが、原則交付は65歳以上と決まっています。
しかし、末期がんなどを含む16の特定疾病などが原因で要介護認定を受ける場合は、市町村から介護保険証が交付されます。
介護保険証は、要介護(要支援)認定の結果とともに送られてきますので、交付を希望する方は要介護認定を受けましょう。
備考ですが、要介護認定には認定期間(有効期限)が定められています。
したがって、期間内に必ず更新手続きを行うようにしましょう。
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介護保険証の使い方
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介護保険証を使うタイミングと、介護保険によって利用可能なサービスをご紹介します。
介護保険証を使うタイミングは主に以下のとおりです。
- 要介護認定の申請および更新時
- ケアプランの作成依頼時
- 介護給付費の申請時 など
要介護認定に関しては、本人または家族が市役所の窓口で申請します。
家族が遠方な上に自分で市役所に行くのが難しい場合は、ケアプラン作成業者に依頼することも可能です。
続いて、介護保険証を持つことによって受けられるサービスは以下のとおりです。
- 施設サービス…老人ホーム入居など
- 居宅サービス…訪問介護・訪問看護など
- 地域密着型サービス…小規模多機能型居宅介護など
- 介護予防サービス…介護予防通所介護など
- 地域密着型介護予防サービス…認知症対応型通所介護など
どのサービスを受ける際にも、介護保険証の提示が必要です。
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介護保険証だけではサービスを受けられない
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介護保険証を持っているとすぐにでもサービスを利用できるような印象を受けますが、実は介護保険証ではサービスを受けられないので注意が必要です。
サービスを受けるためには、要介護認定を受ける必要があります。
40歳以上65歳未満の方は、介護保険証を交付してもらう時に要介護認定を受けます。
しかし、65歳以上の方は要介護認定を受けないで介護保険証を交付してもらえるため、要介護認定してもらうことを忘れないようにしましょう。
また、有効期限が切れていることに気づいたら市町村の介護保険課の窓口まで行き要介護認定を受けるために申請を行ってください。
介護保険の更新についても解説していますので、興味のある方は、こちらも併せてご参考ください。
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介護保険証を紛失・住所変更するには?
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介護保険証を無くしてしまった場合と住所が変更になった場合には手続きが必要です。
期限内に手続きを行わないと、これまでと同じようなサービスを受けられなくなる可能性がありますので注意しましょう。
それぞれの場合について紹介します。
介護保険証を紛失
介護保険証を紛失した場合には、まず市役所などのある介護保険課で再交付手続きを行いましょう。
また、介護保険証を本人が申請するのが難しい場合には本人以外の方が代行することもできます。
再交付手続きを行った後に、介護保険証が見つかる場合もあると思います。
そうした場合は以前使っていた介護保険証は介護保険課に速やかに返納しましょう。
介護保険証を紛失した場合の手続きについて興味がある方は、こちらの記事も併せてご参考ください。
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住所を変更
次は住所を変更する場合についてですが、実は引っ越し先が「同じ市町村にある場合」と「別の市町村にある場合」で少し手続きが違います。
特に、別の市町村に住所を変更する場合は期限など気を付けて欲しい点もありますのでそれぞれ紹介していきます。
同じ市区町村の場合
まず、同じ市町村の場合は転居届と同じタイミングで手続きを行いましょう。
転居届と一緒に介護保険証を提示するだけで、住所を変更してくれる市町村もありますので転居届を出される前に窓口で確認することをおすすめします。
住所を変更した後も介護認定の内容やサービス内容などはそのまま引き継がれるので、これまでと同じサービスをご利用することができます。
別の市町村の場合
別の市町村に住所を変更する場合には、転出届を出す前と転入届を出した後に手続きを行う必要があります。
まずは、転出届を出す前に介護保険課の窓口で資格喪失手続きを行いましょう。
手続きの際に介護保険証を返納する必要がありますが、同時に受給資格証明書が交付されます。
受給資格証明書は、転出先の市町村に提出する必要がある重要な書類なのでなくさないように注意してください。
その後の手続きは、転入届を出してから行います。
転入届を提出してから14日以内に、介護保険課の窓口に受給資格書を提出することで介護保険証を交付してもらえます。
しかし、15日以上経過してから手続きを行うと要介護認定を申請するところからやり直さないといけなくなるため注意しましょう。
また、こちらの場合も介護認定の内容などはそのまま引き継がれます。
転出前に利用していた介護サービスを利用できなくなる可能性もありますので、早めの申請を心がけましょう。
介護サービスの流れとは
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介護保険の被保険者証「介護保険証」について紹介してきましたが、実際のところ介護サービスをどのように利用したらよいのか分からないという方も多いと思います。
したがって、サービスを利用するにはどのような流れで手続きを行う必要があるのかについて詳しく紹介していきます。
要介護認定の申請
まず、要介護認定を行うための申請をしましょう。
手続きは、お住いの市町村の市役所などにある介護保険課の窓口で行うことができます。
手続きには介護保険証が必要ですが、まだ交付されていない方(40歳以上64歳以下の方)も健康保険証を提示することで申請可能です。
申請時に、次のステップで紹介する認定調査を実施する日を決める場合があります。
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認定調査・主治医意見書
要介護認定の申請を受け付けた市町村は、要介護認定を決定するために必要な認定調査を実施します。
市町村の職員が直接、自宅や施設などへ足を運び、認定調査を行う場合が多いです。
認定調査は、心や身体の状態を確認し状態をよく知っている方への聞き取りを行います。
また要介護度を決定するためには、認定調査だけでなくかかりつけの主治医が作成する主治医意見書も必要となりますが、市町村の依頼で作成するため作成時にかかる費用はありません。
市町村ごとに主治医意見書を作成する医療機関(医者)が決まっていますので、かかりつけの病院がないという方も安心できます。
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審査判定
認定調査の結果と主治医意見書をもとに、要介護認定の審査が行われます。
要介護認定の審査は以下の流れで行われます。
- 認定調査の結果と主治医意見書から「コンピューター」が判定する(一次判定)
- 一次判定による判定結果と主治医意見書から「介護認定審査会」が判定する(二次審査)
- 介護認定審査会による判定結果から、市町村は要介護度などを決定する
審査が完了したら、申請者の元に審査結果が届きます。
また、対象者には同時に介護保険証も郵送にて交付されるのできちんと届いているか確認するようにしてください。
介護サービスの計画書の作成
要介護認定によって決定した介護度に基づき、介護サービスの計画書が作成されます。
- 要支援1~2の方の場合:地域包括支援センターのケアマネージャーが「介護予防サービス計画書」を作成
- 要介護1~5の方の場合:居宅介護支援事業者(県知事指定)のケアマネジャーが「介護サービス計画書」を作成
どちらの場合でも、どの施設をえらんでどんなサービスを受けるのかを申請者や家族の意向に寄り添って計画していただけます。
要介護認定の結果が非該当の場合でも市町村によっては利用できるサービスがあるケースもあるので、介護保険課の窓口などで相談することをおすすめします。
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介護保険負担割合証とは
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要介護認定の結果と一緒に送られてくるのは介護保険証だけではありません。
市町村が対象であると認定した方には、介護保険負担割合証も交付されます。
介護保険負担割合証とは、申請者本人や同じ世帯の家族の前年度の収入に応じて負担する必要がある割合を決定する制度です。
また、負担割合は1割から3割のうちのどれかとなります。
基準は以下のように定められています。
- 2割もしくは3割負担の方:本人や世帯の所得が定められている金額よりも多い場合に対象となる(65歳以上)
- 1割負担の方:上記の対象から外れる場合(65歳以上)と40歳以上64歳までの方
介護負担割合証は特別に申請を行わなくても交付・更新をしてもらえるので、介護負担割合証が届くと介護保険証と一緒に保管しておくことをおすすめします。
2割または3割負担の対象の方とは?
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本人もしくは世帯内の65歳以上の方の所得が定められている金額よりも多い場合に、負担割合が2割または3割となるとご紹介しました。
しかし具体的にどのような金額がボーダーラインとなっているのか気になりますよね。
そこで、負担割合ごとに定められている所得金額をについて詳しく紹介します。
2割負担になる場合
以下の、「本人の前年度の合計所得」と「世帯内の前年度の年金+その他の収入の合計金額の2つ」が以下の条件を満たしている場合には、2割負担となります。
- 本人の前年度の合計所得:160万円でかつ220万円未満
- (同じ世帯内に65歳以上の方が2人以上いる場合)前年度の年金とその他の収入の合計金額:346万円以上
- (同じ世帯内に65歳以上の方が1人(単身)の場合)前年度の年金とその他の収入の合計金額:280万円以上
または、
- 本人の前年度の合計所得:220万円以上
- (同じ世帯内に65歳以上の方が2人以上いる場合)前年度の年金とその他の収入の合計金額:346万円以上463万円未満
- (同じ世帯内に65歳以上の方が1人(単身)の場合)前年度の年金とその他の収入の合計金額:280万円以上340万円未満
(※合計所得とは、収入から「公的年金などの控除」や「所得控除(給与)」、「必要経費」を引いた金額のことをいいます。)
3割負担になる場合
こちらも同様で、以下の「本人の前年度の合計所得」と「世帯内の前年度の年金+その他の収入の合計金額」の2つが以下の条件を満たしている場合には、3割負担となります。
- 本人の前年度の合計所得:220万円以上
- (同じ世帯内に65歳以上の方が2人以上いる場合)前年度の年金とその他の収入の合計金額:463万円以上
- (同じ世帯内に65歳以上の方が1人(単身)の場合)前年度の年金とその他の収入の合計金額:340万円以上
また、本人の前年度の合計所得が160万円未満の場合には1割負担となります。
60歳を迎えても現役並みに働かれる方が多いので、自分が何割負担になるのか知りたいという方は参考にしていただければと思います。
参考:多摩市ホームページ
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介護保険証の返却について
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介護保険証は、被保険者の死亡などにより資格を喪失することがあります。
その場合は、介護保険を発行した各自治体に返却しなくてはなりません。
介護保険の返却先は、介護認定されていた方の住民票のある市町村区になります。
届出人は「同一世帯の家族」「代理人」「相続人」と決められています。
亡くなってから14日以内に返却しなくてはなりません。
届け出に必要なものは「介護保険資格喪失届出」「介護保険被保険者証」です。
死亡届を提出するだけ、あるいは介護保険被保険者証を返却するだけで手続きが完了する自治体もあります。
また、電話での通知だけでも受理される自治体もあります。
遠方に住んでいる方は、わざわざ出向く必要がありません。
まずは、問い合わせてみましょう。
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介護保険法の改正について
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介護保険法は、介護の現場や時代の変動に合うように3年ごとに改正されています。
たとえば、以下のような改正が行われてきました。
介護納付金における総報酬割の変更
介護保険の第2号被保険者である40歳~64歳の保険料についての改正が行われました。
改正前は、加入する医療保険の人数割りで負担金額が決められていました。
しかし、この仕組みでは負担率に大きなバラつきが出るため、総報酬割になりました。
総報酬割になったことで報酬の高い方の保険料は高く、低い方の保険料は低くなりました。
自己負担額の増額
改正前は、自己負担額が所得に応じて1割か2割でした。
改正後は、所得が現役世代並みの年収340万円を超える場合は、3割負担となりました。
また、同一世帯の誰かが市町村民税を納めている場合、自己負担額の上限が引き上げられました。
共生型サービスの変更
障害を持つ方が利用するのが「障害福祉サービス」です。
65歳以上の高齢者が利用するのが「介護保険サービス」です。
従来はこのように分かれており、両方のサービスを提供する事業所は少数でした。
この制度では、障害福祉サービスを利用していた方が、65歳とともに介護保険サービスを提供する事業所に移らなければなりません。
これでは、利用者の負担が増すばかりです。
そこで、高齢者や障害者が同じ事業所でサービスを受けられるようにしたのが共生型サービスです。
対象になるのは、訪問介護、デイサービス、ショートステイなどです。
福祉用具のレンタル価格の適正化
介護保険サービスのひとつに福祉用具のレンタルがあります。
介護保険法改正前には、適正な価格を知らない利用者に対して高額料金を請求する業者がいました。
そこで、介護保険改正後は以下のような対策が講じられました。
- 全国平均の貸与価格を公表
- 貸与価格の上限を設定
- 機能や価格の異なる複数商品の提示
この改正によって、利用者は相場を理解したうえで、商品を選択できるようになりました。
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まとめ:介護保険証について
ここまで、介護保険の被保険者証である介護保険証の情報や、介護サービスの流れ、介護保険負担割合証などを中心に書いてきました。
記事のポイントをおさらいすると以下の通りです。
- 65歳以上の方は、65歳の誕生日を迎える月に手続きを行わなくても介護保険証が交付される
- 介護保険証は要介護認定を受けていないと利用できない
- 介護保険証を紛失したら介護保険課で再交付申請を行う
- 違う市町村に住所を変更する場合は、転出前や転入後に手続きが必要
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただきありがとうございました。