高齢化が進むなか、次第に注目が集まっている介護保険。
介護保険は、高齢者を支えるための施策として重要な役割を担っています。
実際にご自身の収入から差し引かれたことで、本記事を読もうと思った方もいらっしゃるかもしれません。
一方で、「介護保険料がいくらになるのかいまいち分かっていない」という方も多いのではないでしょうか?
本記事では、介護保険料について以下の点を中心にご紹介します。
- 介護保険料とは
- 介護保険料の計算方法
- 介護保険料の支払い方法
- 介護保険料を滞納した場合の処置とは
介護保険料に関する不安を解消するためにも、ご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
高齢化が進み、要介護者の増加や介護期間の長期化などがみられるようになりました。また、老老介護という言葉もあるように介護する家族も高齢化しています。そういった現状を踏まえ、介護の負担を減らすために作られた制度が介護保険です。[…]
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介護保険料とは?
介護保険料とは、40歳以上になると支払い義務が生じるお金です。
介護保険サービスを受けると、費用の負担は所得によって1~3割になることはご存知でしょうか?
その際に、残りの7割ほどをまかなっているのが、国の税金と介護保険料です。
支払いにおいて特別な手続きは不要ですが、介護保険料は一度払うと一生払い続けるという特徴があります。
この介護保険料があるからこそ、割安な出費で介護サービスを受けられる高齢者がいる状況を継続できているのです。
介護保険料は、満40歳の誕生日の前日が属する月から被保険者となって、健康保険料に介護保険料が加算され徴収がスタートします。「いつからいつまで納付すればいいの?」と、不安に感じている方も多いのではないでしょうか? 本記事では、介護保険料[…]
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介護保険の被保険者はどのように区分される?
介護保険料の金額ですが、以下の被保険者区分によって2パターンに分類されます
年齢によって区分が異なり、さらに所得によって納める金額が異なっていきます。
第一号被保険者
65歳以上が対象となります。
第一号被保険者の介護保険料は、自治体ごとに計算される基準額と本人・世帯の所得状況によって決定されます。
それぞれについて見ていきましょう。
基準額
各自治体の介護給付に必要な費用のうち、65歳以上の人が負担する分を、その自治体に住む65歳以上の人数で割った金額になります。
その自治体に65歳以上の方が100人いれば、費用を100で割ったものが基準額になります。
本人・世帯の所得状況
実際納める保険料は、本人・世帯の所得状況によって段階分けした保険料率をかけた金額になります。
所得が高いほど納める保険料率も高くなるということです。
計算方法については後述します。
また、保険料率は自治体によって異なるため、具体的な計算方法については個別に確認してください。
第二号被保険者
40~64歳が対象となります。
後で説明しますが、第二号被保険者は加入している医療保険によって介護保険料の計算方法が設定されています。
40歳以上の方に支払いの義務が課せられる介護保険は、介護が必要となったときに役立つ制度です。特に、介護サービスを利用する方は介護保険の「被保険者証(介護保険証)」をよく使いますが、実はある条件をクリアしていないと交付してもらえない場合が[…]
高齢化が進み、要介護者の増加や介護期間の長期化などがみられるようになりました。また、老老介護という言葉もあるように介護する家族も高齢化しています。そういった現状を踏まえ、介護の負担を減らすために作られた制度が介護保険です。[…]
介護保険料はどうやって計算する?
ここまで、その人の年齢や住所、所得によって介護保険料が変わっていくことを記載しました。
現在支払っている、またはこれから支払う介護保険料の計算方法について気になる方も多いと思います。
以下で詳しく解説していきます。
第一号被保険者の介護保険料率の計算方法
まず、第一号被保険者に区分される方の介護保険料率について解説します。
例えば渋谷区の場合は以下のように介護保険料率を計算します。
本人・世帯の所得状況を16段階の基準で分け、最も所得が少ない第1段階では「基準額 × 0.375」となり、最も所得が多い第16段階では「基準額 × 6.00」となります。
渋谷区では保険料率が最大16倍も差があります。
この段階を分ける所得基準の要素には、「生活保護受給者、老齢福祉年金受給者で世帯全員が住民税非課税」、「本人が住民税課税で合計所得金額が一億円以上」というような納税状況や合計所得などがかかわっています。
第二号被保険者の介護保険料率の計算方法
次は第二号被保険者の介護保険料率の計算方法について記載します。
先述のように、第二号被保険者は加入している医療保険によって、介護保険料率の計算方法が設定されています。
加入している医療保険には、大きく分けて、国民健康保険とそのほかの医療保険があります。
以下でそれぞれについて解説します。
国民健康保険
公的保険制度のひとつで、自営業者や退職者、無職者とその人の家族の方などが加入します。
国民健康保険の場合、介護保険料の金額は、所得割額、均等割額、平等割額、資産割額という4つの項目をもとに算出されます。
この4つの項目をそれぞれ簡単に解説します。
・所得割額
被保険者本人あるいは世帯における前年の所得額に応じて決定される金額
・均等割額
世帯の被保険者数によって決まる金額
・平等割額
1世帯当たりの金額として算出される金額
・資産割額
世帯の資産に応じて算出される金額
そのほかの医療保険
会社経由で加入しているケースです。
この場合に負担すべき金額は、一ヵ月当たりの介護保険料=(標準報酬月額+標準賞与額)×介護保険料率という式で算出されます。
標準報酬月額とは、税金を引かれる前の給与額を健康保険で規定されている段階ごとに区分した金額のことです。
また、標準賞与額とは賞与の総額から1,000円未満の額を切り捨てた金額になります。
例えば8月に55万5,500円の賞与を受けたとしたら、標準賞与額は55万5,000円とされます。
会社経由の介護保険料の特徴の一つは、保険料を会社と折半するという点です。
本来の介護保険料が一万円だった場合、本人の負担額は5,000円ということです。
実際の算出方法は自治体によって異なるので、正確な介護保険料の金額を知りたい場合は、市区町村の相談窓口などで確認してください。
自治体によって支払う保険料は異なる?
自治体によって支払う保険料は異なるということを説明しました。
それではなぜ自治体によって支払額が異なるのでしょうか?
自治体によって支払額が異なるのは、65歳以上の方の介護保険料は、各市町村の介護保険給付に要する費用の割合に見合うようにして介護保険料を決めているからです。
したがって、各市町村の高齢化率、所得状況により保険料は異なります。
介護保険料はどうやって支払う?
介護保険料は自動的に支払い義務が生まれまるとご説明しました。
では、一体どのように支払うのでしょうか?
2通りの徴収方法があるので、それぞれご紹介します。
第1号被保険者(65歳〜)の場合
特別徴収
年金から天引きする徴収方法です。
国民・厚生・共済などの老齢・退職を支給事由とする年金及び遺族年金・障害年金を、年間18万円以上受給されている方が年金天引きになります。
普通徴収
口座振替や納税書などで納める徴収方法です。
老齢福祉年金及び恩給は、受給額にかかわらず普通徴収になります。
特別徴収対象年金を受給していない、または特別徴収対象年金を受給していても以下の事由に該当する場合は普通徴収となります。
- 支給年金額が年間18万円未満の方
- 4月1日以降に65歳になられた方
- 転入された方
- 年金受給権を担保に供している方
- 住基ネット又は届書等による現況確認のとれない方
- 年度途中での介護保険料段階の減額変更
- 年度途中での基礎年金番号の変更
- 上半期納付分のみで、端数分を残し年間保険料を既に納付した場合
自治体によって規定が細かく定められているため、ご自身の自治体に相談することをおすすめします。
第2号被保険者(40歳〜64歳)の場合
国民健康保険や社会保険などの医療保険の保険料とともに徴収されます。
参考サイト:中野区ホームページ
介護保険料を滞納したらどうなる?
介護保険料は40歳以上になると支払いの義務が生じます。
しかし、介護保険料を滞納した場合はどんな処罰があるのでしょうか?
介護保険料を2年間滞納すると、政府はその人の資産を差し押さえるために動き始めます。
いきなり差し押さえるのではなく、差し押さえ前に督促状が届きます。
年々保険料の滞納者は増えており、その原因として介護保険料率や額の増加が挙げられます。
別のパターンとしては、給与天引きから自分で支払うように移行した後うっかり支払いを忘れてしまうケースもあります。
一年未満の滞納であれば、延滞金が上乗せされるというペナルティがあります。
しかし、それ以上の滞納となると、自分が高齢者となったときに介護サービスを割引で受けられなかったり、財産を差し押さえられたりする可能性があります。
介護保険料は減免できる?
介護保険料が金銭的に支払えない場合は、できる限りすぐに自治体へ相談しましょう。
一定の要件に該当すると介護保険料の減免措置を受けられます。
これにより滞納にならずに今までと同じ条件で介護サービスを利用できます。
例えば渋谷区の場合は、介護保険課保険料係という窓口があるのでそこへ相談するといいでしょう。
また、介護保険料の支払いだけではなく生活そのものが厳しいという場合は、生活保護という手段もあります。
未来の自分のためにも、滞納しないための選択を考えましょう。
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介護保険料が免除される方もいる?
原則として、40歳以上の国民は介護保険料の支払いは義務とされています。
しかし、中には支払いが免除される場合があります。
免除される条件は「生活保護を受けている」「災害により被害を受けた」「新型コロナウイルスの影響で収入が減少した」の3つです。
生活保護を受けている
生活保護を受給している場合、介護保険料の支払いは免除されます。
40歳から64歳の第二号被保険者の場合、介護保険料は医療保険と併せて徴収されます。
生活保護受給者は、医療扶助を受けるため第二号被保険者とはなりません。
そのため、介護保険料が徴収されなくなります。
災害により被害を受けた
火災や震災、豪雨水害などの災害によって、住宅や家財などに著しい災害があった場合は介護保険料が減免されたり、免除されたりすることがあります。
しかしこれは国ではなく市町村の制度なので、自分の市町村が該当するかは確認が必要です。
新型コロナウイルスの影響で収入が減少した
こちらも市町村独自の制度です。
- 新型コロナウイルス感染症で、世帯主が死亡、または重篤な傷病を負った世帯の第1号被保険者
- 新型コロナウイルス感染症の影響で世帯主の収入が前年より3割以上減少することが見込まれる世帯の第1号被保険者、ただし世帯主の前年の年収が400万円以下とする
などの条件があります。
高齢化が進む中、介護保険サービスをご利用の方は年々増加傾向にあります。「介護保険料って免除になるの?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。そこで本記事では、介護保険料の免除について以下の点を中心にご紹介します。 […]
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介護保険料のまとめ
ここまで介護保険料についてお伝えしました。
要点を以下にまとめます。
- 介護保険料を徴収することで、介護保険サービスの費用のうち5割ほどの負担をまかなっている
- 第一号被保険者の場合、介護保険料は自治体ごとの基準額×保険料率によって計算される
- 第一号被保険者の介護保険料の支払い方法は、特別徴収と普通徴収の2種類がある
- 介護保険料を滞納した場合、最初は督促状や延滞金の上乗せというペナルティがあり、2年以上の滞納では財産を差し押さえられることもある
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。