介護保険料の徴収方式の一つでもある年金天引き。
年金天引きや納付書による支払いなど方法が異なる場合もある介護保険料の徴収方法ですが、どのような方法や条件があるのでしょうか?
今回、介護保険料が年金天引きになる条件についてご紹介した上で、その違いや注意事項についてもご紹介します。
- 保険料を年金天引きによって支払う徴収方式
- 保険料を納付書によって支払う徴収方式
- 保険料を1年以上1年半未満滞納した場合
介護保険料の年金天引きに関する理解や手続き・納付を行う際の参考にしてください。
是非最後までお読みください。
高齢化が進み、要介護者の増加や介護期間の長期化などがみられるようになりました。また、老老介護という言葉もあるように介護する家族も高齢化しています。そういった現状を踏まえ、介護の負担を減らすために作られた制度が介護保険です。[…]
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介護保険料とは?
介護保険料は、市区町村が介護保険制度を運営する上で必要不可欠な保険料です。
介護保険制度は2000年4月より施行されている制度ですが、その仕組みは社会全体で支えていく互助方式を採用しています。
そのため介護保険制度を運用するための財源は、私たちが支払う税金と介護保険料で賄われています。
また、介護保険料を納めるのは40歳になってからです。
40歳以上65歳未満の場合には、加入する健康保険(健康保険組合、全国健康保険協会、市町村国保)から健康保険の一部として徴収されます。
保険料の支払いは40歳になってからになりますが、納付義務は誕生日の前日から与えられますので、誕生日が1日の方は前月からの納付が必要になります。
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条件によって徴収方法が変わる?
保険料の徴収方法は条件によって異なります。
65歳以上になれば原則年金受給が開始となりますが、年金額によって徴収方法が違います。
保険料徴収には特別徴収と普通徴収の二種類の方法があります。
これらの徴収方法はどちらか自由に選べるわけではありません。
そのため、自分がどちらの徴収方法に該当するのかを知っておく必要があります。
以下から、特別徴収と普通徴収について、その内容や条件などを説明します。
特別徴収とは
特別徴収とは年金天引きによって徴収される方式です。
年金額が年間18万円以上の場合には特別徴収(年金天引き)となります。
年金は2カ月ごとに支給されるため、年金支給のタイミングで特別徴収(年金天引き)されます。
また、年金は一種類だけではありません。
多くの方が複数の年金を受給されているため、年金天引きの対象となる年金が決められます。
例をあげると介護保険料の場合は、老齢基礎年金、老齢基礎・通算年金、退職年金、障害年金、遺族年金の順番で特別徴収(年金天引き)される年金が決まります。
特別徴収を行う目的
65歳になると特別徴収(年金天引き)による納付義務がかせられる理由は、不払いを防ぐ目的と支払い手続きを簡略化させるためです。
いちいちコンビニや銀行まで支払いに行く必要がなく、被保険者としてもメリットがあり、市区町村としても未払いや滞納をさせずに済むことになります。
普通徴収とは
介護保険料が普通徴収になる方は、年金を受給していない方、または年金額が年間18万円未満の方です。
特別徴収とは違い、年金からの天引きはないので自らの手続きによって役所、コンビニ、銀行窓口で支払いをする必要があります。
また、特別徴収(年金天引き)ではなく普通徴収による支払い方法を望まれる方もいるかもしれませんが、原則特別徴収(年金天引き)を変更することはできません。
ただし、介護保険法第135条第1項により、災害などにより特別徴収による納付が困難な場合や、特別徴収を行うことが適当でないと認められる市町村の場合には普通徴収へ変更になることもあります。
高齢化が進み、要介護者の増加や介護期間の長期化などがみられるようになりました。また、老老介護という言葉もあるように介護する家族も高齢化しています。そういった現状を踏まえ、介護の負担を減らすために作られた制度が介護保険です。[…]
特別徴収の方が普通徴収になる場合も?
前述の通り特別徴収(年金天引き)と普通徴収を自由に変更することはできませんが、特別徴収(年金天引き)の対象から外れることで普通徴収に切り替わるケースがあります。
たとえば、年度途中で保険料が増額になった場合、増額した分は普通徴収による支払いが必要です。
そのほか、年度途中で65歳になった場合、年度途中で老齢(退職)年金・遺族年金・障害年金の需給が始まった場合、年度途中で他の市町村から転入した場合にも、事務手続きが完了するまでは普通徴収になります。
また、特別徴収として把握される月は偶数月となり、概ねその6カ月後までは普通徴収になります。
支払いできずに滞納すると?
被保険者の場合、介護保険料は必ず納付しなければなりまん。
仮に介護保険料を滞納してしまった場合、ペナルティがかせられるので注意が必要です。
介護保険料滞納にかせられるペナルティには以下の3段階があります。
- 滞納期間1年以上1年半未満
- 滞納期間1年半以上2年未満
- 滞納期間2年以上
滞納期間1年以上1年半未満の場合
滞納期間1年以上1年半未満の場合には支払い方式が変わります。
本来であれば、介護保険サービスを利用すると自己負担分の1~3割負担で済みますが、一度全額分の支払いをしなくてはなりません。
その後、2カ月以上経過してから7〜9割分が払い戻されます。(償還払い方式)
滞納期間1年半以上2年未満の場合
滞納期間1年半以上2年未満の場合には、介護保険サービス利用料として全額分支払った額の中から介護保険料が差し引かれてしまいます。
一度にかかる金銭的負担が大きくなるため注意しなければなりません。
滞納期間2年以上の場合
滞納期間2年以上の場合は、滞納した期間に応じて1~3割の自己負担が3~4割に引き上げられます。
限度額以上支払った金額が払い戻される高額介護(予防)サービス費制度の利用もできなくなり、当然支払った額から保険料が差し引かれます。
また、財産の差し押さえによって介護保険料に充当させられてしまう恐れもあります。
年金から天引きされるものは介護保険料だけ?
前述のとおり、65歳以上の場合、年間18万円以上の年金受給があれば介護保険料は年金からの天引きとなりますが、このように年金天引きとなるのは介護保険料だけではありません。
介護保険料以外で年金天引きとなるのは以下の事項です。
- 国民健康保険料
- 後期高齢者医療保険料
- 住民税
国民健康保険料は、世帯内の国民健康保険の被保険者全員が65歳以上75歳未満で、受給している老齢基礎年金などの年金額が年間18万円を超える場合に特別徴収(年金天引き)となります。
75歳以上もしくは、65歳以上75歳未満で後期高齢者医療保険制度の対象になる場合には、後期高齢者医療保険の被保険者へと切り替わります。
後期高齢者医療保険の保険料も同様に、老齢基礎年などの年金額が18万円を超える場合の徴収方法は特別徴収(年金天引き)です。
住民税は介護保険料が徴収されていることが前提で、老齢基礎年金・退職年金が年額18万円を超える場合に特別徴収(年金天引き)されます。
介護保険料と年金天引きのまとめ
介護保険料の年金天引きに関する内容や、その種類・方法を中心にお伝えしてきました。
要点を以下にまとめます。
- 保険料を年金天引きによって支払う徴収方式は、特別徴収
- 保険料を納付書によって支払う徴収方式は、普通徴収
- 保険料を1年以上1年半未満滞納した場合は、一度介護保険サービス利用料を全額自己負担しなければならない
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。