「介護保険の適用除外施設とはいったいどのような場所を指すのだろう?」
「介護保険の適用除外施設に、入所・退所する場合などについて詳しく知りたい。」
このような疑問を抱えている方がいることでしょう。
介護保険の適用除外施設は国が定めており、複数あります。
また介護保険の適用除外施設に入所・退所する場合は、然るべき手続きが必要となります。
今回は介護保険の適用除外施設とは何か、また介護保険の適用除外施設に入所・退所する場合について詳しく解説していきます。
- 介護保険適用除外施設に入所、退所する場合
- 刑務所は適用除外施設か否か
- 介護保険適用除外施設の住所地特例
ぜひ最後までお読みください。
高齢化が進み、要介護者の増加や介護期間の長期化などがみられるようになりました。また、老老介護という言葉もあるように介護する家族も高齢化しています。そういった現状を踏まえ、介護の負担を減らすために作られた制度が介護保険です。[…]
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介護保険の適用除外施設とは
介護保険の適用除外施設とは、一体どのような施設のことを指すのでしょうか。
以下に解説していきます。
概要
介護保険の適用除外施設とは、介護保険制度の被保険者(40歳以上の方)が適用除外を受けて入所・入院する施設となります。
介護保険制度の被保険者の適用除外とは、介護保険制度の被保険者が負担する介護に要する費用の一部である介護保険料を免除される状態のことを指します。
障害関連法・生活保護法などの適用を受けることで介護保険料が免除されます。
障害関連法とは、障害者基本法をはじめとして障害者の日常生活および社会生活を総合的に支援するための法律です。
そして生活保護法とは、日本国憲法第25条に規定する理念に基づいた法律です。
日本国憲法第25条に規定する理念とは、「国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じて、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長すること」と第1条に定められています。
これらの障害関連法・生活保護法などの適用を受けている方は、介護保険の適用除外施設に入る可能性があるということになります。
そして国から介護保険と同等以上のサービスの提供を受けていると認識され、介護保険の被保険者として適用除外されていることになります。
適用除外施設の種類
介護保険の適用除外施設の種類は以下の通りです。
- 指定障害者支援施設(生活介護および施設入所支援を行うものに限ります。)
- 障害者支援施設(生活介護を行うものに限ります。)
- ハンセン病療養所
- 救護施設
- 労働者災害特別介護施設(ケアプラザ)
「指定障害者支援施設」は、入所者の主に夜間の日常生活の支援を行う施設です。
施設入所支援以外の生活介護・自立訓練・就労移行支援などの施設障害福祉サービスも行っています。
「障害者支援施設」は、入所者の日常生活の支援を行う施設です。
こちらも施設入所支援以外の生活介護・自立訓練・就労移行支援など施設障害福祉サービスを行っています。
「ハンセン病療養所」は、主にハンセン病の医療機関と元ハンセン病患者の方が入所・居住する施設です。
「救護施設」は、身体的または精神的に障害があるため日常生活を営むことが困難な方が入所する施設です。
「労働者災害特別介護施設(ケアプラザ)」は、労働災害により重度の障害を負った方が入所する施設です。
また、介護施設について詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてみてください。
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介護保険適用除外施設に入所する場合
介護保険適用除外施設へ入所・入院する場合は、介護保険資格喪失手続きを行います。
介護保険資格喪失手続きとは、介護保険の被保険者として適用除外を受け入れることを意味しています。
また、介護保険資格喪失手続きは介護保険適用除外施設へ入所・入院される方だけではなく、入所予定・入院予定の方も該当します。
介護保険資格喪失手続きは、住民票の籍がある区市町村の役所・役場で行います。
役所・役場に設置されている「介護保険関係届書」に必要事項を明記し、管轄の「介護医療係」へ届出書を提出することで完了します。
「介護保険関係届書」の書類は役所・役場だけではなく、区市町村の公式サイトからPDFファイルをダウンロードすることもできます。
ダウンロードしたPDFファイルをプリンターで印刷し、書類として必要事項を記入後に届出書を提出します。
高齢化が進み、要介護者の増加や介護期間の長期化などがみられるようになりました。また、老老介護という言葉もあるように介護する家族も高齢化しています。そういった現状を踏まえ、介護の負担を減らすために作られた制度が介護保険です。[…]
介護保険適用除外施設を退所する場合
介護保険適用除外施設から退所・退院する場合は、介護保険資格の取得手続きを行います。
介護保険資格の取得手続きとは、介護保険の被保険者として資格を取得することを意味しています。
また、介護保険資格の取得手続きは介護保険適用除外施設から退所・退院される方だけではなく、退所予定・退院予定の方も該当します。
介護保険資格の取得手続きは、住民票の籍がある区市町村の役所・役場で行います。
介護保険適用除外施設へ入所・入院する場合と同じく、役所・役場に設置されているまたはダウンロードしたPDFファイルを印刷した「介護保険関係届書」に必要事項を明記します。
そして管轄の「介護医療係」へ届出書を提出することで完了します。
刑務所は適用除外施設?
刑務所等矯正施設(刑事施設)は、介護保険適用除外施設に含まれていません。
匿名掲示板にてとある自治体職員が、介護保険の受刑者の資格について質問していました。
その返信の中に「刑務所は介護保険の適用除外施設と定義されていたはずです」という回答があります。
しかし「厚生労働省老健局老人保健課」の資料「要介護認定に係るQ&Aについて」には、要介護認定申請についての質疑応答に対して、適用除外施設とは別施設として刑務所等矯正施設の名前を挙げています。
また「総務省」の資料「刑事施設に収容されている者に対する国民健康保険等の保険料の減免に関する取扱いの周知の促進 」には、区市町村で保険料の減免の取り扱いにバラつきがあると調査結果を報告しています。
つまり、刑務所等矯正施設(刑事施設)は適用除外施設に含まれていないものの、区市町村の中には適用除外施設という認識がある自治体職員も存在するということになります。
介護保険適用除外施設の住所地特例とは
介護保険適用除外施設の住所地特例とは、「特定の地域に住む介護保険被保険者」と「介護保険適用除外施設のある自治体」と「介護保険施設のある自治体」の関係を示した国の特別例外措置のことです。
現行の障害者福祉制度や生活保護制度では、介護保険被保険者の介護給付費用を「介護保険適用除外施設のある自治体」が「介護保険適用除外施設のない自治体」の分まで負担することになります。
そのため、介護保険適用外施設の住所地特例の見直しが国や自治体によって行われています。
「介護保険適用除外施設のない自治体」が最終的に介護保険被保険者の介護保険施設の入所時に保険者となり、介護給付費用を負担しています。
ここで、介護保険適用除外施設の住所地特例が適用される例をご紹介します。
- A区市町村:介護保険適用除外施設がない自治体
- B区市町村:介護保険適用除外施設がある自治体
- C区市町村:介護保険施設がある自治体
例えばA、B、C区市町村がそれぞれ上記の自治体であった場合、住所地特例が適用されるのは以下のようなケースです。
- 1:介護保険被保険者(40歳以上)がA区市町村に住んでいる。
- 2:介護保険被保険者が障害関連法・生活保護法などの適用を受ける。
- 3:介護保険被保険者がB区市町村の介護保険適用除外施設に入所・入院し、費用はA区市町村が負担する。
- 4:介護保険被保険者がB区市町村の介護保険適用除外施設を退所・退院し、C区市町村の介護保険施設に入所し費用はB区市町村が負担する。
介護保険と適用除外施設のまとめ
こちらの記事では、介護保険の適用除外施設の概要とどの場所が該当するかについて、また介護保険の適用除外施設に入所・退所する場合について詳しく解説しました。
- 介護保険の適用除外施設とは、障害関連法・生活保護法などの適用を受けている方が入る施設
- 介護保険適用除外施設に入所する場合は、介護保険資格喪失手続きを行う
- 介護保険適用除外施設を退所する場合は、介護保険資格の取得手続きを行う
- 刑務所は介護保険適用除外施設に含まれていませんが、自治体により認識のズレがある
- 介護保険適用除外施設の住所地特例とは、介護保険被保険者が介護保険施設に入所した際の保険者の取り決めのこと
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。