「介護福祉士と社会福祉士はどちらの資格が取りやすい?」「資格を取るのにはどうしたらいい?」と悩んでいる方も多いと思います。
どちらも介護に関する資格ではありますが、どのような違いがあるのでしょうか?
それぞれの特徴を把握し、自分の希望に合った資格を取得することが大切です。
本記事では、介護福祉士と社会福祉士について以下の点を中心にご紹介します。
- 介護福祉士と社会福祉士の違い
- 介護福祉士が社会福祉士より有利な点
- 介護福祉士と社会福祉士の受験資格
介護福祉士と社会福祉士のどちらを取ろうか迷っている方のためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ、最後までお読みください。
介護とは人の命に係わる仕事です。いろいろな専門性が求められるため、国家資格から民間の資格までさまざまな資格があります。具体的にはどのような資格があるのでしょうか?本記事では、介護の資格について以下の点を中心にご紹介します[…]
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介護福祉士と社会福祉士はどう違う?
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介護福祉士と社会福祉士の違いを以下でご紹介します。
仕事内容の違い
介護福祉士と社会福祉士の大きな違いは、支援が必要な本人の身体に直接触れるか触れないかに違いがあります。
介護福祉士は直接介護が必要な人に触れ、食事や入浴、排せつなどの介護が安全にできるための技術が求められます。
たとえば、人間の身体の特性を生かして介護を行うなど専門性の高い技術をもとに介護を行っています。
また福祉用具や介護方法などを工夫し、自分でできることを増やしていこうという自立支援を目的にした介護も行っています。
このように、介護福祉士は主に介護が必要な本人の能力や身の回りの生活環境に対して支援を行う専門職です。
一方で社会福祉士は、介護福祉士と違って直接本人に触れることはありません。
社会福祉士は、精神的、身体的な障害をもっている人たちが抱える経済的な悩み、仕事や家族の問題など、本人が生きていくうえで目の前に立ちはだかっている問題を解決する仕事です。
社会福祉士が支援を行う内容は、ホームレスや犯罪を犯した障害者の支援、不登校やいじめの問題など、年齢や障害の種類なども幅広く多岐にわたっています。
このように、たとえ同じ対象者でも本人の身体的な能力に焦点をあてて支援を行う介護福祉士と、本人を取り巻く環境を整える支援を行う社会福祉士とでは役割が異なっています。
しかし、どちらの資格も本人の意思や能力を最大限に活かしていこうという支援の方向は同じです。
資格取得の難易度の違い
介護福祉士と社会福祉士の難易度について、筆記試験に焦点をあてて比較してみました。
介護福祉士試験 | 社会福祉試験 | |
出題数 | 125問 | 150問 |
合格率 | 69.9% | 29.3% |
参考:第32回介護福祉国家試験合格発表(厚生労働省)
第32回社会福祉国家試験合格発表(厚生労働省)
介護福祉士の筆記試験で出題される内容は、介護技術、医療ケアやからだのしくみなどから11科目に分けて125問出題されます。
一方で社会福祉士試験は、制度や法律、相談援助技術などから18科目150問が出題されます。(精神保健福祉士資格保有者は67問に免除)
合格基準は介護福祉士も社会福祉士も問題数の約60%ですが全科目中、一科目でも無得点だったら不合格です。
令和2年度(2021年1月実施)の介護福祉士の合格率は69.9%、社会福祉士の合格率は29.3%でした。
介護福祉士と社会福祉士の試験を比較してみると問題数と出段範囲の広さ、そして合格率の低さから社会福祉士のほうが難易度が高いといえます。
給料の違い
常勤の場合、それぞれの平均給与額(月給)は以下の通りです。
【介護福祉士、社会福祉士の平均給与額(平成30年)】
介護福祉士 | 社会福祉士 | |
全体平均 | 313,920円 | 336,340円 |
介護老人福祉施設 | 342,230円 | 371,630円 |
介護老人保健施設 | 326,540円 | 311,140円 |
介護療養型医療施設 | 297,150円 | ーーー |
訪問介護事業所 | 301,480円 | 327,260円 |
通所介護事業所 | 277,010円 | 300,070円 |
認知症対応型共同生活介護 | 291,500円 | 335,040円 |
参考:平成30年度介護従事者処遇状況等調査結果(厚生労働省)
平均で比較すると社会福祉士のほうが福祉事務所などの公的機関で勤めている人が多いためか、年収が高くなっています。
一方で介護福祉士でもサービス管理者として、社会福祉士の平均よりも高い報酬を得ている場合もあります。
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介護福祉士の資格を持っている人は有利に?
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通常はお休みも含み4週間にわたり、実習が行われます。
実習は、高齢者や障害者施設、地域包括支援センターなど社会福祉士が勤務しているところで行われます。
介護福祉士を持っている場合、実習時間が3分の1の「60時間」に免除されるので、大変有利といえます。
反対に介護福祉士も高校や専門学校で実習を450時間受けないといけませんが、社会福祉士を持っているからといって実習が免除されることはありません。
そのため、社会福祉士を目指す場合は介護福祉士を持っていたほうが有利といえます。
資格取得は大変?
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介護福祉士と社会福祉士に分けて、それぞれの受験資格をご紹介します。
介護福祉士の受験ルート
介護福祉士の場合は、以下の4つのルートがあります。
養成施設ルート
高校を卒業後、 養成所に2年間、もしくは大学等卒業後に養成所に1年通うことで受験資格を得ることができます。
養成施設ルートでは令和8年度までは実技試験も筆記試験も免除されます。
実務経験ルート
実務経験が3年以上あり、実務者研修を受けると受験資格が得られます。
実務経験ルートでは実技試験が免除されます。
福祉系高校ルート
介護福祉を学べる高校で一定のカリキュラムをおさめた場合、受験資格を得られます。
カリキュラムの内容によっては実技試験が免除になる場合があります。
EPA(経済連携協定)ルート
外国人が所定のカリキュラムを終了した場合、受験資格を得ることができます。
実技試験が免除になるルートもあります。
社会福祉士の受験ルート
社会福祉士の場合は、受験資格を得るために大きく3つのルートに分けられます。
福祉系大学での指定科目履修ルート
福祉系の大学で指定の科目を履修していた場合、受験資格があります。
ただし、短大などの場合は相談援助実務期間が必要ですのでご注意ください。
短期養成施設ルート
以下の場合は6ヶ月以上の短期養成施設等に通うことで受験資格を得ることができます。
- 福祉系大学で、基礎科目を履修している場合
- 福祉系短大で基礎科目を履修し実務経験が1~2年ある場合
- 社会福祉主事資格を持ち実務経験がある場合
- 規定の相談実務経験が4年以上ある場合
一般養成施設ルート
以下の場合は、一般養成施設等に1年以上通うことで受験資格を得られます。
- 4年制の一般大学卒業
- 短大卒業後で1〜2年の相談援助実務経験
- 相談援助実務経験が4年以上ある場合
このように、介護福祉士や社会福祉士の受験資格を得るためにはいくつかのルートを通る必要があります。
しかし、いずれのルートでも「専門知識」を得るための学習期間と「実務経験」を持つことで得られる資格ですので専門性が高いのも納得です。
受験資格は以下のリンクからも確認できます。
他にも国家資格はある?
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精神保健福祉士は、主に精神障害の方が社会生活を送るための支援を行います。
現状、支障となってる問題を解決するためのサポートがメインの仕事です。
就職先としては、精神科病院で医療相談員として入院患者の入退院の調整を行っています。
特に退院するときには、自宅での福祉サービスの調整のために在宅で支援する関係者との調整を行うなど地域と病院のパイプ役として活躍しています。
精神保健福祉士も社会福祉士などと同じく、受験するためには専門教育を受けておく必要があります。
たとえば、社会福祉士が精神保健福祉士の受験資格を得るためには6ヶ月以上の養成機関での学習が必要など、より専門性の高い資格といえます。
介護福祉士や社会福祉士以外の関連資格
近年の日本では、介護業界の人材不足が深刻化しています。
その結果、より専門性の高いスキルを持った資格者や介護対象が広い資格者が優遇されやすくなっています。
以下は、特定の介護対象者に特化し、専門性を磨くことができる資格・職業です。
気になる資格がありましたら、以下のリンクからご確認ください。 介護とは人の命に係わる仕事です。いろいろな専門性が求められるため、国家資格から民間の資格までさまざまな資格があります。具体的にはどのような資格があるのでしょうか?本記事では、介護の資格について以下の点を中心にご紹介します[…]
資格名 | 資格概要 | 受験資格 | 資格試験実施機関 |
介護予防運動指導員 | 高齢者の運動や生活習慣に関する指導を行い、年齢を重ねても生き生きと自立した生活を送るための手助けをする資格職業です。 | 講習を受けるためには以下のような資格や経験が必要です。 初任者研修+実務経験2年以上 介護福祉士 医療関係の国家資格 | 講習は合計で31.5時間 講習受講後に試験合格で資格取得となります。 |
行動援護従業者 | 主に知的障がい者や精神障がい、発達障がい等で一人での行動が困難な方の外出時のサポートをする仕事です。 | 特になし | 研修期間は3〜4日程度で、介護の資格や実務経験の有無を問わず受講することができます。 |
高齢者コミュニケーター | 高齢者とのコミュニケーションに関する技術を学ぶ職業です。 | 「高齢者傾聴スペシャリスト」などの資格を持っていると高齢者コミュニケーターとして認められます。 | 特になし |
同行援護従業者 | 視覚障がい者の外出援助を目的とした、障がい者自立支援法に基づく資格です。 | 研修を主管する自治体により、カリキュラム内容や時間数、受講要件などに違いがある場合があります。 | 一般課程と応用課程があり、2~3日間の講習で実施する場合が多いそうです。 |
重度訪問介護従業者 | 重度の肢体不自由者または、重度の知的障害・精神障害により常時介護を要する方へ介護サービスを提供するために必要な資格です。 | 特になし | 受講料などは自治体や事業所によって異なります。 |
終末期ケア専門士 | 終末期におけるケアに重点を置いた介護資格で、日本終末期ケア協会により創設されました。 | 3年以上の実務経験 | 年1回、10月に開催されます。 |
難病患者等ホームヘルパー | 難病患者等ホームヘルパーとは、特定疾患や難病を抱える方に訪問型の介護・生活援助を行う専門職員です。 | 介護福祉士 介護職員基礎研修修了者 ホームヘルパー 等の資格 | 開催場所・開催日時・開催している課程は自治体・教育機関によって異なります。 |
介護福祉士と社会福祉士のまとめ
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要点を以下にまとめます。
- 介護福祉士は身体的な支援を直接行う
- 社会福祉士は生活環境を整えることで間接的にサポートする
- 介護福祉士の資格を持っていると社会福祉士の受験資格を得るための実習期間が3分の1に短縮される
- 介護福祉士、社会福祉士ともに受験資格を得るためには専門の教育機関で一定の知識を学び、実務経験が必要とされている
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。