最近では、隠しカメラを設置する介護施設が増えてきました。
それには社会問題となっている職員による利用者への虐待抑制や防犯などの目的があります。
一方で、介護施設を利用される方のプライバシーの尊重も考えなくてはなりません。
いつも誰かに監視されている環境に置かれるのを嫌がる方もいます。
今回は、介護施設の隠しカメラについて以下の点を中心にお伝えしていきます。
- 介護施設で隠しカメラの設置が進んだ背景
- 介護施設に隠しカメラを設置する理由
- 監視カメラの効果
ぜひ、最後までご覧ください。
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介護施設に隠しカメラの設置は違法?
介護施設では、不審者の侵入対策など防犯上から監視カメラを設置しているところが多い傾向にあります。
では、利用者や職員にも設置場所を明らかにしていない隠しカメラを設置することは違法なのでしょうか。
場合によっては違法になることも
監視カメラを使うことで利用者の様子を介護スタッフが見守ることができ、思わぬ事故を防げます。
ホールや廊下など共同の場に監視カメラを設置するのは違法ではありません。
しかしプライベート空間まで常に監視カメラで見張られているというのは、利用者のプライバシー侵害になる可能性があります。
まして、隠しカメラのように利用者から見えない場所に設置した場合には人権侵害を犯すことになりかねません。
安全が優先か、プライバシーが優先か
介護施設に隠しカメラを設置するのは、安全上絶対に必要なのか。
あるいはそれよりも利用者のプライバシーを重視するのか。
それぞれ考え方があると思います。
しかし近年、職員による利用者への虐待が発覚するなかで隠しカメラが立証に役立つケースがあることも確かです。
利用者が安全に施設を利用するためには、隠しカメラの存在を否定する時代ではないのかもしれません。
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介護施設で隠しカメラの設置が進んだ背景
本来ならば入居者や利用者のプライバシーを最優先しなければならない介護施設ですが、隠しカメラの設置が一般的になった背景にはさまざまな要因が考えられます。
高齢者虐待の実情
虐待というと殴ったり、蹴ったりといった「肉体的虐待」をイメージします。
しかし、介護を放棄する「ネグレクト虐待」、侮辱的な言葉を浴びせたりして傷つける「心理的虐待」、本人の合意なく財産を勝手に使う「経済的虐待」なども虐待になります。
高齢者へのさまざまな虐待をまとめた厚生労働省のデータによると、家族からの虐待は年間1万7,000件以上、介護施設や居宅サービスなど職員によるものは年間約500件となっています。
しかし、これは明るみに出た虐待であってまだまだたくさんの虐待が隠されているとみていいでしょう。
高齢者虐待が起きる原因
なぜ、高齢者の虐待が起こるのか。
ここでは、介護施設での虐待原因について考えてみましょう。
人手不足による職場環境の悪化
高齢化社会となって介護施設を利用する方は増える一方です。
そのため介護の現場は、慢性的な人手不足となっています。
介護職員への負担が増大して、疲労やストレスがたまっていきます。
するとそのはけ口として弱い立場のお年寄りが虐待のターゲットになってしまうのです。
教育不足
初めて介護の世界に飛び込んだ新人に対して、教育が十分でないことも原因のひとつです。
本来教育係である先輩職員も、慢性的な人手不足によって精一杯の状態です。
「介護に慣れていない」→「誰も教えてくれない」→「不安」という状況に陥り、常にストレスを抱える状態となりはけ口がお年寄りに向かいます。
さらに教育不足のため、行っている行為そのものが虐待になるということにすら気づいていないというケースもあります。
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監視カメラの設置効果は出ている?
介護施設での監視カメラの設置が一般的になりつつあるなか、その設置効果はどのようなものがあるのでしょうか。
防犯対策
不特定多数の人々が出入りする介護施設では、外部からいつ不審者が侵入するのかわかりません。
監視カメラを設置しておくだけで、犯罪の抑止力になります。
また、万が一犯罪が起こったとしても証拠や現場検証の有力な手掛かりとなります。
虐待対策
認知症で虐待をほかの職員や家族に伝えることができないケースもあります。
監視カメラがあると思えば、虐待の抑止にもつながります。
また、虐待が疑われた場合にも事実確認として使用することができます。
徘徊対策
介護施設では、認知症で徘徊する利用者も多くいます。
出入口付近に監視カメラを設置して人感センサーと連動させることで、気が付かないうちに施設の外に出てしまうのを防ぐことができます。
事故対策
介護施設では、転倒事故などを未然に防ぐことが必要です。
監視カメラで事故は防ぐことはできませんが、事故を録画しておくことで事故の原因究明や今後の防止策などを立てることができます。
隠しカメラの設置が難しい場合は?
場所的に監視カメラや隠しカメラの設置が難しい場合もあります。
その場合には、カメラ以外の方法を考えましょう。
監視カメラや隠しカメラの目的は、介護施設の利用者にとって嫌なことや困ったことなどがないかどうかを探ることです。
本人の話をよく聞いて、介護施設の職員とも積極的にコミュニケーションを図ることで状況が把握できるかもしれません。
また、ベッド近くにボイスレコーダーを設置しておくのも一つの方法でしょう。
悪い介護施設を選ばないために
高齢化社会を迎え、介護施設も乱立状態です。
経営状態の悪い介護施設や劣悪な介護サービスを行っている施設も少なくありません。
そこで、失敗しない介護施設の選び方を紹介します。
即入居可の老人ホームは怪しい
本来老人ホームは、終の棲家として受け入れる介護施設側も慎重になるはずです。
入居希望の本人の状況も確認できないまま「今ならまだ空きがあります」という勧誘をする施設は、逆に何かあれば即退去させられるかもしれません。
よい介護施設は、事前に必ず本人と面談します。
そして、状況を把握した上で責任を持って受け入れをしてくれます。
施設の昼食風景を見学する
食事の質に関しては、行政が指導するわけではありません。
そのため、食事に気を遣っている介護施設とそうでない施設の差が大きいものです。
豪華な食事でなくても栄養バランスが取れて個々に合った量と食べやすさが工夫されていれば、その施設は他の介護でもきめ細かなサービスができていると思っていいでしょう。
「昼食の様子を見学させて欲しい」とお願いして、喜んで見学させてくれる介護施設であれば安心といえるでしょう。
職員の離職率を調べる
どのような職業でも雰囲気や待遇のよい職場は、離職率が低いものです。
介護施設でも職員の離職率が低ければ、働きやすい職場であるということを意味します。
離職率を調べるためには、厚生労働省の「介護事業所・生活関連情報検索」を活用しましょう。
前年度における退職者数や介護職員の経験年数をチェックすることができます。
介護施設と隠しカメラのまとめ
ここでは、介護施設と隠しカメラについて解説してきました。
その要点を以下にまとめます。
- 介護施設で隠しカメラを設置することは、場合によっては違法となる
- 介護施設で隠しカメラの設置が進んだ背景には「虐待」の抑制が関係している
- 監視カメラの効果としては「防犯対策」「虐待対策」「徘徊対策」「事故防止対策」がある
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。