皆さんは、運動後や緊張した時に心臓がドキドキと早く打つ感覚を経験したことはありませんか。
そんな症状が常に続くと、それはただの運動後の反応ではなく、何か他の原因があるかもしれません。
脈拍が早くなる症状は、私たちの日常生活の中で頻繁に起こります。
それは、ストレス、運動、喫煙、カフェイン摂取、そしてさまざまな病状によって引き起こされる可能性があります。
この記事では、脈拍が早くなる原因について以下の項目を中心に詳しく解説します。
- 生理的な状況により脈拍が早くなる理由
- 心理的ストレスが脈拍に与える影響
- 病気が原因で脈拍が早くなるケース
自分自身の健康管理に役立てるためにも、ぜひ最後までお読みください。
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生理的な状況が脈拍を早くする理由
人間の体はあらゆる生理的状況によって脈拍数が変動します。
これらの状況には、
- 運動
- ストレス
- アルコール摂取
- 寝不足
などが含まれます。
それでは、これらの要素がどのように脈拍数に影響を及ぼすかを以下で詳しく説明していきます。
運動やストレスによる脈拍の増加
運動やストレスが脈拍数を増加させる主な理由は、これらの状況が交感神経を活性化させるからです。
交感神経が活性化すると、心筋収縮力の増強や心拍数の増加が起こります。
運動をする際は以下の基準を参考にし、無理せず行いましょう。
運動を行わない方が良い場合
- 安静時の脈拍数が120回/分以上
- 拡張期血圧が120mmHg以上
- 収縮期血圧が200mmHg以上
途中で運動を中止する場合
- 脈拍が140回/分を超えた
- 不整脈が出現した
- 収縮期血圧が40mmHg以上または拡張期血圧が20mmHg以上上昇した
途中で休んで様子を見る場合
- 脈拍数が運動前の30%を超えた
- 脈拍数が120回/分を超えた
- 1分間10回以下の不整脈の出現
- 軽い息切れ、動悸の出現
ただし、これらは血圧と脈拍数のみの基準なので、その他にも体調が優れない場合は運動を中止しましょう。
また、健康面で不安がある場合は必ず医師に相談してください。
(出典:厚生労働省「多面的運動プログラムの実施」)
アルコール摂取と脈拍の関連性
アルコール摂取が脈拍に影響を及ぼす主な理由は、アルコールの代謝産物であるアセトアルデヒドが交感神経を 活性化させるからです。
交感神経が活性化すると、脈拍数は上がります。
また、アルコールは一部の不整脈を誘発します。
寝不足が脈拍に及ぼす影響
寝不足が脈拍に影響を及ぼす主な理由は、睡眠不足が自律神経の乱れを引き起こし、交感神経が優位になるからです。
交感神経が優位になると、心拍数や血圧を調整する働きが乱れ、動悸が起こりやすくなります。
睡眠の質は、脈拍だけでなく生活習慣病にも影響を及ぼします。
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心理的ストレスが脈拍に与える影響
心理的ストレスは、私たちの心身に大きな影響を及ぼします。
特に、脈拍数に対する影響は顕著で、緊張やストレスが脈拍数を増加させることが知られています。
また、心理的要因が頻脈を引き起こすメカニズムも存在します。
緊張やストレスによる脈拍の増加
緊張やストレスが脈拍数を増加させる主な理由は、これらの状況が交感神経を活性化させるからです。
交感神経が活性化すると、心筋収縮力の増強や心拍数の増加が起こります。
また、ストレスは心拍上昇に要注意であり、危険な心拍数というのを理解しておくことが重要です。
心理的要因による頻脈の発生
心理的要因が頻脈を引き起こす主なメカニズムは、
- ストレスホルモン(副腎皮質ホルモン)の乱れ
- 自律神経系の乱れ
以上の2つが原因だと考えられます。
ストレスを受けると、身体は「緊張状態」だと判断し交感神経が活性化し出します。
交感神経が活性化すれば、血圧が上がり、心拍数も上がります。
これによって私たちはストレスを受けると動悸を感じやすくなるのです。
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内分泌系の疾患が脈拍にどのように影響するか
内分泌系の疾患は、体内のホルモンバランスを乱し、その結果、脈拍に影響を及ぼすことがあります。
特に、甲状腺機能亢進症やホルモンの異常は、脈拍に大きな影響を及ぼすことが知られています。
甲状腺機能亢進症と脈拍の関連性
甲状腺機能亢進症は、甲状腺が過剰に活動し、甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気です。
甲状腺ホルモンは、心臓の収縮力を増強したり、心拍数を増やしたりする働きがあります。
そのため、甲状腺機能亢進症を発症すると、脈拍数が100〜120と多くなり、動悸がして手足に力が入らず、指先が震えたり、息切れがしたりします。
ホルモンの異常と脈拍の関連性
ホルモンの異常が脈拍に影響を及ぼす主な理由は、ホルモンが自律神経の調節に影響を及ぼすからです。
自律神経は、心拍数や血圧などの生理的な反応を調節します。
したがって、ホルモンの異常が自律神経のバランスを乱すと、脈拍に異常が生じる可能性があります。
以下の記事で、自律神経の乱れによる動悸について詳しく解説しています。
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心臓病が脈拍速度に及ぼす影響
心臓病は、心臓の機能や構造に影響を及ぼし、その結果、脈拍速度にも影響を及ぼします。
特に、心臓疾患と心不全は、脈拍に大きな影響を及ぼすことが知られています。
心臓疾患と脈拍の関連性
心臓疾患が脈拍に影響を及ぼす主な理由は、心臓疾患が心臓の収縮力や心拍数に影響を与えるからです。
例えば、心筋梗塞や心房細動などの心臓疾患では、脈拍が何回かに1回途切れてしまう〔脈の欠損(結滞)とよぶ〕状態が生じ、脈拍数が心拍数より少なくなります。
心不全と脈拍の関連性
心不全により心臓のポンプ機能が低下すると、十分な血液を全身に送り出すことができなくなります。
これに対応しようと心臓は拍動 (収縮と拡張)の回数を増やして頑張って血液を送り出そうとするため、脈拍が早くなり、これが動悸につながります。
薬物の副作用と脈拍の早さの関連性
薬物はその効果を発揮する一方で、副作用を引き起こすことがあります。
特に、心臓に影響を及ぼす薬物は、脈拍速度にも影響を及ぼすことがあります。
以下では、抗不整脈薬と高血圧薬が脈拍にどのような影響を及ぼすかについて詳しく説明します。
抗不整脈薬による脈拍の変化
抗不整脈薬は、心臓の異常な電気信号をブロックし、不整脈を停止させたり、起こりにくくしたりする効果があるとされています。
しかし、これらの薬は副作用を引き起こす可能性があり、その一つが脈拍の変化です。
抗不整脈薬は、心臓の興奮伝導に影響を及ぼすため、逆に思いもよらない不整脈を誘発することがあります。
高血圧薬の副作用と脈拍
高血圧薬は血圧を下げる効果が期待できますが、それに伴って脈拍数が普通以上に早くなることがあります。
特に、カルシウム拮抗薬の服用により、脈拍数が持続的に80を超える時があります。
その場合は、医者に相談することをお勧めします。
また、β遮断薬は心拍数を減少させる副作用があります。
これらの薬を服用する際は、医師の指示に従い、副作用に注意しながら服用することが重要です。
脈拍が早い原因のまとめ
ここまで脈拍が早い原因についてご紹介しました。
要点を以下にまとめます。
- 運動やストレス、アルコール摂取、寝不足などの生理的な状況により交感神経が活性化し、脈拍が早くなる場合がある
- 心理的要因が頻脈を引き起こす主なメカニズムは、ストレスホルモン(副腎皮質ホルモン)の乱れと自律神経系の乱れが原因と考えられる
- 内分泌系の疾患や心臓病など、病気が原因で脈拍が早くなるケースもあるため、心配な場合は医療機関を受診することが推奨されている
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。