高齢者の増加によって介護保険法が制定され、介護制度で民間の介護施設が作られましたが、決して順調に運営されるものばかりではなく経営困難になっている施設もあります。
それに加えて、2020年からのコロナ禍によって介護サービスや介護施設の利用にも大きな影響がでています。
介護施設の経営が困難になって倒産した件数は、介護保険制度が施行の2000年以降、過去最大になっています。
このような倒産の実情とその原因、対策を以下の内容で解説していきます。
- 介護施設の倒産件数
- 介護施設の倒産が増加している原因
- 介護施設の倒産に備える利用者の対策
介護施設の運営に不安を感じている利用者や介護職員の方が、もし倒産した場合にも焦らないように参考にして頂けると幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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介護施設の倒産件数
2020年の介護施設や介護事業の倒産は、118件と過去最多となっています。
また、倒産の傾向としては、
- 業務別では訪問介護部門で56件(全体比率の47.4%)
- 負債金額では1億円未満(全体比率の79.6%)のもので94件
- 従業員の数5人未満では79件(全体比率の66.9%)
- 事業開始10年未満では65件(全体比率の55.0%)
となっています。
業務別では訪問部門、事業経験が浅く経営規模が小さなところで倒産が起きていることが集計から分かります。
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介護施設の倒産が増加している背景
休業・廃業・解散となった事業所は過去最高の前年比15.1%の増加です。
訪問介護員の接客サービスは、コロナ禍においては人材不足と施設使用の激減で倒産が増加したものと考えられます。
人材不足
介護施設での人材不足感をアンケート調査した内容が、公益財団法人介護労働安定センターの2019年10月のデータですが、不足感(「大いに不足」「不足」「やや不足」)が全体の65.3%でした。
職種別調査では、訪問介護員の不足感は全体の81.2%、また介護職員は69.7%で不足感は横ばいの状況になっています。
同様の調査で、訪問介護員と介護職員を合計した採用率は、2019年までの3年間は18%前後と横ばいになっており、同様に2職種を合計した離職率は15~16%と依然、採用の人材不足は続いているという結果になっています。
新型コロナウイルス
株式会社三菱総合研究所の調査で、新型コロナウイルスが介護サービス事業所の経営への影響のアンケート結果より見えて来るのが物件費の増大です。
第一に、保険衛生費(マスク、手袋等の購入)の増大です。
コロナ禍以前の場合、保険衛生費は1.8ポイントであったものが、2019年度は2.1ポイントに、2020年度は2.9ポイントに増大しました。
次は、日用品費です。
コロナ禍以前の場合、0.6ポイントでしたたが、
2019年度は0.7ポイントに、2020年度は0.8ポイントに増大しました。
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倒産に備えるための介護施設の対策とは?
高齢者の増加に伴い、民間を中心に介護施設は増加しましたが、時として経営難で倒産に陥る場合があります。
万が一の事を考えて、事前に倒産に備えた対策をおこなうようにケアマネジャーと相談しておくことも大事でしょう。
入居一時金の保全措置
民間の介護施設に入るためには、家賃の前払いのような「入居金」という制度があります。
この前払い金を保全する制度が2021年4月1日から「すべての有料老人ホーム」で対象となって義務化されました。
介護施設が倒産した場合は、老人福祉法によって、この前払い金の未償却分が返還される制度がありますので事前に確認しておきしょう。
入居者生活保証制度
公益社団法人有料老人ホーム協会の「入居者生活保証制度」は、倒産で全入居者の契約が解除された場合に協会から登録された入居者に保証金が支払われる制度です。
介護施設が倒産するとどうなるのか
高齢者の増加に伴い民間を中心に介護施設は増加しました。
介護施設が増えてくると同業者の競争が激しくなります。
介護や看護に経験が少ない民間企業の場合はニーズが合わなくなって、介護・看護経営破綻、つまり倒産が起こる場合があります。
せっかく入所できた家族や介護施設の職員も倒産になると大変です。
通常は運営会社が引き継がれる場合が多いようですが、入居条件が変わる場合もあります。
また運悪く経営が引き継がれない事態に陥る場合もあるので、これらの内容を解説します。
運営会社が引き継ぐ場合
倒産しても介護施設を別の運営会社が引き継ぐことがよくありますので、急に退所命令や、介護職員がいなくなることにはなりませんが、この場合は利用者として注意点があります。
それは、経営者の変更によって、入居基準・条件の変更や介護サービスの内容変更、または介護職員側の体制変更もあると予想されることです。
たとえば無料サービスだったものが有料制に変更、介護活動内容や食事内容、スケジュールの変更などが発生する場合があります。
介護職員の方もサービス担当人員の変更や別の職制異動が考えられます。
引き継ぎ手がいない場合
倒産で介護施設の経営が運悪く引き継がれない場合もあります。
介護施設が閉鎖になった場合は、入居していた家族を別の入居場所に移すため新たな介護施設を探すことになります。
この場合は、担当のケアマネジャーと相談するのが良いでしょう。
介護施設が倒産するかどうかの見通し
介護施設が倒産するかどうかは稼働状況や介護人員の様子を知ると、それぞれ特徴が見える場合があります。
倒産しそうな介護施設の特徴
次のような兆候が見えたら注意しましょう。
稼働率が低下している
老人介護ホームの場合、空室が多すぎると経営の危険な兆候と考えるべきでしょう。
設備の賃借料や維持費が滞っていることが考えられ、長期間になると倒産の危機となります。
職員数が減少している
介護施設の職員が減少している場合は、退職者が多くなってきているか、運営の採算をとるためにサービスを低下して人員削減を実施している場合が考えられます。
そのため、いずれ倒産の危機につながって来ると考えられます。
設備投資がなくなる
介護施設にある設備が故障のままになっている場合や、旧式の設備のままである場合、食事の内容が急に粗末になって来たときも、設備投資やサービスへの経費削減が進んでいると考えられます。
そのため、いずれ倒産の危機につながって来ると考えられます。
倒産しにくい介護施設の特徴
民間の介護施設の場合は、前述の倒産しそうな介護施設の活用は避けるべきです。
可能な限りは民間ではない地方自治体の介護施設を利用すると、倒産の可能性は低くなるでしょう。
介護施設の見学について詳しく知りたい方は下記の記事も併せてお読み下さい。
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閉鎖後にすぐ入居できる介護施設は?
民間の介護施設が、倒産などで不運にも閉鎖になってしまった場合には、入居中の家族を新たな入居先に転居させてあげるため介護施設を探す必要がでて来ます。
この介護施設を探す場合は、同様の民間の介護施設と共に「特養」も考えて問い合わせしてみると良いでしょう。
「特養」とは、特別養護老人ホームのことで、地方自治体や社会福祉法人が運営しているため、民間の施設よりも費用が安いのが特徴です。
特養は登録が必要で人気があるため、空きが出るまでは待機する必要があります。
ただし、2015年から入居条件が要介護3以上になったため、該当する場合は希望地域の範囲を広げて、複数の「特養」に登録しておくと入居できる確率を高くできる場合があります。
まとめ:介護施設の倒産
介護施設の倒産について内容と対策をまとめると下記になります。
- 介護施設倒産件数は、2020年過去最高になっている
- 介護施設倒産が増加している原因は、介護職員採用の人材不足、介護に精通した会社でない場合があること、コロナ禍の影響が考えられる
- 介護施設の倒産に備える利用者としての対策は、老人福祉法で「入居金」返還制度がある
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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