グループホームへの入居を検討している場合でも、実際のところ入居条件については知らないという方も多いと思います。
また、グループホームには認知症向けのものと、障がい者向けのものがあるため、それぞれの入居条件の違いについて知りたい方も多いのではないでしょうか?
障がい者向けのグループホームについても触れていますので、参考にしていただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
日本では少子高齢化が社会問題となっており、高齢者の割合が年々増加しています。そんな中、認知症の高齢者を専門にケアする施設も増えてきました。その施設の一つが「グループホーム」です。今回の記事では、「家族が認知症になって自宅で介護を続[…]
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認知症グループホームの入居条件
ここではまず、認知症の方を対象としたグループホームの入居条件についてご紹介します。
また、障がい者の方を対象としたグループホームの入居条件もあわせてご紹介していますので、ぜひ比較しながらご覧ください。
年齢
介護保険の「認知症対応型共同生活介護」を利用することで、グループホームに入居できます。
そのため、入居は原則として65歳以上の方が対象となります。
しかし、介護保険者である40歳から64歳の方も、例外として対象者となる場合があります。
ちなみに例外とは、介護保険の特定疾病が原因で要介護となった場合や、若年性認知症の診断された場合のことです。
一方、障がい者の方を対象とするグループホームは、障害者総合支援法の「障害福祉サービス」の中にある「共同生活援助」を利用することで、入居できます。
特に、知的障がいの方や精神障がいの方が利用するケースが多いです。
しかし「身体障がい」の方が利用するケースに限り、65歳の誕生日を迎える前の日までに「障害福祉サービス」を利用した経験がある方、もしくは64歳以下の方が入居対象者となります。
また、「障害福祉サービス」を利用したことがなくても、準ずるサービスの利用経験がある場合には、同様の扱いとなります。
このように、介護保険の考え方とは全く条件が異なっているため、混同しないよう注意しましょう。
要介護度
次は要介護度についてです。
具体的にいうと「要支援2」の方と「要介護1・2・3・4・5」の方が対象者となります。
「要支援1」の方は入居条件を満たしていないため、残念ながら入居対象外となっています。
一方、障がい者の方の場合には、要介護度ではなく「障害支援区分1・2・3・4・5・6」に認定されている必要があります。
認知症の診断
入所するために利用する「認知症対応型共同生活介護」は、認知症の方が安心して生活していくために作られたサービスです。
そのため「認知症」と診断された方が、グループホームの入居条件の対象者となります。
一方、障がい者向けのグループホームに入居できるのは、以下のいずれかに当てはまる方が対象となります。
- 身体障がいの方
- 精神障がいの方
- 知的障がいの方
- 難病を患っている方
さらに付け加えると「障害者手帳」や「療育手帳」などをお持ちの方が入居対象者となるため、お持ちでない場合にも申請を行いましょう。
同じ地域の住民票
どちらのグループホームに入居する場合にもいえることですが、入居したい施設と同じ地域の住民票が必要です。
入居したいグループホームと異なる市区町村に住民票がある方は、入居条件の対象外となるため注意しましょう。
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グループホームの費用
グループホームの費用には入居前に支払う「初期費用」と、毎月支払う必要がある「月額費用」の2種類があります。
初期費用
初期費用には「入居一時金」や「保証金」が含まれますが、金額について詳しく定められていません。
無料のところから20万円以上かかるところまで、施設ごとに金額の設定が異なっていることも多いため、確認してから検討するようにしましょう。
施設によっては、支払った初期費用の一部が退去時に返ってくる可能性もあります。
月額費用
次に、月額費用として「介護サービス費」と「生活に必要な費用」を支払う必要があります。
介護サービス費
基本的な介護サービス費の目安は、厚生労働省によって以下のように公表されていますので、ご覧ください。
以下の表が1日あたりの金額になります。
ユニットが一つのみ | ユニットが二つ以上 | |
要支援2 | 760円 | 748円 |
要介護1 | 764円 | 752円 |
要介護2 | 800円 | 787円 |
要介護3 | 823円 | 811円 |
要介護4 | 840円 | 827円 |
要介護5 | 858円 | 844円 |
*一単位=10円、自己負担割合一割の場合
生活に必要な費用
内訳としては、主に家賃、共益費、水道光熱費、食事代(一日)が挙げられます。
参考として、愛の家グループホーム中野弥生町の費用をご紹介します。
費用は施設によって若干異なるため、入所前に確認しておきましょう。
合計 | 156,685円 |
家賃 | 80,000円 |
共益費 | 11,714円 |
水道光熱費 | 27,771円 |
食事代(一日) | 1,240円 |
参照:「愛の家グループホーム中野弥生町」
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グループホームに入居するメリット・デメリット
グループホームに入居することで、得ることができるメリットとデメリットについて、知りたい方も多いのではないでしょうか?
認知症の方を対象としているグループホームのメリット・デメリットを解説します。
障がい者向けのグループホームの、メリット・デメリットも併せて解説しますので、ぜひチェックしてみてください。
認知症対応型グループホームのメリット
まずは、4点のメリットについてご紹介します。
認知症の進行を緩やかにできる
一つ目のメリットは認知症の進行を緩やかにできることです。
グループホームでは入居者の方とスタッフがともに協力して、家事などを行います。
入居者の方に力を発揮していただくためにもスタッフはサポートとして動くため、家事をしながらリハビリ効果も期待することができます。
また、これは障がい者向けのグループホームについてもいえることですが、自立をサポートすることで、自信などの感情を育むこともできます。
自分らしい生活を送れるようにもなるため、心穏やかに、そして安心して過ごせるようになります。
認知症ケアに特化した職員がいる
2つ目のメリットは認知症ケアに特化した職員がいることです。
グループホームのスタッフは認知症の知識と経験が豊富であるため、生活の中のケアや精神的なフォローまで、しっかりとサポートしてくれます。
また、スタッフは入居者の症状に合わせてケアを提供するため、自分にあっているサービスを受けることができます。
障がい者向けのグループホームについても同様で、知識豊富なスタッフが入居者の方に合っているケアを提供します。
必要に応じてケアの内容の見直しも行っているため、安心して利用することができます。
住み慣れた地域で過ごせる
3つ目のメリットは住み慣れた地域で過ごせることです。
住んでいる環境が大きく変わると、認知症の方がストレスや不安などを抱える恐れがあります。
認知症の方は、大きな環境の変化に対応しにくいという特徴があるため、注意する必要があります。
しかし、グループホームは「地域密着型サービス」の一つであるため、慣れている地域で安心して過ごすことができます。
さらに、長年住み続けている方同士の場合、共通の話題が見つかりやすいため、コミュニケーションが取りやすくなると考えられます。
障がい者の方の場合にも同じことがいえますので、慣れた地域でサービスを受けたい方はぜひ検討してみてください。
多くの人と交流できる
そして、4つ目のメリットは多くの人と交流できることです。
グループホームの生活はユニット単位で行われ、ユニットごとに働くスタッフが決まっています。
そのため、多くの人と交流しながら生活することができます。
また、ユニット内の入居者やスタッフは固定で、入れ替わりが少ないため、顔なじみのメンバーで安心して過ごすことができます。
障がい者の方の場合でも、同様のメリットを挙げることが可能となります。
認知症対応型グループホームのデメリット
次は、デメリット部分についても触れていきます。
具体的に、6点のデメリットを挙げていますので、ぜひこちらもチェックしてみてください。
住民票が必要である
一つ目のデメリットは住民票が必要であることです。
グループホームは地域密着型サービスの1つです。
そのため、住民票のある地域の施設でない場合には、原則として入居することができません。
要介護度によっては入居できない可能性がある
2つ目のデメリットは要介護によっては入居できない可能性があることです。
認知症の方の場合、要介護認定で「要支援2」もしくは「要介護1・2・3・4・5」の認定を受けている方が入居対象者となります。
そのため「要支援1」の方や、そもそも認定を受けていない方などは、残念ながら入居することができません。
一方、障がい者の方の場合には、障がいの程度によっては入居できないことがあります。
施設ごとに対象としている障がいの種類やタイプなどが違っていることも多いため、入居可能であるかを確認することをおすすめします。
医療ケア体制は充実していない
そして、3つ目のデメリットは医療ケア体制が充実していないことです。
グループホームは、看護師を常に配置しておく義務はないため、医療ケアに関しては特化していないといえます。
特に、障がい者向けの施設の場合、医療ケアを必要としない方を対象とし、自立を目指す生活のサポートをしているところの方が正直なところ多いです。
医療ケアを全く行うことができないわけではありませんが、対応には限界があるため、留意した上で選ばれることをおすすめします。
場合によっては人間関係に悩むこともある
4つ目のデメリットは場合によっては人間関係に悩むこともあることです。
入居者は固定であるため、場合によっては人間関係に悩む可能性があります。
また、入居後に入居者間の性格的な相性などが悪いことが発覚した場合にも、調整が難しいことが挙げられます。
一方、障がい者向けの施設の場合、入居者たちの雰囲気に馴染めず、ストレスを感じるケースもあります。
本来の性格が穏やかな場合でも、実際に入居してみないと分からないところも多いため、じっくりと考えることをおすすめします。
定員オーバーになりやすい
5つ目のデメリットは定員オーバーになりやすいことです。
グループホームは定員が少ない上にすぐ満室となることが多いため、入居待ちとなるケースも珍しくはありません。
定員が埋まりやすいのは認知症向けだけでなく、障がい者向けのグループホームも同様です。
そのため、空きが出たら利用できるように施設に申し込んでおいたり、少し離れた地域の施設を探したりする方が多いです。
要介護度が上がると退去する可能性がある
そして、最後のデメリットは要介護度が上がると退去する可能性があることです。
要介護度が上がると同時に、医療ケアが必要となるケースも多くなります。
しかし、グループホームは先ほども挙げましたが「医療ケア体制が充実していない」ため、場合によっては施設側が対応できなくなり退去する可能性もあります。
障がい者向けの施設の場合も、障がいが重度となり、医療ケアが必要となった際に同じことがいえます。
早めにグループホーム以外も視野に入れながら、医療ケア体制が整っている施設を検討することをおすすめします。
他の介護施設との違い
介護施設には様々な種類がありますが、一体どのような違いがあるのでしょうか?
ここでは具体的に、特別養護老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅、そして有料老人ホームと比較しながら、違いについて解説していきます。
特別養護老人ホームとの違い
特別養護老人ホームは要介護3・4・5の方を対象としている公的な施設です。
グループホームでは、自立を支援するサービスを提供しているため、特別養護老人ホームよりも要介護度が軽い方が多いといえます。
特別養護老人ホームは、看護師などを配置する必要があるため、医療ケア体制が万全に整っています。
特別養護老人ホームの場合は、認知症の診断が無くても入居可能ですが、こちらもグループホームと同じで「入居を待つ期間が長め」です。
サービス付き高齢者向け住宅との違い
次は、サービス付き高齢者向け住宅との違いについてです。
サービス付き高齢者向け住宅は、60歳以上の方を対象としている民間運営の施設です。
原則として65歳以上の方を対象としているグループホームと比較すると、サービス付き高齢者向け住宅のほうが、入居できる年齢が若くなっています。
また、サービス付き高齢者向け住宅では、入居者の安否の確認や生活相談などのサービスを提供しています。
介護が必要となる前から利用することができ、介護が必要となった際に外部サービスの利用が可能です。
有料老人ホームとの違い
最後は、有料老人ホームとの違いについてです。
有料老人ホームには、介護付き有料老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、そして健康型有料老人ホームの3種類があります。
それぞれの施設で提供されるサービスや対象者が異なっているため、自分に合っているものを選択することができます。
ちなみに、食事の提供・介護・洗濯などの家事・健康管理などのサービスを受ける場合には、老人福祉法の指導・監督の元でサービスが提供されることになります。
有料老人ホームの中には、まるでホテルのようなおしゃれな施設もあるため、家庭のような雰囲気のグループホームとは違った雰囲気となっている場合もあります。
また、有料老人ホームには少人数の定員の施設から、100人以上を定員とする大規模の施設まで、幅広いことが特徴です。
グループホームは、比較的自立している方が多いですが、有料老人ホームは自立している方から要介護5の方まで幅広く入居されています。
障がい者向けのグループホームの特徴
入居条件やメリット・デメリットの部分でも触れましたが、グループホームには障がい者向けの施設も存在しています。
障がい者向けのグループホームでは、障害者総合支援法が定めている「障害福祉サービス」の中の「共同生活援助」が提供されます。
障がい者の方に対し、一人一人個別で作成される「個別支援計画」に沿って、その方に最適なサービスを提供します。
グループホームには一軒家や民間の賃貸マンションなど、さまざまな住居がありますが、施設によってはグループホームの定員は異なります。
- 新築の施設の場合:2人から最大10人まで
- 新築でない場合:2人から最大20人まで
居室は個室となっていることが多く、食事などは共有スペースで行うため、プライバシーを守りながら共同生活を行うことができます。
障がい者向けの施設のグループホームには、主に以下の3つの種類があります。
- 介護サービス包括型
- 外部サービス利用型
- 日中活動サービス支援型
グループホームで提供されるサービスは施設ごとに違っていますが、食事準備や入居者の健康・金銭の管理のサポート、日常生活を送るうえでの相談サービスを入居者に合わせて提供しています。
障がい者向けの施設の場合は、認知症の方向けの施設とは違い、あくまでも「自立」を目標としています。
そのため、グループホームに入居しながら職場へ通ったり、就職支援の「就労移行支援」や「地域活動支援センター」などを利用したりしている方もいます。
グループホームの入居条件のまとめ
ここまで、認知症対応のグループホームの入居条件などの情報を中心にお伝えしました。
ご紹介した入居条件を以下にまとめます。
・要支援2、要介護1〜5
・認知症の診断を受けている
・同じ市区町村に住んでいる
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。