ショートステイとは、宿泊型の介護施設に一時的に入所するサービスです。
実際、ショートステイはどうすれば利用できるのでしょうか?
ショートステイのサービス内容や、どのくらい費用がかかるのかも気になりますよね。
今回は、ショートステイのことが気になっている皆様のために徹底解説していきます。
- ショートステイのサービス内容
- ショートステイの対象者
- ショートステイを利用する方法
- デイサービスとの違い
この記事を読んでいただければ、ショートステイの仕組みを理解し、安心して利用できるようになります。
ぜひ、最後までご覧ください。
介護保険で利用できるサービスについて知りたい方は下記の記事も併せてお読みください。
高齢化が進み、要介護者の増加や介護期間の長期化などがみられるようになりました。また、老老介護という言葉もあるように介護する家族も高齢化しています。そういった現状を踏まえ、介護の負担を減らすために作られた制度が介護保険です。[…]
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ショートステイのサービス内容
※画像はイメージです
ショートステイとは、正式名称を「(介護予防)短期入所生活介護」といい、在宅介護を受けている方を対象とした宿泊型の介護サービスです。
一時的に介護施設に入所し、日常生活で必要な排泄・入浴・食事などの介助や機能訓練の介護サービスを受けます。
ケアプランに応じて、一回あたり最大で30日まで利用できます。
類似するサービスに、介護老人保健施設などが行う「(介護予防)短期入所療養介護」があります。
こちらは「医療型ショートステイ」と呼ばれています。
ショートステイの利用目的は、介護を必要としている高齢者に対する支援だけではありません。
要介護者が一時的に入所し介護者のまとまった時間を確保することで、介護者自身が病気や怪我の治療・休息・気分転換・冠婚葬祭への参加などできるようになります。
ショートステイには、要介護者だけでなく介護する側の家族の身体的・精神的負担を大きく軽減させる効果も期待できるのです。
この章では、ショートステイの具体的なサービス内容について
- ショートステイの部屋の種類
- ショートステイ先での過ごし方
以上2つに分けてご紹介していきます。
ショートステイの部屋の種類
ショートステイの部屋のタイプは、以下の4種類に分かれています。
- 多床室
- 従来型個室
- ユニット型個室的多床室
- ユニット型個室
多床室
多床室は、医療施設やユニット型施設が厚生労働省から提唱された2001年以前に設置された介護施設によく見られるタイプです。
一つの部屋に2~4人分のベッドが配置されているタイプで、ベッドとベッドの間はカーテンで仕切ることができます。
利用時にかかる滞在費が安いというメリットがある一方、ベッドとベッドの間に間仕切りなどがないのでプライバシーの点では気になる方もいるでしょう。
トイレや食堂、浴室、機能訓練室などは共有スペースにあるものを利用します。
従来型個室
従来型個室は、多床室と同様に医療施設や2001年以前に設置された介護施設によく見られるタイプです。
名前の通り利用定員一名の部屋で、室内にトイレや洗面台が設置されているケースもあります。
プライバシーが守られる一方、多床室と比較して滞在費が高いというデメリットがあります。
従来型個室と多床室の両方が用意されているショートステイの場合、空きがあれば予約の際に従来型個室と多床室から選ぶことができます。
食堂、浴室、機能訓練室などは共有スペースにあるものを利用します。
ユニット型個室的多床室
ユニット型とは、10人程度をひとつのグループとして見立て、そのグループ単位で職員を配置してケアに当たる仕組みのことをいいます。
ユニット型個室的多床室とは、ユニット型の施設の中で2~4人用の部屋を壁のような間仕切りで仕切ったタイプの部屋です。
間仕切りで区切られているため最低限のプライバシーは守られる一方、間仕切りが天井から床まで全て区切られているわけではないため、構造上完全な個室ではありません。
トイレや食堂や浴室・機能訓練室は共有ですが、使用するのは同じユニットを利用する10人程度となっています。
ユニット型個室
ユニット型個室とは、ユニット型の施設の中で利用定員が一人になっているタイプの部屋で、室内にトイレや洗面台が設置されている場合があります。
個室なのでプライバシーを守ることができますが、その分滞在費が高いところが注意点です。
食堂や浴室・機能訓練室は共有で、使用するのは同じユニットを利用する10人程度です。
ショートステイ先での1日の過ごし方
ショートステイでの過ごし方は、利用する施設により異なります。
ショートステイでは、自宅に閉じこもりがちな高齢者の外出や運動・他者との交流を支援することによって、心身機能の維持や向上を図ります。
滞在している間は、24時間その人の状態に応じた支援を受けることができます。
【とあるショートステイ 1泊2日の例】
〇1日目
8:30 | 送迎 車椅子対応が必要な方には対応車両で迎えに行きます。 自宅で車椅子を使わない方の場合は、車椅子も持参します。 |
9:00 | 体調確認・手荷物確認 事業所に到着したら、まずは体温や血圧を測定しながら体調を確認します。 持参された荷物の数をチェックし、事前に記入していただいた荷物リストと差異がないか確認します。 |
9:30 | お茶飲み・体操 お茶を飲んで一息ついたら、皆さんで朝のラジオ体操を行います。 |
10:00 | 入浴 利用者ごとの身体状態に合わせた入浴介助を行います。 座位を保つのが難しい方は、機械浴もご利用できます。 入浴後は水分補給しながらゆったり過ごしていただきます。 |
12:00 | 昼食 噛む力、飲み込む力に応じた食形態で提供します。 普通食、刻み食、ソフト食、ミキサー食などから選択することができます。 ※対応している食形態は事業所により異なります。 |
13:00 | 口腔ケア・お昼寝 食後は歯磨きをします。 ご希望がある方や体力に自信がない方は、自室でお昼寝をしていただけます。 |
14:00 | レクリエーション 日替わりのレクリエーションを行います。 体を動かしたり頭を使ったりするゲームにより、機能訓練の役割も果たします。 |
14:30 | 機能訓練 ケアプランに応じ、機能訓練を実施します。 |
15:00 | おやつ おやつとお茶の時間です。 |
16:00 | 自由時間 夕食までの時間を自由にお過ごしください。 |
17:30 | 夕食 |
18:30 | 口腔ケア・入室 食後は歯磨きをします。 歯磨きを終えた方からトイレ誘導後、居室に案内します。 就寝の準備もお手伝いします。 |
21:00 | 消灯 消灯後は、2時間おきに各居室を巡回します。 オムツ交換は0:00と4:00に行います。 |
〇2日目
6:00 | 起床 起床時間のお声がけをしながら、温かい蒸しタオルをお渡しします。 洗顔や着替えに支援が必要な方はお手伝いします。 |
7:00 | 朝食 |
8:00 | 口腔ケア・自由時間 食後は歯磨きをします。 体操の時間まで、自由にお過ごしいただけます。 |
9:30 | お茶飲み・体操 お茶を飲んで一息ついたら、本日来所の皆さんと一緒に朝のラジオ体操を行います。 |
10:00 | 入浴 or レクリエーション 前日に入浴され、毎日入るご希望がない方の場合は個別の機能訓練やレクリエーションを行います。 |
12:00 | 昼食 |
13:00 | 口腔ケア・お昼寝 |
14:00 | レクリエーション |
14:30 | 機能訓練 |
15:00 | おやつ |
15:45 | 帰宅準備 忘れ物がないか、来所持の持ち物リストと照らし合わせて手荷物を確認します。 服用しなかった薬剤があればお返しします。 |
16:00 | 送迎 ご自宅まで車でお送りします。 |
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ショートステイの人員配置基準や設備基準
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ショートステイを提供している介護施設の人員体制や設備について詳しく見ていきましょう。
人員配置基準
ショートステイを提供する施設の人員配置基準は以下の通りです。
医師 | 1人以上 |
生活相談員 | 常勤換算方法で、100人の利用者に対して1人以上必要(うち1人は常勤であること) ※20人未満が利用者定員の併設事業所は除く |
介護職員または看護職員 | 常勤換算方法で、3人の利用者に対して1人以上必要(うち1人は常勤であること) ※20人未満が利用者定員の併設事業所は除く |
栄養士 | 1人以上 ※40人以下が利用者定員で、連携可能な他施設の栄養士がいる場合は除く |
機能訓練指導員 | 1人以上 ※他職務と兼務可 |
調理員、その他職員 | 事業所の必要に応じた人数 |
設備基準
ショートステイ(短期入所介護サービス)を提供するために必要な設備は以下の通りです。
居室 | 定員4人以下、床面積は1人1.65㎡以上 |
食堂 | 必要に応じた面積、機能訓練室と合計で3㎡に利用者定員を乗じた面積以上 ※食事提供に支障がない広さを確保可能な場合、機能訓練室と同じ場所で可 |
機能訓練室 | 必要に応じた面積、食堂と合計で3㎡に利用者定員を乗じた面積以上 ※機能訓練に支障がない広さを確保可能な場合、食堂と同じ場所で可 |
浴室・便所・洗面設備 | 要介護者の利用に適するもの |
医務室・静養室・面談室・介護職員室・看護職員室・調理室・洗濯室または洗濯場・汚物処理室・介護材料室・その他必要な設備、備品が必要 | |
廊下は1.8m以上、中廊下は2.7m以上 | |
常夜灯を廊下、便所、その他必要な場所に設置すること | |
階段は緩やかな角度にすること | |
非常災害に対し、必要な設備を設置すること |
出典:厚生労働省「短期入所生活介護及び 短期入所療養介護 (参考資料)」
高齢化が進み、要介護者の増加や介護期間の長期化などがみられるようになりました。また、老老介護という言葉もあるように介護する家族も高齢化しています。そういった現状を踏まえ、介護の負担を減らすために作られた制度が介護保険です。[…]
ショートステイはどのような時に利用する?
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ショートステイの利用は介護者の身体的、精神的な不安の軽減が目的とされています。
介護者が病気になったり、冠婚葬祭、出張の場合も利用可能です。
また、利用者の病状の悪化や、精神状態が悪い場合にも利用ができます。
ショートステイの利用条件・対象者は?
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ショートステイの対象になるのは、要支援1・2、要介護1~5の認定を受け、ケアプランにショートステイを利用する必要性が明記されている方です。
要支援1・2の方は「介護予防短期入所生活介護」、要介護1~5の人は「短期入所生活介護」という名称のサービスになります。
実際にショートステイの対象となる人は、下記のいずれかに当てはまる場合です。
- 普段外出せず自宅に閉じこもりがちな場合
- 自宅での介護が大変で、介護する家族も休息する必要がある場合
- 普段している介護者に病気や怪我がある場合
- 介護者が家事・冠婚葬祭・旅行・仕事の出張などの理由により、一定期間介護をするのが難しい場合
- その他、担当のケアマネジャーが必要だと判断した場合
ショートステイを使うためには、ケアプランへの位置づけや利用する施設の予約が必要です。
ショートステイを利用してみたいと思ったら、まずは気軽に担当のケアマネジャーへ相談してみましょう。
ショートステイの費用相場
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ショートステイ一日当たりの相場は以下の通りです。
【単独型】※ショートステイ専門のタイプ
※要介護3・自己負担一割の場合
項目/部屋の種類 | 基本サービス費 | 各種加算 | 食事代 | 滞在費 | 合計 | |
従来型 | 多床室 | 778円 | 500円 | 1,392円 | 855円 | 3,525円 |
個室 | 778円 | 500円 | 1,392円 | 1,171円 | 3,841円 | |
ユニット型 | 個室的多床室 | 881円 | 500円 | 1,392円 | 1,668円 | 4,441円 |
個室 | 881円 | 500円 | 1,392円 | 2,006円 | 4,779円 |
※各種加算は各サービス提供事業所ごとの体制やサービス内容により異なります。
※食事代・滞在費は厚生労働省による基準費用額を記載。詳細は各施設ごとに異なります。
参照:「社会保障審議会介護給付分科会資料 基準費用額について」
【併設型】※特別養護老人ホームに併設されているタイプ
項目/部屋の種類 | 基本サービス費 | 各種加算 | 食事代 | 滞在費 | 合計 | |
従来型 | 多床室 | 737円 | 500円 | 1,392円 | 855円 | 3,484円 |
個室 | 737円 | 500円 | 1,392円 | 1,171円 | 3,800円 | |
ユニット型 | 個室的多床室 | 838円 | 500円 | 1,392円 | 1,668円 | 4,398円 |
個室 | 838円 | 500円 | 1,392円 | 2,006円 | 4,736円 |
※各種加算は各サービス提供事業所ごとの体制やサービス内容により異なります。
※食事代・滞在費は厚生労働省による基準費用額を記載。詳細は各施設ごとに異なります。
参照:「社会保障審議会介護給付分科会資料 基準費用額について」
ショートステイの利用では介護保険制度を適用できる?
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ショートステイの費用は、介護保険給付の対象となる部分と保険外の部分に分けられます。
介護保険給付対象となるのは基本サービス費をはじめ、送迎・機能訓練・人員体制などに関する加算です。
滞在費(居室使用料)・食費・その他日用品は介護保険対象外なので自己負担となっています。
ショートステイ利用中に使用したオムツやリハビリパンツ・尿取りパットの料金は介護保険給付対象の基本サービス費に含まれます(帰宅時に装着するオムツ類については持参を求められる場合あり)。
介護保険法で定められている、基本サービス費や各種加算に関する詳細は下の表をご覧ください。
①基本サービス費
要介護度1 | 要介護度2 | 要介護度3 | 要介護度4 | 要介護度5 | |
単独型 従来型個室 | 638円 | 707円 | 778円 | 847円 | 916円 |
単独型 多床室 | 638円 | 707円 | 778円 | 847円 | 916円 |
併設型 従来型個室 | 596円 | 665円 | 737円 | 806円 | 874円 |
併設型 多床室 | 596円 | 665円 | 737円 | 806円 | 874円 |
②各種加算
加算項目は以下のものが一例として挙げられます。
- 送迎加算
- 療養食加算
- 認知症ケア専門加算
- 介護職員処遇改善加算
参照:『介護報酬の算定構造(令和3年4月施行版)』(厚生労働省) 2021年04月06日時点
ショートステイの費用について詳しく知りたい方は下記の記事も併せてお読みください。
高齢の方は身体が思うように動かなくなり、外出から遠ざかってしまう方も多いでしょう。そこで、ショートステイというサービスをご存知でしょうか?ショートステイへ行くことにより、本人の外出の機会を作れるのはもちろん、ご家族の介護疲れを軽[…]
ショートステイを安く利用するための制度
※画像はイメージです
ショートステイを利用する費用を抑えるための制度をご紹介します。
高額介護サービス費
1ヶ月の介護サービス利用料を超えて支払いをした場合、介護保険に申請後、払い戻しを受けられます。
高額介護サービス費は、世帯の所得によって区分分けされています。
同一世帯で介護サービス利用者が複数人の場合は世帯の自己負担合計額となります。
対象者の区分 | 限度額(円) |
課税所得690万円以上(年収約1,160万円以上) | 140,100円(世帯) |
課税所得380万円以上690万円未満(年収約770万円以上約1,160万円未満) | 93,000円(世帯) |
住民税課税〜課税所得380万円未満(年収約770万円未満) | 44,400円(世帯) |
世帯全員、住民税が非課税の世帯 | 24,600円(世帯) |
世帯全員、住民税が非課税の世帯のうち 前年の課税年金収入額+その他合計所得金額が80万円以下 | 15,000円(個人) |
生活保護受給者 | 15,000円(個人) |
※(世帯)とは同一世帯で介護サービスを利用した方全員の負担額合計での限度額
(個人)とは介護サービス利用者本人の負担限度額
低所得者に対する利用者負担軽減制度
介護サービスを提供する社会福祉法人等が、低所得者で生活が困難な利用者に対し負担額を軽減する制度です。
軽減の割合は4分の1で、4分の3の金額が自己負担金額となります。
対象者は以下の要件を満たす方となり、世帯の収入や状況、利用者負担等を市区町村に総合的に判断されます。
- 年間収入が単身世帯で150万円、世帯員が1人増えるごとに50万円を加算した額以下であること
- 預貯金等の額が単身世帯で350万円、世帯員が1人増えるごとに100万円を加算した額以下であること
- 日常生活に供する資産以外に活用できる資産がないこと
- 負担能力のある親族等に扶養されていないこと
- 介護保険料を滞納していないこと
- 市区町村税が非課税世帯であること
軽減対象はサービス利用料、食費、滞在費、宿泊費です。
特定入所者介護サービス費
所得、資産等が一定以下の介護施設入所者に対し、居住費と食費が負担限度額を超えた場合に介護保険より支給されるものです。
特定入所者介護サービス費を利用するには、負担限度額認定を受けなければなりません。
市区町村に申請をする必要があります。
また、負担限度額は以下の要素によって異なるため確認が必要です。
- 所得の段階
- 施設の種類
- 部屋のタイプ
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ショートステイを利用するメリット・デメリット
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ショートステイを利用するメリットとデメリットはどのようなものがあるのでしょうか?
それぞれ見ていきましょう。
メリット
ショートステイを利用するメリットは3つあります。
①介護者の身体的、精神的ストレスの軽減
介護者は後何年続くか分からない介護に対し、ストレスが溜まることもあります。
また、体調が悪くなった時にも利用できるのは介護者にとって安心できます。
②利用者の心身機能の向上になる
介護施設では在宅で難しい運動や体操などの機能訓練を受けることが可能なので、心身機能の向上になります。
③介護施設に入る体験ができる
将来的に介護施設に入所する予定がある方は、ショートステイを利用することで施設入所の疑似体験ができます。
また、いつもとは違う手厚い介護を受けられるので、安心感もありますね。
デメリット
ショートステイを利用するデメリットは2つあります。
①ショートステイは人気が高く、予約が取りづらい
ショートステイは需要が高く、なかなか予約が取りづらいことがあります。
利用したい日が連休などの場合は特に予約が取りづらい傾向にあります。
②ストレスになる場合がある
ショートステイ利用時はいつもと違う環境なので、人によってはストレスに感じ、行きたくないという場合があります。
その時には通所しているデイサービスの併設施設のショートステイを利用するなどして、ストレスを軽減できる可能性もあります。
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ショートステイを利用する方法
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介護保険対応のショートステイを利用するための手順は、以下の通りです。
①ケアマネジャーに相談する
②利用したい事業所を選定する
③ケアマネジャーを通して空き状況を確認・予約をしてもらう
④「サービス担当者会議」を開いてもらい、ケアプランを作成する(初めて利用する場合)
⑤利用する事業所と契約その他必要な手続きを行う(初めて利用する場合)
⑥利用開始
利用するための方法について、詳しく確認していきましょう。
1.ケアマネジャーに相談する
ショートステイを利用したいと思ったら、まずはケアマネジャーに相談します。
ケアマネジャーは利用者からショートステイを利用したいと相談があった場合、なぜ利用したいのか詳しく事情を聞いたり利用者自身や家族の心身状況などを確認したりする必要があります。
ショートステイを利用したい理由について、説明できるようにしておきましょう。
2.利用したい事業所を選定する
利用するショートステイ先を決定するのはケアマネジャーではなく、利用者本人や家族です。
ケアマネジャーから事業所の候補を挙げてもらい、それぞれの特徴や料金について確認しましょう。
情報が足りなければ自分で施設に問い合わせて確認したり、見学に行ったりすることも可能です。
特にショートステイ先の事業所にこだわりがないのであれば、希望日に予約が取りやすい事業所を選ぶ方もいます。
利用したい事業所が決まったら、ケアマネジャーに報告します。
3.ケアマネジャーを通して空き状況を確認・予約してもらう
利用したい事業所が決まったら、ケアマネジャーを通して希望日の予約をしてもらいます。
各ショートステイ事業所はそれぞれの施設で予約開始日を設定しています。
通常は2~3ヶ月先の予約を受け付ける形が基本です。
例えば「4月分の予約は1月4日から受け付けます」といった具合です。
ショートステイは人気の介護サービスです。
そのため、今すぐショートステイを利用したい場合は希望する日程で予約することが難しいケースがあるので覚えておきましょう。
なお、ショートステイは臨時的に利用することもできますし、事業所に空きがあれば「毎週〇~〇曜日」「毎月〇~〇日まで」というようにパターンを組んで予約を取ることも可能です。
また、「介護者の急病により介護できる人がいなくなった」「利用者の状態が急激に悪化し、現状では自宅で見ることが困難になった」などの場合は通常の予約とは別枠で緊急的に利用することも可能です(最大14日間)。
4.「サービス担当者会議」を開いてもらい、ケアプランを作成する【初回利用時のみ】
初めてショートステイを利用するときは、ケアマネジャーからショートステイの利用について記載されたケアプランを事前に作成してもらう必要があります(やむを得ない事情で緊急的に利用する必要がある場合を除く)。
ケアマネジャーはケアプランを作成するために、各サービス提供事業所を招集して「サービス担当者会議」を行います。
「サービス担当者会議」は利用者の自宅で本人・家族同席の中で行うのが基本です。
「サービス担当者会議」の中でケアプランに合意を得られたところで、ケアプランが完成となります。
5.利用する事業所と契約その他必要な手続きを行う【初回利用時のみ】
ケアプランの作成が完了したら、実際にサービス利用に必要な手続きを行います。
必要となる手続きは概ね以下の通りです。
- 利用契約
- 料金支払い方法の確認
- 個別支援計画の作成
- 緊急連絡先の確認(複数が望ましい)
- 利用中に異常が発生したときの対応方法の取り決め
- 必要物品や送迎時間の確認
- 利用時注意事項の確認
- 心身状況、服薬内容、アレルギーの有無、食形態などの利用者情報確認
6.利用開始
これでようやく利用開始です。
初めて利用する日は利用者本人も緊張しているはずですので、和らげてあげるような声掛けをしましょう。
送り出しに家族が立ち会うようにするとベターです。
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ショートステイ施設の選び方
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ショートステイは数ある介護保険サービスの中でも、特に人気のサービスです。
また、先ほどご紹介した通り2~3ヶ月前から予約を受け付けている施設が多いので、急ぎで必要になったときは事業所を選んでいられないケースもあるでしょう。
しかしショートステイは事業所ごとに特徴があるので、施設選びが非常に重要になります。
例えば、あまり機能訓練に力を入れていない施設を利用すると「帰ってきたら足腰が弱くなっていた」といった思わぬ悪影響が出る場合もあります。
できれば施設ごとの情報を収集し、ケアマネジャーと相談しながらどの施設が利用者自身に合うかをよく吟味して選択しましょう。
ショートステイには、大きく分けると今回ご紹介している介護施設系のショートステイと、医療施設系のショートステイの2種類があります。
介護施設系のショートステイはレクリエーションや認知症対応に優れている傾向があります。
一方で医療施設系のショートステイはリハビリに力を入れており、ある程度の医療処置が必要な方への対応にも強い特徴があります。
そうはいっても、自分の家族にはどのようなショートステイが合うのか決めるのは、なかなか簡単ではありません。
そこで、利用者や家族の実情に応じてお勧めするショートステイのタイプを以下にまとめました。
とにかく安くショートステイを利用したい | 介護施設系の多床室がある事業所 |
費用を抑えつつ、プライバシーを守りたい | 介護施設系の従来型個室がある事業所 |
認知症の対応が心配 | 介護施設系のユニット型事業所 |
利用中もしっかりリハビリしてもらいたい | 医療施設系の事業所 |
床ずれ対策や経管栄養などの医療処置が必要 | 医療施設系の事業所 |
実際に利用するショートステイを選定する時は、可能な限り見学に行ったり担当者から直接サービス内容の説明を受けたりすることをお勧めします。
ショートステイ利用時の注意点
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ショートステイを実際に利用する際に注意すべき点を利用期間・費用・その他の順に見ていきましょう。
利用期間に関する注意点
ショートステイには要介護度によって、利用日数が決められています。
上限日数は以下の通りです。
要介護度 | 上限日数(日) |
要支援1 | 9〜10 |
要支援2 | 17〜18 |
要介護1 | 24〜27 |
要介護2 | 24〜27 |
要介護3 | 26〜28 |
要介護4 | 30 |
要介護5 | 30 |
費用に関する注意点
上記で利用日数の上限についてご説明しましたが、利用日数が上限を超えた場合は自己負担となります。
利用日数の上限を超えないように注意が必要です。
その他の注意点
ショートステイを利用予約していても、急遽利用できなくなる場合があります。
それは利用者の急な体調不良や、集団生活を送るのが困難と判断される場合です。
また、ショートステイ利用中でも同様で、場合によっては利用中止となります。
その他、持ち物は必ず記名しておきましょう。
少しでも利用料の自己負担金額を軽減するため、私物を持ち込む場合があります。
取り違え防止のためにも全てに記名をすることが望ましいです。
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ショートステイの長期利用は可能?
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ショートステイは通常数日から1~2週間で利用されることが多いのですが、実は長期に渡って利用することも可能です。
「自宅に介護者可能な者がいない」
「退院が決まったが自宅の環境が整わず、本人の体調も安定しないため準備期間が必要である」などの場合に、ショートステイの長期利用が可能です。
具体的には、一ヶ月まるまるショートステイの事業所に滞在したり、それ以上の数ヵ月~年単位で利用を継続したりしている方もいます。
このような使い方を俗称として「ミドルショート」「ロングショート」というような言い方をしています。
ショートステイの長期利用は制度設計をしている厚生労働省が想定している望ましい使い方ではなく、あくまで「介護保険法や各種法令上禁止されているわけではない」利用方法です。
ショートステイの長期利用は望ましくないため、厚生労働省は以下2つの制約を設けています。
- ショートステイを利用した日数の合計が要介護認定期間の半分を超えてはいけない
- ショートステイの連続利用日数が30日を超えてはいけない
ただし、どちらの場合も対策は可能です。
要介護認定期間の半数を超える場合の対策
「ショートステイの利用日数の合計が介護認定期間の半数を超える場合」とは、例えば6ヶ月の要介護認定期間の中でショートステイを利用した日数の合計がトータルで90日を超える場合です。
利用者を担当するケアマネジャーは、ショートステイの利用日数の合計が認定期間の半数を超えることが明らかな場合に、管轄する市町村に長期間ショートステイを利用する根拠を記載した理由書を提出する必要があります。
逆に言えば、長期間利用する明確な必要性があるのであれば一概に長期利用がダメなわけではない、ということです。
提出が義務付けられているのはケアマネジャーなので、利用者本人や家族は作成する必要がありません。
しかし、家族としても漫然とショートステイに頼るのは良くありません。
長期利用の必要性が本当にあるのかを、担当ケアマネジャーと一緒によく検討することが大切です。
連続利用日数が30日を超える場合
一般的なショートステイでは、「連続して30日までしか利用できません」と利用者に対して説明していることが多いです。
このため、日常的な自宅介護が困難な場合は30日を超える前に1~2日程度自宅に帰り、またショートステイに戻るという使い方をしている方がいます。
実はショートステイの事業所が「連続30日までしか利用できません」と説明する理由は、事業所側にペナルティーが発生するからなのです。
厚生労働省は、利用日数が連続31日目になった時点から介護報酬を減算するように制度設計をしています。
毎日同じように必要な介護を提供しても、正規の介護報酬を得られず減収になってしまうことになるのです。
つまり「連続30日までしか利用できません」は、「事業所の運営方針として31日利用の連続利用は受け付けていません」と言っているのと同じ意味なのです。
ショートステイの31日以上の連続利用が法律上完全に禁止されているわけではありません。
中には利用者の事情を個別に判断して31日以上の連続利用も可能としたり、特別養護老人ホームの空き待ちの方限定で長期利用を受け付けていたりする事業所があります。
事業所の運営方針として、「ベッドの稼働率が落ちるよりは減算されてでも埋めた方がいい」という考え方で積極的に長期利用を受け付けている事業所も存在します。
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ショートステイとデイサービスとの違い
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ショートステイとデイサービスの違いを簡単にまとめると、以下の表のようになります。
施設/項目 | ショートステイ | デイサービス |
宿泊 | 有 | 無 |
営業時間 | 24時間 | 8:30~17:30 ※事業所により異なる |
送迎料金の有無 | 有 | 無 |
滞在費 | 有 | 無 |
まず、ショートステイはここまでご紹介してきました通り、宿泊を伴います。
そのため夜間帯は夜勤職員が配置されており、24時間必要な支援を受けることができます。
一方でデイサービスは日帰りのサービスなので、夜間は営業していません。
詳細は事業所によって異なりますが、営業時間は8:30~17:30といった日中帯に限られている所が大半です。
料金面でも違う面があります。
例えば送迎にかかる費用については、ショートステイは片道当たり187円(自己負担割合1割の場合)が別にかかりますが、デイサービスの場合は基本サービス費に含まれるため無料になっています。
また、ショートステイは宿泊を伴うためベッドを確保する必要があることから、1日単位で滞在費が掛かります。
デイサービスは日帰りのサービスであり就寝するための部屋を別に用意する必要がないので、滞在費はかかりません。
デイサービスは日中の介護のため、ショートステイは夜間も含めた介護が必要な場合に利用されるサービスです。
サービス利用を希望する場合は、担当のケアマネジャーと相談しながら上手く使い分けるようにすることが大切です。
デイサービスについて詳しく知りたい方は下記の記事も併せてお読みください。
超高齢化社会の現在では、ご家族の介護を在宅でされている方も増えています。そのような中でデイサービスは、在宅介護の負担を軽減し介護をされる方の社会参加の場にもなるなど大きな役割を担っています。しかし、デイサービスは具体的にどういっ[…]
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ショートステイのまとめ
※画像はイメージです
ここまでは、ショートステイの概要や費用の相場、利用方法などについてご紹介してきました。
この記事のポイントをおさらいすると以下の通りです。
- ショートステイのサービス内容の特徴は、「4つの居室タイプがあること」「一定期間の宿泊を伴う24時間対応型の介護」である
- ショートステイの対象者は「要支援1~要介護5」に当てはまり、「夜間も含めた介護が必要だと認められる人」である
- ショートステイを使うためには、ケアマネジャーに相談してケアプランを作ってもらう必要がある
- デイサービスとの違いは「宿泊の有無」「営業時間」「送迎料金や滞在費の有無」
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。