たとえ家族が入浴介護をしていても、被介護者の方の状態によっては転倒や怪我をするリスクがあります。
しかし、訪問入浴サービスを利用すれば、スタッフのサポートのもとで安全に入浴することができます。
今回は訪問入浴サービスの流れと所要時間をご紹介したうえで、対象者や費用などをご紹介します。
- 訪問入浴サービスの流れと所要時間
- 訪問入浴の対象者と費用目安
この記事をご覧いただき、訪問入浴についての理解を深めるための参考にしてください。
ぜひ最後までお読みください。
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訪問入浴とは
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訪問入浴とは、自宅での入浴が困難な方に対し、浴槽を持ち込んで入浴介護を行うサービスです。
一般的に看護師1名と介護スタッフ2名の計3名で行います。
被介護者の方本人が自分で入浴するのが困難な場合や、家族だけで入浴させるのが困難な場合などに利用されています。
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訪問入浴サービスの流れと所要時間
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訪問・健康チェック
訪問入浴当日は、専用の訪問入浴車でスタッフが自宅を訪問します。
訪問入浴車の中には、入浴介護で使用される浴槽の他にお湯が積まれていることもあります。
スタッフが自宅に到着すると、入浴の前に利用者の健康チェックが行われます。
健康チェックの主な内容は、血圧や脈拍、体温などの測定です。
また、ストレッチャー型の体重計を用いて体重測定を行う場合もあります。
入浴できる状態であるかを見極めるのが健康チェックの目的なので、入浴が難しいと判断された場合は部分浴や清拭を行います。
入浴準備
入浴できる状態だと判断されると、スタッフが入浴準備を行います。
まずは浴槽を自宅内に搬入して組み立てを行い、約2畳のスペースに浴槽を設置します。
その際は、床が濡れないように防水シートやマットを敷きます。
訪問入浴車にお湯が積まれていない場合は利用者の自宅のお湯を使用し、浴槽にお湯を入れます。
一通り準備が終わると、利用者の脱衣を行います。
健康チェックと入浴準備までの所要時間は、約15分~20分です。
入浴
利用者が浴槽に入ると、スタッフが肌を傷つけないように優しく髪や身体を洗います。
一通り身体を洗った後は、ゆっくりと湯船に浸かって心身をリラックスさせます。
入浴の際は、身体に負担をかけないように浴槽に取り付けるタイプの入浴枕が用いられる場合もあります。
入浴が終わると、仕上げにシャワーで上がり湯をかけます。
ここまでの所要時間は約10分です。
着衣・健康チェック
入浴終了後、体調の変化や異常がないかを確認するために血圧や脈拍測定などの健康チェックを行います。
万が一皮膚に異常がみられた場合は、必要に応じて軟膏の塗布や褥瘡(じょくそう)などのケアをします。
健康チェックや処置の終了後は利用者の着衣を行います。
片付け
着衣や健康チェックと同時進行でスタッフが片づけを行います。
使用した浴槽を片付け、浴槽を設置した際に移動させた家具を元の場所に戻して訪問入浴サービスは終了です。
また、入浴で使用したお湯は専用のポンプで自宅内の排水溝やトイレに流します。
入浴後の健康チェックや着衣、片付けの所要時間は約15分~20分です。
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訪問入浴の対象者
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ここからは、訪問入浴の対象者をご紹介します。
利用条件
訪問入浴の利用条件は、要介護認定を受けていて、なおかつ医師から利用許可を得ていることです。
人工呼吸器やスマートなどの医療機器を使用している方でも、医師からの許可があれば利用できます。
血圧が高く入浴制限がある方は、入浴をしてはいけない血圧の数値を医師に確認しておく必要があります。
一方で、要支援の方でも条件を満たせば介護予防訪問入浴介護というサービスを受けることが可能です。
介護予防訪問入浴介護とは
介護予防訪問入浴介護とは、要支援の方を対象にした訪問入浴サービスです。
自宅に浴室がない、感染症などの理由により施設での入浴が困難であるといった特別な事情を持っている場合に訪問入浴サービスを受けることができます。
訪問入浴は看護師1名と介護スタッフ2名で行われるのが一般的ですが、介護予防訪問入浴介護は看護師1名と介護スタッフ1名で行います。
訪問入浴の費用目安
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自己負担割合は、所得に応じて1〜3割に分けられますが、今回は1割の場合を以下の表にまとめます。
介護度によって費用は変わりませんが、全身浴か部分浴・清拭かによって少し差が出てきます。
全身浴 | 部分浴 | 清拭 | |
単位 | 126単位 | 113単位 | 113単位 |
費用 | 1,260円 | 1,134円 | 1,134円 |
自己負担額 | 126円 | 113円 | 113円 |
*一単位=10円、自己負担額一割の場合
参照:「介護報酬の算定構造」
訪問入浴のメリット・デメリット
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ここからは、訪問入浴のメリットとデメリットをご紹介します。
メリット
訪問入浴のメリットは以下の通りです。
- 血行促進や新陳代謝の上昇、睡眠の質の向上などの効果がある
- 家族以外の人とのコミュニケーションにより、気分転換ができる
- 家族の負担が軽減される
- 介護保険が適用される
デメリット
訪問入浴のデメリットは以下の通りです。
- 訪問介護と比較すると費用が高い
- 家族以外に裸を見られることがストレスになる場合がある
- 医療行為を受けることはできない
- 訪問入浴車を駐車するスペースが必要
訪問入浴のトラブル事例
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訪問入浴で起きやすいトラブルをご紹介します。
1つは入浴時の転倒事故になります。
お風呂は滑りやすいうえに衣服を着ていないので介助しにくい環境になります。
また、入浴によって身体が温まることで血圧が下がってしまったり、疲れてしまうことがあります。
そのため体力の低下している利用者では転倒する危険性があります。
転倒トラブルを避けるための対処法としては、
- 入浴に必要な福祉用具の導入
- 入浴前のリハビリ職による動作評価
などがあります。
もう1つのトラブルは入浴拒否になります。
介護者が異性であったり、認知症による理解力の低下によって入浴拒否が起きることがあります。
入浴拒否が起こると訪問入浴サービスの提供が滞り業務に支障をきたす可能性が高まります。
このようなトラブルを避けるために、
- 介護者の性別の要望
- 利用者との信頼関係の構築
などが重要になってきます。
訪問入浴を選ぶ際のポイント
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訪問入浴の利用を開始する場合、まずはケアマネージャーにケアプランを作成してもらう必要があります。
ケアマネージャーに訪問入浴を利用したいという旨を伝え、サービス事業の選定を行うところからスタートします。
そして、ケアマネージャーの意見を踏まえながら家族で話し合い、どこの事業所にするのかを選びます。
たとえば、寝たきりによって手足や関節が硬くなる拘縮(こうしゅく)という状態が生じている場合、身体を洗いにくく、入浴に時間を要する可能性があります。
仮に利用者の多い事業所に訪問入浴をお願いするとなると一日の訪問場所が多く、落ち着いた入浴ができない場合も考えられます。
そのため、スケジュールに余裕がある中で入浴介護を行える事業所を選ぶことが重要になります。
また、訪問入浴では健康チェックを行っても医療サポートを受けることはできません。
訪問入浴の際の健康チェックで問題がなくても、スタッフが帰った後に体調が急変するリスクもあります。
しかし、訪問入浴と訪問看護が併設されている事業所を選べば、体調が急変した際に対応が可能です。
ケアマネージャーの意見に加え、利用者の状態や家族の意向などを合わせて事業所を選ぶことをおすすめします。
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訪問入浴サービスの利用手続きの流れ
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実際に訪問入浴サービスを利用する際の流れは以下のとおりです。
- ケアマネージャーとの相談
- 訪問入浴介護サービスを頼む事業者を探す
- 事業者から説明を受ける
- 事業者と契約
順番に解説していきます。
ケアマネージャーとの相談
訪問入浴をはじめ、介護保険が適用されるサービスを利用する際は「ケアプラン」が必要です。
- 要介護1以上の方…ケアマネージャーが在籍するケアプラン作成事業者
- 要支援1・2の方…地域包括支援センター
に依頼し、訪問入浴を取り入れたケアプランを作成します。
訪問入浴介護サービスを頼む事業者を探す
次に、実際に訪問入浴サービスを依頼する事業者を探します。
ケアマネージャーや地域包括支援センターから紹介を受けることも可能です。
複数の事業者をピックアップし、比較検討することが望ましいでしょう。
介護スタッフの指名制度(同性など)の有無や、性格の相性などもチェックポイントです。
事業者から説明を受ける
サービスを依頼する事業者が決定したら、続いてサービス内容や料金の説明を受けます。
書面で確認しながら、利用条件などをチェックしていきましょう。
不明な点があれば、必ず契約前に質問し納得できる答えを受け取っておきましょう。
こんなはずではなかったと、後悔しないようきちんと確認することが大切です。
事業者と契約
サービス内容や金銭面の確認が済んだら、いよいよ契約です。
事業所によっては、契約前に下見として実際にサービスを受ける自宅を訪問することもあります。
契約は書面で行い手元に残るため、きちんと保管しておきましょう。
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訪問入浴介護と訪問介護の違い
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訪問入浴介護とは看護師1名、介護スタッフが2名、訪問入浴専用の車と浴槽を持って訪問する介護サービスになります。
自力で入浴することが困難な方や、家族の介助だけでは入浴が困難な方などが利用する介護サービスになります。
訪問介護では、介護スタッフが利用者の入浴を介助する介護サービスになります。
自宅の浴室や浴槽で入浴を手伝うので、ある程度の自分で動くことができる程度の能力が必要になります。
訪問介護での入浴では、肩を支えたり背中を流したりと入浴を介助することが目的となります。
訪問入浴介護では自力で動くことが難しい方が使い、訪問介護ではある程度自力で動ける方が利用する介護サービスになります。
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デイサービスやデイケアでの入浴は可能?
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デイサービスやデイケアは、基本的に要介護の認定を受けた方が受けられるサービスです。
要介護の方が自宅に入浴設備が整っていない場合、デイサービスやデイケアでの入浴が可能です。
ただし、デイサービスもデイケアも通所サービスであるため、施設に通う必要があります。
体の不自由度が高く、施設への移動自体が難しい場合は自宅での入浴が望ましいでしょう。
訪問入浴まとめ
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今回は、訪問入浴についてご紹介しました。
要点は以下の通りです。
- 入浴前の健康チェック、利用者の状態に応じた入浴介護、入浴後の健康チェック、片付けが訪問入浴の一連の流れ
- 訪問入浴の対象者は、要介護認定を受けていて、なおかつ医師から利用許可を得ていることなど
これらの情報が皆様のお役に立てれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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