核家族化が進み、独居老人が増えてきた昨今、将来のことを考えると有料老人ホームという選択肢も視野に入れなくてはなりません。
また、介護のことを考えると家族の負担にならないようにと入居を決める方もいるでしょう。
有料老人ホームにはどのような特徴があるか知っていますか?
本記事では、有料老人ホームについて以下の点を中心にご紹介します。
- 有料老人ホームの種類
- 有料老人ホームのサービス
- 有料老人ホームの費用
- 有料老人ホームのメリット・デメリット
老人ホームについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
介護施設に興味がある方は下記の記事も併せてお読み下さい。
一括りに老人ホーム・介護施設といっても、種類によって目的や入居条件はさまざまです。初めての老人ホーム・介護施設探しでは、分からないことばかりだと思います。どの施設がいいのか決められない人も多いのではないでしょうか?本記事では、老人[…]
- 1老人ホームの施設タイプについて
- 23種類の有料老人ホームの比較表
- 3利用できるサービスは様々?
- 4有料老人ホームで受けられるサービスは?
- 5介護施設の中で有料老人ホームがおすすめな人
- 6有料老人ホームでかかる費用は高い?費用相場をご紹介
- 7有料老人ホームに看護師やケアマネジャーはいる?
- 8有料老人ホームのメリット
- 9有料老人ホームのデメリット
- 10有料老人ホームに介護保険は適用される?
- 11生活保護受給者は有料老人ホームに入居できる?
- 12有料老人ホームの費用が払えない場合はどうする?
- 13有料老人ホームの入居条件
- 14各施設の設備基準と人員基準
- 15有料老人ホームと他施設に違いはある?
- 16有料老人ホームに入居するまでの流れは?
- 17悪徳有料老人ホームには注意を!
- 18有料老人ホームのまとめ
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老人ホームの施設タイプについて
老人ホームは、大きく分けて公的な施設と民間の施設に分かれています。
それぞれご紹介します。
公的な施設
公的な施設は、国や自治体、社会福祉法人などの公的な機関が運営する施設です。
「特別養護老人ホーム」「介護老人保健施設」「介護医療院」「ケアハウス」などがあります。
民間の施設よりも入居費用が低額という特徴があります。
また、介護が必要な方から自立した高齢者の方など様々な方に対応しています。
民間の施設
民間の施設は、企業や医療法人などが運営する施設です。
有料老人ホームは民間施設に位置付けられており、費用は各施設や運営側が設定しています。
入居費用を抑えた有料老人ホームや、ニーズに合わせた特色ある施設が多いことも民間施設の特徴です。
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3種類の有料老人ホームの比較表
有料老人ホームとは、民間が運営する生活施設です。
有料老人ホームでは、食事・家事・介護・健康管理などのサービスが提供されます。
有料老人ホームは大きく分けると次の3種類があります。
- 介護型
- 住宅型
- 健康型
提供されるサービスの種類は、有料老人ホームのタイプによって異なります。
また、介護型・住宅型・健康型では入居条件にも違いがみられます。
それぞれの提供サービス・入居条件などの比較表を以下にまとめました。
介護型 | 住宅型 | 健康型 | ||
特徴 | 介護を必要とする高齢者が、介護や食事・家事代行などの生活支援サービスを利用できる | 自立または要介護認定を受けた高齢者が食事・家事代行サービスなどを利用できる | 基本的に一人暮らしが可能な高齢者が食事・家事代行サービスなどを利用できる | |
提供サービス | 身体介護・機能訓練・生活支援・レクリエーション | 生活支援・レクリエーション・身体介護(外部サービス) | 生活支援・レクリエーション | |
入居対象者 | 自立 | △ | △ | ○ |
要支援1~2 | △ | ○ | ○ | |
要介護1 | ○ | ○ | △ | |
要介護2 | ○ | ○ | △ | |
要介護3 | ○ | △ | × | |
要介護4 | ○ | △ | × | |
要介護5 | ○ | △ | × | |
認知症の方の受け入れ | ○ | ○ | × | |
重度の認知症の方の受け入れ | ○ | △ | × | |
看取り | ○ | △ | × |
介護型有料老人ホームは、介護を必要とする方の利用を前提としています。
重度の認知症の方の受け入れも行っているほか、終身利用が可能である点が特徴です。
住宅型有料老人ホームは、原則として自立~要支援程度の方が利用できます。
介護サービスを利用する際は、外部サービスを契約することが一般的です。
健康型有料老人ホームは、自分の身の回りのことを自分で行える方向けの生活施設です。
要介護認定を受けた場合や認知症を発症した場合は退去しなければならないことがほとんどで、入居を考えている家族の方は気を付けましょう。
ただし、具体的な提供サービスの種類や入居条件は、運営元や施設によって異なります。
出典:厚生労働省【有料老人ホームの類型】
日本では少子高齢化が社会問題となっており、高齢者の割合が年々増加しています。そんな中、認知症の高齢者を専門にケアする施設も増えてきました。その施設の一つが「グループホーム」です。今回の記事では、「家族が認知症になって自宅で介護を続[…]
利用できるサービスは様々?
民間施設である有料老人ホームには、介護付き、住宅型、健康型の3つのタイプがあります。
また、それぞれのサービスや特徴には違いがあります。
有料老人ホームの目的
有料老人ホームとは、高齢者が心身ともに健康を保つためのサービスを提供する施設のことです。
食事、家事、介護、健康管理など多面にわたりサポートする住まいとして、民間の企業や医療法人などが運営しています。
有料老人ホームの種類は3つ
有料老人ホームには3つのタイプがあります。
それぞれの特徴をご紹介します。
介護付き有料老人ホーム
介護付き有料老人ホームは、介護1~5の方が対象の介護専用型と自立~介護5までの方が対象の混合型があります。
機能訓練や食事といった生活支援全般のサービスが受けられる施設です。
また、都道府県から特定施設入居者生活介護の指定を受けている施設であることが介護付き有料老人ホームの特徴です。
特定施設入居者生活介護の指定を受けている施設では、施設や人員基準などが明確に決まっています。
住宅型有料老人ホーム
住宅型有料老人ホームは、食事の提供や洗濯など生活上のサポートを行う施設です。
介護付き有料老人ホームとの違いは、施設からの介護サービスが提供されないという点です。
介護サービスを受ける場合、ケアマネージャーと個人的に契約をしてサービスを受けることになります。
健康型有料老人ホーム
健康型有料老人ホームは健康的で自立した高齢者が、セカンドライフを楽しむための施設です。
食事や掃除といった生活に必要なサービスを提供します。
そのため、レクリエーション、趣味、サークル活動などに専念することができます。
また、入所中に介護が必要な状況になった場合、退所して介護サービスが受けられる施設に移る必要があります。
有料老人ホームで受けられるサービスは?
有料老人ホームは「介護付き」「住宅型」「健康型」があり、それぞれ入所対象者が違ってきます。
そのためサービス内容も違ってきます。
介護付き有料老人ホームのサービス
介護付き有料老人ホームは、介護サービスを提供します。
また、食事、入浴、排泄の介助、機能訓練などが行われます。
生活支援としては、掃除、洗濯、買い物、各種行政手続きなどの代行サービスを行います。
住宅型有料老人ホームのサービス
住宅型有料老人ホームは、日常生活のサポートなどのサービスを提供します。
介護が必要な場合、個別に外部の介護サービス会社と契約をすることになります。
健康型有料老人ホームのサービス
健康型有料老人ホームでは、食事を含めた家事を施設のスタッフが行い、レクリエーションや季節のイベントなどが催されます。
医療機関と提携しており、定期的なメディカルチェックなどのサービスも行われています。
介護施設の中で有料老人ホームがおすすめな人
介護施設の中でも有料老人ホームがおすすめな方をご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
ある程度自由な生活がしたい方
有料老人ホームが向いているのは、生活施設でもある程度自由な生活がしたい方です。
民間運営である有料老人ホームは、公的な介護施設に比べると生活の自由度が高めです。
公的な介護施設とは、たとえば特別養護老人ホームや老人保健施設などが該当します。
もちろん在宅に比べれば、介護施設での生活はやや不自由かもしれません。
しかし有料老人ホームは、介護施設の中では比較的さまざまなことに融通が利きやすいのが特徴です。
介護施設に入っても他人の干渉を最小限にしたい方には、有料老人ホームが向いています。
特に健康型・住宅型は自立の方を対象としているため、比較的自由に生活できます。
ある程度自立した生活が可能な方
有料老人ホームは介護型を除けば、ある程度自立した生活ができる方を対象にしています。
そのため、他の介護施設に比べればスタッフの生活への干渉もさほど多くはありません。
「1人暮らしが可能だけれど誰かの見守りが欲しい」という場合は、有料老人ホームを検討するのもおすすめです。
生活全般にわたって手厚いサポートを希望するなら、介護型の有料老人ホームを検討してみてください。
すぐに入居したい方
有料老人ホームは公的な介護施設に比べると、入居までの時間が短めです。
理由は、公的な介護施設に比べると数が多いためです。
経済的な問題もあります。
有料老人ホームは、公的な介護施設に比べると入居費用が高く設定されています。
もし経済的な負担をクリアでき、かつ迅速な入居を望むなら、有料老人ホームを検討してみましょう。
ただし、特に人気の高い有料老人ホームの場合は、空室が出るまで待機しなければならないこともあります。
有料老人ホームでかかる費用は高い?費用相場をご紹介
有料老人ホームには3種類の施設がありますが、それぞれどれくらい費用がかかるのでしょう。
費用や内訳について解説していきます。
介護付き有料老人ホームの費用
介護付き有料老人ホームの費用として入居一時金、保証金、月額利用料、介護保険料などがあります。
それぞれにかかる費用相場は以下の通りです。
入居一時金 | 0円 | |
保証金 | 50万円 | |
月額利用料(30日) | 家賃 | 11万5000円 |
食費 | 6万4800円 | |
水道光熱費 | 1万7486円 | |
管理費 | 5万6831円 | |
合計 | 25万4117円 | |
介護保険料(自己負担割合1割) | 要支援1 | 5886円 |
要支援2 | 1万105円 | |
要介護1 | 1万7462円 | |
要介護2 | 1万9588円 | |
要介護3 | 2万1844円 | |
要介護4 | 2万3937円 | |
要介護5 | 2万6160円 |
入居一時金については施設によって0円〜数百万円と値段は様々です。
必ず施設に確認しましょう。
住宅型有料老人ホーム
住宅型有料老人ホームの費用としては、入居時費用、月額利用料、介護保険料などがあります。
費用相場は以下の通りです。
入居時費用 | 6.5万円 | |
月額利用料(30日) | 家賃 | 3万3000円 |
食費 | 4万5000円 | |
水道光熱費 | 0円 | |
管理費 | 2万円 | |
合計 | 9万8000円 | |
介護保険料(自己負担割合1割) | 要支援1 | 4970円 |
要支援2 | 1万400円 | |
要介護1 | 1万6580円 | |
要介護2 | 1万9480円 | |
要介護3 | 2万6750円 | |
要介護4 | 3万600円 | |
要介護5 | 3万5830円 |
参考:グループリビング亀山(メディカル・ケア・サービス株式会社)
健康型有料老人ホームの費用
健康型有料老人ホームについては入居一時金0円~数千万円、月額料金10万円~40万円となっています。
入居一時金と償却制度について
有料老人ホームの費用の特徴として「入居一時金」と「償却制度」があります。
入居一時金とは、施設の設備やサービスを利用するための費用です。
想定される入居期間を償却期間といいます。
償却制度とは、償却期間の前に退去した場合、未償却となる初期費用が返還される制度です。
住んでいる期間が長ければ長いほど償却されるので、返還金額は少なくなります。
有料老人ホームの費用について知りたい方は下記の記事も併せてお読み下さい。
有料老人ホームでは高齢者の方に向けてさまざまなサービスを提供しています。そのため、入居後に支払わなければいけない費用項目も多いです。有料老人ホームではどのような費用が発生するのでしょうか?また費用はどのくらいかかるのでしょう[…]
有料老人ホームに看護師やケアマネジャーはいる?
有料老人ホームの各タイプの人員配置基準は次の通りです。
職名 | 介護付有料老人ホーム | 住宅型・健康型有料老人ホーム |
施設長(管理者) | 1人(専従) | 1人 |
介護職員 | 看護職員と併せて要介護者3人に対して1人以上(常勤換算) | 必要数 |
看護職員 | 入居者30人迄は、1人以上(常勤換算)入居者50人増すごとに1人追加 | 必要数 |
生活相談員 | 1人以上(常勤換算) | 必要数 |
入居相談員 | 配置基準なし | 配置基準なし |
機能訓練指導員 | 1人以上(常勤換算) | ー |
介護支援専門員(ケアマネジャー) | 1人以上(常勤換算) | ー |
事務員 | 配置基準なし | 配置基準なし |
出典:厚生労働省【介護保険施設について | 厚生労働省】
出典:厚生労働省【有料老人ホームの設置運営標準指導指針について】
看護師の人員基準について
有料老人ホームのうち、介護型には必ず看護師が配置されています。
看護師の配置数は入居者30人に対し1人の割合です。
また、要介護度3以上の方に対する割合は、介護職員を含めて3:1の割合で配置されています。
住宅型・健康型の有料老人ホームについては、看護師の配置は必要数となっています。
そのため、看護師が常駐しているとは限りません。
ただし、住宅型・健康型の施設でも看護師を配置しているところもあります。
また、看護師の勤務時間も、運営企業・施設によってバラつきがあります。
たとえば介護型の有料老人ホームであっても、夜間は看護師がいない施設もあります。
有料老人ホームの看護師の配置・勤務状況は、施設によって大きく異なるというのが実情です。
看護師の手厚いケアを希望する場合は、24時間看護師が確実に常駐している施設を探すのがよいでしょう。
ケアマネジャーの人員基準について
介護型有料老人ホームには、1人以上のケアマネジャーの配置が義務づけられています。
介護型のケアマネジャーは日勤の場合が多いです。
住宅型・健康型の有料老人ホームでは、ケアマネジャーの配置は義務づけられていません。
ただし、施設によっては常勤のケアマネジャーがいる場合もあります。
ケアマネジャーの配置については、運営企業・施設によって大きな差があります。
ケアマネジャーの手厚いサポートを希望する場合は、ケアマネジャーの在籍状況について契約前にしっかり確認しておきましょう。
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有料老人ホームのメリット
在宅ケアと比べた場合の有料老人ホームのメリットとしては、次が挙げられます。
- 家族以外の方との交流が生まれる
- 24時間態勢で専門スタッフのケアを受けられる
- 本人・家族の心身の負担を軽減できる
それぞれのメリットについて解説します。
家族以外の方との交流が生まれる
有料老人ホームでは他の入居者と生活を共にします。
自動的に家族以外の方との触れあいが生まれるため、入居者の方のよい刺激になるでしょう。
他人との交流は、高齢者の健康の秘訣ともいわれています。
具体的には、他人との交流は認知症の予防・改善などの効果を期待できます。
たとえば会話するときは、相手のことを考えながら受け答えをしなければなりません。
よく知らない方との会話ほど気を使う必要があるため、良い頭の体操になります。
また、人との会話は単純に楽しい出来事でもあります。
楽しい出来事があると、やはり心は元気になるものです。
有料老人ホームの多くは、積極的に入居者同士の交流の場を設けています。
たとえばレクリエーションやサロンの開催が代表的です。
24時間態勢で専門スタッフのケアを受けられる
有料老人ホームでは、専門のスタッフによる質の高いサービスを24時間受けられます。
たとえば介護型の有料老人ホームであれば、専門的な介護サービスをいつでも受けられます。
特に要介護度が高い方・認知症の方のケアは難しいものです。
ご家族が介護を頑張っても、プロでない以上、思うようなケアができないこともあるでしょう。
有料老人ホームであれば、プロによる質の高い介護サービスがいつでも提供されます。
適切なケアを受けられる点は、本人だけでなく、家族にとっても大きな安心材料といえます。
本人・家族の心身の負担を軽減できる
在宅ケアは、やはり身体的にも精神的にも負担がかかるものです。
心身の負担は介護をするご家族だけでなく、介護を受ける方にもかかります。
有料老人ホームは、介護・ケアにかかる負担をすべてプロに一任できます。
ご家族・本人共に心身の負担が大きく減ることは言うまでもありません。
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有料老人ホームのデメリット
在宅ケアと比べた場合の有料老人ホームのデメリットは次の通りです。
- ある程度の費用がかかる
- 生活が制限される
- 終身利用できるとは限らない
それぞれについて解説します。
ある程度の費用がかかる
有料老人ホームの利用の際には、ある程度の出費が発生します。
出費の主な内訳と相場は次の通りです。
介護型 | 住宅型 | 健康型 | |
入居一時金 | 0~数億円 | 0~数千万円 | 0~数億円 |
居住費 | 5万~30万円 | 5万~30万円 | 5万~30万円 |
管理費 | 3万~20万円 | 3万~20万円 | 5万~30万円 |
食費 | 4万~10万円 | 4万~10万円 | 4万~20万円 |
介護サービス費 | 5,000~25万円 | 5,000~25万円 | ー |
消耗品費 | 5000円~3万円 | 5000円~3万円 | 5000円~3万円 |
内訳ごとの費用は、施設によって大きく異なります。
一般的には、居住費・管理費は住宅型<介護型<健康型の順番で高くなります。
食事に力を入れている施設であれば、月々の食費が相場以上にかかることもあります。
出費の中でも高額になりがちなのが入居一時金です。
一般住宅でいう「敷金」にあたります。
また、部屋のグレードなどによっては居住費・管理費も高額になることがあります。
利用料金が支払えなくなれば、当然ながら部屋は引き払わなくてはなりません。
数年単位での利用を予定している場合は、ある程度の出費のメドを立てておく必要があります。
生活が制限される
有料老人ホームでの生活は、在宅に比べれば自由度が低くなります。
たとえば食事や消灯時間は施設の規定に従わなければならないでしょう。
また、在宅時に比べると外出にも制限が付くことが多いです。
施設にもよりますが、外出時にはスタッフの付き添いが必要になるためです。
付き添いスタッフの都合がつかなければ、外出そのものを諦めなければならないケースもあります。
終身利用できるとは限らない
有料老人ホームは、終身利用できない場合もあります。
たとえば健康型・住宅型の有料老人ホームは、看取りに対応していない場合も少なくありません。
一方、介護型は看取りに対応しているケースが多いです。
ただし、有料老人ホームは民間運営のため、看取りの方針は運営企業や施設によって大きく異なります。
場合によっては、要介護度や認知症が進んだ時点で退去を迫られることもあります。
入居条件や退去条件については、入居前にしっかり確認しておくことが大切です。
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有料老人ホームに介護保険は適用される?
有料老人ホームでの介護保険の利用は可能です。
利用するためには、要介護認定を受けて要介護の区分を決定してもらう必要があります。
認定の手続きは無料で、区分が決定すると利用できるサービスがわかります。
要介護認定の流れ
1・市区町村などの相談窓口に相談
2・要介護認定の申請(本人でなくても可能です。)
3・主治医意見書(市区町村の依頼)・訪問調査(職員による訪問・面談)
4・要介護度の決定
5・結果通知(申請から30日以内)
以上の流れで、認定を受けることが可能です。
要介護度ごとの保険利用可能範囲
自立・・・介護保険利用不可
要支援1~2・・・介護予防サービスまで
要介護1~5・・・介護サービスの利用可
要支援で利用できる介護予防サービスとは、介護予防の観点から提供されるサービスのことです。
利用者が持っている心身の機能を維持することや、さらに向上させることを目的としたサービスとなっています。
例えば、筋力トレーニングや栄養指導、認知症予防などが介護予防サービスになります。
介護保険利用時の自己負担額
介護保険を利用する場合、利用者の負担額は費用の1~3割となります。
3割負担になるのは、一人暮らしなどの世帯に65歳以上の方が一人で、年金収入とその他の合計所得額が年間340万以上ある場合
2割負担になるのは、年金収入とその他の合計所得が年間280万以上340万未満の場合。
1割負担になるのは、年金収入とその他の合計所得が年間280万未満の場合。
介護保険が適用できない場合もある
介護サービスのないようによっては、保険が適用できない場合もあります。
適用範囲外になるサービスや施設は以下になります。
- 買い物の代行
- 提携医療機関以外への通院の介助
- 外出時の付き添い
- 行政手続き代行
- 居室への食事の配膳費用
生活保護受給者は有料老人ホームに入居できる?
結論から言うと、入居は可能です。
生活保護受給者の場合は特別養護老人ホーム(特老)といった、国や自治体から補助を受けている公的施設で、入居時の個人負担が少ない施設になることが多いです。
特老は、費用が安い分入居希望者が多く、入居条件を満たしていても空きがないということも頻繁に起こります。
特老に入ることが難しい場合は有料老人ホームへの入居を考える必要がりますが、有料老人ホームは民間施設であり、特養よりも入居費用が高額になる場合が多いです。
しかし、生活保護受給者は一般の介護保険被保険者とは違い、自己負担額0円で介護サービスが受けられます。
生活保護の扶助で家賃や生活費をまかなえる施設であれば、生活保護を受けている方でも問題なく入居できます。
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有料老人ホームの費用が払えない場合はどうする?
老人ホームに入居した後に、収入状況が変化して居住費用が払えない状況になってしまうケースがあります。
ここでは、老人ホームの居住費用が支払えなくなってしまった場合、どうなるのかを解説します。
基本的に老人ホームの居住費用は本人が払いますが、本人が払えない状況になってしまった場合、身元引受人(連帯保証人)に請求されます。
また、入居者も身元引受人も払えない状況になってしまった場合、以下のような流れで退去に向け手続きが進んでいきます。
老人ホームの退去に向けた手続き
入居者も身元引受人も支払えなくなり、入居費用を滞納しても直ぐに退去になるわけではありません。
3〜6ヶ月程度の猶予期間が設けられ、猶予期間が経過した場合は契約解除が予告され、その後に強制退去を求められます。
なお、猶予期間は施設によって違うので確認しておくようにしときましょう。
老人ホームの費用が払えない時の対処法
老人ホームの費用が払えない状況になってしまった場合の対処法について紹介します。
まずは施設のスタッフやケアマネジャーに相談しましょう。
今の施設よりも低額な施設を紹介してもらえたり、紹介センターを行っている仲介業者などを紹介してくれるなどのサポートを行ってくれるので、できることから進めることが大切です。
また、現在の施設利用料を分割できるかどうか、施設の責任者に取り合ってもらえるかを確認するなどして、早い段階から対応策について相談することが重要です。
利用料を支払えなくなってしまう事例を知っておくことで、予防策を考えることができます。
- 介護度が進行し、介護費用の自己負担額が多くなってしまった
- 自宅の売却がうまく進まない
- 不動産や積立NISAなどの投資収入が減少した
- 家族からの金銭援助が減った
以上のような経済状況の悪化は、高齢者の誰しもが直面する可能性があるため、これらのようなアクシデントを想定しておくことが重要な予防策となります。
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有料老人ホームの入居条件
有料老人ホームでは、「介護付き」「住宅型」「健康型」と入居条件もさまざまに設定されています。
それぞれの入居条件を紹介します。
介護付き有料老人ホームの入居条件
介護付き有料老人ホームでは、原則65歳以上の方、さらに要介護1~5の方が入所対象となります。
また、介護専用型では、介護保険の要介護認定を受けている方に限られます。
混合型では、自立して生活できる方も要介護の方もどちらも入居することができます。
住宅型有料老人ホームの入居条件
住宅型有料老人ホームでは、原則65歳以上の方、さらに自立しているか軽度の要介護の方が入所対象となります。
健康型有料老人ホームの入居条件
健康型有料老人ホームでは、原則65歳以上で、自立している方が入居条件となっています。
介護が必要な方は基本的に入居することはできません。
有料老人ホームの入居条件について詳しく知りたい方は下記の記事も併せてお読み下さい。
高齢の方に人気の有料老人ホームですが、施設によっては厳しい入居条件があります。入居条件は施設の種類や規模によってさまざまですので、契約前に必ず確認しなければなりません。本記事では有料老人ホームの入居条件について、以下の点を中心に[…]
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各施設の設備基準と人員基準
有料老人ホームの「介護付き」「住宅型」「健康型」では、設備基準と人員基準が設けられています。
それぞれの設備基準と人員基準について解説します。
有料老人ホームの設備基準
有料老人ホームとして開設するためには、高齢者が安心して生活できる環境を整えるために、下記の表にある設備を備える必要があります。
また、下記の表に加えて、車椅子の生活者が入居することができるよう、廊下の幅は1.8m以上(車椅子同士がすれ違うことのできるスペースがあれば1.4m以上)ある必要があります。
【介護保険指定基準+実質上必要な室】
- 一般居室、または介護居室(有料老人ホームが自ら介護サービスを提供するための専用の居室)
※原則として個室/1人当たりの床面積は13㎡以上/地階に設けないこと/一般居室において介護サービスが提供される場合は、介護居室は設置しなくても良い - 便所
- 浴室、脱衣所
- 事務室
- 洗面設備
- 機能訓練室
- 洗濯室
- 食堂、談話室
- 汚物処理室
- 医務室、健康管理室
- 介護・看護職員室
- そのほか(ナースコールなど緊急通報装置、スプリンクラー)
有料老人ホームの人員基準
有料老人ホームの種類ごとの人員基準についてそれぞれ解説いたします。
介護付き有料老人ホームの人員基準
介護付きでは、下記のような職員が配置されています。
- 施設長(管理者)
- 生活相談員
- 栄養士(管理栄養士)
- 調理員
- 介護職員・看護職員などの介護従事者
- 機能訓練指導員
- ケアマネージャー
介護職員、看護職員は、要介護者3人に対して1人以上、要支援者10人に対して1人以上の配置が定められています。
住宅型有料老人ホームの人員基準
住宅型有料老人ホームの人員基準は、施設長1名の配置のみが定められているだけで、その他は特に設けられていません。
施設ごと必要に応じて人員配置されています。
健康型有料老人ホームの人員基準
健康型有料老人ホームも住宅型と同じように、施設長1名の配置のみが定められ、あとの人員に関しては施設の裁量となっています。
健康型有料老人ホームで手厚いサービスを望むのなら、人員が充実したところがいいでしょう。
有料老人ホームと他施設に違いはある?
老人ホームには、有料老人ホーム以外にもいろいろな施設があります。
その違いをみてみましょう。
特別養護老人ホームとの違い
有料老人ホームが民間企業が運営するのに対して、特別養護老人ホームは自治体や社会福祉法人が運営しています。
運営主体が異なっていることで、2つの施設の性質も異なります。
特別養護老人ホームは、公的施設なので、社会福祉の観点からの経営となります。
介護度の重い方、低所得の方の保護を優先としています。
一方、民間が運営する有料老人ホームは、入居される方のニーズに応えるため、さまざまなサービスを提供しています。
施設の運営者によって、費用やサービスの内容、入所条件が違ってきます。
サービス付き高齢者向け住宅との違い
サービス付き高齢者向け住宅は、介護を必要としていない自立した生活を送る方が対象です。
さまざまな生活支援サービスを受けることができ、安心した自由な生活を送ることを目的としています。
ただし、食事の提供、訪問介護、デイサービスといったサービスは行っておらず、外部のサービス会社との個別契約になります。
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有料老人ホームに入居するまでの流れは?
有料老人ホームに入居する際の流れや施設選びのポイントはどのようなものなのでしょうか?
それぞれご紹介します。
入居手順
入居の流れは以下の通りです。
- 1:老人ホームでどのような生活をしたいのかイメージする
- 2:予算、立地、サービス内容といった条件を整理して、優先順位をつける
- 3:老人ホームを探す
- 4:複数の老人ホームを比較検討する
- 5:老人ホームを見学する
- 6:老人ホームの体験入居をしてみる
- 7:契約・入所
施設選びのポイント
まず重要なのは、「介護が必要か」、「自立して生活ができるか」で施設選びが異なります。
どのような暮らしをして、どのようなサービスを受けたいのかを確認しましょう。
また、現実的なポイントとして入居費用があります。
資産がどれだけあるのかなど、自分の資金に見合った有料老人ホームを選ぶことが大切です。
施設の特徴も選ぶときのポイントです。
利用者や家族のニーズに近い有料老人ホームを選ぶといいでしょう。
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悪徳有料老人ホームには注意を!
有料老人ホームが乱立し、なかには悪徳有料老人ホームもあります。
このような悪徳有料老人ホームに引っかからないように、十分注意が必要です。
悪徳有料老人ホームが生まれる理由
悪徳有料老人ホームが生まれる理由は、慢性的な人手不足などです。
待遇が悪ければすぐにほかの施設に転職されてしまうため、事業主もきつく指導できず、サービスの質が落ちてしまいます。
またサービスを多く提供すればするほど報酬が得られるため、囲い込みによってサービスを半ば強制的に受けるよう仕向けてくる可能性があります。
悪徳有料老人ホームの見分け方
パンフレットの謳い文句に騙されてはいけません。
必ず、見学や体験を行いましょう。
また「今なら1室だけ空いている」などと煽るような言葉で入居を急がせる施設には注意が必要です。
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有料老人ホームのまとめ
今回は、有料老人ホームについてご紹介しました。
有料老人ホームについての要点を以下にまとめます。
- 有料老人ホームの種類は、介護付き、住宅型、健康型の3つ
- 有料老人ホームのサービス内容は介護を必要とするかしないかで決まる
- 有料老人ホームの費用は、一時入居費と月額料金
- 有料老人ホームのメリットはプロの介護が受けられること、デメリットは集団生活でのストレスなど
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。