介護サービスを受けながら生活できる施設として「有料老人ホーム」や「特別養護老人ホーム」があることをご存じでしょうか?
両者にどのような違いがあるかわからない方も多いと思います。
そこで本記事では以下の点を中心にご紹介します。
- 有料老人ホームと特別養護老人ホームの特徴
- 入居条件や提供サービスの違い
- 有料老人ホームと特別養護老人ホームの費用について
有料老人ホームと特別養護老人ホームの違いを理解し、施設探しの参考にしていただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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- 1有料老人ホームと特別養護老人ホームの施設の特徴の違い
- 2有料老人ホームと特別養護老人ホームの入居条件の違い
- 3有料老人ホームと特別養護老人ホームの入居までの流れの違い
- 4有料老人ホームと特別養護老人ホームの提供サービスの違い
- 5有料老人ホームと特別養護老人ホームの医療ケア・看取りサービスの違い
- 6有料老人ホームと特別養護老人ホームの費用はどちらが高い?
- 7有料老人ホームと特別養護老人ホームの部屋タイプや広さの違い
- 8施設によって人員配置も異なる?
- 9有料老人ホームや特別養護老人ホームの他の施設との違い
- 10施設費用の負担を軽くするには?
- 11有料老人ホームと特別養護老人ホームのメリット・デメリット
- 12有料老人ホームと特別養護老人ホームのまとめ
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有料老人ホームと特別養護老人ホームの施設の特徴の違い
有料老人ホームと特別養護老人ホームはどちらも高齢者を対象にした施設ですが、入所対象になる方や設備、運営主体などは異なります。
各施設の特徴は以下の通りです。
施設 | 特徴 | |
有料老人ホーム | 介護付き | 介護や生活支援を受けることができる |
住宅型 | 要介護などの縛りはないが、施設スタッフによる介護はない | |
健康型 | 食事や家事などのサービスがついている | |
特別養護老人ホーム | 生活上の世話を受けることができる |
それぞれの施設の特徴や目的について、ご紹介します。
有料老人ホームとは?
有料老人ホームとは、高齢者向けの「住まい」として運営されている施設です。
運営主体に制限はなく、民間の企業が運営する施設も多くあります。
高齢者が暮らしやすいようバリアフリーの設計にされているほか、食事・介護・家事・健康管理のいずれかが提供されます。
施設により特徴があり、利用者のニーズに応じて利用することができます。
高齢者向けの住まいのニーズが増えていることから、施設数は増加傾向にあります。
有料老人ホームの目的
高齢者の心身の健康を保ち、できるだけ自立した生活を続けられる住環境を提供することを目的としています。
老人福祉法の中にも、老人の福祉の安定を図るための施設として位置づけられています。
有料老人ホームには種類がある?
有料老人ホームは入所の目的や対象者、サービスの提供方法により3つに分類されています。
介護付き有料老人ホーム
介護付き有料老人ホームは介護が必要な方が入居し、介護や生活支援を受けながら生活できる施設です。
都道府県から介護保険制度の中の「特定施設入居者生活介護」の指定を受けており、入居している施設の中に介護スタッフが常駐しています。
そのため施設の中で食事や清掃等の生活支援、身体介護、レクリエーションや余暇活動などのサービスを受けることができます。
施設によっては、軽度の要支援者や、自立している方の入居も可能です。
また、看取りにも対応している施設を選べば、住居を変えず安定した環境で生活を続けることができます。
住宅型有料老人ホーム
住宅型有料老人ホームは自立している方から介護が必要な方まで、さまざまな方が入居できる施設です。
食事や清掃等の生活支援を提供する点は介護付きと同様ですが、施設スタッフによる介護サービスは行われないことが特徴です。
そのため、介護サービスを受けたい場合は、自宅で生活している時と同様、個人で在宅サービス事業所と契約をして利用することになります。
敷地外にあるデイサービスやデイケアに通うこともできるので、在宅で既にサービスを利用していた場合も、なじみのスタッフからの支援を受けたり、知人と同じデイサービスを利用し続けることができます。
介護サービスを利用した場合は、利用した分だけ支払います。
そのため、元気な方は比較的低価格で利用できますが、介護度が高くなると、介護付き有料老人ホームよりも利用料が高額になる場合があります。
健康型有料老人ホーム
健康型有料老人ホームは、食事や家事のサポートがついた施設です。
「身の回りのことは自分でできるが、1人や夫婦だけで生活していくのは心配」という方が対象です。
元気な状態を維持するための設備が充実しており、スポーツジムや図書室などの施設が併設されているところもあります。
高齢になっても元気な方が増え、注目されている施設ですが、施設数が非常に少ないのが現状です。
要介護の方の生活には対応していないため、体調が変わり介護が必要になった場合、退去することになります。
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特別養護老人ホームとは?
特別養護老人ホームは高齢で常時介護が必要な方が入居できる介護施設で、社会福祉法人や自治体が運営している公的な施設です。
公的な施設のため、低料金で利用でき、金銭的な不安が大きい方に対しては減免制度も設けられています。
そのため人気が高く、入居の順番を待つ方が非常に多くなっています。
特別養護老人ホームでは施設内のスタッフが介護サービスを含む生活全般の支援を行い、看取りの対応も可能です。
特別養護老人ホームの目的
特別養護老人ホームの主な目的は「介護の提供」です。
常に介護が必要な高齢者が自宅で介護を受けられない場合、入所して生活上の世話を受けるための施設として位置づけられています。
特別養護老人ホームに種類はある?
居室の状態や生活環境により「多床室」「従来型個室」「ユニット型個室的多床室」「ユニット型個室」の4種類に分類されます。
従来型は、施設単位で食堂や交流スペースが設けられているタイプの施設です。
病院の入院病棟のように、廊下を挟み居室が設けられており、効率的にケアを行える環境になっています。
基本的には4人部屋ですが、2人部屋や個室になっている場合もあります。
ユニット型は、少人数のグループ単位で生活することで、職員や入居者同士が顔なじみになり、家庭や地域に近い環境で過ごせるように配慮されたタイプの施設です。
施設の設計も、居間と寝室の関係のように、共有スペースを囲むように各居室が配置されており、家庭に近い環境を作っています。
ユニット型という考え方は平成15年度に創設され、現在の主流になっています。
ユニット型は個室が主流ですが、多床室であっても、少人数のグループで生活できるよう、環境やサービスが設計されています。
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有料老人ホームと特別養護老人ホームの入居条件の違い
ここまで両施設の違いについて解説しました。
上述の通り、施設ごとに目的も異なります。
そのため施設ごとに目的に合った入居条件を定めています。
施設ごとの入居条件の違いは以下の通りです。
施設 | 入居条件 | |
有料老人ホーム | 介護付き | 原則として要介護認定を受けている人 |
住宅型 | 要介護認定などの生活に支障が出る病気を持っていない人 | |
健康型 | 原則60歳以上の人 | |
特別養護老人ホーム | 原則として要介護度3以上の認定を受けている人 |
有料老人ホームの入居条件は?
有料老人ホームには、実は公的に定められた入居条件はありません。
しかし介護保険法では、介護サービスの提供対象を「65歳以上」としていることから、65歳以上の方を入居対象にしている施設が多いです。
自立の方が入所できる施設では、60歳以下の方でも入所できる場合もあります。
また、要介護度を入居条件に設定している施設もあります。
その場合は、特定疾病の診断を受けて、介護認定を受けている40歳以上の方であれば、対象年齢より若くても入居できる場合もあります。
気になる施設がある場合は、施設に問い合わせてみましょう。
ここでは、各施設の一般的な入所条件をご紹介します。
介護付き有料老人ホームの入居条件
施設内で介護サービスを提供することから、要介護認定を受けていることが条件になることが多いです。
一部の施設では、自立や要支援の方も入居することができます。
住宅型有料老人ホームの入居条件
自立や要支援など、比較的元気な時から利用できる場合が多いです。
常駐の介護職員がいないことから、常時ケアが必要な要介護3以上の方や、認知症のために頻繁に徘徊がみられる方などは入居できない場合が多いです。
また、看護師が配置されていない施設の場合、基本的には施設内で医療行為を行うことができません。
インスリン注射や在宅酸素の管理が自分でできないなど、頻繁に医療行為が必要な場合は、あらかじめ受け入れ体制を確認しておきましょう。
健康型有料老人ホームの入居条件
年齢は施設により様々ですが、60歳以上の方を入居条件にしている施設が多いです。
また、基本的には自立している方が対象のため、介護認定がついていないか、要支援状態の方が入居できます。
特別養護老人ホームの入居条件は?
原則として要介護3以上の認定を受けた高齢者が対象です。
年齢要件も、介護認定を受けられる65歳以上の方、もしくは特定疾病がある40歳以上の方になります。
ただし要介護1・2の方であっても、認知症や知的障がい、精神疾患などで在宅生活が困難な場合は入所できる可能性があります。
さらに在宅生活が困難な状態にもかかわらず、家族の支援を受けることができず介護サービスや施設で対応できない場合、家族からの虐待がある場合などは入所できる場合もあります。
このような状況にある場合は、行政や地域包括支援センターなどに相談してみることをおすすめします。
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有料老人ホームと特別養護老人ホームの入居までの流れの違い
有料老人ホームと特別養護老人ホームに入居する際の基本的な流れは、以下の通りです。
- 施設検索
- 見学
- 申し込み、契約
- 入居
有料老人ホームと特別養護老人ホームの入居の流れの違いは、申し込み~入居までにかかる期間です。
有料老人ホームは、申し込み・契約後に待つことなく入居できることがほとんどです。
それに対し、特別養護老人ホームは申し込みをした後、待機期間が発生することが多くあります。
各自治体で定められた、入所ガイドラインに基づいて優先者が決定されるため、状況によっては1年以上など、順番待ちしなければならない場合もあります。
有料老人ホームに比べて特別養護老人ホームの待機期間が長い理由としては主に次の2点が挙げられます。
- 特別養護老人ホームは有料老人ホームに比べて費用が安い
- 終身利用ができる
以下で提供サービスや費用についても解説していきますが、主にこれらの理由から、特別養護老人ホームの方が申し込みをする人が多いと考えられます。
有料老人ホームと特別養護老人ホームの提供サービスの違い
両施設には提供サービスにも違いがあります。
提供サービスは以下の通りです。
施設 | 提供サービス | |
有料老人ホーム | 介護付き | 介護サービス全般 |
住宅型 | レクリエーションなどの生活を充実させるサービス | |
健康型 | スポーツジムなどの健康を保てる環境 | |
特別養護老人ホーム | 介護サービス全般 |
ここから詳しく解説していきます。
有料老人ホームのサービスとは?
各施設に共通のサービスとして、食事の提供や室内の清掃、施設職員による見守り、生活相談があります。
かかりつけの病院に送迎してくれる施設も多いですが、毎月の利用料の他に追加料金がかかる場合もあるので、あらかじめ確認しておきましょう。
それ以外にも、施設のタイプにより以下のような特徴があります。
介護付き有料老人ホーム
介護付き有料老人ホームでは施設のスタッフが、身体介護や機能訓練などの介護サービス全般を提供します。
夜間にも介護スタッフが常駐し、必要な世話を行いますので、常時手助けが必要な方であっても安心して生活することができます。
住宅型有料老人ホーム
比較的元気な入居者が多いことから、レクリエーションなどの生活を充実させるサービスが豊富です。
レクリエーションの内容は、体操教室や習い事、外部のボランティアを招いたコンサートや講話などです。
カラオケなどの娯楽施設を設けている施設もあります。
介護サービスを利用したい場合は、外部のサービスを利用することになります。
健康型有料老人ホーム
住宅型と同様、介護に関するサービスはありませんが、元気な方向けのレクリエーションが充実しています。
また、スポーツジムや図書館、シアタールームなど、設備面でも充実している施設が多く、健康を保ちやすい環境が整えられています。
このように施設によりサービス内容の差が大きいのが、有料老人ホームの特徴です。
どんな暮らしをしたいか考えておくと、施設選びの際に役立ちます。
特別養護老人ホームのサービスとは?
介護度が高い方が生活する施設のため、食事や排せつ、入浴などの介護や生活上の世話全般や機能訓練など、介護に関するサービスが中心になります。
夜間にも見守りや介護が必要な入居者も多いのですが、介護スタッフに対応してもらうことができます。
レクリエーションは、有料老人ホームに比べると頻度は少ないものの、重度の入居者でも楽しめるよう配慮した内容で行われています。
また、特養には看護師も在籍しており、医療的なケアを行うことができるなど、在宅や他の施設への入居が難しい方であっても生活できる手厚い体制が整えられています。
有料老人ホームと特別養護老人ホームの医療ケア・看取りサービスの違い
有料老人ホームと特別養護老人ホームで提供している医療ケアや見取りサービスに違いはあるのでしょうか?
医療ケアの違い
医療ケアはその名前の通り「医療対応」が行われます。
目的は余命が短い高齢者に対して、心身の苦痛を緩和するためのケアを行うことです。
主に酸素吸入や点滴、投薬などの処置を行います。
苦痛を和らげるための医療的なケアを受けることで、残された時間を心身共に穏やかに過ごせるサポートが行われます。
両施設の提供するケア内容の違いとしては以下の通りです。
- 有料老人ホーム:施設ごとによるが、看護職員の24時間配置や、クリニックのホーム併設等、サービスの充実度や種類が豊富
- 特別養護老人ホーム:介護ケアに比べて医療ケアは限定されており、医療ケアが常時必要な方の場合、入居できないこともある
看取りサービスの違い
看取りとは、延命治療などを行わず、入居者が自然になくなることを見守ることです。
終末期の高齢者に対し、身体的・精神的な苦痛を和らげ、残された時間を充実させるためにサポートを行います。
人生の最期の時間を、人間としての尊厳ある生活ができることを目的としてケアが行われます。
両施設の看取りサービスの違いは以下の通りです。
- 有料老人ホーム:施設ごとに寄るが、近年は看取りが可能である施設が増加している
- 特別養護老人ホーム:基本的に終身利用が可能であり、終末期ケアに適した環境や看取りが可能な環境が提供される施設の割合は多い。
有料老人ホームと特別養護老人ホームの費用はどちらが高い?
有料老人ホームは高い、特別養護老人ホームは安価で利用できるというイメージをもつ方が多いと思いますが、具体的にはどれくらいの料金で利用できるのでしょうか。
ここでは、介護付き有料老人ホームと特別養護老人ホームの費用を解説していきます。
有料老人ホームの費用は高い?
有料老人ホームでは、多くの施設で一時金などと呼ばれる初期費用と、毎月の利用料がかかります。
利用料は施設ごとに設定するため、地域やサービス内容によって様々ですが、25~30万円程度かかる場合が多いです。
設備やサービスが充実するほど、費用も高額になる傾向があります。
介護つき有料老人ホームの場合は、追加で介護サービスの利用料がかかります。
介護サービスには介護保険が適用されるため、介護度に応じた金額を支払います。
1割負担の場合、6000~2万6000円程度が加算されます。
費用の内訳は?
有料老人ホームの費用は、内訳ごとに料金が設定されています。
東京都内にある施設を参考に、ご紹介します。
初期費用
入居一時金、保証金、敷金などの、入居前に納める費用です。
料金は50万円程度が相場ですが、施設により1000万円を超える場合もあります。
毎月の利用料の一部として償却されたり、賃貸マンションのように退去時に一部返金される場合もあります。
居住費
毎月の家賃は東京都内では11万円前後です。
地域によって金額の差が大きいので、郊外や地方在住の方は、近隣の単身者向けアパートの家賃相場を参考にしてみましょう。
食費
1日当たり2000円前後で、1か月6万5000円程度かかります。
水道・光熱費
1か月あたり1万7000円程度です。
施設によっては各部屋にメーターがあり、実費負担にしている場合もあります。
管理費
管理費は1か月に5~6万円程度です。
安否確認や生活相談などのサービスや、施設の維持費にあたります。
娯楽施設やアクティビティが充実している施設の場合は、これよりも高額になります。
有料老人ホームの費用について詳しく知りたい方は下記の記事も併せてお読み下さい。
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特別養護老人ホームの費用は安い?
特別養護老人ホームの費用は、入居一時金などの初期費用は不要で、毎月の利用料のみです。
人員体制や、部屋の種類によって料金が異なりますが、10~14万円程度で、有料老人ホームの費用に比べると安くなる傾向にあります。
費用の内訳は?
特別養護老人ホームの費用も、項目ごとに内訳があります。
施設介護サービス費
施設で受ける介護サービスに対する費用です。
従来型、ユニット型で料金が異なり、要介護5の場合で25,410円~27,870円で、人員体制により加算される施設もあります。
食費・居住費
食費や居住費も、基準となる金額が定められています。
居住費は部屋のタイプにより異なり、個室、ユニット型個室では高くなります。
食費は、原則として1日3食分の費用がかかりますが、あらかじめ入院などの予定が決まっている場合は、ストップすることもできます。
食費と居住費を合わせると、要介護5の場合で6万9000円~10万3000円と、最も施設による差が大きくなる項目です。
サービス費日常生活費
理美容代や医療費、病院までの交通費、日用品費などは、基本的に自己負担です。
おむつや尿取りパットは施設が用意することになっており、おむつ代の負担はありません。
特別養護老人ホームの費用について詳しく知りたい方は下記の記事も併せてお読み下さい。
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有料老人ホームと特別養護老人ホームの部屋タイプや広さの違い
両施設の居室は、部屋のタイプと広さは以下の通りです。
施設 | 部屋タイプ | 広さ |
有料老人ホーム | 決まったタイプはないので個性を出しやすい | 15~18平米が一般的 |
特別養護老人ホーム | 4種類に分けられる | 10.65平米以上にすることが義務 |
ここからは部屋のタイプや広さについて解説していきます。
有料老人ホームの部屋タイプ
基本的には1人部屋が用意され、高齢者は足腰が悪い方も多く、ベッドを利用する方が増える傾向にあることから、多くがフローリングになっています。
部屋の中には、トイレや洗面台、収納スペースが設けられており、プライバシーに配慮が必要なことは個室内で行うことができます。
自立した方も利用する施設の場合は、キッチンや浴室がついている場合もあります。
有料老人ホームにも多床室がありますが「夫婦部屋」と呼ばれることもあり、夫婦や兄弟で生活することを想定して作られています。
有料老人ホームの広さ
居室は、1部屋でおおよそ15~18平米程度が一般的です。
キッチンなどの設備が室内にある場合は、もう少し広くなります。
同じ1人部屋でも、部屋の広さにより部屋タイプを区別している施設もあります。
1日中居室にいるのではなく、食事やレクリエーションの時は共有スペースで過ごすことになり、それ以外に娯楽スペースが付いた施設もあるため、共有スペースも含めた広さを考えるとよいでしょう。
特別養護老人ホームの部屋タイプ
特別養護老人ホームの居室は、4つのタイプに分けられます。
利用する方の好みや状態、利用料金の希望に応じて選択するとよいでしょう。
多床室
1部屋に2人以上が入居し、生活します。
施設に1つ、またはワンフロアに1つ程度の共有スペースがあり、食事やレクリエーションの際は共有スペースで過ごします。
従来型個室
1人部屋ですが、多床室と同様、食事やレクリエーションの際は共有スペースで過ごします。
ユニット型個室
ユニットと呼ばれる10人程度のグループごとに、リビングなどの共用設備が用意されています。
居室は共用部分に隣接するように配置されており、共有部分との行き来がしやすく職員や他の利用者と交流を持ちやすいため、孤立を防ぐことができます。
プライバシーは守られつつも、スタッフの目が届きやすいため、介護度が高く頻繁な見守りが必要な方や、認知症で不安になりやすい方にも適したタイプの居室です。
ユニット型個室的多床室
完全な個室ではなく、多床室をパーテーションやカーテンなどで仕切り個人の空間を確保しています。
居室の水準以外はユニット型個室と同様の環境で生活できます。
特別養護老人ホームの広さ
個室の場合、ユニット型、従来型ともに10.65平米(約7畳)以上の広さにすると決められています。
日中は共有スペースで過ごす時間も長く、居室で1人で活動する時間はあまり多くありません。
そのため、7畳程度でも問題なく生活を送ることができます。
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施設によって人員配置も異なる?
有料老人ホームの中で、介護スタッフの配置が義務付けられているのは介護付き有料老人ホームのみです。
要支援2以上の方3名に対して1人以上の介護職が配置されています。
要支援1の場合は、10名に対して1人でよいことになっています。
介護サービスを提供するための計画作成担当者(ケアマネジャー)も配置されます。
また、すべてのタイプの有料老人ホームで、管理者、生活相談員が配置されます。
特別養護老人ホームは、介護・看護職員は入居者3名に対し1人以上、機能訓練指導員1人以上、医師の配置が義務付けられています。
機能訓練指導員は、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士、看護師などのリハビリ指導を行うことが出来る職員が配置されます。
機能訓練指導員が在籍することは、特別養護老人ホームの特徴の1つです。
医師は常勤でなく、近隣の医療機関の医師が嘱託医として勤務する施設がほとんどです。
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有料老人ホームや特別養護老人ホームの他の施設との違い
高齢者が入居できる施設は、他にもいくつかあります。他の介護が必要な方が生活できる施設と、有料老人ホームや特別養護老人ホームとの違いをご紹介します。
グループホームとの違い
認知症があり、介護が必要な方が入居できる施設として、グループホームがあります。
特別養護老人ホームは寝たきりで全介助の重度の方も生活できるのに対して、グループホームはできることを自分で行いながら共同生活を送る施設のため、特養と比べると介護度が低い方が多い傾向にあります。
介護老人保健施設との違い
介護老人保健施設は、特別養護老人ホームと同様の4種類の居室があり、月額費用のみで利用できる点も同じなので、共通点が多い施設です。
特別養護老人ホームは、生活の場であることがメインなのに対して、介護老人保健施設は、リハビリを受けながら在宅復帰を目指します。
入居期限が設けられていることも、大きな違いです。
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施設費用の負担を軽くするには?
施設での生活が長くなると、経済的な負担も大きくなります。
介護度が上がると利用料も高くなりますし、病気になり医療費がかさんだなどの事情で、施設費用の支払いが難しくなる場合もあると思います。
そのような場合にも施設に入居し続けられるような制度も設けられています。
特定入所者介護サービス費
所得の低い方が介護施設に入居する場合に、居住費と食費の負担を軽減する制度です。
お住いの市区町村に申請をして、介護保険負担限度額認定証を交付してもらう必要があります。
認定を受けるためには、所得や預貯金額などの条件を満たさなければならず、預金通帳の写しの提出も求められます。
介護保険料の減免制度
一定の条件を満たしている場合、介護サービスの利用料や、毎月支払っている介護保険料を減免してくれる制度です。
減免を受けるための要件は個々のケースにより異なるため、まずは市区町村や施設の生活相談員に相談をしてみましょう。
高額介護サービス費
介護保険のサービスを対象に毎月の負担額が一定の自己負担額を超えた場合に申請すると、上限を超えた分の費用が返金される制度です。
上限額は所得により異なります。
この制度では、世帯全体で負担した金額が対象になるので、夫婦や親子で介護サービスを利用している場合は、家族の利用額もあわせて適用されます。
高額医療・高額介護合算制度
年間の医療費と介護保険の自己負担額の合計が基準の金額を超えた場合に、超過分の金額が返金される制度です。
高額介護サービス費と同様、上限額は所得により異なります。
また、高額介護サービス費で支給された金額は差し引いて計算されます。
ただし、上記でご紹介した制度は、介護保険のサービスに関する支援制度であり、有料老人ホームの費用は対象になっていません。
有料老人ホームの利用料の支払いが難しくなってきた場合は、早めに施設の生活相談員に相談してみましょう。
有料老人ホームと特別養護老人ホームのメリット・デメリット
ここまで、有料老人ホームと特別養護老人ホームについて解説してきました。
それぞれのメリット、デメリットをご紹介します。
有料老人ホームは、入居にあたっての条件が厳しくないため、特別養護老人ホームに比べて入居しやすいというメリットがあります。
しかし、費用面では特別養護老人ホームよりも高いことが多く、経済的な負担がかかる可能性があります。
また、受けられる介護サービスに制約があり、要介護度が上がった場合、入居継続が難しい場合があります。
そのため、入居希望のご本人の健康状態や経済状況を考慮して選ぶ必要があります。
特別養護老人ホームは、公的施設であるという性質上、費用面が安いことが多いのがメリットです。
また、専門スタッフがいるため、必要なケアが受けやすいという利点もあります。
しかし、入居基準を満たす必要があり、待機者が多いため、すぐに入居しづらいというデメリットがあります。
それぞれの施設によって、受けられるサービスが異なります。
高齢者ご本人や、その家族にとって最も適している形態の施設を選びましょう。
メリット | デメリット | |
有料老人ホーム |
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特別養護老人ホーム |
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有料老人ホームと特別養護老人ホームのまとめ
ここまで、有料老人ホームと特別養護老人ホームについてご紹介しました。
この記事のポイントをおさらいすると以下の通りです。
有料老人ホーム | 特別養護老人ホーム | |
施設の目的 | 自立した生活を続けられる住環境の提供 | 生活上の世話を提供 |
入居条件 | 原則65歳以上の方 | 原則要介護度3以上の方 |
提供サービス | 生活の補助や相談 | 手厚い介護サービス |
これらの情報が、少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。