高齢化に伴い、介護が必要になった際の選択肢として特別養護老人ホーム(特養)を検討する方が増えています。公的な介護施設である特養は民間施設に比べて費用が抑えやすいものの、居住費や食費などの自己負担は発生します。
「毎月の支払いを少しでも安く抑える方法はないか?」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。
本記事では、特別養護老人ホームの費用を大幅に軽減できる4つの減免制度や対象条件、手続き方法を分かりやすく解説します。
- 特養の費用を減免できる4つの制度
- 減免制度を利用した場合と利用しない場合の費用比較
- 費用減免制度の申請・申し込み方法
- 費用が払えなくなった場合の適切な対処法
特養の利用を検討されている方や、毎月の負担を軽減したい方は、ぜひ参考にしてください。

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特別養護老人ホーム(特養)でかかる費用の内訳
特別養護老人ホームで発生する費用は、大きく分けると以下の4つで構成されています。
- 介護サービス費:要介護度に応じた介護サービスの自己負担分(1割〜3割)
- 居住費:部屋のタイプ(ユニット型個室、従来型個室、多床室など)に応じた室料・光熱水費
- 食費:毎日の食事代(原材料費や調理費)
- 日常生活費:医療費、理美容費、日用品代、被服費、嗜好品代など
食費や居住費には厚生労働省が定める「基準費用額」が設定されています。減免制度を利用しない場合、これらの費用は原則として全額自己負担となります。

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特別養護老人ホームの費用を減免する4つの制度
所得や資産の状況に応じて、特養の支払いを大きく抑えられる4つの減免制度があります。各制度の概要や対象条件を確認していきましょう。

1. 特定入所者介護サービス費(食費・居住費の負担軽減)
特定入所者介護サービス費とは、低所得者層を対象に食費と居住費の負担を軽減(補足給付)する制度です。所得や資産の状況に応じて第1段階〜第3段階に分かれ、限度額を超える費用が給付されます。
対象者と資産要件
世帯全員が市町村民税非課税であることが基本的な前提となります。
| 段階 | 対象者の所得要件 | 預貯金の基準(単身/夫婦) |
|---|---|---|
| 第1段階 | 生活保護受給者、老齢福祉年金受給者 | 要件なし(1,000万円以下/2,000万円以下) |
| 第2段階 | 世帯非課税で、年金収入+合計所得金額が80万円以下 | 650万円以下/1,650万円以下 |
| 第3段階① | 世帯非課税で、年金収入+合計所得金額が80万円超〜120万円以下 | 550万円以下/1,550万円以下 |
| 第3段階② | 世帯非課税で、年金収入+合計所得金額が120万円超 | 500万円以下/1,500万円以下 |
| 第4段階 | 住民税課税世帯 | 適用外 |
※非課税年金(障害年金・遺族年金)も収入判定に含まれます。
負担上限額(日額)
制度が適用されると、利用者が支払う食費・居住費の日額が以下の限度額まで抑えられます。
| 段階 | 食費(日額) | 居住費:従来型個室(日額) |
|---|---|---|
| 基準費用額(減免なし) | 1,445円 | 1,231円 |
| 第1段階 | 300円 | 320円 |
| 第2段階 | 390円 | 420円 |
| 第3段階① | 650円 | 820円 |
| 第3段階② | 1,360円 | 820円 |
※光熱水費等の改定に伴い、居住費の基準費用額等は更新されています。
2. 高額介護サービス費(介護サービス費の負担軽減)
高額介護サービス費は、1ヶ月に支払った介護サービス費の自己負担額(1〜3割分)が一定の上限額を超えた場合に、超過分が払い戻される制度です。
| 区分・所得条件 | 月額負担上限額(世帯/個人) |
|---|---|
| 第1段階(生活保護受給者など) | 15,000円(個人) |
| 第2段階(世帯非課税・年金収入等80万円以下) | 24,600円(世帯)/ 15,000円(個人) |
| 第3段階(世帯非課税で第1・2段階以外) | 24,600円(世帯) |
| 第4段階①(課税世帯〜年収約770万円未満) | 44,400円(世帯) |
| 第4段階②(年収約770万〜1,160万円未満) | 93,000円(世帯) |
| 第4段階③(年収約1,160万円以上) | 140,100円(世帯) |
※「世帯」は同一世帯で介護サービスを利用する全員の合計額です。
3. 高額医療・高額介護合算療養費制度
医療保険と介護保険の両方を利用している世帯で、1年間(8月1日〜翌年7月31日)の自己負担合計額が一定の基準額を超えた場合、超えた分が支給される制度です。
年額限度額の例(75歳以上・後期高齢者医療制度の場合)
- 年収約1,160万円以上:212万円
- 年収約770万〜1,160万円:141万円
- 一般所得(〜年収約370万円):56万円
- 市区町村民税非課税世帯:31万円
- 非課税(年金収入80万円以下など):19万円
医療費と介護費の双方がかさんでいる世帯にとって、大きな負担軽減につながります。
4. 社会福祉法人等の利用者負担軽減制度
社会福祉法人などが提供する介護サービスを利用する際、低所得で特に生活が困難な方に対して利用者負担を軽減する制度です。
対象要件
以下のすべての要件を満たし、市区町村が生活困難と認めた方が対象です。
- 年間収入が単身世帯で150万円(世帯員が1人増えるごとに50万円加算)以下
- 預貯金等の額が単身世帯で350万円(世帯員が1人増えるごとに100万円加算)以下
- 日常生活に供する資産以外に活用できる資産がない
- 負担能力のある親族等に扶養されていない
- 介護保険料を滞納していない
軽減内容
介護サービス自己負担額、食費、居住費の原則4分の1(老齢福祉年金受給者は2分の1)が軽減されます。

※関連記事:【要確認】高額医療・高額介護合算療養費制度とは?対象者や計算例をわかりやすく解説
1ヶ月あたりの費用シミュレーション(減免有無の比較)
実際に減免制度を利用すると、毎月の支払額にどの程度の差が出るのでしょうか。要介護1の方が特養の従来型個室に入居した場合でシミュレーションします。
減免制度を利用しない場合(第4段階・1ヶ月30日換算)
| 費用項目 | 1ヶ月あたりの目安額 |
|---|---|
| 食費(日額1,445円×30日) | 43,350円 |
| 居住費(従来型個室:日額1,231円×30日) | 36,930円 |
| 介護サービス費(要介護1自己負担1割) | 約17,190円 |
| 日常生活費(固定想定) | 30,000円 |
| 合計 | 約127,470円 |
減免制度(第3段階①)を利用した場合
特定入所者介護サービス費(第3段階①)が適用された場合の試算です。
| 費用項目 | 1ヶ月あたりの目安額 |
|---|---|
| 食費(日額650円×30日) | 19,500円 |
| 居住費(日額820円×30日) | 24,600円 |
| 介護サービス費(高額介護サービス費上限以下) | 約17,190円 |
| 日常生活費(固定想定) | 30,000円 |
| 合計 | 約91,290円 |
減免制度(特定入所者介護サービス費)を適用することで、1ヶ月あたり約36,000円、年間で約43万円以上の費用を軽減できます。

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特別養護老人ホームの費用減免制度の申し込み方法
各種減免制度を利用するには、事前の申請が必要です。
特定入所者介護サービス費
お住まいの市区町村の介護保険担当窓口に「介護保険負担限度額認定申請書」と預貯金口座の通帳コピー等を提出します。認定されると「負担限度額認定証」が交付されるため、施設へ提示してください。
高額介護サービス費
対象となる方には、市区町村から「高額介護サービス費支給申請書」が届きます。必要事項を記入して返送すれば手続き完了です。一度申請すれば、次回以降は自動で指定口座に振り込まれます。
高額医療・高額介護合算療養費制度
まず介護保険者(市区町村)に申請して「自己負担額証明書」の発行を受けます。その後、加入している医療保険窓口(国保、後期高齢者医療制度、社保など)に証明書を添えて申請します。
社会福祉法人等の利用者負担軽減制度
お住まいの市区町村に申請して「社会福祉法人等軽減確認証」の交付を受け、利用する施設(社会福祉法人等)に提示します。
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特養の費用が払えなくなった場合の対処法
万が一、収入や資産の状況が変わり支払いが難しくなった場合は、速やかに以下の対応を行いましょう。
- 施設のケアマネジャーや相談員に相談する:支払い猶予や利用可能な減免制度がないか確認します。
- 低価格な施設や部屋タイプへの転居を検討する:ユニット型個室から従来型個室や多床室へ移動することで居住費を抑えられます。
- 生活保護の受給を検討する:資産や収入が尽きてしまった場合、生活保護を受給することで自己負担なしで継続入所できる場合があります。
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まとめ
特別養護老人ホーム(特養)の費用減免制度について解説しました。ポイントは以下の通りです。
- 特定入所者介護サービス費を活用することで、食費・居住費の大幅な減額が可能
- 介護サービス費が高額になった場合は、高額介護サービス費制度で上限額以上の支払いが戻る
- 減免制度の適用には市区町村への事前申請と認定が必要
制度を知り、適切に申請を行うことで介護費用の負担を大きく減らすことができます。まずはご自身やご家族が対象になるか、お住まいの自治体窓口や施設の相談員に問い合わせてみましょう。


