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健達ねっと>マガジン>やさしい在宅介護>アクションとリアクション

アクションとリアクション

認知症には中核症状と周辺症状(行動・心理症状)という二つの症状があるとされています。記憶や理解、判断力の低下などは認知症による脳機能低下から生じる直接的なもので中核症状と言われます。中核症状が本人を取り巻く環境などに影響して、妄想、暴言・暴力、介護抵抗、不安・焦燥などの行動症状が周辺症状です。

例えば、物盗られ妄想というのは、置き忘れなど、記憶低下によって起こっていることを、誰かに盗まれたと思い込んでしまうという周辺症状が表れた状態と理解できます。

 

認知症の方の行動を理解する上で注意しなければならないのは、この“本人を取り巻く環境などに影響して”表れる周辺症状です。本人を取り巻く環境の一つに、家族を含めた介護者の存在があります。つまり、介護者の関わり方によって周辺症状が出現している可能性があるということです。

 

暴言・暴力や介護抵抗は認知症の人が起こすアクション(行動)と捉えがちですが、普通に考えると何の原因もなく突然、暴言や暴力を起こす人はいません。その前に本人を不快・不安にさせるアクション(行動)があって、そのアクションに対して正当にリアクション(反応)していると理解することもできるはずです。

例えば本人の意に反する介護が行われた場合に、本人が不快だと感じれば、暴言を吐いてでも、暴力という手段となったとしても、自分の身を守ろうとするのはある意味正常な反応です。

 

認知症の周辺症状をすべて本人に原因があると捉えてしまうと何の解決にもなりません。周辺症状はリアクションと理解し、介護者はどうアクションを起こしているか、介護者にも原因があると考えてみると解決の糸口が見つかるのではないかと思います。

・どのように声をかけたか?
・どのように本人の体に触れたか?
・どのように動かそうとしたか?
・それは自分だったら不快に思わないだろうか?

介護者が本人になりきって考えてみると、かける言葉、繰り出す介助の手のスピード、体に触れる圧、その一つ一つが変わってくるはずです。介護はコミュニケーションです、本人と介護者、お互いが影響し合って一つの動作が成立します。介護するとき、本人に対するアクションに慎重になるべきます。

 

 

筆者
大堀 具視(おおほり ともみ)
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