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嵐を呼ぶ男・和田と相棒の止められない二人旅

長い巡業に出ました。

名古屋⇒東京⇒岩手県盛岡市⇒山形県寒河江市⇒東京⇒ベトナム⇒東京⇒13日目名古屋帰宅、国内移動だけで2000キロでした。

 

僕は新型コロナウイルスによる緊急事態宣言解除以降、基本的には車移動していますが、1日目の4時に自宅を相棒(今回は御年56歳1968年生まれのクルマ)と共に出発しました。

こいつは僕にとって移動の道具ではなく相棒です。

 

東京で仕事をして4日目の4時に出発し約530キロ先の盛岡市へ移動。

目的は岩手の仲間たちが開催してくれる「トーク&ライブ」に出るためですが「トーク&ライブ」とはトークとミュージックのステージで会場はライブハウスです。

 

今回のトークは、基調講演が認知症の状態にあるご本人、トークショーは学者さんと僕の北海道の仲間でバンドメンバーの一人と僕がステージに上がりました。

 

ミュージックは、僕が所属させてもらっている「カッパーズ」というバンドで、メンバーは全員北海道の地で介護事業にたずさわっている者たちです。

2013年からスタートしてこれで12回目のライブですが、今回初めて地元の行政機関に勤めるギター野郎を迎えてセッションをさせてもらいました。

 

というのも、昨年、同じような企画を仙台で開催してもらった時に、これまた認知症の状態にある本人ならびに研究者と僕の対談、それにカッパーズのミュージックライブを組み合わせてやらせていただきましたが、
そこに参加してくれた盛岡の仲間が「岩手でもやりたい」ということで開催の運びとなり、さらに「盛岡にギタリストの仲間がいる」ということで「ならば結婚しよう!」となりセッションが実現した次第です。

 

初対面でもやり切る力

僕が名古屋、他のカッパーズの面々は北海道、それに現地参加のギタリストは盛岡ですからセッションをすると言っても練習することもできず、ぶっつけ本番!イメージセッションとなりました。

 

医師は「事前情報がなくても診るプロフェッショナルな職業人」ですが、演奏するメンバーたちはこれまで積み上げてきた練習や経験、それに感性を駆使して「ぶっつけ本番」でもやり切りました。

介護も「事前情報がないからお受けできない」なんて言わず「困っているのなら今すぐ連れてきてください。そこで必要なことは把握しますから」と言える専門職にならねばですよね。

 

ご迷惑をおかけしましたが嵐男ぶりは健在!

昨年の仙台は、仙台市だけ猛雨・爆雷の天候となりライブ会場が停電する始末で「和田さんだから」「和田さん、いくらなんでもやり過ぎ」と「嵐を呼ぶ男・和田さん」に向けたお褒めの言葉をいただきましたが、
今回の巡業も御多分にもれずで、盛岡市への移動途中、福島県で猛烈な雨となりました。
僕の相棒は酷暑と猛雨に弱く環境としては最悪です。

 

しかも、いつも窓ガラスに撥水処理をして、可能な限りワイパーを使用せずに走るのですが、余りに猛烈な雨だったのでたまらず使用したら、なんと壊れてしまうアクシデント付き(僕は想定内なのですがね)

 

「しまった、早く換えておけばよかった」

 

少し調子が悪いことはわかっていたのに「何とかなる」のいい加減さが原因で、後悔先に立たず「備えの悪さ」が露呈しました。

 

何とか宮城県との県境で雨がやみ、岩手県に入る頃には「暑い!」と思うほどの天気にまで回復。

僕の相棒の窓は一般的な車のように「上下開閉式の窓」とは違って「左右に開閉するスライド式の窓」なので、日差しは強くとも窓を開けて走ると心地よい風が入ってくるため走っているときは良かったのですが、高速道路を下りて市街地に入ると北の地とはいえ蒸し暑くなってきたのでクーラーをつけると、これまた動かない。
「あちゃ~」(これも対処の仕方は把握済みの想定内)

 

それに加えて、助手席に乗ったバンドメンバーがドアを閉めるときに(閉めるのも開けるのもひと工夫必要なんですがね)シートベルトを挟んでしまい、ドアの開閉ができなくなるアクシデントに見舞われましたが、ネットで検索した地元の車屋さんがとても親切に対応してくださり一発解決!

しかも無償の上、クルマをまじまじと見ながら「これで名古屋から来られたんですか。すごいですね」と感嘆され、僕の気分まで盛り上げてくださいました。ありがたい「車想い」にホント助かりました。

 

何とか盛岡での天候はもちましたが、翌日山形県で開催していただいた研修会への移動は「氾濫警報」「土砂崩れ警報」でアラートが鳴りっぱなしの猛烈な雨。

変な話ですが、嵐を呼ぶ男と揶揄される僕にとっては僕と嵐の因果関係にエビデンスはないにしろ、地元の方に申し訳ない気持ちになるんですよね。ホント、ご迷惑をおかけしました。

 

リズムが大事

バンドメンバーと合流し、お昼ご飯は「わんこそば」へ

昔、別の地で挑んだことのあるわんこそばでわかっていたことは「リズム」と「打ち止め判断」が大事だということですが、今回は、このリズムが僕には合っておらず間が空いてしまい調子が出ませんでした。

 

というのも7人で挑戦したので、「挑戦者3人に一人のそば入れ係」と「4人に一人のそば入れ係」になり、僕は4人の方だったので、3人と見比べたのですが、明らかに「3:1」の方がリズミカル。
そもそもわんこそばは蕎麦を味わうものではないので、「はい、じゃんじゃん」の掛け声でパッと蕎麦が手持ちの器に入れられ、入った蕎麦を飲み込む…

ハイジャンジャン・パッ・ツルッ! ハイジャンジャン・パッ・ツルッ!

をリズミカルにしないと進んでいけなかったですね。

 

わんこそばに限らず音楽も介護も「リズム」が大事だと僕は思っていて、特に職業としてやらせていただいている中では、認知症の状態にある方とのかかわり方でも、原稿を書くにしても、施設の設計をするときにも、相談に対応するときでも僕は大事にしています。

 

だから講演会や研修会でも「リズムが良いとき」はノリノリで言葉もシーンも溢れ出てきて「今日の僕はいい」って参加者に言わせていただきますが、リズムが悪いと「今日はあかんな」と心の中で思いますもんね。

そのリズムの良し悪しが何で決まるのか?

それは僕のことに限って言えば、僕のことはわかりません。

 

情報収集力・見極め力 それに基づいて決断する力と勇気

今回は100杯で打ち止めにしましたが、それでも「よく食べましたね」と言っていただけたし、これ以上進んだら確実に150杯を目指そうとする僕がいることを僕は知っているので「打ち止め」の判断は正しかったと思っています。

 

介護の仕事に就いたばかりの頃、熊本県の特別養護老人ホームへ研修に行ったときに、リアリティーオリエンテーションと題して入居者の前で話をしたり活動したりしていた相談員の方が、まだ時間途中なのに止められました。
後で理由を聞くと「皆さんを見ていてこれ以上は難しいと判断したからです」と言われたことが、後になって「なるほど」でしたね。

 

例えば、15時~16時は決められた体操の時間だから「16時までやる」のではなく、体操に参加している方々の様子を見ていて時間が15時20分でも「打ち止め」できる専門性が必要だと思っていますし、
「なぜ、途中で止めたんですか」と問われたときに「これ以上はしない方がいい」と言える情報収集力・見極め力・判断力、それに基づいて決断する力をつけなければと思ってやってきました。

 

20歳代に挑戦した「わんこそば」は、150杯目を飲み込んだ直後に「一杯50円」の札が目に入ってしまい

「ん、50円×150 エーッ! 蕎麦代7500円!!! 打ち止め!」

 

この時のお財布事情で言えばこの判断も良かったと思っていますが、僕にとっては「お腹で打ち止め」も「お金で打ち止め」も「判断」して「止める」ことには変わりなく、これが大事だと思っていて、認知症の状態にある方へのかかわり方でも大事にしています。

 

登山もそうですかね。

いくら今が好天でも先を読んで荒天予測が立てば引き返さないと遭難しかねませんからね。

 

そう考えると56歳の相棒での移動はリスク高いので止めるべきなのですが、移動手段は代替え手段もあるので見こせますからリスクが高くても止められないんですよね。自分勝手な僕です。

 

ベトナムの話は改めて。

 

秋がきましたね。
安心しましたが、天候不順でお米の出来高が気になります。
というのも入居者がお米を街に買いに出かける支援をしていると「お米の調達」がコメ不足で深刻になりましたからね。僕も長期的視点で「ひと工夫」しました。

 

和田 行男 さん

1987年、日本国有鉄道から介護業界へ転身。1999年には、東京都初となる認知症高齢者グループホーム「こもれび」の施設長に就任した。