「食物繊維は体に良いから摂るように」ってよく言われますよね。
整腸作用を持つことでよく知られる食物繊維。
その他にどんな効果があるのか、どの食品から摂ればよいのか、必要な摂取量はどのくらいなのか、不足するとどうなるのか、いろいろ知りたいことがありますね。
本記事では、食物繊維について以下の点を中心にご紹介します。
- 食物繊維について
- 食物繊維の摂取量について
- 食物繊維の働きについて
食物繊維について知りたい方は、この記事をご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
以下の記事では、食物繊維の効果について解説しておりますのでぜひ併せてご覧ください。
食物繊維は、たんぱく質やビタミンのように身体の栄養にはならない成分です。それにもかかわらず、なぜ世間一般では食物繊維の摂取が推奨されているのでしょうか?実は食物繊維には、整腸作用以外にも様々な健康効果があることが明らかになっているので[…]
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食物繊維とは
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食物繊維は、私たちが日ごろ口にする食べ物の中に含まれています。
日本では、「人の消化酵素では消化されない食物中の難消化性成分の総体」という定義が一般的に受け入れられています。
(出典:大塚製薬【食物繊維の歴史と定義】)
タンパク質・脂質・炭水化物などは、消化酵素で消化され、小腸から体内へ吸収されます。
一方で食物繊維は、消化酵素では消化されないため、小腸を通過して大腸まで到達する成分です。
食物繊維には、水に溶ける「水溶性食物繊維」と、水に溶けない「不溶性食物繊維」の2種類があります。
それぞれに違った特徴と働きがあるのでみてみましょう。
水溶性食物繊維
水溶性食物繊維は、ネバネバ系とサラサラ系があり、以下の特性があります。
- 粘性:胃腸内をゆっくりと移動するため、腹持ちがよく、また、糖質の吸収を緩やかにし急激な血糖値の上昇を抑えます。
- 吸着性:食べたものの水分を吸着しゲル化し、便を柔らかくすることで腸内を通りやすくするなど、腸内環境を整えます。
- 発酵性:善玉菌を増やし腸内環境を整えます。
不溶性食物繊維
不溶性食物繊維は、糸状のもの、多孔質のものがあり、ボソボソ、ザラザラした食感が特徴で、以下の特性があります。
- 保水性:水分を吸収して大きく膨らむことで、大腸を刺激し、ぜん動運動を活発にして、便通を促進します。
- 繊維状・蜂の巣状・へちま状:よく噛まなければいけないので、食べ過ぎを防ぎ、歯並びも良くなります。
- 発酵性:善玉菌を増やし、腸内環境を整える働きがありますが、水溶性食物繊維より発酵性は低くなっています。
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食物繊維の摂取量
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食物繊維は、消化酵素で分解されにくく、ほとんどが体外へ排出されてしまいます。
かつては「食べ物のカス」といわれ、軽視されていた時代もありました。
現在では、五大栄養素(炭水化物、脂質、タンパク質、無機質、ビタミン)に次ぐ「第6の栄養素」として注目されています。
食物繊維は、整腸作用や、その他にも健康に良いさまざまな効果がある、重要な栄養素です。
しかし健康に欠かせない栄養素であるにも関わらず、現在ほとんどの日本人の食生活において、不足している食品成分なのです。
健康のためにも、積極的に食物繊維を摂ることがすすめられています。
食物繊維の摂取基準
厚生労働省は成人(18~29歳)の食物繊維の1日の目標摂取量※1を以下のようにしています。
- 成人男性:21g
- 成人女性:18g
出典:厚生労働省【日本人の食事摂取基準(2020年版)】
目標摂取量に対し実際の成人(20~29歳)の摂取量は以下のようになっています。
- 成人男性:17.5g
- 成人女性:14.6g
出典:厚生労働省【令和元年国民健康・栄養調査報告】
目標摂取量に対して、成人男性で3.5g、成人女性で3.4g不足している状態です。
食物繊維は、体になくてはならない栄養素というわけではありません。
しかし、「第6の栄養素」といわれるように、腸内環境の改善や生活習慣病の予防などに大変重要な働きをしています。
現在の平均摂取量と目標量の差から明らかなように、食物繊維の不足を積極的な摂取で補う必要があります。
食物繊維の摂取の目安
食物繊維には便通をよくする働きがあります。
食物繊維の健康的な摂取状況について、「1日1回、規則的な排便があること」が1つの目安になります。
この状態での人の排便量は、1日におよそ150gほどです。
この便量に見合った食物繊維を食事から摂取することが重要です。
まずは、1日当たりプラス3~4gの食物繊維摂取を目標にすることがすすめられます。
※1:生活習慣病の発症予防を目的として、現在の日本人が当面の目標とすべき摂取量。
食物繊維が多く含まれる食品
食物繊維は、穀類やイモ類、野菜、きのこ類、海藻類に多く含まれています。
穀類では、白米よりも玄米のほうが食物繊維が豊富です。
野菜では、ごぼうに特に食物繊維が豊富に含まれています。
きのこ類は、食物繊維以外にもミネラルやビタミンを多く含み、低カロリーであるということも嬉しい点です。
納豆は水溶性、不溶性の食物繊維をバランスよく豊富に含んでいるので、日々の食事に取り入れやすい食品としておすすめです。
キウイやブルーベリーなどの果物も食物繊維を多く含んでいます。
果物をデザートとして、いつもの食事に1品加えるだけでも手軽に食物繊維を摂ることができます。
また、普段の食事でも、食べ方や調理方法をひと工夫することで効率的に食物繊維を摂取することができます。
例えば、加熱することで水分が抜けてかさが減り、多くの食物繊維を摂取することができます。
野菜では、皮付きで食べることでより多くの食物繊維を摂取できます。
少しでも食物繊維の摂取量を増やせるよう、日常の食事の献立でも、食材や食品を意識することが重要です。
食物繊維を摂取できるおすすめの方法
不足している食物繊維量を補う献立メニューの考え方を以下にご紹介します。
主食を白米から玄米に変える
食物繊維量(お茶碗1杯150g相当)
- 白米 :0.45g
- 玄米 :2.1g
1日の食物繊維(お茶碗2.5杯/日)を4.2g増やすことができます。
食物繊維を多く含む副菜を1品(2品/日)追加する
副菜の食物繊維量(1品分)の例
- ブロッコリー(60g) :2.6g
- 菜の花(50g) :2.1g
- オクラ(40g) :2.0g
- エリンギ(40g) :1.7g
- えのきだけ(40g) :1.6g
- アボガド(90g) :4.8g
- 乾燥ひじき(5g) :2.2g
主食を白米から玄米に変えただけで食物繊維の1日当たりの摂取量不足を解消できます。
食物繊維を多く含む野菜や果物を追加すればさらに摂取量をアップすることができます。
献立メニューを上手に工夫し食物繊維不足は解消しましょう。
食物繊維が豊富に含まれる食べ物について詳しく知りたい方は以下の記事も併せてご覧ください。
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食物繊維の働き
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食物繊維は、人の消化酵素では消化することができません。
五大栄養素といわれる、炭水化物、脂質、タンパク質、無機質、ビタミンは消化酵素によって消化されますが、食物繊維は大腸まで消化されずに届きます。
現代人にとって腸内環境は、ストレスや偏った食生活、飲酒等で悪化しやすい環境条件が揃っており、加齢によっても腸内環境は悪化していきます。
食物繊維は消化されずに大腸まで届き、腸内環境を整えながらさまざまな働きをしてくれるのです。
腸を整える
食物繊維の摂取はお腹の調子を整えます。
腸の調子は、腸内細菌の善玉菌と悪玉菌のバランスにより決まります。
ストレスや偏った食生活、飲酒、加齢などによる善玉菌の減少が、腸内環境の悪化を招くのです。
腸内環境を整え、良くするためには、善玉菌を増やし悪玉菌を減らして、腸内細菌のバランスを変えることが必要です。
腸内の善玉菌を増やす食品には、以下のような食品があります。
- 食物繊維を含む食品
- ビフィズス菌や乳酸菌を含む食品
・ヨーグルトをはじめとする乳酸菌飲料
・納豆や漬物などの発酵食品
食物繊維は、便の体積を増やす材料になり、腸を刺激してぜん動運動を活発にし、便通を促進します。
食物繊維の摂取は同時に、腸内環境を整える腸内細菌の善玉菌を増やし、お腹の調子を整えます。
血糖値の上昇を抑える
食物繊維は、血糖値の急激な上昇を抑制します。
水溶性食物繊維の働きにより、糖の吸収速度が穏やかになり、食後の血糖値の急激な上昇を防ぐことができます。
血中コレステロールを下げる
食物繊維には、血中のコレステロール濃度を下げる働きがあります。
水溶性食物繊維は、胃や腸内をゆっくり進みながら、コレステロールを吸着し、体外へ便と一緒に排出することにより、血中のコレステロール値を下げます。
生活習慣病の予防効果
食物繊維は生活習慣病を予防するための大事な栄養素です。
近年、食物繊維が糖尿病や動脈硬化などをはじめとする、生活習慣病の予防に効果があることが明らかになっています。
死因の多くを占める生活習慣病の予防に関わることから、食物繊維の重要性にさらに注目が集まっています。
食物繊維と生活習慣病の関係を以下に示します。
- 糖質や脂質の吸収を抑制することで脂質異常症、動脈硬化を予防
- 低カロリーで満腹感の得られやすい食品を摂取することで肥満を予防
- 食後の血糖値の急激な上昇を抑制することで糖尿病を予防
- 腸の有害物質の排出をすることで高血圧を予防
食物繊維と血糖値の関係について詳しく知りたい方は以下の記事も併せてご覧ください。
食物繊維が不足するとどうなる?
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食物繊維が不足すると腸内環境が悪化し、便秘になりやすくなります。
便秘が原因となって起こる病気に、痔や大腸がんなどがあります。
食物繊維が不足することで、糖質・脂質の吸収、コレステロールの排出作用が低下し、糖尿病などの生活習慣病のリスクも高まります。
食物繊維は、炭水化物やタンパク質などの五大栄養素に次いで「第六の栄養素」といわれています。食物繊維はおなかの調子を整え、便秘の解消に効果的です。では、食物繊維とは具体的にどのような栄養素なのでしょうか。本記事では食物繊維につ[…]
日本人の食物繊維の摂取量の推移
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1950年代は1日20g以上摂取していましたが、最近では1日14g前後に減少しています。
主な原因として、食生活の変化が考えられます。
戦後は食物繊維の多い穀物やいも類、豆類などを中心に摂取していました。
しかし、食生活の欧米化が進み肉類や乳製品の摂取量が増えてきました。
結果、米や大麦などの摂取量が減少したため食物繊維摂取量が減少したと考えられます。
出典:e-ヘルスネット【食物繊維の必要性と健康】
1日2食では食物繊維は摂取できていない?
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若い世代では、朝食を食べない人が多いことがわかっています。
1日2食でも、栄養バランス的に特に問題ないと考えている人も多いのではないでしょうか。
農林水産省の集計では、朝食を食べない人の1日の食物繊維の摂取量(平均値)は、以下のようになっています。
- 20歳代男性 必要量 21g以上/日 摂取量(平均値)11.1g/日
- 20歳代女性 必要量 18g以上/日 摂取量(平均値)9.4g/日
必要量に対し、摂取量は男女ともに半分程度しか達していません。
食事の基本は、三大栄養素のタンパク質、脂質、炭水化物をバランス良く摂取することです。
1日2食で必要な栄養素量を摂ろうとすると、1食の量を多くしないといけなくなってしまい、現実的に続けることが困難になってきます。
朝食を食べる習慣を身につけ、無理なく必要な栄養素量をバランスよく摂れるようにしましょう。
食物繊維と炭水化物の関係について知りたい方は以下の記事も併せてご覧ください。
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食物繊維の摂取量・まとめ
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ここまで、食物繊維の摂取量などの情報を中心にお伝えしました。
要点を以下にまとめます。
- 食物繊維は、人の消化酵素では消化することができない栄養素
- 水溶性食物繊維と、不溶性食物繊維の2種類がある
- 食物繊維の1日あたりの摂取量(目標値)は、18~64歳の男性で21g以上、女性で18g以上
- 食物繊維には整腸、血糖値の上昇抑制、血中コレステロール濃度の低下、生活習慣病の予防効果がある
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
食物繊維は人間の身体において必要なものであるということはご存じだと思います。しかし、とりすぎても体に悪影響があるということをご存じでしょうか。本記事では食物繊維のとりすぎについて、以下の点を中心にご紹介します。 食物繊[…]