ホーム

認知症を学ぶ

down compression

介護を学ぶ

down compression

専門家から学ぶ

down compression

書籍から学ぶ

down compression

健康を学ぶ

down compression
健達ねっと>健康お役立ち記事>高次脳機能障害>高次脳機能障害の方の失語症とは?リハビリや回復するのかについて解説!

高次脳機能障害の方の失語症とは?リハビリや回復するのかについて解説!

高次脳機能障害では「失語症」が起こる可能性が高いです。
失語症が起こると、周囲との言葉を使った意思疎通が困難になることがあります。

「失語症が起こると具体的にはどのような症状が出るのか?」
「失語症の対応はどのようにしたらよいのか?」

など、疑問に思うことはたくさんあると思います。

本記事では、高次脳機能障害と失語症について、以下の点を中心にご紹介します。

  • 高次脳機能障害による失語症の症状
  • 高次脳機能障害による失語症の対応法

高次脳機能障害と失語症の対応のためにもご参考いただけますと幸いです。

ぜひ最後までお読みください。

高次脳機能障害について知りたい方は下記の記事も併せてお読み下さい。

関連記事

高次脳機能障害は、外見上分かりにくく、本人にも自覚症状が無いことが多いです。今回は、そんな高次脳機能障害の症状や原因を以下のポイントに沿ってご説明します。高次脳機能障害になった場合に失われる機能はどのようなも[…]

高次脳機能障害

スポンサーリンク

高次脳機能障害とは


高次脳機能障害とは、何らかの原因で脳が損傷し、認知機能などに重大な支障をきたしている状態です。

脳が損傷する原因として代表的なのは、脳卒中などの脳血管障害です。
あるいは脳炎や脳腫瘍のほか、転倒などによる頭部外傷も高次脳機能障害の原因です。

高次脳機能障害の主な症状は以下の通りです。

【高次脳機能障害の症状】

  • 失語症(意味のある言葉をしゃべれない)
  • 記憶障害(同じ話を何度も繰り返すなど)
  • 注意力障害(ミスが増えるなど)
  • 遂行機能障害(計画を立てられないなど)
  • 半側空間無視(視界のうち半分の空間を認識できない)
  • 社会的行動障害(怒りっぽい・わがまま・自己中心的など)

高次脳機能障害の原因について詳しく知りたい方は下記の記事も併せてお読み下さい。

関連記事

高次脳機能障害では様々な症状が現れます。では高次脳機能障害はどのような原因で発症するのでしょうか?本記事では高次脳機能障害の原因について以下の点を中心にご紹介します。 高次脳機能障害の主な症状 高次脳機能障害の原[…]

スポンサーリンク

失語症の症状


失語症は、意味のある言葉を話すのが困難な状態を指します。
具体的には「聞く」「話す」「書く」「読む」など、言語にまつわる行為を適切に行うことができなくなります。

失語症の原因はさまざまです。
たとえば高次脳機能障害や認知症のほか、心理的ストレスによって間接的に引き起こされることもあります。

高次脳機能障害による失語症は、いくつか種類があります。
代表的な種類について解説していきます。

運動性失語

運動性失語は、言葉の意味は理解できるが、正確に話せない失語症です。
「ブローカ失語」とも呼ばれます。

運動性失語は、脳の「ブローカ野」が損傷するために起こります。
言葉一つ一つの意味は正確に理解していますが、文章を組み立てることが難しくなります。

たとえば、相手の話を理解することは問題ありません。
しかし、単語を並べて文章を組み立てるのが難しいため、いざ話そうとしても言葉が出てこないことが多いです。

結果として、言い間違いや、どもることが多くなるのが、運動性失語の特徴です。

感覚性失語

感覚性失語は、流ちょうに話せるが、言葉の意味を理解できない失語症です。
脳の「ウェルニッケ野」の損傷を原因とするため、「ウェルニッケ失語」とも呼ばれます。

感覚性失語の症状としては、言葉の意味を理解できていないため、言い間違いが多くなります。
そのため、周囲からすると、会話の内容が支離滅裂であることが多いです。

感覚性失語では、相手が話した内容を正しく認識するのも困難です。

全失語

全失語は、話す・聞く・読む・書く能力がすべて失われる失語症です。
話そうとする意思はあっても、「ああ」「うー」のような、意味をなさない発語が多くなります。

相手の話の理解も難しくなるため、周囲との言葉を使った意思疎通が難しくなります。

原因の多くは、脳血管障害です。
しばしば半身の麻痺を伴うのも、全失語の特徴です。

健忘失語

人・物の名前が出てきづらくなる失語症です。
的確な単語が出づらくなるため、話し方が回りくどくなるのが特徴です。

たとえば好きな食べ物を質問され、「桃」と答えたいとしましょう。
通常であれば、「桃です。」という回答で済みます。

しかし、健忘失語の方は物の名前がすぐに出てきません。
結果として「丸い・ピンク色・柔らかい・甘い」のような、抽象的で回りくどい説明をします。

高次脳機能障害の症状について詳しく知りたい方は下記の記事も併せてお読み下さい。

関連記事

病気やケガが原因で脳に損傷を負うと、高次脳機能障害を発症することがあります。高次脳機能障害は、ほかの障害のように目に見えるものではありません。そのため周りの方に理解されず、「離職」や「離婚」など社会的に孤立して苦しむケースも少なくあ[…]

出典:厚生労働省「失語症の人の生活のしづらさに関する調査」調査結果(抜粋)

おすすめ記事

高次脳機能障害は、外見上分かりにくく、本人にも自覚症状が無いことが多いです。今回は、そんな高次脳機能障害の症状や原因を以下のポイントに沿ってご説明します。高次脳機能障害になった場合に失われる機能はどのようなも[…]

高次脳機能障害

失語症の対応方法


高次脳機能障害によって失語症が起こると、周囲との意思疎通が難しくなります。
伝えたいことがあるのに伝わらないのは、失語症の方にとっても、家族の方にとっても、つらい状況です。

しかし、対応次第では、失語症の方とのコミュニケーションも可能です。
反対に対応を間違うと、失語症の方が心を閉ざしてしまい、状況が悪化することもありえます。

ここからは、高次脳機能障害による失語症の方への対応法について解説します。

ゆっくり、はっきり話す

失語症の方は、聞き取る力が低下していることが多いです。
言葉を聞き取りやすいよう、周囲はゆっくり・はっきり話すように心がけましょう。

聞き手に回る場合も同様です。
失語症であっても、時間をかければ意思や考えを伝えることはできます。

聞き手は心にゆとりをもって、失語症の方の話に耳を傾けましょう。
途中で話を遮ったり、先に結論を言ったりするのは、失語症の方の話す意欲を損なうためNGです。

一つ一つの言葉を短くする

失語症の方には、短い言葉で話しかけることも大切です。
長い文章だと理解が難しいことがあるからです。

  • 悪い例:そろそろ病院の時間だから、着替えてタクシーを呼ぼうか
  • 良い例:着替えようか→タクシーに乗ろう→病院に向かうね

話題を急に変えない

失語症の方は、急な話題転換が苦手です。
話が急に変わると、とっさに対応できず、混乱することも少なくありません。

話題を変えるときは、まず、その旨を伝えることが大切です。
具体的には、「ところでね」「話は変わるんだけど」のような前振りを行いましょう。

子供扱いしない

言葉が話せないからといって、子供扱いするのは絶対にやめましょう。

プライドを傷つけるような行為は、失語症の方から信頼や話す意欲を失わせます。
ときには、コミュニケーションが成り立たなくなることもあります。

答えやすい質問方法を考える

なにか質問するときは、失語症の方が答えやすい方法を考えてみましょう。
たとえば「はい・いいえ」で答える質問や、二択質問がおすすめです。

【はい・いいえ】

  • 悪い例:ごはんはなにが食べたいですか?
  • 良い例:ごはんはうどんでいいですか?

【二択質問】

  • 悪い例:何色の洋服を着ますか?
  • 良い例:洋服の色は赤と青、どっちがいいですか?

写真・イラスト・ジェスチャーを活用する

言葉でのコミュニケーションが難しい場合は、視覚情報を利用するのがおすすめです。
写真やイラストを見せたり、ジェスチャーをしたりしましょう。

高次脳機能障害の対応について詳しく知りたい方は下記の記事も併せてお読み下さい。

失語症に似ている症状との違い


高次脳機能障害による失語症に似た障害に、構音障害失声症があります。

それぞれの特徴や、失語症との違いについて解説します。

構音障害

言葉を話すための機能に障害があります。
たとえば、のど・舌・口周りの筋肉などに麻痺や異常がみられます。

失語症と異なり、言葉の理解や文章の組み立ては行えます。
ただし、失語症の方が構音障害を伴う場合もあります。

話すことだけでなく、聞く能力に支障が出ることもあります。
聞く力が低下した場合は「聴覚性構音障害」と呼ばれます。

【構音障害の代表的な症状】

  • 呂律が回らず、言葉が不明瞭
  • 声がガラガラとかすれている
  • 声が小さく、聞き取りにくい
  • 声が長く続かない

失声症

声が出なくなる状態です。
多くの場合、声を出すための器官に異常は見られません。

失声症のメカニズムは解明されていませんが、一説には、心理的ストレスが原因とされています。
原因となった心理的ストレスが軽減されれば、病状は改善されます。

失語症との違いは、脳の言語分野に問題がない点です。
そのため、言葉の理解や文章の組み立て、文章の読み書きは正確に行えます。

健達ねっとECサイト

高次脳機能障害の失語症の方のリハビリ


高次脳機能障害による失語症の方のリハビリについてご紹介します。
まずは、検査で失語症の重症度とパターンを特定します。

リハビリには以下のような訓練用教材を使用します。

  • 日常生活と密接にかかわりのある物品
  • 絵カード
  • カレンダー

リハビリの内容は以下のようなものがあります。

  • 聞く:短文やニュースを聞き、内容を説明する
  • 話す:物の呼称や言葉の復唱、本や漫画の内容を説明する
  • 読む:簡単な文を読み、内容について質問する
  • 書く:予定や日記を書く
  • コミュニケーション:簡単な挨拶を交わす
  • 職場復帰の支援:職場の環境を調整する

上記のリハビリを、失語症の重症度、パターン、発症からの時期などに応じて選択していきます。

薬の使い方

高次脳機能障害の失語症は回復する?


日常会話は支障なく行え、、職場に復帰できる程度まで回復する方もいます。
一方で単語レベルでの理解や表出が難しい方もいます。

回復の程度は、

  • 年齢
  • 脳の損傷の範囲や程度
  • 発症回数
  • 利き手

などによって左右されます。

高次脳機能障害の失語症は回復するものの、後遺症が残る人も多くいます。
基本的には発症から年数が経つと、回復には限界があるからです。

そのため、発症早期より積極的にリハビリする必要があります。
しかし、年月を経てから緩徐に回復する場合もあります。

生活を送りながら時間をかけて、コミュニケーションがとりやすくなる方もいるでしょう。
あせらずにゆっくりと、周囲とご本人が努力していく必要があります。

高次脳機能障害の失語症の方の手帳


高次脳機能障害の方が取得できる手帳は、精神障害者手帳です。
しかし、高次脳機能障害のひとつである失語症は、身体障害者手帳の該当です。

本来、高次脳機能障害単体では精神障害者手帳が該当しますが、取得する人は多くありません。

理由として、

  • 身体障害者福祉法ほど、得られる恩恵が多くない
  • 精神障害者という言葉に抵抗を感じてしまう

などがあります。

高次脳機能障害でも失語症であれば身体障害者手帳が取得できるため、運動麻痺などの症状がなくとも種々のサービスを受けることが可能です。

スポンサーリンク

高次脳機能障害の失語症まとめ


ここまで、高次脳機能障害と失語症についてお伝えしてきました。

工事納期障害の失語症についての要点を以下にまとめます。

  • 高次脳機能障害による失語症の症状は、「文章を組み立てられない」「物の名前が出てこない」など
  • 高次脳機能障害による失語症の症状への対応法は、「ゆっくりはっきり話す」「子供扱いしない」「答えやすい質問をする」など

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

監修者 メディカル・ケア・サービス

  • 認知症高齢者対応のグループホーム運営
  • 自立支援ケア
  • 学研グループと融合したメディア
  • 出版事業
  • 社名: メディカル・ケア・サービス株式会社
  • 設立: 1999年11月24日
  • 代表取締役社長: 山本 教雄
  • 本社: 〒330-6029埼玉県さいたま市中央区新都心11-2ランド·アクシス·タワー29F
  • グループホーム展開
  • 介護付有料老人ホーム展開
  • 小規模多機能型居宅介護
  • その他介護事業所運営
  • 食事管理
  • 栄養提供
  • 福祉用具販売
  • 障がい者雇用

スポンサーリンク