先天的な障害や、事故や病気などの後天的な障害で介護が必要になった方を社会全体で支える制度に障害者手帳があります。
高次脳機能障害は障害者手帳の制度の対象となる場合があります。
本記事では、高次脳機能障害の方が受けられるサービスを中心に以下の点をご紹介します。
- 障害者手帳の種類
- 精神障害者保健手帳
- 手帳の申請方法
- 高次脳機能障害と発達障害
高次脳機能障害の方やその家族の負担の軽減につながれば幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
高次脳機能障害について知りたい方は下記の記事も併せてお読み下さい。
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障害者手帳とは
障害者手帳とは、さまざまな種類の優遇やサービスを受けられる手帳のことです。
障害者手帳には種類と等級があり、それぞれの障害の度合いによって免除額や受けられるサービスが変わります。
精神障害と身体障害の両方を認められる場合は複数所持することも可能です。
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障害者手帳の種類
障害者手帳には精神障害者保健福祉手帳、身体障害者手帳、療育手帳の3種類あります。
精神障害者保健福祉手帳は一定の精神障害が認められた方に発行される手帳です。
高次脳機能障害の方は精神障害者保健福祉手帳の対象者となる場合があります。
障害の等級は重たい方から順に1級~3級となっています。
有効期限が2年で、医師の診断書をもとに更新できます。
身体障害者手帳は身体の一部に障害がある方に発行される手帳です。
障害の等級は重たい方から順に1級~7級となっていて、各部位ごとに等級がつきます。
更新はありませんが、障害が回復した場合一定期間おいてから再認定をする事もあります。
療育手帳は知的障害が認められた場合に発行される手帳です。
基本的な取得基準は、知能指数が75以下であり、障害が原因で日常生活に支障があり、教育・就労・医療などの支援が必要である事です。
等級は重度をA、それ以外をBで分けています。
判断基準や等級は、各自治体ごとに変わるため確認が必要です。
療育手帳に更新はありません。
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精神障害者保健福祉手帳
高次脳機能障害の方の一部が対象である、精神障害者保健福祉手帳について詳しく解説していきます。
手帳の対象者
精神障害があり日常生活を送るのが難しい人が対象となります。
対象となる方には以下が含まれます。
- 統合失調症
- てんかん
- 薬物依存症
- 高次脳機能障害
- 発達障害
- そのほかの精神疾患(日常生活を送るのが難しいと判断されるもの)
対象者には高次脳機能障害だけでなく、発達障害や、統合失調症なども含まれます。
手帳を受け取るには、上記の精神障害が初診日に認められてから6ヵ月以上続いている必要があります。
手帳により受けられるサービス
受けられるサービスの一部を紹介します。
- NHK受信料の減額
- 所得税の控除
- 住民税の控除
- 相続税の控除
- 利子等の非課税
- 自動車税・自動車所得税の減額(1級の方のみ)
- 生活福祉資金の賃付
- 公共交通機関の運賃や通行料の割引
- 補助具購入費の助成、または支給
- 自立支援医療による医療助成費
- 障害者総合支援法による障害福祉サービス
- 公共施設の利用料の免除
税金面の控除や、公共福祉面での免除、減額などが主なサービスとなります。
バスや電車、施設などのサービスは各市区町村ごとに変わってきますので、確認することをお勧めします。
手帳の申請方法
精神障害者保健福祉手帳の申請方法です。
- 市区町村窓口に行き、身体障害者診断書・意見書をもらいに行きます。
- 次に都道府県知事の指定を受けた医師に依頼し、診断書を作成します。
- 申請する方の写真(縦4センチ×横3センチ、上半身で脱帽)を準備します。
- 用紙を市区町村の福祉窓口に提出します。
- 提出してから約2ヶ月程度で発行となります。
詳しくはお住まいの市区町村の担当窓口にお問い合わせください。
高次脳機能障害と発達障害の違い
高次脳機能障害と発達障害の違いについて解説します。
発達障害とは
発達障害とは、自閉症やアスペルガー症候群、学習障害、その他の脳機能の障害が幼少期に発現した場合に診断される生まれつきの脳機能の発達の偏りによる障害です。
高次脳機能障害との違い
高次脳機能障害は、交通事故などにより頭部に強い衝撃を受けた時や、脳梗塞や脳卒中といった脳血管障害がおこり、頭部の損傷が認められた場合に診断されます。
頭部に強い衝撃や脳血管障害を発症した事、発症後に精神障害が認められた後天的なものが、高次脳機能障害にあてはまります。
高次脳機能障害の診断について詳しく知りたい方は下記の記事も併せてお読み下さい。
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高次脳機能障害の方の障害者手帳まとめ
ここまで高次脳機能障害の情報や、障害者手帳についてを中心に書いてきました。
この記事のポイントをおさらいすると、以下の通りです。
- 障害者手帳の種類は、精神障害者保健福祉手帳、身体障害者手帳、療育手帳の3種類
- 高次脳機能障害の方は精神障害者保健福祉手帳が対象となる場合がある
- 障害者手帳は、市区町村の福祉窓口に行き申請書をもらい医師に作成してもらう
- 発達障害は先天的な障害であり、高次脳機能障害は後天的な障害である
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。