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健達ねっと>介護お役立ち記事>在宅介護>介護業界はなぜ人手不足に?人手不足の原因と改善策を解説!

介護業界はなぜ人手不足に?人手不足の原因と改善策を解説!

超高齢社会を歩む日本において問題の一つとされている介護業界の人手不足。
一体どのような理由や現状があるのでしょうか?

本記事では、介護業界の人手不足について以下の点を中心にご紹介します。

  • 介護業界で人手不足が起こる原因
  • 介護業界の人手不足の解消法
  • 介護職に抱く3Kのイメージ

介護業界の人手不足問題を把握するためにも、参考にしていただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

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介護業界でなぜ人手不足が起こるのか


日本の高齢者介護問題ですが、近年では介護の担い手不足が指摘されています。

現在日本では、2025年問題が間近に迫っています。
2025年問題で指摘されているのは、いわゆる団塊世代が後期高齢者になることで総人口1億2,257万人のうち、後期高齢者(75歳以上)人口が約2,180万人になることです。

そのほか、認知症高齢者数が約320万人に達することや、高齢者世帯のうち約7割が一人暮らし世帯、もしくは夫婦のみ世帯になると指摘されています。
そんな中、少子化の影響もあり介護の担い手が不足している現状があります。

介護業界の現状

現在、多くの介護事業所では人手不足が問題となっています。

介護業界が人手不足になる原因については後述しますが、少子高齢化により働く世代が減り介護が必要な世代が増えていくことも要因の一つといえます。

公益財団法人介護労働安定センターが実施した「令和元年度介護労働実態調査」では、65.3%の事業所が人手不足を感じている結果となりました。

とくに訪問介護職員の不足は深刻で、81.2%が人手不足を感じている結果となりました。

介護業界で人手不足が起こる原因

介護業界で人手不足が起こるにはいくつかの原因が考えられます。
以下、介護業界で人手不足が起こる原因について説明します。

採用の競争が激しい

まず考えられる原因として、介護事業所間における採用競争の激化があげられます。

介護職員数は年々増加しており、平成29年度には186.8万人になりました。
しかし、2025年には約243万人、2040年には約280万人の介護職員が必要とされています。

2000年以降もっとも人数が増えた職種は介護職といわれるほど人数が増えましたが、現在はそれでも介護の人手が足りなく、人材の採用競争はますます激しくなっています。

仕事が大変

介護の仕事は力を要する身体介護や夜勤業務などもあり、肉体的負担やストレスが少ないとはいえません。
人手不足の問題から介護職員一人にかかる負担も大きくなります。

介護労働安定センターが2019年に行った調査では、介護職の離職率は15.3%という結果となっています。
2019年には全国平均より0.3ポイントほど下回る結果となりましたが、2018年までは全国の離職率を上回っていました。

また、介護の仕事に抱くイメージとして、きつい、汚い、危険の3Kを連想される方も多く介護業界へのハードルの高さを感じている方も少なくありません。

給与水準が低い

厚生労働省による「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果」では、国家資格である介護福祉士の平均年収想定額は3,951,000円となっており、無資格の場合の平均年収想定額は3,311,040円です。

また、夜勤業務への手当てのある特別養護老人ホームでは4,342,680円となっていますが、日中勤務が基本の通所介護事業所では3,53,9760円となっています。

国税庁が実施した「令和元年分民間給与実態統計調査」では、平均年収は436万円となっており全国平均を下回っています。

夜勤があったり土日に関係なく働いたりすることも多く、身体的・精神的負担の多い仕事であるのに対して給料が見合わないと思われる方も少なくないのが現状です。

また、例として介護福祉士の手当てについて詳しく知りたい方は下記の記事も参考にしてみてください。

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人間関係が複雑

人間関係の悪化も人手不足の原因として考えられているようです。

介護現場で働く人の約7割が女性であり、働く年齢層も10代~60代までと幅広いため価値観の違いも多く、人間関係を保つことが難しい現状にあります。

また、看護師やリハビリスタッフなどの他業種と共同して働く場合もあり、職種間で価値観や視点の違いも生じることがあります。
職員同士の人間関係以外にも、利用者・家族との人間関係を保つ難しさも課題の一つです。

たとえ人間関係に問題が生じても基本的に相手を変えることはできないため、自身の異動や退職が選択肢となる場合が多く、人手不足につながってしまう原因となります。

従来の介護スタイルが変化

厚生労働省の調査によれば、介護保険制度施行時と2019年時点の介護の現状では大きな違いがみられます。
たとえば、要介護認定を受けた人数は218万人から659万人へと約3倍も増えました。

その影響もあり、在宅サービス利用者の人数が97万人から378万人と約3.9倍となっています。

さらに、前述しましたが高齢者の独居世帯や夫婦のみ世帯の増加から、家族間での介護を行うことができず介護施設入所の需要も高まっています。

そのため、施設サービス利用者の人数は52万人から95万人と1.8倍増える結果となりました。

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人手不足を解消するには?


2021年に厚生労働省が発表した第8期介護保険事業計画によれば、2025年には約243万人、2040年には約280万人の介護職員が必要であると報告されました。

介護職の人手不足問題は介護事業所単位での問題ではなく、国家全体の問題といえます。

現在、各介護事業所では人手不足の解消を目的に様々な対策がとられています。

職場環境の改善を行う

給与の問題や人間関係の問題など、職場環境の改善は介護業界にとって大きなテーマの一つです。
職員同士のコミュニケーションの円滑化や、人事評価制度の見直し、新たな介護の担い手の確保など職場環境や待遇の改善は非常に重要であり、事業所ごとに様々な対策がとられています。

ITシステムの導入

介護職が抱える業務問題の中には、日報や介護記録などの書類作成に時間がとられてしまうという問題もあります。

従来の介護現場では紙媒体による記録が基本となっていましたが、記録作成にかかっていた時間を短縮するためにITシステムの導入が進められています。

ITシステムの中にはタブレット端末を使用したものなどがあり、ペーパーレス化できるだけではなく事業所内の情報共有も円滑になります。

ユニットケアシステムの導入

ユニットケアシステムの導入は利用者へのメリットのみではなく、介護職員に対する負担軽減や人間関係で生じる負担の軽減に効果が期待できます。

ユニットケアシステムとは、介護施設入居者10人程度を1ユニットとして専任のスタッフが介護を担う仕組みです。

入居者は慣れたスタッフからケアを受けられるため、利用者とスタッフ間の信頼関係が築きやすく、スタッフとしても少ない人数で介護を行えるメリットがあります。
従来の集団ケアに比べ、負担が少なくストレス軽減にもつながることから、介護施設などでの導入が進められています。

キャリアアップ制度の導入

厚生労働省は介護の人手不足を解消する取り組みとしてキャリアパス制度を導入し、他業種と比べ賃金水準が低い介護業界の処遇改善をはかろうとしています。
キャリアパス制度が目的とするのは、給与水準や人事制度の改善や、職員のキャリアアップ支援です。

さらに2019年10月より介護職員等特定処遇改善加算が創設され、職場内のリーダー的立場にある職員の年収を全産業の平均年収440万円まで引き上げることを目指しています。

介護事業者はキャリアパス要件を満たすことで、介護職員等特定処遇改善加算を算定できます。
このような取り組みにより、介護職の処遇が改善されつつあります。

資格取得支援制度の導入

介護施設や介護事業所によっては資格取得支援制度を導入している場合があります。

資格取得支援制度とは、一定期間介護施設や介護事業所に勤務することで介護福祉士国家資格取得までの過程において金銭的援助などを受けられる仕組みです。
介護事業所によっては、未経験からでも介護職員初任者研修や介護福祉士実務者研修などの経過を経て介護福祉士国家資格取得を目指すことができます。

資格取得を視野に入れている方には最適な取り組みといえます。

外国人人材の導入

人手不足が深刻化する中、外国人人材を確保する介護施設や事業所は少なくありません。
現在、政府が導入している技能実習制度などにより、フィリピン、インドネシア、ベトナム、ミャンマーなどから技能実習生を集っています。

技能実習制度では、1年目に1号、2~3年目に2号、4~5年目に3号となり、1~3号まで移行するにはそれぞれの段階で行う試験に合格しなければなりません。
その後は特定技能1号へと移行し最長5年の全10年間雇用が可能になります。

最終的に介護福祉士国家資格を取得できれば、永続的な在留資格を得て日本で働くことが可能になります。

潜在介護士の呼び戻し

介護福祉士を保有している方や介護経験のある方の中には、わけあって休職していたり介護業界を離れて別の仕事をしている方もいます。
こうした経験者が再び介護職として職場復帰できるように、介護事業所によっては短時間勤務や保育費用を補助する体制を整えている場合もあります。

また、自治体ごとに復職支援制度を設けている場所もあります。

介護業界に対するイメージ改善を行う

介護業界に対するイメージ改善も重要な対策の一つです。
前述しましたが、介護業界は給与水準が低いといったイメージを抱いている方が多いのが事実です。

しかし、処遇改善加算が閣議決定されたことにより、勤続10年以上の介護福祉士に対して月8万円の手当てが支給されることになりました。
このような金銭的なバックアップにより、介護業界に対するマイナスイメージの払拭へとつながることが期待されています。

採用手段の改善を行う

採用手段の改善も必要な対策になります。

人材派遣の方との繋がり

人材派遣会社との繋がりは重要です。
もし急な欠員がでた場合には、応募を待っている余裕がない場合もあります。

人材派遣会社と繋がっておくことで、適切な人材の紹介をしてもらうことができます。

求人サイトの利用

求人サイトも利用しない手はありません。
現在インターネットやスマートフォンアプリの普及から、数多くの求人サイトやアプリがあります。
介護職の求人に特化した転職サイトも多く、幅広い人材の確保が期待できます。

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介護職におけるやりがいとは?


どんな仕事でもやりがいは大切な要素です。
介護職におけるやりがいには、感謝される仕事であること、多くのスタッフと協力して働けることなどが挙げられます。

介護職は性別を問わず幅広い年齢層のスタッフと働く職場です。
チームワークを発揮しながら介護を行い、地域で生活していけるようその人の人生を支える仕事です。

利用者や家族からありがとうといった言葉を受けることは、大きなやりがいへとつながります。

また、在宅介護について詳しく知りたい方は下記の記事も参考にしてみてください。

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介護ロボットが介護業界の救世主に?


介護業界の人手不足を解消する手段として、近年では介護ロボットの導入が注目されています。
介護ロボットの定義は厚生労働省によって以下のように定義されています。

  • 情報を感知(センサー系)
  • 判断し(知能、制御系)
  • 動作する(駆動系)

これら3つの要素技術を兼ね備えたうえで、知能化した機械システムが介護ロボットの定義です。
現状ではコスト面や大量生産の困難さから、一般的な普及へのハードルは高い状況です。

また、介護ロボット導入におけるメリットとしては、やはり介護スタッフの身体的・精神的負担の軽減につながることがあげられます。

その反面デメリットにあげられるのは、価格と操作の難しさです。

月々のレンタル費用に数百万円かかることもありますし、操作を覚えること自体が介護スタッフへの負担になってしまう可能性もあります。

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介護業界における人手不足のまとめ

まとめ
ここまで介護業界の人手不足の原因や、その内容・対策を中心にお伝えしてきました。
要点を以下にまとめます。

  • 介護業界で人手不足が起こる原因は、採用の競争が激しい、仕事が大変、給与水準が低い、人間関係が複雑、従来の介護スタイルが変化しているから
  • 介護職の人手不足の解消法は、職場環境の改善を行う、介護業界に対するイメージの改善を行うなど
  • 介護職に抱く3Kのイメージは、きつい、汚い、危険

これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

薬の使い方

監修者 メディカル・ケア・サービス

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