在宅介護をしながら、仕事や買い物、家事などを両立している方も多くいらっしゃいます。
しかし、同時に「自分がいない時間に転倒などのトラブルが起きたらどうしよう」という悩みを抱えている方も多い印象を受けます。
そこでこの記事では、
- 介護における見守りの定義
- 介護における見守りの目的
- 介護における見守りのポイント
- 見守りサービスの種類
- 適切なサービスを選ぶためのチェックポイント
- 見守りサービスを利用するメリット
以上の内容で解説していきます。
人工知能(AI)が搭載されている高性能な見守りサービスについても触れているので、ぜひ最後までご覧ください。
現在の日本は超高齢社会を迎え、在宅介護が増えてきました。在宅介護は、施設入居より費用の面では安いですが、介護者への負担は大きくなります。在宅介護する方、される方への負担を軽くするにはどうしたらいいでしょうか?本記事では在宅介[…]
スポンサーリンク
介護における見守りとは?
そもそも介護における見守りとは一体どのようなことなのかを、明確に把握していない方も多いことでしょう。
はじめに知っておくことで、見守りサービスの内容なども把握しやすくなりますので、まずは見守りの定義や目的、そしてポイントを解説します。
見守りの定義
そもそも「見守り」とは、見守りたい相手が安全に生活することができるように行う介助です。
主に、本人の様子や周りの状況などを観察し、必要に応じて声掛けなどを行うことをいいます。
また、ただ見守るだけでなく、安全に生活するために必要な工夫をすることも介助の中に含まれています。
具体的な例は、見守りのポイントで挙げていますのでご覧ください。
ですので、介護者が見守りを行うことは簡単なようにも思えますが、実は難しい介助であるといえます。
見守りの目的
次は、介護者が見守りを行う目的について解説いたします。
なぜ見守りを行うのかというと、やはり見守りたい相手を身の回りに潜んでいる危険などから守るためです。
なぜなら、転倒などがきっかけとなり、骨折などの怪我を負う恐れがあるからです。
要介護者や障がい者は、持病を持っている方が多い傾向にあります。
そのため、ときには体調不良を起こしたり、ケガをしてしまったりすることもあるでしょう。
利用者の急変が起きたときに、見守りによるサポートが受けられます。
見守るということは、対象者の能力を引き出すことにつながります。
食事やトイレなど身体的な援助をあえてせずに見守ることで、生活動作の練習をするきっかけになります。
介護者は注意深く観察し、その場に応じて適切な対応をする必要がありますが、実はここで知っておいて欲しい注意点があります。
それは、見守りを強化しすぎると「監視」になってしまうことです。
見守りによって安全を守ることは大切ですが、行動を監視・制限され続けると、相手は精神的に追いつめられてしまいます。
従って、介護者は定期的に「自分が行っているのは本当に見守りであるか」を確認するようにしてください。
そして、見守りを行う際は、相手を広い視野で見て優しく包み込むように行いましょう。
見守りのポイント
介護の見守りを行う際には「予測して行動すること」がポイントとなります。
例えば、見守りたい相手がよく歩く通路に、足に引っ掛かりやすいコードや躓きやすいものが置いてある場合を例に挙げます。
この場合、転倒のリスクが高くなるため、危険を回避するためにも歩行を妨げるものを撤去し、安全に通れる環境を作る必要があります。
このように、相手の行動を予測して、危険を回避できるように対処しましょう。
また、なかなか胸の中に抱いている気持ちや介護者にやって欲しいと思っていること(希望)などを、言い出せない方もいらっしゃいます。
この場合には、相手の気持ちや意図を汲み、して欲しいことを予測して声掛けを行いましょう。
例)見守りたい相手がそわそわしている場合
排泄をしたいことを言い出せない可能性を予測し、「一緒に行きませんか」と誘導する
このように、危険を察知して除去し、気持ちを予測して声掛けを行うなどの見守りを行うことで、怪我や事故を予防することができます。
見守りの目的は利用者ごとに異なるため、目的を把握することが大切です。
そのため、どのような動作に、何の目的で見守りが必要なのかを確認しましょう。
また、要介護者や障がい者といっても、心身機能や身体能力の状態はさまざまです。
適切な見守りには、利用者の心身機能や身体能力を理解することが大切です。
正確に理解するためには、介護士、看護師、リハビリ職員などと情報交感するのがいいでしょう。
事故や急変が起きた際に対象方法を知ることで、冷静に対応ができます。
そのため、事故や急変時に落ち着いて対応できるように対処方法を把握しておくことが重要です。
介護で役立つ見守りサービスとは?
「離れて住んでいるためなかなか会えず、元気にしているのか心配」と遠方の親を気に掛けている方も多いのではないでしょうか。
見守りサービスは、上記のような一日中付きっきりで介護できない方にとって非常に役立ちます。
見守りサービスは訪問型、センサー型、オート電話型・オートメール型、カメラ型、宅配型の5種類に分けることができます。
それぞれサービス内容やメリットなども異なっていますので、以下でご紹介します。
ぜひ参考にしていただきながら、自分に合っているサービスをお選びください。
訪問型
まずは「訪問型」で行われる見守りサービスについてご紹介します。
訪問型の見守りサービスとは、企業のスタッフが定期的に自宅を訪問し、見守りたい相手の安否を確認してくれるサービスです。
訪問したスタッフは見守りたい相手と会話や質問をすることで体調面や食事面、精神面や身体の状態などを把握します。
訪問時に確認した内容は、スタッフが訪問記録を残し、企業によってはメールや郵送で依頼主に訪問記録を送ってくれます。
受け取った訪問記録を読むことで、依頼者は見守りたい相手がどのように過ごしているのかを把握できるという流れです。
このように「訪問型」とは、地域に密着している企業が本人の状態を把握し依頼者に報告してくれるサービスです。
訪問型は、土地勘に詳しいスタッフが訪問するため、地域情報を知りたい方におすすめです。
訪問型は、主に郵便局、電気・水道などの会社がサービスを行っています。
たとえば、郵便局では局員が訪問し、訪問後は家族に報告をします。
郵便局の場合、離島や過疎地でも対応できるという点も魅力です。
費用の目安は、月1回30分の訪問で月額1,980円、月1回60分の訪問で月額2,480円ほどです。
センサー型
次に、「センサー型」の見守りサービスについてご紹介します。
センサー型のサービスは、見守りたい相手の自宅にセンサー機器を設置することで利用できます。
センサーが感知すると依頼者に連絡がいき、安否を確認できるという流れです。
長時間センサーが感知しない場合に通知を受け取れるパターンもあるので、通知を確認することで状況を把握することができます。
また、センサー型は見守られている方が「監視されている」と感じることなく利用できるサービスです。
センサー機器は、台所やトイレ、浴室などの部屋ごとに設置できますので、相談のうえで設置することをおすすめします。
設置型のセンサー機器以外にも、冷蔵庫などの家電製品やガス・照明等でセンサーを感知するものなど種類が幅広くあるため、お好みのタイプをお選びいただけます。
センサー型は、センサー機器の完治により安否確認を行います。
また、転倒や転落などで動けなくなってしまったときにも対応してくれます。
センサー型の見守りは、トイレ、浴室や冷蔵庫などの家電製品にも設置します。
見守りサービスを提供する企業は、幅広い民間企業が提供しているため、さまざまな企業から選べるというメリットがあります。
費用相場は、初回契約料が約1万5,000円、月額利用料が約3,000円、機器等代金が5万~8万円ほどです。
オート電話・オートメール型
3つ目は「オート電話・オートメール型」の見守りサービスについてご紹介します。
電話で実施される「オート電話」タイプと、メールで実施される「オートメール」タイプの2種類があります。
依頼者が指定した時間や曜日などに、見守りたい相手に対して電話やメールが配信されます。
健康状態や安否に関する質問に、メールに返信もしくは電話のプッシュボタンで回答を行うことで完了しますので、簡単な手順でご利用いただけます。
見守りたい相手が回答した内容は、依頼者にメール等で届きます。
メールには、電話やメールで回答した定型文やメッセージがシンプルに表示されるため使いやすいサービスの一つです。
オート電話・オートメール型は、自動配信の電話またはメールを利用して、安否確認を行います。
最も分かりやすい見守り方法で安価のため、費用を抑えたい方におすすめです。
家族側には、高齢者から定期的に送られてくるメッセージで安否確認ができます。
メールの場合も、シンプルな定型文が表示されて、安否確認ができるようになっています。
費用の目安は、初回契約料が約2,000円、月額利用料は固定電話が約800円、携帯電話が約1,200円です。
カメラ型
カメラ型サービスはセンサー型と少し似ており、見守りたい方の自宅に設置することで利用することができます。
設置するだけのカメラが主流となっており、大がかりな工事を必要としない点もメリットです。
離れて住んでいる家族の様子をリアルタイムで確認したり、後から録画した映像を見返したりすることも可能です。
スマホやタブレット、PCなどの端末で映像を確認することができるので、出先でも気軽にご利用いただけます。
会話機能も搭載されているため、カメラ越しにコミュニケーションを取ることもできます。
また、セキュリティ会社が主体となってサービスを提供しているため緊急時に迅速に駆けつけていただけます。
カメラ型の見守りサービスは、安心、安全に利用できる一方で四六時中カメラで撮影されることに抵抗がある方もいます。
そのため、家族でよく相談してから利用されることをおすすめします。
カメラ型は、24時間、監視してくれるため、緊急時にすぐに駆けつけてくれます。
また、カメラを設置するだけで簡単に取り付けられます。
さらに、高齢者の過去の動画などの確認できる点もメリットです。
配信映像はタブレット、PC、スマートフォンなど幅広く対応しています。
費用の目安は、初回契約料が約5万円、月額利用料が約8,000円以上となっています。
宅配型
宅配型サービスとは名前の通り、食事などを自宅に届けるときに併せて安否確認してくれるサービスのことです。
残念ながら、宅配するスタッフには介護の知識や経験がない場合がほとんどとなっています。
しかし、宅配時に異変が見られた場合は依頼者に知らせてくれるため安心してご利用いただけます。
また、柔らかくて食べやすい形状の上、栄養バランスにも配慮されている食事を宅配していただけます。
栄養面も気にかけたいという方におすすめのサービスです。
在宅型は、週5回の食事の配達時に、配達員が高齢者の健康状態を確認します。
宅配型は、安否確認だけでなく、食事の提供もある点がメリットです。
また、食事も高齢者が食べやすい好みの軟らかさ、健康に考慮したメニューから好きなものを選びます。
費用の目安は、1食につき500円前後になっていて、月額で換算すると約2万円が費用相場です。
地域の見守りネットワークの活用
地域の見守りネットワークの活用も見守りの1つです。
地域のイベント、趣味やサークル活動に参加することは、仲間と楽しむということも、1つの見守りといえます。
普段から積極的に地域のネットワークに参加することで、いつも参加しているのに今日はいないときなどに気にかけてもらえるでしょう。
費用面が気になる方や見守りサービスに抵抗がある方など、気にかけてくれる人がいるだけで安心という方にはおすすめです。
スポンサーリンク
適切なサービスを選ぶには
見守りサービスを種類ごとに紹介させていただきましたが、最も重要なのは「サービスを利用する本人にとって適切なサービスを選ぶこと」です。
そのため、次は見守りサービスを選択する際にぜひ留意して欲しいポイントをご紹介します。
具体的に4つのポイントを挙げていますので、参考にしていただけますと幸いです。
本人の意思を一番に考える
まず一番に考えるべきは、サービスを利用する本人の気持ちです。
「見守りが必要である」と家族が思っていても、本人は「監視されている」と抵抗を感じることも珍しくありません。
家族の意見ばかり押し付けてしまうと、本人のプライドを傷つけてしまう恐れがあるので注意しましょう。
家族の意見と本人の意向の両方を照らし合わせ、よく話し合ってから見守りサービスの利用を検討することをおすすめします。
状況と目的に応じて選ぶ
まずは、サービスを利用する方の状況を考えます。
特にサービスを毎日使用する場合や、緊急時に対応してもらえるように依頼する場合は利用料金がかなり高くなるため注意が必要です。
また、併せて自分がどのような目的でサービスを利用したいと思っているのか、という点についても重視する必要があります。
見守りサービスは種類が豊富ですので、ぜひ色々なサービスを組み合わせて自分に合っているものを選ぶことをおすすめします。
本人の健康状態や性格を考慮する
正しいサービスを選ぶには、本人の健康状態や身体状態により、どのような見守りが必要か変わります。
そのため、要介護や基礎疾患などの体の状態を把握した上で、目的に合ったサービスを利用することが大切です。
また、カメラがあると落ち着かないなど、本人が嫌がるサービスもあるかと思います。
本人が納得した見守りサービスを選ぶようにしましょう。
費用を軸に考える
やはり見守りサービスの「費用」も考えるべきポイントです。
特に見守りサービスは介護保険が適用されないので、依頼者は発生した費用を全額負担する必要があります。
そのため、利用料金には十分に注意しましょう。
見守りサービスは価格が安いものから高いものまでさまざまです。
サービス利用を検討する際は、長く継続できる程度の費用を軸にすることがおすすめです。
操作が簡単なものを選ぶ
見守りサービスは定期的に利用することに意味があるので、できるだけ操作が簡単なものを選ぶのが良いでしょう。
複雑な操作を行う必要がある場合は、使わなくなってしまう恐れがあるので注意しましょう。
また緊急時に利用する機能の使い方が難しいと、いざという時に利用できない可能性が高いです。
そのため、ボタンを一回押すだけで使えるようなシンプルなものを選ぶことをおすすめします。
迷ったら専門家に相談を
見守りサービスを選ぶときに迷ってしまう場合は、専門家に相談しましょう。
主な相談窓口には、地域包括支援センターがあります。
地域包括支援センターは、高齢者の総合相談窓口となっています。
各市町村に必ず1つは設置されており、高齢者の生活に対する相談窓口です。
地域包括支援センターでは、保健師、社会福祉士、ケアマネージャーなどの専門家が在籍し、高齢者の困りごとに対して相談にのってくれます。
自宅での自立した生活を援助することを居宅介護支援と言います。少子高齢化が進む日本で、居宅介護支援は重要な役割を担っています。居宅介護支援事業所とはどのような役割を持つのでしょうか?また、どのようなサービスを提供するのでしょうか?[…]
見守りサービスを利用するメリットは?
ご高齢の方だけで住んでいる世帯では、「孤独死」や「救急搬送」などのリスクが高いです。
しかし、見守りサービスを利用することで安否確認や緊急時への早急な対応、孤独死を防ぐ効果まで期待できます。
また訪問型のサービスを利用することは、サービスを利用する方にとってコミュニケーションの一つとなるので孤独を解消する効果も期待できます。
このように、離れて住んでいるご高齢の方の異変にいち早く気づくことができるサービスが多いので、ぜひこの機会に導入されることをおすすめします。
AIシステムで見守るサービスが誕生?
ここまで解説してきた見守りサービス以外にも、最近では「AI」を活用して見守るサービスも出てきています。
まず、専用のセンサー機器と「IoT技術」を活用することで建物のどこにいてもセンサーで「体温」や「心拍数」などの健康状態や、位置情報などを感知できるようになります。
これまでは一人一人計測を行わなければ把握できなかったバイタルを一目で把握できるのは、大きなメリットです。
また、カメラではなくセンサーで検知を行うため監視されているという不快な気持ちを感じることもありません。
プライバシーも守られますので、より安心して利用することができます。
さらに、見守りサービスの対象者の「体温」や「心拍数」などに異常が起きた際にも介護者にすぐ通知してくれるので不測の事態にも早急に対応することが可能です。
徘徊をされている方や排泄物などをセンサーが感知してくれるため、サービスを提供する側の負担を軽減してくれる効果もあります。
「AI」と「IoT技術」を活用した見守りサービスが続々と出てきていますので、気になる方はぜひ活用してみてはいかがでしょうか。
介護と見守りのまとめ
ここまで、介護における見守りについてお伝えしました。
要点は以下の通りです。
- 介護の見守りを行う際は「予測して行動すること」がポイントとなる
- 見守りサービスの主な種類は、訪問型、センサー型、オート電話・オートメール型、カメラ型、宅配型の5種類
- 適切なサービスを選ぶ際は本人の考えを一番に、そして費用を軸に考える
- 見守りサービスを利用すると、安否確認、緊急時への早急な対応、孤独死を防ぐ効果が期待できる
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。