介護保険とは、介護を必要とする方を国全体でサポートするための制度です。
しかし年々保険料は上昇し、さらに経済的な理由から介護保険料を滞納する高齢者が増えています。
介護保険料を滞納すると、さまざまなペナルティーが課せられるだけでなく、介護が必要になったときにサービスが受けられなくなる可能性があります。
本記事では、介護保険料に滞納について以下の点を中心にご紹介します。
- 介護保険の滞納について
- 介護保険を滞納したときのペナルティー
- 介護保険料の滞納に関する相談場所
ぜひ最後までご覧下さい。
高齢化が進み、要介護者の増加や介護期間の長期化などがみられるようになりました。また、老老介護という言葉もあるように介護する家族も高齢化しています。そういった現状を踏まえ、介護の負担を減らすために作られた制度が介護保険です。[…]
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介護保険料を滞納したらどうなる?
「介護保険なんて必要あるのかな」と思っている方も多いでしょう。
しかし、実際に介護される立場になると、介護保険制度のありがたさが実感できます。
介護保険料を滞納してしまうと、十分にその恩恵を受けられないことになります。
介護保険料を滞納する人が増えている
介護保険制度が実際に始まったのは2000年4月からです。
20年以上経っていますが、当初の介護保険料は全国平均で月額2,911円でした。
2020年では、月額6,771円で2.3倍にもなっており、介護保険料を滞納する方が増えた大きな理由といえるでしょう。
今後も高齢化社会が進むにつれて介護保険料はどんどん増えていき、2026年には月額8,165円になるのではないかと厚生労働省は試算しています。
一方で高齢者にとって主な収入源となる年金は、年々受給額が減少しており、介護保険料を滞納する方も増えていくと予想されています。
うっかりミスで介護保険料が未納に
介護保険料を払いたくても払えないという方もいれば、払えるのにうっかりミスで滞納してしまったという方もいます。
介護保険は、会社に勤めているときには給料からの天引きでした。
自営業者の方は、国民健康保険の中に介護保険料が含まれていましたから、それほど意識しなくてもよかったのです。
しかし65歳以上になって年金をもらうようになると支払い方法にも注意が必要になります。
年金受給額が月に18万円以上だと年金から天引きされますが、18万円未満だと納付書による支払いになります。
引き落としにしておけば問題はありませんが、そうでないとわざわざ金融機関やコンビニなどに出向いて納付しなければならず、つい忘れてしまったというミスも多くなります。
督促料や延滞金がかかる
介護保険料を滞納すると、まず納付期限から20日以内に督促状が発行されます。
督促状の発行には、地域にによって70円~100円の手数料がかかります。
さらに地域によって異なりますが、延滞金は1カ月未満で年率4.3%~、1カ月以上になると14.6%にもなります。
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滞納期間ごとのペナルティー
介護保険料を滞納すると、滞納期間ごとにペナルティーが課せられることになります。
1年〜1年6ヶ月
介護保険料の滞納期間が1年〜1年6ヶ月の場合、介護サービスを利用したときの支払方法が変更になります。
いままでは、利用した介護サービスの1割~3割を負担すればよかったのが、一旦全額支払わなくてはなりません。
そのうえで、利用した介護サービスにかかった金額をサービス会社に100%支払い、領収書を窓口に提出して、返還申請を行う必要があります。
一時的であるとはいえ、1割負担と10割負担とでは経済的にも少なくないダメージとなります。
1年6ヶ月〜2年未満
介護保険料の滞納期間が1年6ヶ月〜2年未満の場合、介護保険給付が一時的にストップしてしまうため、全額自己負担となります。
ストップされた給付金は滞納した保険料に充当されます。
つまり介護サービスを受けた場合、本来なら9割戻ってくるものが戻ってこないということになります。
しかしここまでは、滞納していた介護保険料を支払えばなんとかなる範囲です。
2年〜
介護保険料の滞納期間が2年以上になった場合、介護保険サービスが今までは1割負担だったところ3割負担になってしまいます。
慌てて支払おうと思っても、介護保険料の場合には2年以上の滞納により時効となるため、それ以前の滞納分を支払うことはできません。
さらに、自己負担が一定額を超えたときに補完してもらえる「高額介護サービス費」の払い戻しもできなくなります。
介護保険料の納付は任意ではなく、義務です。
税金と同じように最悪の場合、差し押さえということもあります。
高齢化が進み、要介護者の増加や介護期間の長期化などがみられるようになりました。また、老老介護という言葉もあるように介護する家族も高齢化しています。そういった現状を踏まえ、介護の負担を減らすために作られた制度が介護保険です。[…]
介護保険料の滞納を防ぐためには?
介護保険料を滞納してしまうと、いろいろな面でデメリットが出てきます。
今は元気でも、いつ何が起こるかわかりません。
できるだけ介護保険料の滞納を避けるためにも、以下の制度を利用しましょう。
介護保険料減免制度を利用する
病気や事故、災害、最近ではコロナ禍により職を失って介護保険料を支払えないという方も多くなってきました。
このように一時的な経済不安を抱えた状態の場合、介護保険料の減免制度が利用できます。
減免制度を利用する場合、預貯金や自宅の所有権、さらに現在の収入状況など細かく開示する必要があります。
かなりの量の書類作成や手間がかかりますが、実際の減額幅は思ったほどではないということを念頭に置いておきましょう。
生活保護を申請する
経済的な理由で介護保険料を滞納しなければならないということは、それだけ困窮しているということです。
困窮度によっては、生活保護を申請するというケースもあります。
「生活保護なんて恥ずかしい」と考える方もいますが、これから先も安定した収入が見込めず、介護保険料を滞納してサービスを受けられなくなることの方が深刻です。
生活保護を受けることで、介護保険料を支払っていないと思われがちですが、そんなことはありません。
毎月支給される生活保護費に介護保険料が上乗せされており、そこから介護保険料が天引きされている仕組みです。
一見支払っていないように見えますが、生活保護受給者であっても介護保険料はきちんと支払われていますから、介護サービスは当然の権利として受けることができます。
介護に関するいろいろな給付金についてもまとめているので、以下の記事も記事も併せてご覧下さい。
内閣府によると、2019年の時点で日本の高齢者数(65歳以上の方)が3,588万人であり、日本は全人口の28.4%以上となり、65歳以上の人口が21.0%以上を占めている社会を示す「超高齢社会」をはるかに超えた状態となります。高齢化が進[…]
介護保険料の滞納に関する相談場所
経済的な理由で、介護保険料を滞納せざるを得なくなってしまったとしても、絶対に放置していてはいけません。
今まで支払ってきた介護保険料を無駄にしないためにも、困ったときには各市町村の介護保険窓口で相談するべきです。
窓口で窮状を訴えることで、専門の相談員が最もいい解決策を提案してくれるはずです。
何よりも「介護保険料を支払う意思がある」ということを示すことが重要で、さまざまな救済措置が各市町村では用意されています。
まとめ:介護保険料の滞納
ここまで、介護保険料の滞納について紹介してきました。
要点を以下にまとめます。
- 介護保険は任意ではなく義務なので、滞納することでさまざまなデメリットが発生する
- 介護保険を滞納した場合のペナルティーは、滞納期間によって変わり、最悪は差し押さえということもある
- 介護保険を滞納してしまったときには放置せず、お住まいの市町村の窓口で相談する
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。