高齢者や要介護者にとって水分補給はとても大切です。
水分が不足していると、めまいや頭痛といった様々な症状を引き起こすことがあります。
そこで今回は、高齢者・要介護者が水分をとらないとどうなるか、また水分補給を拒否された場合の対策などを中心にお伝えしていきます。
- 介護において水分補給が必要な理由
- 水分補給を拒否された場合の対処法
- 水分補給におすすめの飲み物と避けるべき飲み物
高齢者・要介護者におすすめの飲み物や、避けた方がいい飲み物などについても触れているので、ぜひ最後までお読みください。
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介護でも水分補給は大切?
水分は体の働きを維持するために大切なもので、血液をはじめ体全体に蓄えられています。
特に筋肉は多くの水分が蓄えられる場所ですが、高齢者は筋肉が減少し、たくさんの水分を体内にため込むことができません。
また、年齢を重ねるにつれて水分調整に重要な腎臓の働きが低下していきます。
腎臓で処理できなかったものは尿として排出されるため、高齢者は尿量が多くなってしまいます。
さらに、喉の渇きを感じる機能が衰えるので自分から進んで水分補給をすることが少なくなります。
つまり、高齢者は入る水分よりも出ていく尿量の方が多くなりがちです。
水分不足にならないよう、こまめな水分補給を行うことが大切です。
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一日に必要な水分量は?
高齢者や要介護者が、体の水分量を保つためには、1日に出入りする水分量のバランスを保つことが大切です。
特に運動をしなくても、汗や呼気からは約900ml、排泄などから1日に約1600mlの水分が排出されています。
それを補うためには、食べ物や飲み物から同じだけの水分をとる必要があります。
高齢者が摂るべき水分量は?
高齢者の1日の水分摂取量は食事以外で1,000~1,500ml必要であると言われています。
要介護者ののどが渇いてからではなく、介護者が気にかけて飲水を促すことが大切です。
起床時や朝食時、就寝前などの決まったタイミングで1日6〜8回ほどを目安に水分補給してもらいましょう。
水分が不足している状態
水分補給が十分にできていないと様々な症状が現れることがあります。
例えば、軽い症状では口腔内の乾燥、尿量の減少、ぼんやりする、めまいなどです。
重い症状になると、頭痛、全身の脱力感や倦怠感、手足のふるえや発熱、血圧の低下などがみられることがあります。
危険な状態になると、意識障害、呼吸困難や痙攣を起こすこともあるので日頃からこまめに水分補給をすることが重要です。
水分を過剰摂取している状態
高齢者や要介護者に水分補給を促すことは大事ですが、反対に水分を取り過ぎることも良くありません。
腎臓の働きで水分を尿として排出する1日の処理量は、約1.5Lと言われています。
これ以上飲み過ぎると、水中毒となり血圧の上昇やめまい、むくみや下痢、体重増加や頻尿につながります。
重度になると意識障害を起こす場合があります。
高齢者や要介護者の水分補給管理をすることも大切です。
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もし水分補給を拒否されたら?
高齢者や要介護者は、喉の渇きを感じにくいことで水分を摂らない方や、「トイレが近くなるから」という理由で水分を控えてしまう方が少なくありません。
粗相の心配をされている方には、尿漏れパットを付けていただくと安心感が得られ水分補給が嫌なものではなくなるかもしれません。
また喉の渇きを感じない方には、少し甘みのあるものを進めてみてください。
本人の好みにあった、水分補給のやり方を見つけていくことが大切です。
水分補給で注意すべき点は?
高齢者や要介護者に水分を摂取してもらう場合は、その方の状況や身体能力によってやり方を変える必要があります。
ここでは、どのような点に気を付けた方がいいのか見ていきます。
水分補給の姿勢に注意する
高齢者、要介護者に水分補給するときは、身体が前傾姿勢になっていることを確認してください。
上を向いた姿勢や、のけぞった姿勢で水分補給を行うと飲み込む用意ができないまま喉元に水分が入っていきやすいです。
のけぞった姿勢では、誤って気管に入る可能性が高くなります。
気管に入ってしまった場合、誤嚥性肺炎や窒息をおこしてしまう危険性があるので注意しましょう。
嚥下障害の方の飲み方に注意する
嚥下障害とは、食事を上手く飲み込むことができない状態のことをいいます。
特に、高齢者や要介護者の方は嚥下機能が低下し食事を上手く飲み込めずにむせたりします。
水分にとろみを付けるか、ゼリー状にして水分補給を行うと無理なく水分を補給することができます。
水分と一緒に塩分も摂取する
私たちの体内の水分は、水と塩分(ナトリウム)から成り立っていて、水分とナトリウムのバランスは一定に保たれています。
体内のナトリウムが不足すると、ナトリウム濃度が薄まり、濃度を保つために水分を排出してナトリウム濃度を調整します。
そのため水分補給する場合は塩分も一緒に摂取してもらうことが必要です。
また食塩とブドウ糖が含まれた経口補水液を飲むこともおすすめです。
脱水症状に注意する
高齢者は、喉の渇き感じる機能が低下し自ら進んで水分補給を行うことが少なくなります。
さらにトイレに対する不安から、水分補給をしない方もいらっしゃいます。
また高齢になると腎臓の動きが低下し、尿量が多くなります。
高齢者は水分が入る量に比べて、尿として出ていく量が増えているため脱水症状になるリスクが高くなっています。
よって脱水にならないように、こまめな水分補給を行うことが必要です。
水分が不足していると脱水症状が現れる可能性があるだけでなく、脳梗塞と心筋梗塞を起こしやすくなります。
脳梗塞と心筋梗塞の発症リスクが上がるのは、血液中の水分が不十分な状態だと血液の濃度が濃くなるからです。
食事からも水分補給はできる
水分は飲み物からだけでなく、食事からも摂ることも可能です。
例えば主食のご飯をおかゆや雑炊に変えてみたり、汁物のスープやすまし汁、みそ汁からも水分を補給できます。
野菜なら、トマトやきゅうりには水分が多く含まれています。
おやつやデザートであれば、ゼリーやプリン、スイカ、イチゴ、ミカンなどからも水分補給できます。
飲み物から水分を摂りにくい場合は、食事から摂るように工夫することが大切です。
水分補給に適切な水分とは?
高齢者や要介護者の中には、毎日の水分補給を苦痛に思っている方もいらっしゃると思います。
そんな場合は、水分補給を栄養面から考えて取り入れてみてください。
摂取を進める水分の種類
高齢者や要介護者の飲みたいものを摂ってもらうのもいいですが、一緒に栄養も取れるものが好ましいです。
例えば、オレンジジュースや野菜ジュースは、カリウムを一緒に摂ることができます。
また牛乳、ヨーグルトや甘酒は栄養成分が豊富なため、おすすめです。
熱中症を予防するには、水分と同時にナトリウムが摂れる経口補水液を摂取すると良いでしょう。
摂取を避けるべき水分の種類
摂取を避けたほうがいい飲み物としては、カフェインが多く含まれるものです。
コーヒーや紅茶に入っているカフェインには利尿作用があるため、水分補給にはあまり適していません。
またお酒も避けた方がいい飲み物の一つです。
その理由は、アルコールを分解するためにたくさんの水分を必要とするからです。
脱水症状を促してしまう場合があるので、こちらも気を付けてください。
介護と水分補給のまとめ
ここまで、高齢者や要介護者への水分補給について詳しく解説してきました。
以下に要点をまとめます。
- 水分不足は脱水症状のほか、深刻になると脳梗塞や心筋梗塞を引き起こすことがある
- 水分補給を拒否された場合は、食事と一緒に摂るなど本人の好みと状況に合わせることが大切
- 水分補給におすすめの飲み物はナトリウムなどの栄養が一緒に摂れるもの、避けるべき飲み物はカフェインが多く含まれるもの
これらの情報が少しでもお役に立てましたら幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。