保険にはさまざまな種類があります。
介護保険であれば、大きく分けて公的介護保険と民間介護保険の2つです。
それぞれの保険では、一体何が給付されるのでしょうか?
本記事では、介護保険の現物給付について以下の点を中心にご紹介します。
- 現物給付と現金給付について
- 公的介護保険と民間介護保険の違い
- 公的介護保険と民間介護保険のメリットとデメリット
- 民間介護保険を検討するべきか
介護保険について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
介護保険で利用で利用できるサービスについて詳しく知りたい方は下記の記事も併せてお読み下さい。
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介護保険には現物給付と現金給付がある?
公的介護保険の保険給付には原則現物給付と償還払いがあります。
民間介護保険の保険給付は給付金・保険金が現金として支払われます。
ではどのような違いがあるでしょうか?
公的介護保険の給付
公的介護保険とは市町村が運営している制度です。
40歳以上の方全員が被保険者となり保険料を納めます。
そして、要介護認定された場合は介護サービスを受けることができます。
その際の費用は原則一割自己負担となります。
給付には現物給付と償還払いがあります。
現物給付とは、介護サービスを受けたときに自己負担額のみ支払い、差額は給付金としてサービス業者へ支払われます。
償還払いは、介護サービスを受けたときに全額を自費で支払い、後日、領収書を市町村に提出して自己負担額を除いた金額が返還されます。
公的介護保険の保険給付の内容は下記の通りです。
給付方法 | サービス名 |
現物給付 | 居宅介護サービス費・介護予防サービス費・地域密着型介護サービス費・地域密着型介護予防サービス費・施設介護サービス費 |
償還払い | 特例居宅介護サービス費・特例介護予防サービス費・居宅介護福祉用具購入費・介護予防福祉用具購入費・居宅介護住宅改修費・介護予防住宅改修費・特例居宅介護サービス計画費・特例介護予防サービス計画費・特例施設介護サービス費 |
民間介護保険の給付
民間介護保険とは寝たきり・認知症など、保険会社が定める介護状態であると認定された際、保険金が支払われる保険のことです。
民間介護保険では現金給付(保険金)が原則となります。
民間介護保険の給付内容は下記の3タイプです。
- 一時金(介護一時金)
- 年金(介護年金)
- 一時金と年金の併用
保険の対象者は保険会社によって異なりますが、以下の3つが主な基準です。
- 「寝たきり」「認知症」状態が保険会社の定めるものと合致する場合
- 上記の要介護状態が、保険会社が定める期間続く場合
- 要介護認定となった場合(公的介護保険の要介護認定に連動して給付を受けられるタイプのみ)
上記の場合に定められた保険金が支払われます。
これらは全て現金給付です。
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公的介護保険と民間介護保険の違い
公的介護保険と民間介護保険はどんな点が異なるのでしょうか?
加入方法や利用条件、申請期間の違いを以下にまとめます。
公的介護保険 | 民間介護保険 | |
加入方法 | 40歳になったら全員が加入して介護保険料を負担する | 保険会社が販売している介護保険商品なので、保険会社を通して任意のタイミングで加入する |
利用条件 | ・要介護認定を受けるために、市町村へ申請を行う ・40歳-65歳までの第二号被保険者は16種類の特定疾病の場合にのみ給付 | ・保険会社の要件を満たせば支払われる ・公的介護保険に連動して利用する商品と、保険会社独自の基準で支払い要件を満たす商品がある |
申請期間 | 一ケ月前後 | 保険会社から必要書類が送られ、記入し提出すると給付される |
高齢化が進み、要介護者の増加や介護期間の長期化などがみられるようになりました。また、老老介護という言葉もあるように介護する家族も高齢化しています。そういった現状を踏まえ、介護の負担を減らすために作られた制度が介護保険です。[…]
各介護保険のメリット・デメリットとは?
公的介護保険や民間介護保険にはそれぞれどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?
各保険のメリット・デメリットについてご紹介します。
公的介護保険のメリット
公的介護保険のメリットは下記の通りです。
- 要介護認定を受けられると多くのサービスを受けられる
- サービスを受ける際に負担する金額は一割(または2割)
- 自治体によっては優遇サービスを実施
公的介護保険のデメリット
公的介護保険のデメリットは下記の通りです。
- 40歳になると強制加入
- 現物給付のため、自己負担するお金が発生する
- 要介護にならないと支給されないために加入していても一度も利用せず亡くなる方も大勢いる
民間介護保険のメリット
民間介護保険のメリットは下記の通りです。
- 現金給付のため、介護が必要になったときや要介護状態が長期化したときに、費用をまかなうことができる
- 現金給付のため公的介護保険ではカバーできない、収入の減少・損失に備えることができる
- 介護保険の保険料は「護医療保険料控除」の対象となり、所得から控除される
民間介護保険のデメリット
民間介護保険のデメリットは下記の通りです。
- 保険金の支払いが、公的介護保険の介護サービスを受けられる状態でも、支払われないケースがある
- 40歳からしか加入できない保険商品もある
現物給付以外の給付も?
これまで現物給付について見てきましたが、ほかにもさまざまな給付方法もあります。
高額介護サービス費
高額介護サービス費は、食事療養にかかわる標準負担額、福祉用具購入、そして住宅改修にかかわる自己負担額を除き、負担限度額の上限(例えば4万4400円)を超えた場合に給付される費用です。
一旦自分が支払い、後日請求して自己負担額を除いた金額を返還(償還払い)してもらいます。
特定福祉用具の購入
特定福祉用具の購入の場合、年間で10万円を利用限度額として支給されます。
自己負担割合一割の場合、9万円が支給されます。
限度額内であれば、幾つかの物品を購入することもできます。
一旦自分が支払い、後日請求して自己負担額を除いた金額を返還(償還払い)してもらいます。
住宅改修
住宅改修には、手すりの取り付けや段差の解消など、小規模な住宅の改修をおこなった場合、最大20万円を限度に支給されます。
一旦自分が支払い、後日請求して自己負担額を除いた金額を返還(償還払い)してもらいます。
民間の介護保険を利用すべき人とは?
介護が必要になる可能性は誰でも十分にあります。
公的介護保険と自分の資産でこの費用を賄えるのであれば民間介護保険に加入しなくても問題ありません。
しかし、介護費用を準備できないと感じる方、介護してくれる人が周りにいないという方は民間介護保険を検討すると良いでしょう。
さらに64歳以下で要介護状態になった場合に備えて加入することもできるでしょう。
介護保険と現物給付のまとめ
今回は介護保険の現物給付についてご紹介しました。
介護保険の現物給付についての要点を以下にまとめます。
- 公的介護保険は現物給付と償還払い、民間介護保険は主に現金給付
- それぞれの保険では、加入方法が強制か任意か、申請先が市町村か保険会社かなどが異なる
- 公的介護保険のメリットは要介護状態になった際にサービスを受けられるが、民間介護保険は現金給付のみ
- 公的介護保険のデメリットは現物給付で自己負担が生じるが、民間介護保険は現金給付のため費用をまかなえる
- 将来の要介護状態に備えて現金等を用意できない、あるいは周りに世話をする人がいない場合は、民間介護保険を検討するべき
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。