特定施設とは、正式には「特定施設入居者生活介護」という名称です。
介護保険法で定める介護施設の中において、厚労省の基準を満たし、都道府県または市町村からの指定を受けた施設をいいます。
今回は、特定施設の種類や基準、メリットなど以下の内容を中心に解説します。
- 特定施設に指定される介護施設とは
- 特定施設で利用できるサービス
この記事を読むことで、特定施設について理解を深めていただけましたら幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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介護保険で利用できる特定施設とは?
特定施設としての基準と、いろいろな種類の特定施設を紹介します。
特定施設とは?
特定施設とは、介護保険法で定める介護施設の中で、以下の3つの基準を満たして、都道府県や市町村から指定を受けた施設をいいます。
- 6種の専門職の『人員基準』を持っていること
- 9つの安心・安全に生活できる『設備基準』を持っていること
- 入居者全員が一定のサービスが受けられる『運営基準』を持っていること
特定施設の種類は何がある?
介護保険が使える特定施設と呼ばれる施設は4つの種類があります。
- 有料老人ホーム(介護付)
- 軽費老人ホーム(ケアハウス)
- 養護老人ホーム
- サービス付き高齢者向け住宅(一部)
有料老人ホーム
有料老人ホームで「介護付」と名乗っている施設が、特定施設の指定を受けた施設であり、介護専用型です。
介護費用は介護度に合わせて定額となり、終身利用権を持つことが可能となります。
軽費老人ホーム
ケアハウスと名乗っている施設が軽費老人ホームです。
助成制度で低所得者が利用しやすく費用負担が軽い施設を指します。
一般型(自立型)ケアハウスと、介護型(特定型)ケアハウスがある、混合型の特定施設です。
養護老人ホーム
地域密着型の特定施設です。
経済的な理由で、在宅サービスを受ける事ができない方向けの介護施設です。
ただし、要介護度によっては退所が必要になることもあります。
サービス付き高齢者向け住宅
自立している人や、比較的介護度が軽い方用の高齢者向け住宅です。
介護費用は利用した分の支払いとなり、建物賃貸借契約となります。
また、介護施設について詳しく知りたい方は下記の記事も参照してみてください。
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特定施設で利用できるサービスは?
介護保険が使える特定施設で利用可能な介護サービスは、次の内容です。
24時間体制の介護サービス
24時間体制で日常の生活全般の介護サービス内容です。
具体的には、食事・入浴・排せつ・着替え・移動などです。
生活支援サービス
生活支援の介護内容としては、居室の掃除・寝具の交換・洗濯・買い物代行などです。
機能訓練サービス
機能訓練とはリハビリテーション、つまりリハビリのことです。
その他サービス
その他のサービスとしては、入退院時の同行、医療上のお世話、健康相談、服薬管理、健康管理などの介護サービスが利用可能です。
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特定施設が良い施設と言われる理由
介護保険に基づく特定施設は、下記のような3種のそれぞれの基準があるため、良い施設と言われています。
人員基準
特定施設の人員基準は以下の通りです。
- 管理者→原則1名
- 生活相談員→(入居者:生活相談員=100:1)
- 介護・看護職員→(入居者:介護/看護職員=3:1)
- 介護職員→1名以上
- 看護職員→(入居者30名以上:1名以上)(入居者31名以上:入居者50名ごとに1名以上)
- 機能訓練指導員→1名以上
- 計画作成担当者(ケアマネジャー)→1名以上(入居者:計画作成担当者=100:1)
設備基準
特定施設の設備基準は以下の通りです。
- 介護居室(個室または4人部屋以下、プライバシー保護に配慮、介護を行える適切な広さ、地階に設けない)
- 一時介護室(介護を行うための適切な広さ)
- 浴室(介護を要する者、または身体が不自由な者が入浴するのに適したもの)
- トイレ(居室のある階ごとに設置し、非常用設備を設ける)
- 食堂/機能訓練室(身体機能を十分に発揮できる適当な広さ)
- 施設全体(車椅子で円滑に移動することができる空間と構造)
運営基準
特定施設の運営基準は以下の通りです。
- 計画(利用者に合わせた特定施設サービス計画が作成される)
- 重要事項説明(重要事項説明書を交付して事前説明を行う)
- 契約(事前説明の同意を得て文書で契約を締結する)
- 入浴(自ら入浴が困難な利用者については週2回以上の入浴または清拭を行う)
- 教育(職員の資質向上のため研修の機会を確保する)
- 記録(提供したサービスの内容を記録する)
- 苦情(苦情に迅速かつ適切に対応するために苦情を受け付ける窓口を設置する)
参照元:特定施設入居者生活介護の概要
特定施設の利用には条件がある?
特定施設を利用できる被介護保険者には条件があります。
要介護認定の場合は、要介護1~5の被介護保険者です。
要支援認定の場合は、要支援1~2の被介護保険者です。
つまり、一般家庭では介護や支援が必要になる方が、特定施設を利用することができます。
特定施設のメリット・デメリットは?
特定施設のメリットとデメリットを簡単に説明します。
メリット
介護保険によって自己負担が定額となる介護サービスがメリットです。
そのため、大きな費用負担の変動はありません。
また、24時間介護職員または看護職員が常駐しているため、基準より人員体制が強化されている施設が多くあります。
手厚い介護が受けられ、要介護度が上がっても継続して居られることもメリットとしてあげられます。
デメリット
要介護度に応じて定額の自己負担費が発生します。
そのため介護の必要性が低い方の場合は、介護保険を使用する定額費用の発生が、逆に割高になることがデメリットです。
また、介護保険によって、介護サービスも含むのが特定施設であるため、外部の介護サービスを追加で利用した場合には、介護保険の対象外になることもデメリットです。
特定施設以外の施設とは?
有料老人ホームには、大きく分けて「介護付」「住宅型」「健康型」の3つに分類できます。
「介護付」が特定施設のことですが、それ以外の「住宅型」「健康型」について解説します。
「住宅型」は、生活支援サービスのみが付いた高齢者向けホームです。
介護保険の対象にならない設備ですが、介護サービスが必要になった場合は外部サービス会社に別契約でお願いすることになります。
類似の住宅サービスとして、「一般型サービス付き高齢者向け住宅」「一般型サービス付き高齢者向けマンション」があります。
「健康型」は、自立生活が可能な人が対象で、食事などのサービスのみが付いた高齢者向けホームです。
まだ全国的には少ない種類のものです。
要介護になった時点で「退去」することがルールになっています。
介護保険と特定施設のまとめ
ここまで、介護保険と特定施設を中心にお伝えしました。
要点を以下にまとめます。
- 介護保健が使える特定施設には、介護付有料老人ホーム、ケアハウス、養護老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅がある
- 特定施設で利用できるサービスは、ケアプランに基づいた食事・入浴・排泄などの介助である
- 特定施設には人員基準・設備基準・運営基準が設けられている。
介護施設の種類やメリットを知っておくことは、将来自分自身や家族の介護を考える場合に役立ちます。
自分に合った条件で選択して、適した介護サービスを受けるようにしましょう。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。