介護職に就きたい場合、選択肢の一つとして、サービス付き高齢者向け住宅があります。
介護業務の負担が少ないため、未経験・無資格の方でも比較的働きやすい職場の一つです。
どのような仕事をするのか気になっている方も多いのではないでしょうか?
本記事ではサービス付き高齢者向け住宅の仕事内容について、以下の点を中心にご紹介します。
- サービス付き高齢者向け住宅の業務内容とは
- サービス付き高齢者向け住宅のメリットとは
- スキルアップを目指す上で、取得すべき資格とは
サービス付き高齢者向け住宅で働くときのためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
介護施設に興味がある方は下記の記事も併せてお読み下さい。
一括りに老人ホーム・介護施設といっても、種類によって目的や入居条件はさまざまです。初めての老人ホーム・介護施設探しでは、分からないことばかりだと思います。どの施設がいいのか決められない人も多いのではないでしょうか?本記事では、老人[…]
スポンサーリンク
サービス付き高齢者向け住宅とは?
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)とは、高齢の方が住みやすいように設計された賃貸住宅です。
高齢社会を背景に、高齢の方に安心して生活できる場の提供を目的として、近年設立数が飛躍的に伸びています。
サービス付き高齢者向け住宅は、サービス内容によって「一般型」と「介護型」に分けられます。
一般型と介護型で共通のサービスは、生活相談と安否確認です。
生活相談とは、居住者の生活に関するさまざまな相談・悩みに対応するサービスです。
安否確認は、スタッフが定期的に居室を巡回するサービスです。
くわえて介護型では、身体的介護サービスも提供されます。
たとえば、食事・入浴・排泄の介助などが挙げられます。
サービス付き高齢者向け住宅について詳しく知りたい方は下記の記事も併せてお読み下さい。
有料老人ホームが増加傾向にある中、サービス付き高齢者向け住宅も増え、利用者も増え続けています。高齢者向けの施設が増えている中、どの施設が自分に合っているのかわからない方も多いのではないでしょうか。今回は、サービス付き高齢者向け住[…]
スポンサーリンク
入居者は第二の家族?
サービス付き高齢者向け住宅は、原則として介護が不要な方のための住まいです。
そのため職員の仕事内容も、他の介護施設や有料老人ホームとはやや傾向が異なります。
サービス付き高齢者向け住宅での仕事内容は?
主な仕事内容は安否確認と生活相談です。
ただし、提供サービスや仕事内容は施設によって異なります。
安否確認
サービス付き高齢者向け住宅の職員の主な仕事内容の一つです。
定期的に居住者の方の居室を巡回し、生存確認や居住者の様子確認などを行います。
生活相談
安否確認と同じく、サービス付き高齢者向け住宅での主な仕事内容の一つです。
居住者の生活に関するさまざまな相談・悩みに対応します。
たとえば部屋の電球が切れそうといった相談には、電球の交換に伺います。
エアコンが故障したという相談ならば修理業者の手配などを行います。
その他生活支援サービス
生活相談とあわせて、さまざまな生活支援サービスが仕事内容に含まれることも多いです。
具体的な仕事内容は以下の通りです。
【生活支援サービスの仕事内容】
- 食事の提供
- 買い物代行
- ペットの世話の代行
- 簡単な掃除
- 洗濯
- ベッドメイキング
- 郵便物の受け取り
- 外出時の付き添い
- ゴミ出し など
基本的に入念な介護・医療ケアは行いません。
ただし入居者の方にあわせて、身体介護や医療サービスを提供する施設もあります。
あるいは、仕事内容に緊急対応や夜間のトラブル対応が含まれることもあります。
働き方の形態は?
サービス付き高齢者向け住宅の多くは、幅広い勤務形態を採用しています。
- 正社員(常勤職員)
- パート・アルバイト(非常勤職員)
- 派遣社員
具体的な勤務形態は、施設や仕事内容によって異なります。
勤務時間は?
勤務時間は施設や仕事内容・勤務形態によって異なります。
以下は勤務時間の一例です。
出勤 | 退勤 | |
早番 | 7時~8時頃 | 昼過ぎ~夕方頃 |
日番 | 9時ごろ | 17~18時頃 |
遅番 | 10時~11時頃 | 20~21時頃 |
夜勤 | 17時~20時頃 | 早番スタッフと交代 |
施設の多くは実働8時間です。
ただし夜勤スタッフは実働12〜14時間のことも多いです。
完全週休2日制を採用している施設もあります。
日本では少子高齢化が社会問題となっており、高齢者の割合が年々増加しています。そんな中、認知症の高齢者を専門にケアする施設も増えてきました。その施設の一つが「グループホーム」です。今回の記事では、「家族が認知症になって自宅で介護を続[…]
働くために必要な資格はある?
サービス付き高齢者向け住宅の職員に必要な資格は、施設や仕事内容によって異なります。
未経験・無資格で働ける施設も多くあります。
無資格スタッフの場合、主な仕事内容は書類作成や受付などの事務作業が一般的です。
その一方で、有資格スタッフは優遇されることが多いです。
以下の資格の保有者は、採用・福利厚生・給与面で優遇されやすくなっています。
実務経験なしで取得できる資格もあるため、仕事の幅を広げたい方は取得を検討してみましょう。
介護職員初任者研修
介護職員として初めて働く方向けの資格です。
利用者の身体に触れる介護を行う際に必要な資格でもあります。
身体に触れる介護とは、たとえば食事・入浴・排泄などの介助が代表的です。
資格取得要件は試験の合格のみです。
なお、受験にあたっての学歴・年齢・実務経験は問われません。
介護職員実務者研修
介護職員初任者研修と比べて、より高度な介護サービスを提供するための資格です。
痰吸引や経管栄養など、医療知識を含むケアも提供できるようになります。
取得には6カ月以上かつ450時間以上の研修が必要です。
無資格でも受験できますが、難易度が高いため、できれば先に初任者研修を取得しておくのが望ましいです。
介護福祉士
介護関連で唯一の国家資格です。
高齢者の方・認知症の方・障がい者の方などに安定した生活の提供を目的とします。
取得の難易度が高いため、資格保有者は採用・給与面で優遇されやすいです。
直接的な介護業務だけでなく、介護スタッフの育成・指導も経験したい方におすすめです。
社会福祉士
社会福祉専門職の国家資格です。
主な目的は、心身や経済面において社会的立場が弱い方への生活支援を行うことです。
介護施設や有料老人ホームにおいては、ソーシャルワーカーや生活相談員として働くことが一般的です。
資格取得には試験合格のほか、実務経験や福祉系の学校卒業などが必要です。
介護支援専門員
いわゆるケアマネージャーという名称で知られています。
要支援者・要介護者の方の生活支援を目的として、ケアプランの作成や介護・医療機関との連携を行います。
資格を取得するには、試験合格のほか、介護・福祉関連の業務に5年間で900日以上の従事経験が必要です。
看護師
医療・保健・福祉業務を提供するために必要な国家資格です。
介護施設や有料老人ホームにおいては、利用者の方に医療的サポートを提供するのが一般的です。
資格を取得するには、看護学校等の養成所を卒業し、かつ国家試験に合格しなけれなりません。
准看護士
資格の目的は看護師とほぼ同じです。
ただし看護師と異なり、自分の判断で業務を行ったり、看護師に業務を指示したりすることはできません。
サービス付き高齢者向け住宅などにおいては、健康管理や療養上の世話などの医療サービスを提供します。
資格取得には養成所を卒業し、国家試験に合格する必要があります。
社会福祉法人・医療法人・介護事業所等の職員
簡単に言えば、介護・福祉関連の事業での職務経験がある方ということです。
経験・知識が豊富とみなされるため、サービス付き高齢者向け住宅への就職や福利厚生面で優遇されることがあります。
サ高住職員の給料は高い?
サービス付き高齢者向け住宅の平均給与を職種別にみていきます。
以下は、常勤雇用の場合の月給例です。
職種 | 平均給与 |
介護職員 | 32万5550円 |
看護職員 | 38万3560円 |
生活相談員・支援相談員 | 35万5150円 |
理学療法士や作業療法士 | 36万4040円 |
介護支援専門員 | 36万2510円 |
事務員 | 31万2470円 |
調理員 | 27万2400円 |
管理栄養士・調理士 | 32万2010円 |
参照:厚生労働省「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」
サービス付き高齢者向け住宅職員の一日の流れ
サービス付き高齢者向け住宅職員の一日の仕事の流れを以下の表にまとめます。
ただし、一日の流れのイメージを得るための参考例とします。
07:00 | 起床 | 朝の挨拶を交わし、利用者の体調や心の状態を確認 |
08:00 | 朝食 | 食堂で食事の配膳、食事中の見守り(誤嚥など)、後片付け |
09:30 | 安否確認 | 各居室を訪問し声かけや外出者の見送り、共用部の清掃 |
12:00 | 昼食 | 食堂で食事の配膳、食事中の見守り(誤嚥など)、後片付け |
13:00 | 生活相談 | 利用者の健康・生活相談を受け、必要に応じ各機関への案内 |
15:00 | レクリエーション | 体操やゲームなどのレクリエーション、イベントを通じ親睦を図る |
18:00 | 夕食 | 食堂で食事の配膳、食事中の見守り(誤嚥など)、後片付け |
19:00 | お茶出し・談話 | 外出者の出迎えや共有スペースのくつろぎタイム演出 |
21:00 | 就寝 | 利用者に就寝の挨拶。夜勤の場合は見回りや緊急コール対応 |
サービス付き高齢者向け住宅で働くメリットは?
サービス付き高齢者向け住宅で働く場合のメリットとデメリットを解説します。
就職後に「予想していた仕事と違った!」とならないためにも、ぜひチェックしてください。
サービス付き高齢者向け住宅のメリット
メリットは以下の通りです。
- 基本的に入居者は自立した方のみであるため、介護業務などの身体的負担が少ない
- 一日のスケジュールが決まっていないことが多いため、柔軟に仕事ができる
- 入居者とのコミュニケーションが求められるため、会話スキルや接遇スキルが身につく
サービス付き高齢者向け住宅のデメリット
デメリットは以下の通りです。
- 施設によっては、介護業務を任されることもある
- 入居者の生活スタイルにあわせるため、急な予定変更も多い
- 介護・医療のスキルを活かす・磨く場面が比較的少ない
働くのに向いている人の特徴は?
サービス付き高齢者向け住宅での就職が向いているのは、以下のような方です。
周囲への気配りが出来る人
サービス付き高齢者向け住宅の職員は、高齢者の方が快適に生活できるようサポートするのが役割です。
周囲への気配りができる方や、コミュニケーション能力が高い方は、働くのに向いています。
家事を苦に感じない人
施設にもよりますが、家事を任されることもあります。
家事が好きな方や、家事スキルの高い方は、自分の能力を存分に発揮できるかもしれません。
変化に柔軟な人
サービス付き高齢者向け住宅では、入居者の方の生活にあわせて、柔軟な対応が求められます。
何事にも臨機応変に対応できる方は、サービス付き高齢者向け住宅でも楽しく働ける可能性が高いです。
スポンサーリンク
更なるキャリアアップを目指したいなら
サービス付き高齢者向け住宅で働きながら、キャリアアップを目指す方法を紹介します。
現在の介護業界では、「キャリアパス」の構築が求められています。
キャリアパスとは、簡単に言えばキャリアアップするための道筋です。
目指したいキャリア(資格・地位)を設定し、そこに到達するための業務内容を明確に定めます。
具体的な道筋が明示されるため、キャリアアップしたい方が、自分がどのような経験を積むべきか把握しやすくなります。
ステップアップに大切な資格
介護職におけるキャリアアップの一般的なモデルは以下の通りです。
- 介護職員初任者研修
- 実務者研修
- 介護福祉士
- 認定介護福祉士またはケアマネージャー
介護業界では、ケアマネージャーを一つの到達点とみなすことが多いです。
ケアマネージャーの資格取得後にも、以下のようなキャリアアップの道が開かれています。
- 認定ケアマネージャー:ケアマネージャーの上位資格
- 主任ケアマネージャー:ケアマネージャーの最上位資格として、他スタッフの指導・育成を行う
- 社会福祉士:社会的に立場の弱い方を社会福祉の面からサポートする国家資格
転職する際のポイント
介護職に就職・転職する前には、まず以下のポイントを調べておきましょう。
- 職場の雰囲気や人間関係を知る(テキパキしているor和気あいあいとした雰囲気)
- 施設が提供するサービス内容や運営方針、シフトなどを確認する
事前のリサーチが不足すると、就職後に「予想と違った」というミスマッチが起こりやすいです。
働くうえで自分が何を一番大切にしたいかをハッキリさせ、ニーズに合った職場を選びましょう。
スポンサーリンク
サービス付き高齢者向け住宅の仕事内容のまとめ
ここまで、サービス付き高齢者向け住宅の仕事内容についてお伝えしてきました。
要点を以下にまとめます。
- サービス付き高齢者向け住宅では、生活相談と安否確認のほか、生活支援サービスなどを行う
- 介護職員初任者・実務研修、介護福祉士、正・准看護士、介護支援専門員などは優遇されやすい
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。