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認知症によるせん妄とは?認知症とせん妄の違いや治療法について解説

認知症とせん妄は別の症状に位置づけされておりますが正しく理解されておらず、混同してしまっているケースがあります。
ここでは認知症とせん妄について以下の点で詳しく解説していきます。

  • 認知症とせん妄の具体的な症状は?
  • 認知症とせん妄の治療法と予防策は何か?
  • 認知症とせん妄が併発した場合は?
  • 介護する際の注意点は何か?

認知症とせん妄を対比させながら解説していきますので、是非最後までお読みください。

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認知症とせん妄の症状の違い

認知症とせん妄の症状の違い

※画像はイメージです


認知症患者がせん妄症状を引き起こすケースが多いため、せん妄は認知症患者によく見られる異常行動の一つであると認識されてきました。

しかし、認知症とせん妄は発生時期や期間、意識障害の有無などに明確な違いがあり、別の病態として区別されるようになりました。

治療のポイントも異なるため、両者の鑑別が重要視されます。
しかし認知症のタイプによっては併発する場合があり、2つを切り離して考える事は難しいとされています。

具体的に、その時に出ている症状からわかりやすく比較されるポイントは主に以下の4点が挙げられます。

  • 症状出現の時期と持続時間
  • 意識障害の有無
  • 症状
  • 経過の違い


これらの情報や誘発因子の有無などを複合的に判断し、せん妄であることが除外されると認知症であると診断されます。
それでは、具体的に認知症とせん妄の症状の違いをご説明していきます。

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認知症の症状とは?

認知症は脳の病気や頭部外傷などにより、脳が委縮し脳細胞が破壊される事で認知機能の低下をきたします
認知症の症状は初期の段階では、本人も周囲の人もなかなか気付かれずに症状が進行していくケースが多いです。

また認知症には種類があり、アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、レビー小体型認知症など、発症した認知症によって症状も様々です。

認知症の症状を、中核症状と周辺症状に分けて詳しく説明します。

中核症状

認知症の中核症状とは、脳の病変そのものから起こる認知機能の低下によって誰にでも起こる症状です。

具体的には、

  • 理解力や判断力の低下
  • 見当識障害
  • 記憶障害
  • 失語
  • 失行
  • 失認
  • 実行機能障害

という症状が受けられます。

今まで習慣として出来ていた事や、日常生活で行っていた活動が出来なくなってしまいます。
また、人や物、時間がわからなくなったりといった症状が中核症状です。

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周辺症状

周辺症状は、行動・心理症状(BPSD)とも呼ばれています。
本人の本来の性格や環境、その時の心理状態によって引き起こされ、個人差があります。

認知症の方は、これまでのように物事を出来なくなる事が多くあります。
なので、意欲や食欲が落ちたり趣味に関心がなくなったりと、抑うつ状態に陥りやすいです。

具体的には、

  • せん妄
  • 抑うつ
  • 興奮
  • 徘徊
  • 睡眠障害
  • 妄想

という症状が挙げられます。

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せん妄の症状とは?

せん妄は何らかのきっかけで急に発症し、数時間から数週間の間症状が持続します。

この発症時期が特定できるのが認知症と大きく違う点です。
もともと高齢者が抱えている精神的にも肉体的にも虚弱な状態に、引き金となる事柄があって発症に至ります。

そのため、発症の要因となったきっかけを探す事が治療の最優先とされ重要視されます。
せん妄患者の意識は時に朦朧としており、反応が乏しい時間があるなど程度は様々ですが意識障害を確認できます。

一般的に急性期には、突然暴言を吐いて暴れ出したり、意味不明な言葉を発するなど攻撃的な振る舞いをする場合が多いです。

この時患者は妄想や幻覚の症状に見舞われているため、介助者の指示を正しく理解し行動に移す事が出来ません。
経過についても特徴があり、1日の中でも症状が変動し、特に夕方から夜間にかけて症状が悪化する傾向にあります。

また、内服している薬の処方が変わった時も注意が必要です。
具体的にせん妄を引き起こしやすい薬剤については以下で詳しく解説します。

せん妄の起こりやすい薬

短期的に服用した薬剤でせん妄をきたすケースが多いのです。
しかし、高齢者は薬物の代謝・排泄機能が低下しているため、長期的に服用している薬剤でも注意が必要です。

臨床で多く報告されているのは、ベンゾジアゼピン系薬剤、オピオイド、抗コリン作用を有する薬剤があります。


せん妄の「不穏」の状態とは

不穏の状態とは、落ち着きがなく興奮している状態を指します。
不穏の状態になると、点滴を抜いてしまったり落ち着きがなく動き、転倒してしまったりと危険が伴います

そのため、不穏であることに早期に気づき、適切な方法で安全を確保する必要があります。
不穏は疼痛(とうつう)や行動が制限された状態など、一過性に大きなストレスがかかることが引き金となり引き起こされます。

「不穏」状態になる場合に考えられる病気

強い不安が不穏を引き起こすため、背景には認知症や統合失調症などの精神疾患を患っているケースが考えられます

認知症も精神疾患も、自身の思いが周囲に理解されないと感じる事でストレスとなり症状として現れます。
他にも持続するコントロールできない痛みや、不眠が続く事も不穏を引き起こす原因として挙げられます。

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認知症とせん妄の治療法の違い

認知症とせん妄の治療法の違い

※画像はイメージです

認知症とせん妄それぞれの治療法について以下でご説明します。

認知症の治療法

認知症の治療は、生活の質を高め、介護者の負担を減らすことを目的に行います

特にアルツハイマー型認知症は、症状が落ち着いていて進行が止まっているように見えても維持効果を目的とした投薬を継続する必要があります。
日常の細かい変化を観察し、医師の処方に基づいた適切な投薬管理が重要です。

非薬物療法は活動を促し、他者とのコミュニケーションを図る事で思考や感情を活性化させる目的で行われます。

不安が強くなることでせん妄を併発するリスクが高まるため注意が必要です。
どちらの治療も、患者の細かな変化を観察し慎重に継続的に介入します。

せん妄の治療法

せん妄の治療には、抗精神病薬が有効ですが、まずは発症のきっかけとなった事柄を見極める事が重要です。

この時に精神的な問題だけでなく、直接影響を及ぼしている病気や苦痛などにも目を向け、これらを適切に治療していく必要があります。

これまでに使用していなかった薬を使用する際も注意して観察し、異常が見られた場合は速やかに投薬を中止します。

認知症とせん妄の予防法の違い

認知症とせん妄の予防法の違い

※画像はイメージです

認知症とせん妄それぞれの予防策について以下でご説明します。

認知症の予防策

認知症は生活習慣の改善によって、予防効果が期待されます。
日中適度な運動を行い、食事や睡眠の質に気を配りましょう。

高齢者は、社会との結びつきが弱く孤立することで刺激が減り発症、進行してしまいやすいです。
デイサービスや趣味などを通じて他者とコミュニケーションを取り、脳の活性化を図ることがおすすめです。

せん妄の予防策

本人が周囲から理解されず我慢することでストレスや不安を増強してしまい、せん妄を発症するケースが多いです。
なので、本人と一緒に不安を解消するような関わりを持つことがせん妄予防に有効です。

また、痛みや苦痛を和らげると安心感を得る事ができ、発症予防につながります。

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認知症とせん妄の併発

認知症とせん妄の併発

※画像はイメージです

認知症が不可逆性で進行性であるに対し、せん妄は急性にみられる一過性の症状です。
しかし、認知症と一過性のせん妄を併発するケースも少なくありません。

改善策は、せん妄を発症したきっかけを探り、取り除くことが有効です。
もともと認知症を発症している患者は、すでに自身の行動や周囲の環境に不安を強く抱いている場合が多いです。

混乱している本人の気持ちを受け止め、否定せずに根気強く向き合う事で信頼関係を築きます。

さらに、精神的要因のほかに身体的にダメージを及ぼす他の病気を合併している場合、痛みや苦痛を和らげる事も重要です。

認知症患者のせん妄を介護する時の注意点

認知症患者のせん妄の介護

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一番大切なことは、患者に対し「認知症だから仕方がない」と決めつけないことです。
強制的に鎮静をかけたり、原因を探らずに行動を抑制してしまう事はしてはいけません。

患者の安全を確保して、何かきっかけになる事柄がないか見極める事が重要です。

否定したり、決めつけてしまうような声掛けもさらなる認知症の悪化を招く危険もあるため、共感的姿勢を忘れずに対応します。

せん妄は夕方から夜間に症状が出現、悪化する可能性が高いため日中の活動状況を把握しておくことも重要です。
日中の活動量を確保し、夜間は睡眠が取れるよう介入すると良いです。

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認知症とせん妄のまとめ

認知症とせん妄のまとめ

※画像はイメージです

ここまで、認知症とせん妄の症状や違いを中心にお伝えしてきました。

  • せん妄は攻撃的になったりそわそわと落ち着かない様子がみられる
  • 認知症とせん妄の治療はどちらも薬物療法と生活習慣や活動を整えていく事が重要
  • 認知症とせん妄が併発した場合は、どちらの症状か正しく見極め早く適切に介入することで症状の悪化を防ぐことができる
  • 介護する際は先入観から無理な抑制を行わず、患者の不安や苦痛に寄り添う姿勢が大切

これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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監修者 メディカル・ケア・サービス

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