認知症と診断された場合、さまざまな不安要素に頭を悩ませるかもしれません。
また、認知症は治療できるの?と疑問に思う人も多いともいます。
現在、例外を除いて認知症を完全に治す治療法は見つかっていません。
しかし認知症は認知症治療薬の服用などにより、進行を遅らせることが可能です。
そこで今回は認知症の治療について下記の点を中心に解説します。
- 認知症の治療方法にはどのようなものがあるのか
- 認知症の治療費用
- 家族には何ができるのか
ぜひ最後までお読みください。
認知症介護を行ううえで気になる認知症治療。早期発見が大切となる認知症ですが、どのような治療方法や効果があるのでしょうか?今回、認知症の治療について以下の点を中心にご紹介します。アルツハイマー型認知症の治療方法[…]
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認知症初期の治療について
認知症は初期段階で早期に治療・対応することで、症状の進行を遅らせることができます。
どのようなことを行えば良いのか、いくつか方法を解説していきます。
運動
散歩やウォーキングといった軽い運動を行い脳の血流を増加させることで、認知症予防に効果が期待できます。
また、認知症進行による活動量の低下・ADL(日常生活動作)低下を防ぐこともできます。
食事
偏った食事は、血管性認知症やアルツハイマー型認知症の発症リスクを高めます。
様々な種類の栄養素をバランスよく摂取できるよう、一度食生活を見直してみるのも有効です。
認知トレーニング
自宅で手軽に行える認知機能トレーニングとして、塗り絵や計算問題、料理などがあります。
また、これらの認知トレーニングは、記憶力だけではなく、注意力や遂行機能の改善に効果が見込めます。
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認知症治療にはどういったものがあるの?
認知症の治療にはは大きくわけて2つ、薬物治療と非薬物治療があります。
認知症治療薬を服用することで進行を遅らせる方法もありますが、実はそれ以外にも存在します。
ここでは薬物療法と非薬物療法についてそれぞれの特徴についてご紹介します。
薬物療法
認知症を発症された多くの方は薬物療法を取り入れています。
薬物療法とは認知症に効果的といわれる治療薬を服用することをいいます。
認知症の治療薬には認知症の進行をなだらかにするという効果があり、薬物療法を取りいれるだけで急激な進行を未然に防ぐことが可能となっています。
非薬物療法
非薬物療法は認知症の治療薬を服用することなく、認知症の進行を予防する方法になります。
非薬物療法にはさまざまなアプローチ方法があります。
回想法
回想法の主な特徴は共感を得ることによる認知機能の発達になります。
昔、自身が何をしていたのか、どのような人生を送ってきたのかなどを話してもらいます。
そのような体験談を話してもらうことで共感が生まれ、認知機能への働きをうながします。
音楽療法
音楽を聴く、歌うという行為にはなまざまな効果が期待できます。
音楽を聞くことで心が落ち着いたり、心が高鳴ったりと影響は図りしれません。
また認知症により、あまり言語活動が活発でない方でも歌を歌うこと、聞くことは好きという方もおられます。
したがって、精神の安定や、心配事などからくる不安を軽減するという面ではかなり効果的といえるでしょう。
園芸療法
園芸療法は今どのような状況に自身がいるかという発見や確認には有効といえます。
認知症を患っている方は特に季節感覚が乏しくなる傾向があります。
理由は見当識という普段私たちが無意識に使っている感覚に障害がでているからです。
そのため外に出て草花に触れることにより、脳に良い刺激をもたらします。
桜が満開だから春、紅葉が赤くなったから今は秋など、自身の体験から季節の理解につながるなどの効果が現れることもあります。
認知症になると、もの忘れや被害妄想といった症状が現れます。作業療法には認知症の症状を緩和させる効果がありますが、どのようにすれば良いのでしょうか?今回は、認知症に効果的な作業療法を中心に、以下の項目についてご紹介します。[…]
認知症の目的別治療薬
認知症の治療薬は目的別で異なります。
ここではその治療薬をご紹介します。
認知機能改善薬
認知機能改善薬は認知症治療薬の総称をいいます。
この治療薬にはいくつかの種類があります。
- アセチルコリンエステラーゼ阻害薬
- NMDA受容体拮抗剤
これら意外にもありますが、このような治療薬を使用することにより、認知症からくる物忘れや判断速度の低下など、症状の進行を遅らせる効果が期待できます。
しかし、副作用が起こるかもしれないので注意が必要です。
何も悪い症状が出ない方にはいいかもしれませんが、副作用により認知症が悪化するというケースもあります。
そのため認知機能改善薬を使用して症状が悪くなる、少し気がかりなことがある場合はすぐに医師の診断を受けるようにしましょう。
精神向上
認知症には認知機能の低下により、精神の不安定な状況が続く場合があります。
そのような場面で使用される治療薬もあります。
- 抗精神病薬
- 抗うつ薬
- 睡眠薬
- 漢方
これら治療薬は徘徊や睡眠障害、うつ病などの症状を緩和してくれる働きがあります。
認知症は人によって症状がさまざまです。
それゆえに周りの方の援助が必要不可欠になります。
日々認知症の方の症状や動向を観察し、医師の協力の元、適切な処置が必要になってくるでしょう。
皆様もご存じの通り、日本では少子高齢化の影響で、高齢者の数が増加しています。少子高齢化に伴って、認知症の患者数も急増しています。認知症は自分だけでなく、家族など周りの人も巻き込んでしまう病気です。そのため、「認知症になってしまったら[…]
認知症の治療費はいくらかかるの?
認知症の治療にはさまざまな医療費が必要になります。
認知症にかかる医療費はどのくらいかかるのでしょうか。
薬物療法
薬物療法は薬を使用しながら認知症の予防をはかる方法のため、薬の費用が必要になります。
さらに薬や処方される病院によっても費用の差はかなり出てくるでしょう。
また処方された薬の量によって金額も左右されます。
薬の量は下は3mgから、上は20mgまであり、薬の形態も錠剤からゼリー剤など分かれています。
例えば、保険適用の3割負担で、アリセプトという治療薬を処方された場合、1ヶ月にかかる費用は、約1600円~4500円程度の金額になります。
認知症の治療薬は量や種類、負担額などにより異なるため、一概にこれだけの費用があればいいということはいえません。
しかし医療費は高額になるという予想は立てておいた方がいいでしょう。
非薬物療法
非薬物療法にする場合は薬の費用はかかりません。
しかし在宅で介護をするのか、施設を利用するのかにより費用が変わります。
在宅で介護をする場合は介護サービスの利用や、それに伴う福祉用具によっても費用は変わります。
また施設で介護をしてもらう場合にもかかる費用は異なります。
在宅介護の場合、年間にかかる費用は月々約9万円前後といわれています。
施設介護の場合は月々約18万円~25万円となっています。
これはあくまでも目安に過ぎません。
そのため医療費については医師に相談し確認するなどの手段を取る方がいいでしょう。
認知症になったらもらえる保険は何?
認知症は、高齢者の間で増加している問題であり、その対策として保険が注目されています。
認知症と保険の関係
認知症は、高齢者の間で増加している問題であり、その対策として保険が注目されています。
認知症になると、日常生活の自立が難しくなり、介護が必要となることが多いです。
そのため、認知症になった場合の経済的な負担を軽減するために、認知症保険が存在します。
認知症保険は、認知症になった場合に一時金を給付する保険です。
給付金額は、保険契約時に選択した金額によります。
給付条件は、所定の認知症と診断された場合や、公的介護保険制度の要介護1以上と認定された場合などがあります。
認知症保険の選び方
認知症保険は、自分や家族が認知症になった場合の経済的な負担を軽減するための一つの手段です。
自分に合った保険を選ぶことで、安心して未来を迎えられます。
認知症保険を選ぶ際には、以下のポイントを考慮すると良いでしょう。
保険料
保険料は、保険契約時の年齢や給付金額により異なります。
自分の経済状況に合った保険料の保険を選びましょう。
給付金額
給付金額は、自分が認知症になった場合に必要となる金額を考えて選びましょう。
介護施設の利用費用や、在宅介護のための改修費用などを考慮に入れると良いでしょう。
給付条件
給付条件は、保険会社により異なります。
自分が認知症になった場合に、給付を受けられる条件を確認しましょう。
認知症の治療の続け方
認知症の治療では認知症治療薬を服用するのか、しないのかは人によって変わります。
ここではそれぞれの治療法をどのように続けていくかご紹介します。
薬物療法の場合
薬物治療を選択している以上、薬との相性が極めて重要になってきます。
そのため医師とのコミュニケーションは必要不可欠なものとなるでしょう。
そのため日々の投薬時間の管理や認知症の方の症状の特徴などを細かく管理することが必要です。
細かいことやわからないことなどは普段からメモしておき、常に情報共有できるようにしておきましょう。
非薬物療法の場合
非薬物療法の場合は本人の意思の尊重が重要になってきます。
本人がやりたいと思っていること、また反対にしたくないことを無理にさせようとすることはいいこととはいえません。
また無理に頑張ることもよくありません。
頑張って治療に励んだがあまり効果が出ない、できていたことができなくなったなど負担になる恐れもあります。
日々の努力が仇になっては治療の意味がありません。
そのため必要以上に治療に励むことはやめましょう。
焦りは体に毒です。
アデュカヌマブって何?
認知症の多くがアルツハイマー病によるものといわれています。
そのアルツハイマー病に唯一効果があるといわれている薬がアデュカヌマブです。
どんな薬なの?
アルツハイマー病は脳内にアミロイドβプラークというタンパク質が蓄積することで起こる認知症になります。
このアデュカヌマブを服用すれば、アミロイドβプラークが減少し、アルツハイマー病に効果があるとされています。
残念なことに、まだ承認段階であり、一般の人が服用できるまでには至っていません。
そのため今後の動向に期待が向けられます。
いくら費用はかかるの?
アデュカヌマブはアルツハイマーに効果があるとされていますが、費用は極めて高額になると予想されています。
仮にアデュカヌマブを1年間服用するとした場合、費用は約610万円といわれています。
1ヶ月の費用は50万円となり、一般人には手が届きにくいものとなります。
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家族には何ができるの?
認知症患者は幻覚や物忘れなど、さまざまな症状に悩まされます。
しかし、認知症患者に安心して生活できる場所を提供してあげるだけで、症状の軽減が可能になります。
認知症患者の方は物忘れなどの症状があり、次第にできなくなることが増えていきます。
しかし瞬時に人間としての能力が全てなくなるわけではありません。
そのため、今できることをしっかりと尊重してあげることで症状を食い止めることができたり、安心した生活につながります。
認知症の方は物事を忘れているだけで、嘘をついていません。
仮に間違ったことをいっていても嘘をついたと言及することはやめましょう。
しっかりとコミュニケーションをとって安心した生活を家族と一緒に送ることが、認知症の進行を遅らせることに有効です。
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治療で悩まないために
認知症の治療は金銭面的に厳しいという場合もあります。
ここではどのような支援があるのかご紹介します。
医療負担の支援
認知症の医療費は高額なものになります。
しかし認知症にかかった場合に使うことができる制度はいくつかあります。
- 高額療養費制度
- 自立支援医療制度
- 限度額適用認定証
- 高額介護サービス費
これらの制度を利用することで、1割の自己負担額で医療を受けることができたり、一定額を超えると医療費が返金されたりとさまざまです。
ぜひ活用してみましょう。
失業・休業への支援
認知症が発覚し会社をやめなければならない、また休業をしたいという方もいるでしょう。
そういった場合には手当や支援を受けることができる場合があります。
- 地域障害者職業センター
- 傷病手当金
- 失業等給付の基本手当
- 就労移行支援事業所
以上が認知症が発覚した場合に受けることができる手当や支援になります。
認知症のため会社を休む必要がある場合の給与補償、障害を持った方が社会復帰をするための支援などを受けることができます。
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認知症治療に関するよくある質問|Q&A
認知症の症状は何ですか?
認知症の症状は多岐にわたりますが、主なものとしては、
- 記憶障害
- 思考の困難
- コミュニケーションの困難
- 混乱
- 方向感覚の喪失
- 意思決定能力の低下
- 日常的なタスクの遂行困難
以上のようなものが挙げられます。
認知症は治療可能な病気なのですか?
2023年7月の時点では、認知症の進行を完全に止める治療法は存在しません。
しかし、一部の薬物治療や、適切なリハビリテーションや生活習慣の改善により、症状の進行を遅らせることが可能です。
アルツハイマー病と認知症は同じものですか?
アルツハイマー病は、認知症の最も一般的な形態であり、認知症の全症例のおよそ60-80%を占めています。
一方で、認知症は記憶や思考能力が損なわれる広範な症状のことを指します。
アルツハイマー病はその一形態であるため、両者は同じとは言えません。
認知症のリスクを減らすためにできることはありますか?
健康的なライフスタイルを送ることが認知症のリスクを減らす可能性があります。
これには、
- 適度な運動
- バランスのとれた食事
- アルコールの適量摂取
- 禁煙
- 血圧とコレステロールの管理
- 定期的な医療検診
- 社会的・知的活動への参加
以上が含まれます。
認知症はどのように診断されますか?
認知症の診断は、症状の詳細な評価、患者の医療歴、身体検査、そして様々な神経心理学的テストに基づいて行われます。
場合によっては、脳の画像化技術(CTやMRIなど)を使用して、潜在的な物理的な異常を特定することもあります。
認知症治療まとめ
ここまで認知症の治療法、目的別治療法、治療で悩まないためについてお伝えしてきました。
以下がまとめになります。
- 認知症の治療法は薬物治療と非薬物治療がある
- 認知症の治療薬は高額であり治療薬の種類や量によって異なる
- 家族の方はできることを尊重してあげることが大事
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。