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トップページ>健康お役立ち記事>パーキンソン病>パーキンソン病は治る?治療の影響や新薬についても解説します!

パーキンソン病は治る?治療の影響や新薬についても解説します!

50歳から65歳の方に発症することが多いパーキンソン病。

日常生活に影響を及ぼし、治すことが難しい病は、高齢者の増加に伴い発症する患者も増えており、厚労省が指定している難病の一つです。

パーキンソン病は一度発症しても治療すれば治る病なのか、治療の影響や新しい治療方法はあるのかといったことが気になる方も多いでしょう。

本記事ではパーキンソン病の治療について以下の点を中心にご紹介します。

  • パーキンソン病の治療効果
  • パーキンソン病の治療の影響
  • パーキンソン病の治癒の可能性

パーキンソン病の新たな治療法についても触れていますので、ぜひ最後までお読みください。

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パーキンソン病は治るのか

パーキンソン病が発症すると、脳内の必要な細胞が失われ、身体にさまざまな症状が現れますが、治療を行うと治るのでしょうか。

ここでは、パーキンソン病の原因や症状について解説します。

パーキンソン病とは

脳の中にある黒質という部分の神経伝達物質であるドパミンが減ると発症する病気です。
パーキンソン病は進行性のため自然に治ることや完治することがなく、一旦発症するとゆっくり症状が進みます。

しかし、薬による適切な治療を行うと、パーキンソン病の運動症状を改善することができ、今までと同様の生活を送ることが可能です。

ドパミンの働きと症状

ドパミンは運動機能の調節、ホルモンや循環の調整、学習、意欲、喜び、快楽に関与しています。

そのため、脳内でドパミンが減ると動きが遅くなったり、体の緊張が高まったりする運動症状が現れます。
他にも便秘や排尿障害などの自律神経系症状、睡眠障害、精神症状、認知機能障害などの非運動症状があります。

それぞれ症状の種類や程度、経過は個々に異なり、それぞれの症状に応じて対策する必要があるのです。

パーキンソン病が治る方法

パーキンソン病は遺伝しませんが、ごく一部の方には遺伝子の変異が関連することが確認されています。
症状が出現する理由は、脳内に必要な細胞が減少することですが、根本的な原因や治る方法は現在の医療では解明されていません。

そのため症状の緩和は可能ですが、根本的に完治できるとは言えないのです。

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パーキンソン病治療の限界

どのような病でも適切に治療をすると治ることもありますが、限界は存在します。

パーキンソン病も治る病気ではなく、進行する過程で合併症が出現します。

パーキンソン病の治療とは

パーキンソン病の治療は、主に薬物投与と脳に電極を埋め込み電気刺激を与える手術になります。

しかし、これらの治療はわずかに残る神経細胞の働きを高めるアプローチでしかないため、病気が治る訳ではありません。
また、パーキンソン病の原因となる脳内の神経細胞内に蓄積する「異常なたんぱく質」を取り除いている訳でもありません。

結果、症状は一時的に緩和しますが、細胞が失われると次第に効果が薄れるため合併症が出現します。

合併症が出現する原因は薬の服用時期ではなく、ドパミン神経細胞の減少による病の進行だとわかってきました。

薬物投与による運動合併症

薬物による治療は「レボドバ」や「ドパミンアゴニスト」などのドパミン補充薬を投与します。

ここでは、それぞれの薬物の効き方と運動合併症状を見ていきましょう。

ウェアリング・オフとウェアリング・オン

ウェアリング・オフとは、病状が進み神経細胞が失われるとドパミンを保存できず、薬が投与される前に消費し欠乏状態が生じた結果薬が効く時間が短くなり、次の薬を服用する前に効果が切れる現象です。

症状はオフの時に「少し動きづらい」と思う程度から「かなり動きづらい」「動けない」と感じるように経過します。
その後、症状はオフの予想がしづらくなり、薬の効き方に日内変動が出現するようになります。

例えば、オンの時はほぼ何でもできますが、オフになるとまったく動けなくなり、オフになる瞬間もわからなくなるのです。
そのため「外出先で発症するとどうなるのだろう…」といった不安感から外出できなくなります。

運動合併症は治ることはなく、通常の日常生活が困難になることが次第に増えていきます。

ジスキネジア

症状が進み、さらに薬を効かせるためレボドバの量が増えると、次はドパミン神経が処理できる能力を超えます。
するとドパミン神経以外の細胞でレボドバが転換されますが、保持されず収まりきらない状態が生じ、勝手に作用します。

その結果、ジスキネジア(自分の意思に反して手足などが勝手に動く症状)が出現することが多くなるのです。

強さの程度はさまざまですが、気にならない程度の軽い動きから自分の体の動きをコントロールできない症状まであります。

パーキンソン病の治療薬は脳の疾患の中でも開発が進んでいる分野です。
しかし、進行期になると一日の服用が多くなり、それでも病気が治ることがないため早急な治療薬の開発が求められています。

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パーキンソン病が治る時代が来る?

パーキンソン病の症状は悪化することは分かっていますが、根本的な原因は不明なため、治る時代が来るのか不安になるかもしれません。

ここでは、世界中でパーキンソン病を治すための研究が進んでいることをご紹介します。

パーキンソン病が治る理想的治療とは

理想的な治療は、脳内の神経細胞に一定量のドパミンを放出し、ドパミン受容体に継続的かつスムーズに情報が伝達できる状態にすることです。
そのため、それらの条件をクリアできる治療方法や薬が開発されれば、治る時代が来るかもしれません。

これまでの治療は、一時的な症状の緩和など対症療法しか存在しませんでした。
しかし、核酸医薬の開発やiPS細胞、ES細胞を使った細胞移植治療などによって、根本的な治療の可能性が開けてきました。

従来の治療と今後の展望

従来の治療目的は、ドパミン製剤による症状の改善が中心であり、治ることを約束する根本的な治療ではありませんでした。

薬物投与治療は発症の初期段階に行うと効果的ですが、進行すると前述の運動合併症が出現します。
そのため、現在は国内外で症状の進行を抑制する研究や開発が進められています。

例えば、遺伝性パーキンソン病の発症に関係する、αシヌクレインをターゲットとする核酸医薬が開発されました。
薬剤の有効性をマウスで調べると、αシヌクレインの蓄積を抑制し、行動障害を改善することが確認されています。

他にも大脳オルガノイドの作製研究が進められています。
大脳オルガノイドとは、本物の大脳と同じように作られる凝集体で、神経細胞の発生を人工的に再現できる研究に期待されています。

マウス実験では神経細胞の突起が伸長しており、運動機能障害に関する治療に結び付く成果を得ています。
これらの神経細胞は、iPSやES細胞を使うより成功しやすいと考えられており、さまざまな可能性が研究されています。

また、脳内にiPS細胞を用いたドパミン神経前駆細胞を移植し、症状を改善させる治療法の臨床試験も行われています。

細胞移植療法は、患者の脳に細胞を届けて生着させ、神経として機能させるものです。
これまでの失われる細胞を補給する治療とは異なり、新たな細胞を補充するため、より根治に近づくと考えられています。

臨床試験は再現性の高い神経細胞を形成することや、人体に安全であるものなど地道な基礎研究によって実現しました。

治験は2018年10月から開始されており、2020年末までに4例の手術を終え、2021年中に登録患者7名すべての手術を終える予定です。
2年間の経過観察の後、安全性と有効性を評価する予定で、その朗報を世界中が待ち望んでいます。

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パーキンソン病の新たな治療法

最新の研究により、パーキンソン病の新たな治療法が開発されています。

これにより、病状の改善が期待できる可能性があります。

iPS細胞を利用した治療法

iPS細胞は、体細胞を元の状態に戻し、さまざまな組織へと分化させる能力を持たせた細胞です。
パーキンソン病治療では、このiPS細胞からドパミンを出す神経細胞を作成し、患者の脳内に移植する方法が検討されています。

しかし、iPS細胞は増殖力が強く、腫瘍や他の組織に変性してしまうリスクや、移植細胞がドパミンを過剰に作り続ける心配が指摘されています。
これらのリスクを解決し、臨床応用が可能になることが期待されています。

遺伝子治療によるアプローチ

遺伝子治療とは、特定の遺伝子を脳内に注入して、パーキンソン病を治療する試みです。
具体的には、ドパ脱炭酸酵素というL-ドパをドパミンに変化させる酵素を作り出す遺伝子を患者の脳に与えて、ドパミンの産生を改善しようとするものです。

しかし、パーキンソン病に対する遺伝子治療は、まだ報告が少なく実験的要素が強いものであり、現状では積極的に推奨される段階には至っていません。

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パーキンソン病治療の質問|Q&A

パーキンソン病とは何ですか?

パーキンソン病は、脳内の特定の部位で神経細胞が死ぬという変化が起こり、主に手足の振戦、筋肉の硬直、動作の遅さ、バランスの悪さなどの症状を引き起こす神経疾患です。

原因はまだ完全には解明されていませんが、遺伝的要因や環境的要因が関与していると考えられています。

パーキンソン病の治療法は何がありますか?

パーキンソン病の治療法には主に薬物療法、物理療法、手術療法があります。

薬物療法では、主にドーパミンという神経伝達物質の欠乏を補うことで症状を和らげるものが使われます。

物理療法では、日常生活の動作の改善や筋力の維持を目指します。

また、手術療法では、深部脳刺激術(DBS)という方法があり、電極を脳内に埋め込むことで症状をコントロールします。

パーキンソン病の進行を遅らせることはできますか?

パーキンソン病の進行を遅らせるための確実な方法は現在のところ確立されていません。

ただ、適切な治療と健康的な生活習慣が症状の管理に役立つと考えられています。
適度な運動、バランスの良い食事、十分な睡眠、ストレスの管理などが推奨されています。

パーキンソン病は遺伝しますか?

パーキンソン病はほとんどの場合、遺伝ではなく生活環境や年齢などの要素によって引き起こされると考えられています。

しかし一部の症例では遺伝的要因が関与しており、特定の遺伝子変異がパーキンソン病のリスクを高めることが知られています。

パーキンソン病の初期症状は何ですか?

パーキンソン病の初期症状は人により異なります。
よく見られるものとしては手足の震え、筋肉の硬直、動作の遅さ、立ちくらみ、手書きの文字が小さくなるなどがあります。

また、うつ病や不安、睡眠障害などの非運動症状も初期症状として見られることがあります。
これらの症状がある場合、医療専門家と相談することをお勧めします。

薬の使い方

パーキンソン病は治るかのまとめ

ここまで、パーキンソン病は治るのかについて、効果や影響などを中心にお伝えしてきました。

要点を以下にまとめます。

  • パーキンソン病の治療で症状の緩和や改善が可能
  • パーキンソン病の治療の影響で症状進行により運動合併症が出現する
  • パーキンソン病は現時点では自然に治ることや完治することはない

これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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