高次脳機能障害の方は様々な症状を持っているため、家族による介護が不可欠です。
介護者の家族はストレスを感じることもあると思います。
また、向き合っていくための方法やサービスはあるのでしょうか?
今回は、高次脳機能障害患者の家族が抱えるストレスについて、以下の項目を中心に紹介します。
- 高次脳機能障害の家族が持つストレス
- ストレスを軽減する方法
- 高次脳機能障害患者のための福祉サービス
ストレスの軽減や、福祉サービスを参考にするためにも、ぜひ最後までお読みください。
高次脳機能障害に興味がある方は下記の記事も併せてお読みください。
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高次脳機能障害とは
まず、高次脳機能障害とはどのような症状なのでしょうか?
高次脳機能障害を正しく理解し、適した対応をとる事が重要です。
高次脳機能障害とは、ケガや病気により脳に損傷を負うことで起きる障害です。
具体的には、脳梗塞や脳出血などが原因になります。
また次のような症状が現れます。
- 記憶障害(新しいことや昔のことを覚えられなかったり、忘れてしまう)
- 注意障害(ぼんやりしてミスが多い・注意力に欠ける)
- 遂行機能障害(自分で決めた計画や他人との約束を実行できない)
- 社会的行動障害(興奮する・暴力を振るう・自己中心的になる)
これらの症状によって、日常生活や社会生活に支障がある状態が高次脳機能障害です。
全ての症状がみられる人もいますし、一部分のみみられる人もいます。
本人も生活をするのが大変ですが、サポートする家族にもかなりの負担が出てきます。
高次脳機能障害の症状について詳しく知りたい方は下記の記事も併せてお読み下さい。
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高次脳機能障害患者の家族が持つストレス
思いがけない出来事(ケガや病気など)によって高次脳機能障害を発症し、家族の方は戸惑うこともあるでしょう。
実際に高次脳機能障害患者となった家族を抱えた場合、どのようなことがストレスとなるのでしょうか?
生活に関すること
一緒に暮らしていく上で、生活に関するストレスが一番大きいでしょう。
慣れない介護に対する不安、今まであった時間がなくなること、家族との関係性が変わることがストレスに繋がります。
当事者が家庭を支える立場であれば、経済的な負担・家事などの生活の負担も大きくのしかかります。
周囲の目も気になり、現状を理解してもらうことの難しさで孤立する可能性もあります。
役割に関すること
家族関係が大きく変わることで、様々な役割が増えます。
生活の管理や生活環境の整備、通院の付き添い、日常生活全般のサポートを行います。
本人の代理や代弁をすることになり、家族を支える立場となる人もいます。
今後のこと
介護者の家族が先に亡くなってしまった場合の生活に対する不安、支える立場の家族が介護出来ない状態になることも考える必要があります。
若くして高次脳機能障害になる場合、将来に対する不安はより大きなものになるでしょう。
本人に対する感情
本人の変化を受け入れることができずに不安や恐怖を感じること、介護を続けていく中で感じる困惑・喪失感・不満などはストレスになります。
高次脳機能障害の症状には、暴力的になることが挙げられており、元が優しい人であっても感情の起伏が激しくなり暴れ出したりすることがあります。
今までになかったことであれば、恐怖感を感じてストレスとなるはずです。
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ストレスを軽減する方法
感じたことのないストレスを感じ、どうしたらいいか分からなくなる方もいるでしょう。
ここではストレスを軽減する方法を2つ紹介します。
気になるものを試してみてはいかがでしょうか?
当事者・家族会への出席
自治体ごとに、高次脳機能障害の方の集まりや家族会というものが作られています。
同じような悩みを持った人たちが仲間同士で支え合っています。
当事者自身や家族が、一人だけで抱え込むのではなく、同じ状況の家族との交流や講座を受けることで、不安を解消し安心感を得る事が期待できます。
当事者同士の会へ本人が参加を希望した場合、本人のストレス発散になり、不安が原因で暴力的になることが減ることも期待できます。
交流だけでなく勉強会や講演会などを行なう会もあるので、高次脳機能障害について知識を得ることができ、より理解することができるでしょう。
高次脳機能障害支援センターの利用
高次脳機能障害患者の支援を目的とした支援センタ―を活用する方法もあります。
支援センターとは、日常生活において周囲との関係で悩んでいる人が、その人らしい生活を行うための支援を行ってくれる場所です。
高次脳機能障害に関してのさまざまな問題について相談できる場所であり、一人ひとりに合わせた支援方法を考えていきます。
人によって支援内容は異なるので、生活の支援、医療の支援や家族のケア、介護サービスを受けるための支援など必要な内容を見極めることから行ないます。
集団生活を行なうことで社会適応を目指すための活動も行なっているので、必要だと判断された場合には支援センターを介してグループ活動への参加も可能です。
支援センターでは生活に必要な福祉サービスの紹介も行っています。
また、支援センターにはさまざまな相談に対応できる支援員がいるので、それぞれの問題に対応してもらえます。
高次脳機能障害患者には家族のサポートが必要
高次脳機能障害の方は、はためには障害にあるように見えないことも少なくありません。
そのため、家族などの身近な方ほど「どうしてこんなに変わってしまったの?」といらだったり、ストレスを感じたりするものです。
しかし、変わってしまったことにもっとも戸惑い・不安を抱えているのは本人です。
ただでさえ不安を感じているところに、家族からの怒り・非難を買うと、心が逃げ場を失ってしまいます。
結果、うつ病を患ったり、暴力を振るうようになったりするケースも珍しくありません。
高次脳機能障害がますます悪化するおそれもあります。
高次脳機能障害の方の家族の負担は計り知れません。
しかし、本人を1番身近に支えられるのは家族だけです。
家族の方は、本人が1番苦しいことを理解し、本人を責めるような言動は控えましょう。
そうはいっても、介護の負担や苦しみを家族だけで抱えるのは難しいものです。
ときにはストレス発散をしたり、家族会に出席したりするなどして、悩み・不安を適度に解消する工夫をしましょう。
高次脳機能障害患者のための福祉サービス
高次脳機能障害は症状の程度にもよりますが、障害者手帳を申請することができます。
申請することによって、利用できる福祉サービスが異なってくるので、必要に応じて申請などを行いましょう。
福祉サービスを利用することで家族の負担も減り、ストレスも軽減するでしょう。
ここでご紹介する福祉サービスを確認して、ぜひ利用を検討してください。
障害福祉サービス
障害者総合支援法では、国が日常生活や社会生活の支援を行なう必要があると定めています。
この法律には、高次脳機能障害の方の支援を可能にしています。
支援サービスを受ける場合には、障害者手帳の申請・介護支援の申請が前提となり、取得した場合に利用できます。
障害者手帳の発行
高次脳機能障害患者の障害者手帳の申請は、障害の状況によって障害者手帳の種類が異なってきます。
- 身体障害者手帳…手足の麻痺・言語・視野の障害がある
- 療育手帳…発達期(18歳未満)の受傷
- 精神障害者保健福祉手帳…記憶や注意機能・社会的行動上の障害がある
現在の状況に応じて申請しますが、異なる複数の障害が認められる場合には複数の手帳を申請・所持することも可能です。
それぞれの手帳では障害の状態によって1級~6級まで等級があり、各等級は指数化されています。
2つ以上の障害が認められる場合には、重複する障害の合計指数によって等級が決定されます。
介護サービス
介護サービスを利用するためには、申請と要介護認定の調査を受けてサービス利用が可能であることを認めてもらう必要があります。
実際にどのような介護サービスを利用できるのか、ご紹介します。
- 居宅介護支援…ケアプランの作成・家族の相談対応など
- 居宅サービス…訪問型(訪問介護・生活援助・リハビリなど)・通所型(デイサービスなど)・短期滞在型(ショートステイ)
- 施設に入居するサービス…介護療養型医療施設
- 福祉用具のサービス…介護ベッドや車椅子などのレンタル(年間10万円を上限に補助。利用者は1~3割負担)
- 住宅改修…日常生活にて必要と思われる改修費用を最大20万円まで補助金を支給。(利用者は1~3割負担)
程度や症状に応じた介護サービスを受けることができるように、支援センターなどを利用して申請を行いましょう。
介護保険で利用できるサービスについて詳しく知りたい方は下記の記事も併せてお読み下さい。
高齢化が進み、要介護者の増加や介護期間の長期化などがみられるようになりました。また、老老介護という言葉もあるように介護する家族も高齢化しています。そういった現状を踏まえ、介護の負担を減らすために作られた制度が介護保険です。[…]
高次脳機能障害と家族のストレスのまとめ
ここまで高次機能障害患者の家族のストレスについてお伝えしました。
以下にこの記事の内容をおさらいします。
- 高次脳機能障害の家族は、生活・役割・今後の事についての不安や悩みがストレスとなる
- ストレスは、高次脳機能障害患者同士が集まる家族会への参加・支援センターの利用によって軽減が期待できる
- 障害者手帳の取得や要介護認定を受けることで、自宅で受けるサービスや福祉用具のレンタル・住宅改修などのサービスが受けられる
これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。