自律神経失調症では、さまざまなセルフケアがあります。
また、自律神経失調症にはセルフケア以外の治療も存在します。
「自律神経失調症では、いったいどのようなセルフケアが効果的なのだろう?」
「自律神経失調症のその他の治療などについて詳しく知りたい。」
など疑問や気になることがある方もいるでしょう。
本記事では自律神経失調症のセルフケアについて、以下の点を中心にご紹介します。
- 自律神経失調症に効果的なセルフケア
- 自律神経失調症のその他の治療方法
自律神経失調症のセルフケアを理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
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自律神経失調症とは
自律神経失調症とは、身体の器官の活動を調整する自律神経(交感神経と副交感神経)が乱れることで現れる症状を意味します。
主に心身の過度な疲労によるストレスや不規則な生活(不眠・暴飲暴食など)、ホルモンバランスの乱れから、症状が引き起こされます。
自律神経失調症の代表的な症状は以下の通りです。
- 慢性的な疲労
- めまい・ふらつき
- のぼせ・冷えと発汗
- 頭痛(偏頭痛)
- 耳鳴り
- 動悸・息切れ
- 肩こり・関節痛
- 下痢や便秘・頻尿や残尿感 など
自律神経失調症について詳しく知りたい方は下記の記事も併せてお読み下さい。
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自律神経の働きとは?
自律神経系は全身に分布していて呼吸、循環、消化などの関連臓器を支配しています。
自律神経系には以下のような体内のプロセスを制御する機能があります。
血圧 | 心拍数と脈拍数 |
体温 | 消化 |
代謝 | 水分と電解質のバランス |
体液(唾液、汗、涙)の分泌 | 排尿 |
排便 | 性的反応 |
自律神経系は交感神経系と副交感神経系に分けられ、それぞれ以下のような働きをします。
【交感神経系】
交感神経系は緊急事態やストレスの多い状況下で機能を刺激し体の状態を整えます。
例えば以下のような働きをします。
- 心拍数を増やす
- 心臓の収縮力を高める
- 呼吸がしやすくなるように気道を広げる
交感神経系が働くとエネルギーが蓄えられ、放出することで筋肉に力が入ります。
【副交感神経系】
副交感神経系は日常的な状況下では機能を抑制して体内プロセスを制御します。
例えば以下のような働きをします。
- 心拍数を減らす
- 血圧を低下させる
- 消化管を刺激し食べ物の消化や排せつを促す
副交感神経系の働きによって食べ物からエネルギーを吸収・温存し体を回復させます。
体はさまざまな状況に対応できるように、2つの神経系の機能が協調して働けるようになっています。
「何となく疲れやすく体調が悪い。」「イライラしたり、気持ちが落ち込んだりする。」気になって病院で検査しても異常がないと言われる。それはもしかすると、自律神経失調症かもしれません。ストレス社会では、自律神経失調[…]
自律神経失調症のセルフケア
自律神経失調症のセルフケアはさまざまな方法があります。
それぞれのセルフケアについて解説します。
バランスの良い食事
バランスの良い食事は、規則正しく栄養に偏りのない食事をすることを意味します。
規則正しくとは、1日3回(朝・昼・夜)決まった時間に食事を行うことです。
腸などの臓器を刺激することで身体を活発にし、交感神経を優位に働かせます。
また暴飲暴食ではなく栄養バランスの良い食事をすることで、健康的な身体や十分な疲労回復効果を得られます。
食べ物を体内に入れると心が落ち着く効果があり、副交感神経が優位に働きます。
自律神経の乱れを改善するセルフケアとして効果的です。
良質な睡眠
良質な睡眠とは決まった時間に寝て、太陽が昇る朝に起きることです。
また睡眠時間をおよそ8時間以上とることも重要です。
睡眠中は、成長ホルモンの促進や体内の細胞の修復などが行われます。
昼は十分な活動をして、交感神経を優位に働かせる時間です。
そして夜に良質な睡眠によるリラックス効果で、副交感神経を優位に働かせます。
良質な睡眠によるセルフケアで、自律神経の不調を回復させます。
マインドフルネス
マインドフルネスとは、今この時この瞬間を意識する方法です。
仏教用語である禅(心の動揺がない状態)や瞑想(心を静めて無心になる状態)のイメージと似ています。
例えば呼吸だけに集中したり、嫌な出来事やそれに対する感情を頭の中から排除したりするセルフケア方法です。
その結果、意識のコントロールを促し雑念を取り除くことで、ストレス予防・対策をすることができます。
自律訓練法
自律訓練法は、自律神経の乱れを改善しバランスを調整するトレーニング方法です。
また、一人でもできるセルフケアです。
トレーニングのやり方は準備と姿勢・背景公式と6つの公式・消極動作の手順で行います。
姿勢と準備
まず「準備と姿勢」は以下の通りです。
- 静かな(落ち着ける)場所で行う。
- リラックスできる衣服に着替え、トイレも済ませておく
- 椅子に姿勢よく座るまたは両腕両足をやや開き仰向けに寝る
背景公式と6つの公式
次に「背景公式と6つの公式」は以下の通りです。
- 背景公式「心身が落ち着いている」と感じる
- 第1公式(安静訓練)「手足が重たい」と感じる
- 第2公式(温感訓練)「手足が温かい」と感じる
- 第3公式(心臓調整訓練)「心臓の鼓動が落ち着き規則正しい」と感じる
- 第4公式(呼吸調整訓練)「自然で楽な呼吸をしている」と感じる
- 第5公式(腹部温感訓練)「腹部が温かい」と感じる
- 第6公式(額部涼感訓練)「額が涼しく心地よい」と感じる
消極動作
最後に「消極動作」は以下の通りです。
- 両手を開いたり握ったりする
- 目を開き首や肩をゆっくり回す
- 両手を組み大きな背伸びをする
自律神経失調症の治し方について詳しく知りたい方は下記の記事も併せてお読み下さい。
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自律神経失調症の原因
自律神経失調症に陥る原因があります。
自律神経失調症は交感神経と副交感神経のバランスが崩れた状態をいいます。
交感神経と副交感神経のバランスが崩れる誘因には以下のようなものがあります。
- 精神的ストレス(人間関係や仕事のプレッシャーなど)によるもの
- 身体的ストレス(過労や光や音、温度などの環境によるものなど)によるもの
- 生活習慣によるもの
- 更年期障害によるもの
- 身体疾患(シャイ・ドレーガー症候群、パーキンソン病、レビー小体型認知症など)に伴う自律神経症状
- うつ病や不安症などの症状の一部として出現する自律神経症状
参考:厚生労働省の生活習慣病予防のための健康情報サイト(e-ヘルスネット)
自律神経が乱れる栄養素
自律神経失調症に悪い栄養はさまざまな種類があります。
それぞれの栄養について解説します。
トランス脂肪酸
トランス脂肪酸は、マーガリンなどに含まれます。
トランス脂肪酸が脳神経の構成材料として使われ、ホルモン分泌・神経伝達機能に影響を与えるといわれています。
結果的に、自律神経の乱れから自律神経失調症を発症する恐れがあるほか、うつ病・パニック障害・OD(起立性調節障害)・アレルギー・認知症などを引き起こす可能性があります。
砂糖
砂糖などが含まれる甘い食べ物を多く摂取すると、自律神経の乱れの原因となります。
砂糖を摂取することによって体内の血糖値が高くなります。
血糖値が高くなった結果、インスリンという物質が分泌され、今度は低血糖の状態になります。
高血糖状態から低血糖状態に血糖値が上がり下がりすることで、イライラや倦怠感など精神面での症状が出ます。
カフェイン
カフェインは、コーヒー豆やカカオ、茶葉などに多く含まれています。
摂取することで交感神経を刺激し、優位に働かせます。
自律神経失調症の方がカフェインを取りすぎると、副交感神経とのバランスがより崩れることにつながります。
ただコーヒーはリラックス効果があるため、適度な摂取を心がけることが良いとされています。
自律神経失調症の治療薬
自律神経失調症のセルフケア以外に、さまざまな薬を用いた治療があります。
それぞれ各治療薬について解説します。
自律神経調整薬
自律神経調整薬は、自律神経の乱れを調整する働きがあります。
自律神経失調症の症状である、頭痛・めまい・不安・意欲低下などを改善する効果が期待できます。
薬を用いた治療を行う際は、精神神経症状(眠気・ふらつきなど)や消化器症状(吐き気・口の渇き・食欲不振・便秘など)、全身症状(倦怠感・脱力感など)の副作用に注意が必要です。
医師とよく話し合って決めることが大切です。
抗不安剤
抗不安剤は、主に自律神経失調症の症状や睡眠障害に効果が期待できます。
抗不安剤の種類にもよりますが、さまざまな副作用があり注意が必要です。
- 眠気
- ふらつきやめまいと立ち眩み
- 頭痛
- 食欲不振
- 口の渇き
- 動悸
- 吐き気や嘔吐
- 便秘や下痢 など
こちらも医師とコミュニケーションをとって薬を決めていくことが大切です。
睡眠薬
睡眠薬は、寝付きや途中で目が覚めてしまうことを防ぐ効果が期待できます。
即効性と幅広い効果時間(超短時間作用型から長時間作用型など)が特徴です。
睡眠薬の種類にもよりますが、さまざまな副作用があるため注意が必要です。
- 翌日の眠気やふらつき
- 薬の依存
- 呼吸の乱れ など
またアルコールによって作用が強まるため、服用時の飲酒は厳禁とされています。
抗うつ剤
抗うつ剤は、主に自律神経失調症のうつ病(抑うつ状態)に効果がある薬です。
摂取すると脳内物質であるセロトニンやノルアドレナリンに影響があります。
意欲や気分に関係する物質であり、上手く作用することで改善につながります。
抗うつ剤の種類にもよりますが、さまざまな副作用があるため注意が必要です。
- 喉の渇き
- 便秘や下痢
- 吐き気
- 脈の乱れ
- 排尿障害
- 体重増加 など
自律神経失調症の薬について詳しく知りたい方は下記の記事も併せてお読み下さい。
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自律神経失調症は鍼灸ツボ押しが効果的?
自律神経失調症は、鍼灸ツボ押しが効果的とされています。
効果的な鍼灸ツボはさまざまな種類があります。
鍼灸ツボによるセルフケアも期待できますので紹介します。
内関
内関(ないかん)は、不安・胸が苦しい・胸のドキドキなどに効果があるとされています。
ツボの位置は、手のひら内側の手首の付け根から指三本分下がった辺りにあります。
内関を指圧し気持ちが良い感じがあれば、効果が得られているといえます。
丹田
丹田(たんでん)は、イライラ・興奮状態などに効果があるとされています。
ツボの位置は、へその下5センチの辺りにあります。
丹田を意識して腹式呼吸を行うことで、副交感神経が優位に働きます。
失眠穴
失眠穴(しつみんけつ)は、眠れない時などに効果があるとされています。
ツボの位置は、足の裏のかかとの中心辺りにあります。
足の裏は皮膚が分厚いため、温灸が良いとされています。
また湯たんぽやホッカイロでも代用することが可能です。
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まとめ:自律神経失調症のセルフケア
今回は自律神経失調症とセルフケアについてご紹介しました。
自律神経失調症とセルフケアについての要点を以下にまとめます。
- 自律神経失調症とは、自律神経が乱れることにより現れる症状の総称
- 自律神経失調症のセルフケアはバランスの良い食事・良質な睡眠・マインドフルネス・自律訓練法など
- 自律神経失調症に悪影響を及ぼす栄養はトランス脂肪酸・砂糖・カフェインなど
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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